「勝てねー!」
「ハハハ、その程度か翔!」
俺たちはババ抜きをしている。
翔は顔に出るから簡単に勝てる。
鬼ごっことかも考えたんだけど、外はテントがあるし暗くなっている。
中で走るわけにもいかず、こうしてトランプで遊ぶことになった。
「なあ、若葉姉ちゃんがいるとこに行こうぜ」
「翔ったら、勝てないからってそんなこと言って」
加奈がジト目で翔を見る。
ちなみに加奈はポーカーフェイスがうまく、いつも1位だ。
「でもそれもいいかもしれないわね。
もうトランプには飽きちゃったもの」
「だよな!」
俺も飽きてきたし、女の子にも挨拶しといた方がいいか。
紳士はアフターケアもばっちりなのだ。
「じゃあ行くか?
でもどこにいるかわかるのか?」
「あ、僕わかるよ」
「そうか、じゃあ行こう」
俺は子どもに囲まれながら移動した。
「ここだよ」
案内され着いたのは保健室だった。
そうそう、俺たちが避難所として使っているのはBPの発生のせいで廃校になった中学校だ。
寝る場所は体育館だが、校舎にも行けるようになっている。
コンコン。
一応ノックはしておく。
紳士だからな。
「はい、どちら様ですか?」
「集だ。子ども達も一緒だ」
「―――」
「はい、どうぞ」
少し間があってドアを若葉ちゃんが開けてくれた。
間があったのは女の子に入れていいか聞いたんだろう。
「失礼します」
入るとベットに座る女の子がいた。
服は女の子らしいパジャマに着替えられていた。
よく見ると栗色のややくせ毛のかわいい女の子だ。
幼さの残った顔立ちは庇護欲をそそる。
「こんばんわ」
「こ、こんばんわ」
女の子は俺と目が合うとすぐに顔を伏せてしまった。
やはり、最悪の事態にはならなかったといっても、襲われたこともあって男性不信にでもなっているんだろう。
「あの時はすぐに助けられなくてすいません」
「いえ、助けていただいてありがとうございます」
俺はその場で頭を下げる。
女の子も俺に頭を下げるが顔は上げてくれない。
「集、この人と知り合いなのか?」
「翔君、みんなこっちに来なさい」
翔が俺に聞くが若葉ちゃんが子ども達を呼ぶ。
「集さん達はお話があるから私たちはこっちで遊んでようね」
若葉ちゃんがみんなを連れ部屋の奥に連れていく。
「あっ、待って」
女の子が若葉ちゃんを呼び止める。
やっぱり男と2人ってのはキツイよな。
「あー、わかりました。
じゃあ私たちはしりとりでもしようか」
若葉ちゃんたちは隣のベットでしりとりを始めた。
あー、俺はどうすれば……。
気まずい……。
「そ、そのっ、助けていただいてありがとうございましたっ」
女の子は頭を下げる。
そっちも気まずいよなあ。
「ああ、いいよそんなにしなくて。
俺も、もっと気を配ってればこんなことにはならなかっただろうし」
そうだ、俺も遊んでばかりじゃなくて、避難所の周りをパトロールでもしていればこんなことにはならなかったかもしれない。
……何を話せばいいんだ。
チラチラこっちを見てくれるんだけど顔は上げてくれないんだよなあ。
そういえば自己紹介してなかったな。
「あー、そういえば自己紹介してませんでしたね。
俺は……」
ドコオオオオン。
「なんだ!?」
突然外から爆発音が聞こえた。
悲鳴も聞こえる。
「集、外からゼクスの気配がする!」
月下香が言う。
「わかった。俺は外に行くけどみんなはここで待っててくれ!」
俺は保健室を飛び出した。
外に行くとそこには炎上したバスと黒い剣を持った幽鬼、トワイライトアッシュがいた。
「アクティベート!」
月下香をアクティベートする。
目の前にいたトワイライトアッシュは月下香の攻撃で沈んでいくが、周りを見るとまだたくさんのトワイライトアッシュがいる。
「いきなりどうしたんだよ……!」
トワイライトアッシュを自衛隊が牽制しているが数が多いせいか押され気味だ。
バスや車を狙っているように見える。
ゼクス使いも交戦しているが1対多数で苦戦しているようだ。
そういえば紫炎は……テントは斬り倒されてる。
そこには倒れて頭から血を流した紫炎とカードデバイスを持ったあの男がいた。
「紫炎!」
「……ッ、集さん……すいません僕がこの男に騙されたばかりに……」
「クハハハハハ……こいつ、改心したから解放してくれっつったら簡単に開放してくれたんだぜえ?
アホじゃねーの? ハハハハ……!」
「こいつ、紫炎の優しさに漬け込んで……!」
「お前には借りがあるしな。
来いよ、殺し合いしようぜ!」
「月下香!」
「わかっている!」
俺と人攫い屋の殺し合いが始まった。