ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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ども、はすみくです。

だいじゅーわです。

デートは続きます。

では、本編どうぞっ!



第十話 レベルアップ

 

「……っ、アリア……?」

 

 

 アリアに見つめられ、アベルは照れたように彼女を窺う。

 

 

「アベルはすごいね」

 

 

 不意にアリアは目を細めてアベルを見つめ、褒めた。

 

 

「へ?」

 

「……モンスター、怖くなかった?」

 

「……怖くは無いよ……? 父さん強いし……」

 

「そっか。お母さんが見つかるまで旅は続くのかな?」

 

「……うん。多分」

 

 

 アリアの質問にアベルは素直に頷く。

 

 

「……そっか。それは大変だ」

 

「うん……、けど僕、泣いたりしないよ?」

 

「そっかぁ~! エライエライ! アベルは偉いねっ」

 

 

 アリアは不意に幼い子を労うようにアベルを抱きしめた。

 

 

「……っ……、アリアって……お母さんみたいだ」

 

「お母さん?(ふふっ、お母さんではないけど、年齢的にはそうかも……?)」

 

「……うん、お母さんがどういう人なのかは僕知らないけど……、こんな感じなのかなぁ……」

 

 

 ぎゅっ。

 

 と、アベルはアリアを抱きしめ返してくる。

 

 

「……あ」

 

 

 はた、とアリアはアベルの肩を引き剥がした。

 

 

「……ん?」

 

「……私、今七歳だからお母さんじゃないよ」

 

「あ、そうだね。じゃあ、お姉さん……?」

 

「お姉さん……、……うん、しっくりくるね。けど、さっきの戦闘で思ったけど、アベルの方が強いし、頼もしいからお姉さんて呼べない気がする……?」

 

 

 アリアは気まずそうに頬をかりかりと人差し指で掻く。

 

 

「え……? ……あははっ! 確かにっ! ふふふっ。あはははっ」

 

 

 アベルは腹を抱えて笑い出す。

 

 

「あっ、ちょっとアベル、笑い過ぎだよっ?」

 

「はははっ! だって、アリアさっきスライムに狙われた時、尻餅ついて避けようともしないんだもん! ちょっと鈍臭いよねっ」

 

「っ、それはだって! 私が狙われてるとは思ってなかったから……!」

 

「え……?」

 

 

 アリアの言葉にアベルは笑うのを止める。

 

 

「私の姿って、見えないんでしょ?」

 

「……っ、あっ!」

 

 

 アベルははっと目を見開いた。

 

 

「ん?」

 

「……モンスターはアリアのこと見えてたよ!」

 

「ええっ!?」

 

「こうしちゃいられない。早くおじさん助けて洞窟を出よう」

 

 

 アベルはアリアの手首を引いて、洞窟の奥へと向かった。

 

 そうして、道中何度かモンスターと遭遇し、戦うことになったのだが、アベルの言うように一部のモンスターからアリアの姿は見えるらしく、彼女が狙われることが何度かあったのだ。

 そして、ダメージも僅かだが、受けてしまっていた。

 

 

「……ね、今のモンスター私のこと見えてなかったみたい」

 

 

 モンスターとの戦いを終えて、先程の戦闘を振り返る。

 戦闘中、【せみもぐら】や【おおきづち】がアリアの目前まで迫るが、狙いの本命はアベルだったらしい。

 アベルがその攻撃を軽やかに避けるとモンスターは、アリアの前へと躍り出たのだが、彼女のことは見えない様子で体勢を整え再び彼へと向かっていったのだ。

 

 

「うん、良かった……。さっきはちょっと危なかったよ? 見えてたら大怪我してた」

 

「……アベルは余裕そうだったけど……?」

 

「僕じゃなくて、アリアがだよっ!」

 

 

 アベルは急に不機嫌な顔で怒鳴る。

 

 

「え……?(優しいアベルが……、ど、怒鳴った……!?)」

 

「ああいう時は避けなきゃダメだよ! 死んだらどうするの!?」

 

「っ、ごめんなさい……。さっきのモンスター、アベルばっかり狙ってるから私が見えないのかなって思ってた……」

 

「そんなことわかんないでしょ!? アリアが怪我したらと思うとゾッとするよ!」

 

「……アベル……。ごめんね。私戦闘に慣れてなくて……(モンスターと命懸けで戦うなんて、私の日常には無かったんだよ……、モンスタークレーマーはいたけども……)」

 

 

 不機嫌に口を尖らせるアベルにアリアは謝罪した。

 

 

「……うん、わかる」

 

「へ……?」

 

「アリア、今までモンスターと遭遇したこと無い人だよね?」

 

「え、あ、うん。そうですけど……? ってどうして?」

 

「僕も始めは動けなかったから。スライム一匹ですら怖くてぼーっと立ってた」

 

「…………あ、今の私と一緒……」

 

「うん、そう。結局お父さんが倒してくれたけど、その時、お父さんはしなくていい怪我をしちゃったんだ」

 

 

 アベルは俯いてしまう。

 

 

「あ……、アベル怪我は無い……?」

 

 

 アリアは俯くアベルの身体を注意深く見て訊ねた。

 すると、アベルは顔を上げてアリアの片手を両手で握る。

 

 

「……僕は大丈夫。でもねアリア。僕は強いけど、お父さん程強くはないんだ。だから君に怪我をして欲しくないし、護るつもりでいるけど、君が自分でも身を守ってくれないと、怪我させちゃうことだってあるかも知れないんだ」

 

 

 そして、真摯な態度でアベルはアリアに告げていた。

 

 

「…………、……うん、そう……だね。まだちょっと思考が追い付かなくて……。けど次の戦闘はちゃんと避けるようにするね」

 

「……うん、僕が冒険に連れ出しちゃったからアリアにはちょっと悪いけど、そうしてもらえると僕も動きやすいかな」

 

「……ん、わかった。頑張るよ」

 

 

 アリアの返事にアベルは嬉しそうに目を細めて笑う。

 アリアも釣られて目を細めた。

 

 

 そして、突如アリアの頭の中にチャララララッチャッチャーン♪ とレベルアップのSEが流れる。

 

 

 この子笑顔が可愛いなぁ……。子供なのに強いし。

 ……ていうか私、今レベル上がった……?

 

 

 戦闘が終わるとアリアの身体が、少し逞しくなった気がした。

 

 

「あっ、僕今、ちょっと強くなったかも! アリアもじゃない?」

 

「あっ、そう? 私も今そうかと思ったの!(頭の中に流れるんだー! すごーい! アベルの頭の中にも流れてるのかな……?)」

 

 

 アベルに云われてアリアは自分の手の平を見下ろした。

 

 

 ――うん、なんだか力が上がったみたい。

 

 

「良かった。これなら少し安心だ。これ薬草、使って」

 

「あ、う、うん……ありがとう」

 

 

 アベルに薬草を渡され、噛み砕くと失われた体力が戻って来た。

 

 

 ……うーん……、私まだ怪我全然してないのに、アベルはどうして薬草をくれたのかな……。

 

 私ならギリギリまで薬草使わないけどなぁ……。

 まずは呪文で回復して、MPが足りなくなったら薬草……、よね。

 HPが0になったら不味いし。

 

 いや、でもMP温存も大事か……。

 

 プレイスタイルの違いかな?

 

 

 なんて思うが、そもそも、今そのゲーム内にいるわけで、リアル体験中なのである。

 アリアは疑問に思いながらも前を歩くアベルについて行った。

 

 

 

 というか、薬草は使えるんだなぁ。

 

 

 

 などとアリアは不思議に思った。

 




レベルアップというタイトルではありますが、数字で表現はしていません。
なんとなーく、ない方がいいかなと思って。

なので、アベルは常に攻略可能レベル+2くらいっていうくらいに思ってもらえればいいかな(慎重派の為、地道に鍛えていたりします)。
余裕を持って旅したいのですw
自分で「僕強いから」って、言っちゃうアベルが可愛くて好きです。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!


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