ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

夢の中のアリアさん。

では、本編どうぞっ!



第百三話 夢の中で

 

 

 

 

 

 アベル……。

 

 

 

 

 アベル……。

 

 

 

 

 

 真っ暗な暗闇の中で、アリアの声が聞こえる。

 

 

 ああ……また(・・)だ。

 

 

「アリア、ごめん。僕は……」

 

 

 アベルが声を発すると闇の中に白くぼぅっと、アリアの姿が現れた。

 十年前に別れた小さな天使の姿で。

 

 

「アベル。私ね、こことは違う世界から来たんだよ」

 

 

 アリアは朗らかに笑って、アベルを見つめる。

 アベルも小さな少年の姿のまま、アリアと向かい合っていた。

 

 

「……知ってるよ」

 

「……アベルは私に何を期待していたの?」

 

 

 アリアは首を傾げ訊ねてくる。

 

 

「何も……」

 

「ウソ。未来が変わるとでも思った?」

 

「っ……」

 

「何度も何度も何度も何度も何度も……――何度も何度も……――何度も何度も……繰り返して来たのに、変わったことなど一度もなかったでしょう?」

 

 

 アリアの口角が上がるが、その瞳は冷ややかだった。

 アベルを責めるような冷たいアメジストの眼。

 

 

「ぅぅっ……!」

 

 

 アベルの瞳にじわりと涙を浮かぶ。

 

 

「……この世界はそう(・・)決まっているの。運命は変えられないのよ、アベル」

 

「っ、アリアならっ!! 僕は君なら変えられると思ったんだっ!! だからっ!」

 

 

 アベルはアリアの肩を掴んで訴えた。

 

 

「だから私に縋ったの? 私をあちこち連れ回して、私の未来を奪って……?」

 

「違うっ! 僕は君のことをっ!! …………ぅぅっ!!!!」

 

 

 そんなつもりじゃなかった。

 アリアと居ると楽しかったから……!

 

 

 そう言おうとすると、突然アリアの翼が“ぼとり”と落ちる。

 するとアリアは血だらけの姿で顔を覆って泣き始めてしまった。

 

 

「うっ、うっ……。……痛い。背中が痛いよ、アベル。もう、飛べない……。私、自分が何者かもわからないまま、消えていくの」

 

「…………っ、ごめん……、僕は……」

 

 

 ああ、どうしたらいいんだろう。

 

 

 アベルはどうしたらいいかわからず、オロオロしてしまう。

 

 

 

(……そろそろ、ヘンリーに起こされる頃かな……。いつもここで起こされてるもんな)

 

 

 

 なんて、

 

 

 

 アベルは夢の中なのに意識があることに気が付く。

 アベルは“はっ”としてアリアの手を取り告げる。

 

 

「っ! アリアっ、ごめん。僕は、君のことが好きだったわけじゃなかった……!」

 

 

 声を発すると、目の前のアリアが随分と小さく感じた。

 

 アベルはいつの間にかアリアを見下ろしていて、アリアの手は小さくて自分の手の半分以下で……。

 ……アリアは小さいままだったが、アベルは大人の姿で。

 

 大きくなっていたのだった。

 

 

「…………うん、そうだよ。アベルは怯えてただけ。怖かったんだよね? 私が居ても変わらない未来に目を背けたくて、私に縋りついていただけ」

 

 

 アリアがアベルを見上げて、目を細める。

 いつの間にか翼は元には戻らなかったが、アリアの姿は真っ白なワンピース姿に戻っていた。

 いつもの優しい柔和な笑顔がアベルを見つめている。

 

 

「……ああ、うん。僕は、僕の我儘で君を引き留めてしまったんだ。君が何も知らないで楽しそうにしているのを見るのが嬉しかった…………けど……、本当は…………、少し腹立たしかったんだ」

 

「……でも、あの時。私を巻き込まないように置いて行ってくれた」

 

「っ、君が死ぬのは違うと思ったから……」

 

 

 アリアがにこにこと微笑むので、アベルは後ろ頭を掻いた。

 

 

「ふふっ、ありがとね。アベルは優しい人だね」

 

 

 アリアは眩しそうにアベルを見上げる。

 

 

「……優しくなんかないよ。結局、君を死なせてしまったし……」

 

「……ふふっ、これからどうするの? 一人で大丈夫?」

 

 

 小さな少女に窺うように見つめられて、アベルは急に恥ずかしくなった。

 

 

「っ、僕はもう、子供じゃないんだ。君が居なくても、大丈夫だよ」

 

「そっか、それなら良かった。……うん」

 

 

 アリアはアベルの身体を、足の先から頭の先までじっと熟視していく。

 

 

「ん?」

 

「アベル頼もしくなったね。なら、もういいよね」

 

「え?」

 

「…………アベル、もうこんな風に自分を責めなくていい(・・・・・・・・・・)んだよ。自分で自分をイジメちゃダメ」

 

 

 アリアはアベルの手を放し、後ろに後退った。

 

 

「アリア」

 

「ほら、笑顔笑顔っ! 笑ってこ~! 笑う門には福来るってね! じゃあ、私行くね!」

 

 

 アベルが引き留めようと手を伸ばすと、アリアが自分の両頬を人差し指で押して満面の笑みを浮かべる。

 

 

「ど、どこへ……」

 

「ふふっ、ナイショ! あ、そうそう、ホウレンソウはしっかりねっ! これ大事っ! テストに出るよっ!」

 

 

 戸惑うアベルを余所に、アリアは片手を振った。

 

 すると、アリアの姿がどんどんと遠ざかって行く。

 

 

「っ、アリアっ!!」

 

 

 アベルは彼女の名を呼んだが、アリアは遠ざかって行くばかりで、終には消えてしまった。

 そうして、アベルは暗闇に一人残される。

 

 

 ……僕は、アリアのことが好きだったわけじゃなかった。

 

 

 ただ、縋りたかった。

 

 

 繰り返される世界で、やっと見つけた初めて(・・・)に一縷の望みをかけただけだった。

 

 

 それはただの執着だったのかもしれない。

 

 

 でも。

 

 

 アリアは可愛くて、温かくて。

 歳が一つしか離れてないのにお母さんのような、お姉さんのような……それでいて、妹のような不思議な存在だった。

 

 

 だから僕も安心して……甘えたんだと思う。

 

 

 

 

 ごめん、アリア。

 

 

 

 

 また(・・)ってこと、人生を繰り返しているってこと、もっと早く相談していたら未来は変わったのかな……?

 

 

 この先、きっとまた(・・)だって気付いて厭になったりもするだろうけど……。

 

 

 

 

 

 僕はもう少し強くなろうと思う。

 




青年期に入り、アベルさん、性格が結構変わったなぁと思います。
ヘンリー君も。

改めてドラクエVってすごいよなぁ……。大好きだ!

さて、夢の中のアリアさんは本物のアリアさんなのでしょうかね。
ってなわけでアベルさんの夢の中をお送りしました。
これにてアベルさん鬱完治……かな……かな。

一応、ここで恋(?)にリセット掛けまーす。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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