Z/Xの世界で生き延びる!   作:よーと

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 タイトルにあるように月下香視点です。
 勝手に月下香の過去を捏造しました。
 たぷたぷの話では、ホウライは禁欲的な生活をしているそうですが、こういうやつがいてもいいはずだよな、と思いながら書きました。
 ホウライの人たちすまんかった。


閑話「月下香の悩み」

 何故こうなったんだろう。

 

 「えーと……千尋ちゃん、かな?」

 

 頭の中であのセリフがグルグル回る。

 いや、別に悲しいとかそういうわけではないはずだ。

あの時は、どうせアタシが選ばれるだろうと根拠もなく思っていた。

 だからショックが大きかったというか……いや、へこんでなんかないんだが。

 

 あいつのことを認め始めたのはいつからだったか……。

 確か、カースドソウルとかいう黒騎士と戦ったときだったな。

 悪党に人質をとられボコボコにされても仲間を売ろうとはせず、勝機を見出そうとしていた。

 あの時、やっとあいつを仲間と認めたんだった。

 

 初めて会った時は気に入らなかった。

 碌に力もないくせにヘルソーンの討伐隊に編成されていて、アタシが駆け付けた時は仲間に守ってもらいながらカードデバイスを使って何かやっていたが、はっきり言って足を引っ張ってるようにしか見えなかった。

 確かに回復役は大切だろう。だが回復役を守ってヘルソーンを倒せなくなるくらいならいない方がいい。足を引っ張られるくらいなら、多少の死人は犠牲と考えて早期決着を狙った方がいい。みんなそれは覚悟の上だったしな。

 だがあの時はいつまでもグズグズとして雑魚に阻まれてヘルソーンまで辿りつけていなかった。それでイライラして冷静さを失ったんだろうな。いつもは躱せるはずの攻撃が躱せず、茨に捕まってしまった。あのままだったら死んでいただろう。

 だが何故か上からあいつが飛んできて、アタシをキャプチャーしたわけだが、あの時は屈辱だった。

 味方の足を引っ張るような奴に、先代のサーガラ様が所有していた宝具のレプリカを授かったこのアタシがキャプチャーされた。しかも命を救われたというのが気に入らない。あいつに足を引っ張ってるのはお前の方だと言われたようだった。目の前に敵がいなかったら、斬りかかっていたかもしれない。

 

 アタシには才能があるらしかった。

 サーガラ一門の弟子となり、日々鍛錬に励んでいたが、不思議と先輩たちを強いとは思わなかった。いや、強いのだが倒せない相手ではないというのが分かった。実際、何度か負けたし時間は若干かかったものの、宝具のレプリカを預かるほどになった。

 

 だが、影でアタシのことをよく思っていない奴らがいるのは知っていた。

 時間はかかったとはいえ、他の門下生からしたら圧倒的早さで上位者入りしたと言える。

 それにアタシは女だったから、阿那婆達多の門下生でない限り不満が出るのは当然だった。

 だがそれでもアタシは自分を曲げなかった。

 レプリカとはいえ、宝具を授かるのは栄誉あることだったし、なにより自分より弱い奴に何か言われたからと言って自分を曲げるのは気に入らなかったからな。

 

 まあそんな事だったから、アタシに決闘を申し込んで来たり、さらには闇討ちしようとしてきた奴もいた。

 アタシは自分が美人の部類に入るというのは分かっている。

 だから覗きは当然のこと、体目当てに勝負を挑む奴らもいた。

 当然、皆返り討ちにしたがストレスは溜まる。

 何度木蓮姉さん達に泣きついたかわからない。

 

 そんなアタシだから、あいつが覗きをしたとわかった時は思わず気絶するまで殴ってしまった。

 自分が認めた男が覗きをするのは、なんだか自分の事がバカにされているようで嫌だった。

 あいつにはそんなことはしてほしくなかった。

 今考えてみればあいつも男だからしょうがないといえばしょうがないんだが、あの時はあいつに失望したくなかったんだ。あいつも男だからそういう気があるのは仕方ないが、あいつがアタシの陰口を叩いてるような奴と一緒になるのは嫌だった。

 あいつをアタシの憧れの男性像に近づけようとしているのかもしれない。

 別にあいつみたいなのが好きなタイプというわけではないが、悪くはないと思ってるからな。

 

 ……なんだかこれでは選ばれなくてへこんでいるみたいに見えるな。

 悲しくはない、怒ってもない。

 ただ、何かモヤモヤする。

 まさか嫉妬してるのだろうか。

 

 ……いや、まさかそんな。

 ないな。うん、ない。

 大体なんでアタシがこんなことで悩まなければならないというんだ。

 あいつはもう寝てるのになんでアタシは寝てないんだ。

 これじゃアタシだけ悩んでいてバカみたいだ。

 ああ……ここにいるのがアタシだけだったら剣でも振って忘れるんだが、そんなことしたら悩んでいることがバレそうでできない。下手に寝返りを打ったら気づかれそうだ。

 あいつはすっかり寝入っているからそんなことしても起きないと思うんだがな。

 そもそもなんでアタシはこんなことで悩んでいるんだ、いつもはこんなことでは悩まないはずだ。

 さっさと寝て忘れる。

 これが一番だ。

 

 

 

 

 ……ああ、眠れない。

 

 

 

 

 朝の鍛練に行こうとするとあいつも来た。

 来なくてもいいと言ったんだがな。

 

 「集は来なくても良かったんだぞ?」

 

 ついこんなことを言ってしまった。

 返事は待たずに走り始める。

 あいつはスコルと少し話した後、頬でも叩いたのか、パンッという音がした。

 そしてアタシの隣まで来た。

 

 「月下香」

 「……なんだ?」

 「怒ってる?」

 「……怒ってなんかいない。少し眠いだけだ」

 

 怒ってもないし、眠いのもホントだ。

 朝方まで寝れなかったからな。

 すぐに鍛練の時間になったから、寝れたのは二時間くらいか?

 

 「さっきも言ったが、別に朝練に付き合わなくてもいいんだぞ」

 「どうしたんだよ」

 「お前は人間だし、アタシたちのペースについてくるのは辛いだろう。

  それにアタシはすぐに手が出るし、集も迷惑だろう」

 

 それらしい理由を付けて突き放す。

 だがこいつはそんな事は気にもしない様子で言った。

 

 「なんだそんなことか、気にするなよ。

  俺もそんなに気にしてないしな」

 

 走る速さのことだろうか?

 それともすぐに手が出ることだろうか?

 両方かもしれないが、意外だな。

 嫌々やってるものと思っていたが、顔を見ても嘘を言ってるようには見えない。

 

 「それに全然迷惑なんかじゃないよ。

  むしろ、感謝してるくらいだ。

  いつも鍛えてもらってるし、月下香は美人だし楽しくやれてるよ。

  ありがとう、月下香」

 

 こ、これは若干大げさじゃないだろうか。

 ありがとうなんて、滅多に言われたことはない。

 それにこいつがこんなことを言うのは初めてではないにしろ、珍しい方だ。

 

 「そ、そうか。

  ならこれからも稽古をつけてやらんこともない」

 

 平然を装って言ったつもりだが、あいつの顔が少し弛んだ気がする。

 

 「ああ、ありがとう。

  これからもよろしく頼む」

 

 そう言ってあいつは微笑んだ。

 

 

 この後張り切りすぎて、あいつに倒れる寸前まで稽古をつけたのは悪かったと思ってる。

 だからクー子とスコル、そんな目で見ないでくれ。




 なんか月下香がヒロインしてる。
 月下香が普通の女の子みたいな悩みをしているのが分かった。

 おい、女の子(笑)BBAだろww とか言ったの誰だ!
 ……え? いない? そんな馬鹿な、だったら誰が……あ、俺や。
 ん? 誰か来……誰だおま……うわああああああああああああああ!!!!

 クー子は主人が倒れる寸前まで痛めつけられてジト目。
 スコルは自分もやられるのではないかと不安になって、小さくなり震えて、涙目。

 次は30日くらいになると思います。
 
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