「ふぅむ。つまりあいつらは、夢を喰う獏みたいなモンで、今僕を喰うために襲っていたと。」
「『獏』ではなく『魄』です。」
「あーはいはい。そんなことも言ってたね・・・。」
傍から見ると、イタいというか、カワイソウというか・・・。そんな会話なのだが、既に目の前で起こっている出来事なので否定もできない。
「はい。そこで現れた第三の主人公!やがて彼は第一の使途を妬み、闇にその心を委ね、最大の敵になる・・・燃えてきますよ!この展開!燃えてきますよ!ねぇ!」
「んなワケないでしょうが・・・。」
否定してしまった。前言から開始五秒での撤回だ。
「じゃー、この世界の絡繰りはわかってきたところで・・・。自己紹介、してませんでしたよね?結構重要なんじゃないですか?」
正論だ。流石に敬語を不使用という縛りは慣れてきたものの、名前が分からないんじゃ同じくらいに話しにくい。いや、敬語を使わないのも今でも結構心苦しかったりするのだが。
「じゃー僕かr・・・・」
「私はですね!この世界に放り込まれし第二の使途、御影 凛です!」
余程この言い方にはまってしまったのか、僕の声を遮ってまで自己紹介をする御影。
「貴方はなんてゆーんですか?女子に先に名乗らせるのはマナー違反でしょう。」
「・・・。」
突っ込む気力もない。
「あー、えと、蓮人。井守 蓮人だ。」
「へー・・・。ダサい名前ですねぇ。」
「うっせぇよ。」
もっと他にも変わったとか珍しいとか言い方あったろうに。憤って立とうとした瞬間。
「おっと、危ないですよっと。」
素早い動きで放たれた矢が、僕の頬をかする。後ろでズブリ。と嫌な音がし、すぐに怪物の咆哮で打ち消された。
「無防備すぎですよー。もっと周りを見ないと。」
「あ、あぁ。ありがと。」
こちらは半腰もまま、表情も固まってしまった。
「ま、話はここまでにしましょうかね。これ以上は危険ですから。」
「あ、じゃぁ僕はどっかに隠れとくよ。」
「え?」
「は?」
先程の怒りに満ちたような声ではなく、本当に疑問に感じているような声。
「いやぁ、働いて貰わないと。ここに安全地帯なんて皆無ですし。」
「それにしたって・・・。武器ないんだぜ?素手で戦えってか?」
「あ、そうでしたねー。」
「おいおい・・・。」
なんなんだこいつは。どこか抜けてるというか・・・。あれだ。変人って奴。
一方、御影の方はうんうんと暫く頷いている。どうやら何か考えているようだ。
「そうでしたねー。いやー、忘れてました。そうか、じゃあ。
、、、、、、、
選んでください。」
そう言って腕を振るったかと思うと、御影の手元から、無数の――――。
本当に、多種多様の、さまざまな武器が、
、、、、、、、、 、、、、、
こちらに向かって、飛んできた。
「うわ!?うわわわわ!?」
さっきの矢のように、辺り一帯に武器が刺さる。慌てて避けながら捌くうちに、無事な右手が何かずっしりとした質量のものを掴んでいることに気付いた。
「あー、そーいや片腕ないんでしたねー。いやー、すみません。」
御影はこちらが怪我人ということを忘れていたようで、頭を掻きながらこちらに振り向いた。
「おろ?」
振り向く途中で動きが止まった。その視線の先は、僕の右腕だ。正確に言うと、僕が今掴んでいるモノ。
「あっれー?そんなの投げましたっけ?」
日本刀というか大太刀というか・・・。奇妙なその刀は、あまりにも普通に、僕の右手に存在していた。
お疲れ様でした。誤字やおかしい文などあれば引き続きご指摘お願いします。
※自己紹介のところでループしているとのことでしたので修正しました。他にもおかしい点がありましたらご指摘お願いします。