夢の中のアリアさん。
では、本編どうぞっ!
◇
アベル……。
アベル……。
真っ暗な暗闇の中で、アリアの声が聞こえる。
ああ……
「アリア、ごめん。僕は……」
アベルが声を発すると闇の中に白くぼぅっと、アリアの姿が現れた。
十年前に別れた小さな天使の姿で。
「アベル。私ね、こことは違う世界から来たんだよ」
アリアは朗らかに笑って、アベルを見つめる。
アベルも小さな少年の姿のまま、アリアと向かい合っていた。
「……知ってるよ」
「……アベルは私に何を期待していたの?」
アリアは首を傾げ訊ねてくる。
「何も……」
「ウソ。未来が変わるとでも思った?」
「っ……」
「何度も何度も何度も何度も何度も……――何度も何度も……――何度も何度も……繰り返して来たのに、変わったことなど一度もなかったでしょう?」
アリアの口角が上がるが、その瞳は冷ややかだった。
アベルを責めるような冷たいアメジストの眼。
「ぅぅっ……!」
アベルの瞳にじわりと涙を浮かぶ。
「……この世界は
「っ、アリアならっ!! 僕は君なら変えられると思ったんだっ!! だからっ!」
アベルはアリアの肩を掴んで訴えた。
「だから私に縋ったの? 私をあちこち連れ回して、私の未来を奪って……?」
「違うっ! 僕は君のことをっ!! …………ぅぅっ!!!!」
そんなつもりじゃなかった。
アリアと居ると楽しかったから……!
そう言おうとすると、突然アリアの翼が“ぼとり”と落ちる。
するとアリアは血だらけの姿で顔を覆って泣き始めてしまった。
「うっ、うっ……。……痛い。背中が痛いよ、アベル。もう、飛べない……。私、自分が何者かもわからないまま、消えていくの」
「…………っ、ごめん……、僕は……」
ああ、どうしたらいいんだろう。
アベルはどうしたらいいかわからず、オロオロしてしまう。
(……そろそろ、ヘンリーに起こされる頃かな……。いつもここで起こされてるもんな)
なんて、
アベルは夢の中なのに意識があることに気が付く。
アベルは“はっ”としてアリアの手を取り告げる。
「っ! アリアっ、ごめん。僕は、君のことが好きだったわけじゃなかった……!」
声を発すると、目の前のアリアが随分と小さく感じた。
アベルはいつの間にかアリアを見下ろしていて、アリアの手は小さくて自分の手の半分以下で……。
……アリアは小さいままだったが、アベルは大人の姿で。
大きくなっていたのだった。
「…………うん、そうだよ。アベルは怯えてただけ。怖かったんだよね? 私が居ても変わらない未来に目を背けたくて、私に縋りついていただけ」
アリアがアベルを見上げて、目を細める。
いつの間にか翼は元には戻らなかったが、アリアの姿は真っ白なワンピース姿に戻っていた。
いつもの優しい柔和な笑顔がアベルを見つめている。
「……ああ、うん。僕は、僕の我儘で君を引き留めてしまったんだ。君が何も知らないで楽しそうにしているのを見るのが嬉しかった…………けど……、本当は…………、少し腹立たしかったんだ」
「……でも、あの時。私を巻き込まないように置いて行ってくれた」
「っ、君が死ぬのは違うと思ったから……」
アリアがにこにこと微笑むので、アベルは後ろ頭を掻いた。
「ふふっ、ありがとね。アベルは優しい人だね」
アリアは眩しそうにアベルを見上げる。
「……優しくなんかないよ。結局、君を死なせてしまったし……」
「……ふふっ、これからどうするの? 一人で大丈夫?」
小さな少女に窺うように見つめられて、アベルは急に恥ずかしくなった。
「っ、僕はもう、子供じゃないんだ。君が居なくても、大丈夫だよ」
「そっか、それなら良かった。……うん」
アリアはアベルの身体を、足の先から頭の先までじっと熟視していく。
「ん?」
「アベル頼もしくなったね。なら、もういいよね」
「え?」
「…………アベル、もうこんな風に
アリアはアベルの手を放し、後ろに後退った。
「アリア」
「ほら、笑顔笑顔っ! 笑ってこ~! 笑う門には福来るってね! じゃあ、私行くね!」
アベルが引き留めようと手を伸ばすと、アリアが自分の両頬を人差し指で押して満面の笑みを浮かべる。
「ど、どこへ……」
「ふふっ、ナイショ! あ、そうそう、ホウレンソウはしっかりねっ! これ大事っ! テストに出るよっ!」
戸惑うアベルを余所に、アリアは片手を振った。
すると、アリアの姿がどんどんと遠ざかって行く。
「っ、アリアっ!!」
アベルは彼女の名を呼んだが、アリアは遠ざかって行くばかりで、終には消えてしまった。
そうして、アベルは暗闇に一人残される。
……僕は、アリアのことが好きだったわけじゃなかった。
ただ、縋りたかった。
繰り返される世界で、やっと見つけた
それはただの執着だったのかもしれない。
でも。
アリアは可愛くて、温かくて。
歳が一つしか離れてないのにお母さんのような、お姉さんのような……それでいて、妹のような不思議な存在だった。
だから僕も安心して……甘えたんだと思う。
ごめん、アリア。
この先、きっと
僕はもう少し強くなろうと思う。
青年期に入り、アベルさん、性格が結構変わったなぁと思います。
ヘンリー君も。
改めてドラクエVってすごいよなぁ……。大好きだ!
さて、夢の中のアリアさんは本物のアリアさんなのでしょうかね。
ってなわけでアベルさんの夢の中をお送りしました。
これにてアベルさん鬱完治……かな……かな。
一応、ここで恋(?)にリセット掛けまーす。
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