Z/Xの世界で生き延びる!   作:よーと

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 長いです。


閑話「ケーキ戦争」

 みなさんはご存知だろうか?

 ガルマータ氏とミサキ女史がカフェに来たあの日、壮絶な戦いが繰り広げられていた事を……。

 

 

 事の発端はガルマータ氏。

 集たちの裏で地味にピリピリした空気を出していた二人に痺れを切らしたのか胃痛に耐えられなくなったのか、ガルマータ氏の言葉は少し投げやりだった。

 

 「どんな子がいいのか教えてくださいっ!」

 「ぐぉぉぉぉぉ……。

  もう……料理がうまい人でいいんじゃないかな……」

 

 とまあこんなことがあり、場所はカフェでちょうどいいということで、二人は料理対決することになった。

 だが、当然レストランではないので作れるものは限られている。

 ならばと伊吹が出したお題は『ケーキ』。

 そして面白そうなことに食らいつく女子達。 

 しかし、それが更なる戦乱を巻き起こすこととなった……。

 

 「やっぱりチーズケーキが一番だよねー」

 「え? イチゴのショートケーキでしょ?」

 「パンケーキだと思うけど?」

 「何を言ってるんだか……モンブランが一番に決まってるでしょ?」

 

 最初は機嫌のよかった女子たちも、自分の好きなケーキを蔑ろにされることで次第にピリピリし始めた。

 

 「皆さん落ち着いてください。

  そんなに言うなら皆さんも作ったらどうですか?

  ちなみに僕は和風ケーキが好きです」

 

 伊吹の火に油を注ぐような発言もあってか、すぐにみんなケーキ作りに取り掛かった。

 すべては自分の信じるケーキが最強であると知らしめるために。

 キングオブケーキを決める戦いのゴングが鳴った。

 

 「皆さん、お待たせいたしました、中川基樹です。

  今回はキングオブケーキトーナメント、決勝の模様をお送りしていきいと思います。

  主審は荒川集……だったのですが、彼は修羅場の真っ最中のようです。

  主審はなしで行きましょう。

  放送席での解説は引き続き、白石伊吹さんにお願いしています。

  改めましてよろしくお願いします」

 「どうぞよろしくお願いします」

 「今回はどうやら集の周りで修羅場ってる三人以外の女子全員が参加しているようですね。

  ゼクスと人間の垣根を超えたこのトーナメント、いよいよスタートですねぇ」

 「はい、この戦いは見た目は地味でも、選手の闘争心はしっかり伝わって来ますから、丁寧に解説していきたいと思います」

 

 ※ここからほとんど実況の二人だけしか出ません。

 

 「おっと、さっそくアリス選手、シャンカー選手、泡立ての時点で手間取っている様子」

 「オーブンは一つ。

  大きさはありますが、全員息を揃えて使うということは考えずらいですねぇ。

  そういう意味では〈ロウブリンガー イェルバハ〉さんのパンケーキは有利でしょうね」

 「なるほどぉ……。

  一方ケィツゥー選手、ミサキ選手はずいぶん手際よくやりますね」

 「ケィツゥーさんは分かりませんが、ミサキさんは孤児院の子ども達のお姉さん兼母親役ですから慣れているんでしょうね。

  余談ですが、オーブンの予熱は理奈女史がした模様。

  これは地味に点数高いですよ」

 「そうですかぁ……。

  贔屓目で見てる気もしますがここはスルーしましょう。

  ガルマータ氏はこっそり胃薬を飲んでいる模様。

  よほど心労が溜まっていたんでしょうね」

 「あそこの修羅場は喧嘩に発展さえしなかったものの、かなりピリピリしてましたからね。

  しょうがないと言えるでしょう。

  しかし、ケーキのスポンジが冷えるまでは時間がかかりますから、冷えるのを待っている時間はまた地獄のような時間を過ごすことになるんでしょうね」

 「なんということだ……」

 

 「できたっ!」

 「一足先にイェルバハ選手のパンケーキができたようです。

  これを食べるのはガルマータ氏……と言いたいところですが、胃痛のためあまり食欲がないとのこと。

  しょうがないので我々も含めた三人でいただきましょう」

 

 「ふむ、イチゴにブルーベリー、バナナなど、フルーツをふんだんに使ったフルーティーなパンケーキですね。

  盛り付けもきれいにまとまっていて、短時間で仕上げたものとしてはかなりいいのではないでしょうか」

 「メープルシロップをかけるみたいですね。

  ではいただきます。

  …………うん、フルーツがフレッシュ感を出していておいしいですね。

  ボリュームもあって男子としてはうれしいですね」

 「ですが、後ろに控える数名の選手のことを思うと少し多いですね。

  これも作戦でしょうか」

 「うぉぉぉぉぉ……これがまだ続くのか……」

 「ガルマータ氏、唸り声を上げております。

  修羅場で消耗した胃には少しきつかったか!?」

 「どうやら残りの数名はスポンジの冷却時間に入った模様。

  ガルマータ氏に休む暇を与えない!」

 「ぐぉぉぉぉぉ……なんということだ……」

 「ここで前半戦を終了します」

 

 ―――――――

 

 「皆さんお待たせしました!

  では後半戦を見てまいりましょう。

  もう全員が盛り付けに入っております」

 「ここからはより早く仕上げた人が有利ですねー。

  我々はともかく、ガルマータさんがもうダウン寸前ですからね。

  肝心のガルマータさんの胃に収まらなければ、いくら評価されても、ミサキ、ケィツゥー両選手共に納得はいかないでしょう」

 「さあ、ここからは時間との勝負ということで、一番有利なのは〈ロウブリンガー ヘレン〉、理奈、次いでミサキ、ケィツゥーでしょうか」

 「そうですね、上位二人は終始ペースを作って、リズムをとりながらビルドアップしてますからね。

  そういった組み立てが非常にうまいですよね」

 「うーん。

  ミサキ、ケィツゥーはどうでしょう?」

 「あの二人は……ハハッ!

  えー、なんというか、ガルマータ氏に恨みでもあるのでしょうか?

  なぜあの二人だけホールケーキなんでしょうww」

 「まあ、それだけ気合が入っているという事でしょうwww

  しかし、そのせいで時間が若干かかっているという感じですね」

 「はぁい。

  ホールケーキを作る時間としてはむしろ早いくらいなんですけどね。

  しかしここではその気持ちの大きさが仇となりましたね」

 

 「さて、ヘレン選手のケーキが完成したようです」

 「理奈ちゃ……理奈選手もほぼ同時に完成させましたね」

 「あたしが先に完成させたの!

  はい、どうぞ」

 「ヘレン選手はチーズケーキのようです。

  見た目は……シンプルですね」

 「まあチーズケーキにはビジュアルを求めずらいですから、これはいいんじゃないでしょうか。

  問題は味ですね」

 ガル「ではいただこう」

 …… 

 「ふむ、しっとりとした舌触りに、濃厚なチーズの味と香りがすばらしい」

 「高得点だー!」

 「ヘレンの背中に二人の視線が突き刺さる!」

 

 「ヘレン……」

 「あっ、ケィツゥー様、これは……」

 「あとで話があります」

 

 「……見なかったことにして次は理奈選手、どうやら和風ですね」

 「えっ、これって……あ、いや、んん゛!

  スポンジに抹茶を混ぜ、餡子をはさんでいますね。

  美味しそうです。てかすでに美味しいです。

  ……ふへへ」

 「伊吹さん、口元が緩んでますよ。

  ……どうやら伊吹さんはまともな審査ができそうにありませんね。

  ここは私とガルマータ氏で審査しましょう」

 「仕方ないだろう」

 ……

 「ふむ、和風と言うだけあって、優しい甘さがお茶とあっていてとても美味しい」

 「胃を休めるにはいいですね。

  はあ……緑茶がとても美味しいです」

 

 「理奈さん……」

 「ミサキさん、いやこれは……」

 「後でサインを渡すときに話があります」

 

 「何も見てない、アイドルの黒い笑顔なんて見てない……」

 「基樹殿、頑張ってくれ」

 

 「んっんん!

  失礼しました。

  気を取り直して次行きましょう。

  次は……ケィツゥー選手です」

 「私はチョコレートケーキです。

  飲み物はコーヒーです。

  ガルマータ様、どうぞ」

 「ありがとう……あっ」

 「ああっ!」

 「コップがこぼれたッ!」

 「おおっと!」

 

 ガルマータがコッピを落としかけ、ケィツゥーと一緒に受け止める。

 

 「うう~ん!

  いい形になった!」

 「やってくれますこの男!」

 

 「しっかり持たなきゃだめですよ?」

 「あ、ああ、すまない」

 

 「伊吹さん、一瞬体勢が乱れたようにも見えたんですが、今のはどうご覧になります?」

 「たぶん今のはねぇ、ガルマータ氏の性格から考えて意識的なプレーではないですね。

  さすがにこれだけの量を食べるのはきついかったということでしょうか。

  しかし、ケィツゥーさん、うまく攻めてると思いますよ」

 

 「あっ、ごめんなさい!」

 「い、いや、大丈夫だ」

 

 ガルマータの手に触れていることに気づき、慌てて手を放す。

 

 「立ち上がり見ていてどう思います?」

 「いいんじゃないですか?

  ハプニングはありますが、思い通りの試合をしてますよねぇ。

  順調でしょう」

 

 「ガルマータ様……無理はしなくていいんですよ?」

 「いや、せっかく作ってくれたのだ。

  いただこう。

  ……スポンジはしっとり、ふわふわ。

  チョコレートは濃厚で生チョコのようだ。

  一度味わえば虜になるだろう」

 

 「まあ、この状況見ればもう安全圏に来たかな? 

  とも言えませんか?」

 「本当ですねぇ、やりたい放題できるって感じですよね」

 

 「そろそろいいでしょうか?」

 

 「おんやぁ~?」

 「ん!? あぶないぞ」

 

 「時間をかけすぎではないでしょうか?

  私の番でいいでしょうか?」

 

 「これでちょっと構想が崩れますよねぇ~。

  いきなりですからねぇ」

 「大変なことになりました!」

 

 「いいよ~」

 

 「おっと、これは集のクイーンビー、通称クー子ですね」

 「面白そうだから出てきたよ!

  集の代わりに『しゅしん』ってのやるねっ!」

 「いいんじゃないですか?」

 「では以後主審はクー子さんということで」

 

 「私はフルーツデコレーションケーキです。

  紅茶もどうぞ」

 

 「先ほどまでお菓子のような甘さでしたから、フルーツのさっぱりとした甘さでリフレッシュと言ったところでしょうか」

 「いや~チョコレートの後にフルーツですか。

  もうこれはやられた、というような感じでしょうね」

 「こちら側としてはね、これで少し面白くなりましたよね」

 「いやー、まったくです」

 

 「うむ、見た目も鮮やかで、スポンジに挟まれたメロンが生クリームと一緒に食べると甘さが引き立ちとても美味しい。

  夏の果物が活きたケーキだな 」

 

 ※劇中では7月の中盤くらいの設定です。

 

 「ケィツゥー選手、若干焦ってるでしょうがここは踏ん張りどころですからね」

 「まだ試合の行方は分かりません」

 「どうする……」

 「どうする……!」

 「『どうする……』じゃないわよ!」 

 

 スパンッ!

 

 「い、いってぇ!

  何すんだよ姫!」

 「何すんだよって……まだ私たちの審査終わってないでしょうが!」

 「……そういえば」

 「なに真顔になってるのよ。

  ……え、まさかホントに忘れてたの?」

 「……すまん。

  ぶっちゃけそうだ」

 「はい、ピピー!

  次行くよ!

  アリスおねぇちゃん達が終わるまで優勝は決めないで!」

 「了解でーす」

 

 「しかし、この二人の後では後続の者など意味もなさないのであった……」

 「何勝手に終わらせようとしてるのよっ!」 スパンッ!

 「あ痛ッ!」

 

 ※本当に意味なさそうなので割愛 (割愛したのは『まかな』『シャンカー』『モンブラン』の三人)

 

 「……負けた……の?」orz

 「まさかアイドルが負けるなんて……」orz

 「まさか私の腕のせいでモンブランの美味しさを伝えきれないなんて……」orz

 

 「うーん、やはりあの二人の後では消化試合ですねぇ……」

 「何言ってるのよ、私がいるじゃない!」

 「姫のケーキか……久しぶりなだな……」(遠い目)

 「ふんっ!

  そんな顔してられるのも今のうちよ!」

 「ん?

  これ姫が作ったの?

  ずいぶん整ってるじゃん(いつもよりは)」

 「ふふん♪

  私だってやればできるのよ。

  さあ、遠慮しないで食べていいのよ」

 「じゃ、じゃあいただきます。

  ……う、うまい……だと……!」

 「うむ、なぜかわからんがうまい気がする」

 「なんだろう、危険な感じがするけど美味しい。

  ……うん、おいしいおいしい]

 

 「私もいただいてみましょう」パクッ

 「「「「私たちもー」」」」パクパクッ

 

 「おいしぃ!」

 

 「おいしい、おいs……あれ、なんだかだんだん暗く……」

 

 バタッ!

 

 「お、おい伊吹!

  大丈夫か!

  ……グッ! 俺もなんだか腹が痛くなって……」

 

 バタッ!

 

 「なんということだ……」

 

 バタッ!

 

 「……あれ?」

 「……アリス、何入れたの?」

 「あ、まかな。

  これにはまかなに教えてもらったアニメのDVD得点のお料理教室に出てきた秘密レシピっていうのを入れただけよ?

  なんでみんな倒れてるの?」

 「……あ、もしかしてそれって、『アホと試験と召喚師』って言うアニメじゃない?

  ……あれに出てくるレシピは大抵の場合、劇物だと思う。

  なに入れた……?」

 「……濃硫酸とクロロ酢酸と硝酸カリウム」 

 

 「…………救急車呼ばなきゃ」

 

 こうしてケーキ戦争は意外にして最悪な終わりを迎えたのだった。

 




 このあと三人がどうなったかは知らない。
 まあギャグ補正で生き返るでしょ。

 アリスの言ってたアニメは当然『バカとテストと召喚獣』です。

 次回は登場人物紹介。
 5日に更新目指します。
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