ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

楽しい楽しい、奴隷生活。いや、楽しくは無いか。

では、本編どうぞっ!



第百話 絶望! 奴隷生活

 

 途中で幾人もの奴隷達とすれ違い、アベルは彼等の顔を横目に通り過ぎて行った。

 奴隷達の殆どは皆一様に、瞳の奥の光が消えたように虚ろで、盲目的に労働に従事している。

 中には奴隷に成りたてなのか文句を云う者もいるが、そういう奴隷は【ムチおとこ】達に粛清され、段々と従順になっていった。

 

 

 ……皆で反乱したりは……、できないか……。

 

 

 アベルは何度か奴隷達に提案したこともあったが、最近ではそれも諦め、毎日岩を運ぶという作業を繰り返す。

 

 

「お水はいかが? 外の世界は魔物がウヨウヨ。でもここは安心よ。それもこれも教祖さまのおチカラなのね」

 

 

 階段を上がり切ると造りかけの壁の裏から女性が現れ声を掛けられる。

 アベルは「お水は結構です」と手を前に出してやんわり断り、建設中の神殿内を歩いた。

 

 

「教祖様……か。こんな強制労働を強いる教祖様……ね……」

 

 

 “強制労働!? 変なのっ! こんなのおかしいよっ! 何その教祖。頭おかしいんじゃないの!?”

 

 

 ……アリアだったら、こう言うんだろうな。

 

 

 アベルの脳裏に、腰に手を当てぷりぷりと怒るアリアの姿が浮かぶ。

 彼女には彼女なりの道徳心みたいなものがあって、そこから外れた者は誰であろうと怒っていたものな、とアベルは思い出していた。

 

 

 というのも、近頃アリアが夢によく出て来るのだ。

 

 

 夜、クタクタになって眠るとアリアが闇の中に突如現れ、始めはアベルに笑い掛けてくれるのだが……。

 

 そのアリアは途中で翼を堕とし、血だらけの姿でアベルを責めだす。

 

 

 

 

『痛い……、痛いよ……。アベルの所為だよ……。ぅっ、ぅぅ……』

 

 

 

 

 アリアは顔を両手で覆って俯き、泣きながらアベルに訴えるのだった。

 

 

 その度、アベルは「ごめん……。ごめんね……」と謝るが、夢の中のアリアは決して許してくれなかった。

 

 足元にはもがれ赤黒く染まった翼が落ちていて、もう元には戻らないことがわかって、見ていて辛い。

 

 

 少し青み掛かったアリアの美しい白い翼は、陽の光に触れると七色に輝いて見えることもあったというのに。

 触り心地も柔らかくて、サラふわでついずっと触っていたくなる翼だった。

 それが夢の中では堕ちて、アリアを泣かせていた。

 

 

 実際は夢の中ではなく現実で。

 翼の持ち主であるアリアすら、もう居ないのだが。

 

 

 

 

 まあ……許してくれるわけないよね……。

 

 

 

 

 アベルは下界が見える場所まで行くと深呼吸する。

 

 

「……はぁ……。僕も一緒に逝けたら良かったんだけどな……」

 

 

 アベルは建物の下を覆う、雲でよく見えない下界を見つめ溜息を吐いた。

 らしからぬ言葉だったが、ここに運ばれて間もない頃何もかもが嫌になり、アベルは何度か人生を捨てようとしている。

 

 

 どうせ、同じことが繰り返されてるだけだ。

 ……何の為に?

 

 

 そんな風にアベルはやさぐれていたのだった。

 

 

 父さんは助からなかった。

 偶然出会った少女も巻き込んでしまった。

 

 自分は奴隷になり、ここで一生暮らす。

 また(・・)が降りてこない限りはそうなのだろう。

 

 なら、もういいじゃないか。

 

 

 母のことが気にならないわけじゃないが、顔も憶えていない母のことより、何度も目の前で殺される父の姿を見せられ、アベルは絶望していた。

 

 

 僕が死ねば、もしかしたらまた(・・)始まるんじゃないか……?

 そうしたら、父さんとまた(・・)一緒に旅が出来る。

 

 アリアにだってもしかしたら会えるかもしれない。

 彼女がかつて云っていた、“前世”とやらがあるとしたら、それが今で。

 

 また(・・)始まれば気が付くかもしれない。

 

 

 ……そんなことさえ思う程に、アベルは追い詰められていたのだった。

 

 

 

 

 

「……けど、痛かったもんな……」

 

 

 アベルは自分の頬を撫でると、苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 ――十年前。

 

 

 ここに連れて来られて間もない頃――。

 アベルは毎日目を覚ますと、無気力に過ごしていた。

 

 

 リピートされる奴隷生活が嫌というよりは、父の死とアリアの死を受け入れるのが辛かった。

 

 ある時、もう全部終わらせてやると、僅かに支給される少ない食事を拒否したり、掘り出した尖った小石を何度も頭にぶつけたり、【ムチおとこ】にわざと打たれに行ったり。

 自棄を起こしそんなことを繰り返す日々。

 

 

 一緒に連れて来られたヘンリーも最初は黙って見ていたのだが、あまりにアベルが憐れに見えたのか、ある日ヘンリーが堪り兼ねてアベルの頬を思いっきり殴ったのだった。

 

 

「お前なあっ!! いつか止めると思って見てたけど、そんなことしたらお前の親父さんだってアリアだってどう思うよ!? オレが言えた立場じゃないのは分かってるけど、せっかく生きてるんだ、二人の分まで生きろ!! それが生き残った者の務めだろ!?」

 

 

 ヘンリーの瞳は涙を湛え、殴った拳は震えていた。

 

 

「…………、…………、…………、……本当、ヘンリーが言うことじゃないよね」

 

「なっ!? わ、悪かったなっ!! っ……そうだよ、オレの所為で……」

 

 

 アベルが口を尖らせるとヘンリーは謝罪する。

 

 ヘンリーの所為じゃないことはわかっていたが、この時はやさぐれ、尖っていたアベルはついヘンリーに当たってしまったのだった。

 

 けれども、これを機にアベルが自暴自棄になることは無くなった……、

 

 

 …………わけではなかった。

 

 

 時折感情の波が押し寄せるのか、鬱っぽい症状に見舞われる。

 その度にヘンリーに慰められ、時に殴られ正気を取り戻す……というのを幾度となく反復していた。

 

 その症状は数年前に完全になくなり、今のアベルは色々と達観して物事を見るようになっている。

 

 

 ここに来た頃は小さく頼りなかった身体も、十年の肉体労働で身体つきは見違える程立派になった。

 腕も脚も太くなり、お腹も引き締まり、背も随分伸びた。優しい瞳はそのまま、端正な顔立ちに。

 奴隷女性達から好意的な声を掛けられる程である。

 

 

 一言で言ってしまえば“大人になった”ということなのだ。

 

 

 身も、心も。

 

 

 

「……いつまで、ここに居ればいいんだろ……。ま、ヘンリーも一緒だから淋しくは無いか……」

 

 

 

 十年前から意識を戻すと、山の下から吹き上がって来る風がアベルの髪を掬って吹き抜けていく。

 そういえば、アリアの翼が起こした風はいい匂いがしたなと、懐かしく思った。

 

 

「ヘンリーもサボってるかな……?」

 

 

 アベルはヘンリーを捜すことにした。

 

 

「わっはっはっはっ。お前達ドレイは本当に幸せ者だな! 我が大教祖様の為に一生働けるのだからな!」

 

「……幸せ者……か……」

 

 

 ヘンリーを捜して歩いていると、見張りの兵士が悦に入りながら奴隷達を嗤っている。

 

 

 アベルは幸せって何なんだろう……と、考えながらその前を通り過ぎた。

 




アベルさん、何かに目覚めそうでイヤですwww
BLハカカナイヨ~。(嫌いではないがw)

いつか望み通りアリアにハイヒールで踏まれるといいなと思います。え

祝百話☆彡☆彡☆彡

ってもう!? いや、びっくりなんですけどーっ!!
気付けば百話(これ書いているのは3/25)。どうしてこうなった。

読んでいただいている方々本当にありがとうございます。
原作が素晴らしいので(ドラクエは神! な私にとってはどれも最高過ぎて手を出すには恐れ多すぎて二次が出来なかったという……!)、申し訳ない気持ちもありますが、

いや、楽し過ぎる。

妄想で暴走、そして迷走へ。
妄想炸裂しまくりでいいのかしらと暴走していますが、このまま突っ走って行きたいと思います。
もうどうにも止まりません。
伏線もあっちこっちに張り巡らしているので、回収していかねばですし。

今後、しばらくアベルsideの話になるかと思いまーす。

楽しんでいただけたら幸いです。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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