月を見ながら帰っていると黒い影が月を遮った。
あれは……ズィーガーか?
手を振るとあちらも気付いたのかこっちに降りてくる。
「あら、こんなとこにいたの」
「ああ、ちょっとな。綾瀬はどうしたんだ? もしかして出ていくのか?」
「ええ、天使の気配を感じたから……。昼に一回交戦したんだけど、途中でキラーマシーンに乱入されて逃げられたの。ここまで来たんだけど天使の逃げた方角からして一回関東に戻ることになりそうね」
「そうか、また会えるのか?」
「そうね……天使に殺されなければ。といってもまだ死ぬわけにはいかないんだけど。関東の天使を狩りつくしたら関西に行くつもりだからそのうち会えるわ。じゃあ、私はもう行くわね」
「ああ、気を付けて」
「年増、お前との勝負はお預けだ。次会った時は容赦しねェ。せいぜい腕を磨いとけ」
「ふん、こっちのセリフだ、黒猫」
ズィーガーも月下香にアイサツした後、綾瀬を背中に乗せ飛び立った。
あっちはまだまだ危険だが綾瀬なら何とかするだろう。
早ければ夏には会えるだろうし、また会えるのを楽しみにしとこう。
「ただいま~」
「あ、集。おかえりー!」「おかえり~」「おかえり」
「集さんおかえりなさい」「お、おかえりなさいっ!」
翔と凛と加奈の子どもチームと若葉ちゃんと千尋ちゃんのJKチームがお出迎えしてくれた。
さすがに今日は基樹たちはいないようだ。
「あれ? 星空と雅龍は?」
「集帰ってくるのおそいからねちゃったよ」
そういえばもう10時近い。小学三年生だと寝ててもしょうがないか。
「帰りが遅かったけど何やってたんだ?」
実はかくかくしかじかで。
「ふーん、じゃあアリス姉ちゃんの家にいたのか」
「そゆこと。さあ、お前ら明日出発なんだから早く寝ろよ」
「わかってるって」
翔達は走って戻っていく。
「集さん、ちょっとお話しいいですか?」
「ん? いいよ」
翔達がいなくなってから若葉ちゃんが話しかけてきた。
「集さんとアリスさん達ってどんな関係なんですか?
組織がどうとか言ってましたけど」
「ああ、実は俺たちゼクスを使役して困ってる人たちを助けるって組織を作ってさ、アリスが会長で俺が副長になったんだ。今って政府機関が機能してないからさ、俺たちみたいなのが必要じゃん? まだ始まったばかりだから最初は何でも屋みたいになるだろうけど最終的には日本復興を目指してるよ」
「そうなんですか。じゃあ、関西についたら学校に通わずに、どこかに行っちゃうんですか?」
「そうなるね。カードデバイス持ってたら大人しく高校生活なんてできないだろうし、あいつらとやっていくって決めたから」
「そうですか。……ちょっと待ってください」
若葉ちゃんは千尋ちゃんを連れて少し離れたところでヒソヒソと話している。
なんだろう。俺何かおかしいこと言ったかな?
あ、戻ってきた。
千尋ちゃんが俺の前に来る。
「あのっ、メアド教えてください!」
何を言うのかと思えばメアドか。そういえば千尋ちゃんとは交換してなかったな。
「いいよ。……はい、どうぞ」
「ありがとうございます。あっちに行ってからも連絡してもいいですか?
あの、ほら! 依頼とかするかもしれませんし」
千尋ちゃんはわたわたしながら言う。
小動物的でかわいい。
「全然オッケーだよ。俺としては夏が終わるくらいまでは関西にいるつもりだし、いつでも連絡してよ」
「ありがとうございます」
俺が言うと笑顔でお礼を言われた。
なんていうか、後ろにマンガやアニメのようなエフェクトが見えるような笑顔だ。
「千尋、よかったね。じゃあ、私たちはそろそろ寝ますね。集さんもあんまり夜更かししないで寝てくださいね」
「わかった。じゃあ、二人ともお休み」
「「おやすみなさい」」
さて、俺も準備してさっさと寝るかな。
―――
「…しゅ……ゅう……おい、集ってば」
なんか聞こえる。目を開けるとまた白い空間にいた。
「あ、起きたね」
「なんだよ、昨日会ったばっかじゃんよ」
「実は言い忘れてたこと、というか予定が狂ったんだけど、もうすぐ神様が君に会いに来る。それを伝えに来た」
「え? なに、俺また神に会うの?」
「どこの神かはわからないんだけど、もうすぐここみたいな空間に行って神と会うはずなんだ。で、僕のことは教えないでもらえるかな? あとその人に気を許してはいけない。きっと甘い言葉に誘惑されるだろうけど、僕を信じてくれないか?」
「うん? 俺が使徒になったことって知られてないの?」
「だって使徒って知られたら神に妨害されるかもしれないじゃないか。だからここのことは誰にも言っちゃダメだし、他の神の言うことを聞いてもいけない」
「なんだかわかんねえけど、とりあえず誰にもこのことを言わずにあんた以外の神の言うことを聞くなってことか。了解した」
「じゃあ、よろしく頼んだ」
そういって男が消えるとチャンネルが切り替わるように一瞬暗くなってまた白い空間に出た。
「あら? 起きてるのは珍しいですね。こんばんは。突然なんですが私たちに力を貸してくださいませんか?」
現れたのは燃えるような赤髪でとても綺麗な女神だった。
初めて会ったみたいな感じで接さないとダメだよな。
「もしかして神様ってやつですか?」
「そうです。あなたは転移者ですよね。実はあなたをこの世界に呼んだのは他でもありません。赤の世界を救ってほしいからなんです」
「って言われても突然のことで何が何やら……」
「そうですよね。最初に説明しておきましょう。あなたがこの世界に来たのは――――」
と、ここから女神さんの説明が始まったんだが大体さっきの男の神と同じ感じだった。
「どうです? 私の使徒になりませんか?」
「……申し訳ありませんが俺にはそんなたいそうなことはできそうにありません。他の人をあたってください」
「そうですか……使徒になったら特別に能力でも授けようと思ったのですが……」
「え? 今なんて? 能力って言った?」
「ええ、私の使徒になるのなら能力……わかりやすく言えばチートを授けましょう」
おいおいおい……聞いてないっすよ。チートはないって言ったじゃんあの人。
「それはどんな?」
「そうですね……あくまで世界を安定させるのが目的なので世界のバランスを崩すような能力は無理ですが、例えば……そうですね、リソース量が多くなったり、拳で岩をも貫く力を与えたり、あるいはコンピュータ並の演算能力を与えたりできますね」
それマジでチートやん。
「他にも翼を付けて空を飛べるようになったり、人間の限界を越えるまで剣術をうまくしたり、制限はありますが 遠く離れた土地の出来事や未来のこと知ることができる千里眼とかがありますね。どうですか? 使徒になっていただけますか?」
どうしよう、揺らいできた。あいつが俺にチートを与えてくれれば揺らがなかったのに。てか女神さんめっちゃきれいなんだよ。癒される。
でも信じろって言われたしな……。しょうがないこれをネタにあいつにチートをたくさんもらえばいいだけだ。
「すいません、やっぱり俺には無理です」
「そうですか……ではあなたのことはあきらめましょう。ですがもし他の世界の使徒になって私たちの世界の邪魔をするのならば容赦はしません。覚えていてくださいね……」
そういって女神は消え俺は目覚めた。
こ、怖えー。最後目がマジだった。他の世界の使徒になったら殺られる。そう思わせる目だった。
もう朝方だ。目も覚めちまったしこのまま起きてるか。
千尋の日記シリーズその2
若葉ちゃんにこの日記を見られちゃった。
でも応援してくれるみたいだし結果オーライ。
でも集さん今日帰ってくるの遅いなーって思ったらアリスさんの家でご飯食べてきたみたい。
アリスさん達ついてくるみたいだし、ちょっと危険視……(´・ω・`;)
男を落とすには胃袋からっていうし私も料理の勉強したほうがいいよね。
若葉ちゃんも味方にいるんだし頑張ろう(`・ω・´)