「集、浮かない顔してどうしたよ?」
「ああ、なんでもない」
「そうか?」
朝飯を食べていたら基樹にそんなことを聞かれてしまった。神からの依頼のことを考えていたのが顔に出てたか……。来週の土曜日までに決めないといけない。……殺すか、殺さないか……。単純に俺が殺して汚れたとか、罪悪感があるからやりたくないってなら断るのは簡単だ。だが、俺が断っても神は殺すんだろう。なら俺が…とか少し思った。だが、俺が殺すのと神が殺すのではどう違うんだろうか……。
「ボーっとしてるけど本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって、また仕事なくなったのかと思うと憂鬱なだけ」
「あー、それな」
神の依頼もそうだが、仕事の事も何かと大変だ。仕事探すのはいいんだけど、藍那ちゃんにゼクス使いだってことが知られると厄介だしな……。いっそBPの近くに行って仕事探してみるか。
「さて、朝ご飯も食べ終わったところで作戦会議といきましょうか」
「おー」
朝飯が終わった後、会議室に移動し会議が始まった。
「7月になりましたが、依頼は1件しかありませんでした」
そうそう、誕生日パーティーとかいろいろしてるうちに7月になった。そろそろ飛鳥とフィエリテが出会うはずだ。
「このままでは倒産の危機です」
「つっても学校に雇われてるんだし、案外どうにかなるんじゃね?」
「いや基樹、それはないんじゃないか? 学校が援助してくれるのは仕事の範囲で俺達の財布を何とかしてくれるんじゃないし、嗜好品まで学校は金だしてくれないいだろ」
「そう、だから仕事が欲しいのだけどどうしたらいいと思う?」
「う~ん、ここ平和だから難しいな……」
「…しかも、藍那ちゃんに知られないようにやるのはきつい……」
みんなで頭をひねって考えるがなかなか出てこない。大体そんなに簡単に金を稼げたら苦労しないのだ。
「困っとるようやから少し助言したる」
「ん、スコル何かあるの?」
カードデバイスにいるオーラスコルが言う。
「報酬もらえればなにも人間相手じゃなくてもええんやろ? そんならわいらゼクス相手に商売したらええ。これならあの嬢ちゃんにも知られることはまずないやろ」
「へー、それいいわね。やるなら誰を相手にやればいいのかしら?」
アリスが名案とばかりに聞いてくる。
「さあな、ケット・シー関係で困っとる奴はいても報酬くれるかは別やからな。なんならこないだのカフェに行ってきいてくればええんちゃう?」
「なるほど、なら今日はカフェに行ってゼクスに仕事を貰おうと思います。なにか意見がある人は?
………いないみたいね。ならもう少ししたら行きましょうか」
ということでカフェに行くことになった。誰か俺たちに依頼してくれる奴はいるのかねぇ……。
いました。いましたよ大物が!
「ふむ、カフェというものはなかなかいいものだな」
「そうだね、このコーヒーゼリーおいしいよ。ウェルキエルちゃんも食べるカニ?」
「ああ、貰おう」
俺の目の前には〈十二使徒 獅子宮ウェルキエル〉と〈十二使徒 巨蟹宮ムリエル〉がいた。
いつもは賑やかなカフェも今日はみんな畏縮してしまっている。
マスターも少し緊張しているようだ。
伊吹なんかは何度か失敗しそうになり、ヴァン様にフォローされている。
そしてそれをディステギールとヴァイスホルンは恍惚な表情で見ている。お前らは通常運転なんだな。
「なにあの人たち? なんかみんな静かなんだけど?」
アリスたちはいつもと違う雰囲気のせいであの2人が大物であることは感じ取れている様子。
「あの2人は……! どうか何も起きませんように……」
スコルは俺の肩で小さくなって震えている。
「きりたいキリタイ切りたい斬りたい伐りたい……」
アカン! 誰か月下香さんを止めて!
2人を見て血が騒いだのか、月下香は刀に手を当てブツブツと呟いている。
「……ところで、そこの殺気を放っている女は誰だ?」
ウェルキエルがチラリとこちらを睨んで言う。
「アタシは〈魅惑の七支刀 月下香〉だ。貴様に決闘を申し込む!」
な、何言っちゃってんのこの人!
「月下香!」
「止めるな、こんな奴に会ったのは久しぶりだ……八大龍王並の強者と見た」
月下香はやる気満々だ。殺気が部屋に充満し始め、皆武器を手に取ったり鎧を出現させ始める。
「相手してやる……といいたいところだがな、今日はオフなんだ。それにここは喧嘩は出禁なのだろう? ここを気に入ったからな、お前とやりあうつもりはない。緑の世界と戦争するなら別だがな」
「むむむ………」
月下香は唸るが刀に手を当てたままだ。
「まあまあ……月下香やめろよ」
「……なあ、白の世界と戦争しないか?」
「やめろって!」
「冗談だ。決闘の話は本気だがな」
「いや、それもやめてください、マジで」
ホントに勘弁してほしい。
なんだって十二使徒と戦わないといけないんだ。
そろそろ月下香のガス抜きが必要なのかもしれん。
ちょっ★きん♪