再会~~~???
では本編どぞー。
どれくらい眠っていたのだろうか、アベルの目蓋がゆっくりと開く。
「……ぅ……。う、ん……?」
眩しい……。
…………ん? 誰か傍に居る……?
アベルは焦点が合わない目を瞬かせ、傍らに腰掛け自分を覗き込む女性を見上げた。
ぼーっとその女性を見ていると、次第に焦点が合って来る。
その女性は年若く、アベルと同程度。
白金の滑らかな腰まである細く長い髪に……、大きな紫の愛らしい瞳は神秘的に見える。長い睫毛が瞬きする度その瞳は潤い、目の前のアベルをその中に映していた。
真っ白に透き通り瑞々しく、陶器のようなその肌はつい触れたくなる程にきめ細かい。
頬は薄っすら色付き、唇は健康的な桃色でふっくらとしていて艶があり、色っぽく見える。
視線を身体へと移してみれば、服はごく普通の町の人が着るような質素な白シャツに無地の紫のフレアロングスカート。
そんな服を着ているというのに、上等なものに見えるのは美人故の僻目なのだろうか。
腕も脚も細く、腰も括れて女性らしい身体つき、……胸元は白シャツが少し窮屈そうに、ボタンが引っ張られて第二ボタンと第三ボタンの間がたわんでいた。
一言で言ってしまえば、絶世の美女……。
奴隷達の間にも可愛らしい娘は何人か居たが、見た事のない美貌としなやかな肢体。
彫像にでもしたら、価値が付けられない程高値がつきそうだ。
人間とは思えない……。
天使か女神か。
でも、この顔……誰かに似てないか……?
「ぁ……、……気が付かれました? 今、シスターをお呼びしますね……」
女性の魅惑的な唇が動いて、穏やかで澄んだ天使の美声が聞こえた。
声まで麗しい。
その声にアベルは固まってしまう。
「え……、ぁ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。
声も……聞いたことがある気がするけど……
え、誰…………、この…………。
綺麗な人、は………………………?
カーンッ……カーンッ……、
――……アベルの耳の奥深く、いや、遥か彼方で教会の鐘の音が鳴った……ような気がした。
「ぁの……?」
女性が首を傾げ、アベルを窺う。
「………………っ……!!!!」
すると、アベルの顔が真っ赤に染まった。
思わず手を突いたベッドが軋んでギッと音が鳴る。
「ぇっと…………、とにかくシスターを連れて来ますね」
「ぁっ……!」
アベルの反応に戸惑いつつも、女性は部屋を出ていってしまった。
今のは……一体誰なんだ……?
一目見て……、言葉が出なかった……。
「……今のは……」
……それから少しして。
ガチャ。と扉が開き、シスターを引き連れ先程の女性が手に【ふくろ】を持って戻って来る。
◇
「……まあ、よかった! 気がつかれましたのね! もう五日も眠ったままでこのまま起きないのではと心配していましたのよ。しかし、タルの中に入っていたのにはびっくりしましたわ。お連れの人から聞いたのですが、とんでもない所から逃げていらしたとか……ここは、名もない海辺の修道院。どうか、元気になるまでゆっくりしていって下さいね」
シスターが椅子に腰掛けアベルの状態を看ながら話す間、アベルはシスターの後ろに立っている女性をちらちらと見ていた。
「…………?」
アベルの視線に女性は不思議そうな顔で目を瞬かせている。
彼女が瞬く度、長い睫毛が揺れてキラキラと光っているようにアベルからは見えた。
「そうですわ。その服はあなたが持っていた荷物にはいっていたものです。前の服はあまりにボロボロでしたから、こちらにいるアリアさんと、着替えさせてもらいましたのよ。ぽっ……」
シスターが背後に立つ女性を紹介すると、頬に両手を添え恥ずかしそうに目を伏せる。
「え」
今、何て?
アベルはシスターの背後に立つ、女性を見上げる。
「ぁ……えと……。お手伝いさせて頂きました…………。あの……、アベルさんが、眠っている間、私の名前を何度も呼ばれるので……」
“アリア”と呼ばれた女性の頬がほんのりと赤く色付き、「これあなたの荷物です……」と【ふくろ】をアベルに渡してくれた。
「っ、あ、ア、リ、ア…………? アリアだって…………っ!!??」
アベルは驚きに目を見開き、息を詰まらせる。
「ぇ……、あ、はい。私はアリアと申します。こちらでお世話になっている者です。何か必要なものがありましたら仰って下さいね」
アリアはフレアスカートを両手でちょこんと掴み、膝を軽く曲げ貴族のご令嬢のようなお辞儀し名乗ると、「では、私はこれで……」と部屋を出ていこうとしていた。
「……アリアさんは訳有って、こちらで生活しているんですのよ。ああ見えて、数々の呪文が使える頼もしいお嬢さんなのですわ」
シスターがアリアの背中を見つめながら、ほっとしたような面持ちで目を細める。
「っ……!!」
ガバッ!
と、アベルは布団を剥がして立ち上がると、部屋の扉を開けようとしているアリアに近づいた。
その後ろで、シスターが「アベルさんっ!?」と驚きの声を上げる。
「っっ!!??(アベルさんっ!!??)」
アリアは目を丸くし固まってしまう。
気付けばアベルはアリアを背後から抱きしめていたのだった。
アリアの掴んだノブがくるりと回り、扉がゆっくりと開いていく。
その先には見知った人物が立っているのだが……、
「……アリアっ……! 生きて……。生きていたんだね…………!!!!」
翼はないけど……、君だ……!
道理で見たことがあると……!!
アベルは無我夢中で彼女の首筋に顔を埋め、自らの胸の中にアリアを閉じ込めるように抱きしめる腕に力を込めた。
「っ、ぁっ、ぁのっ……っ!?」
えっ? えっ? 何っ!!??
アリアは驚き戸惑う。
自分の首元にアベルの顔が埋まっているではないか。
急に抱きしめられ、アリアはパニックに陥ってしまった。
「僕は……あれから……」
「んっ……。ぁ、あのっ……い、息が……(耳にっ!)」
アリアの耳元で声変わりしたアベルの低音が響く。
アベルの吐息が耳に掛かるのが擽ったいのかアリアは身を捩った。
と。
キィィィ……。
開いた扉の先ではヘンリーが腕を組み、ジト目で二人を見ていたのだった。
「…………早速かよ」
ヘンリーがぼそりと呟く。
「ん……? あっ! ヘンリー!!」
アベルはヘンリーの存在に気付き、ハッとして顔を上げた。
「っ……は、放して下さいっ……!」
「えっ、……あっ! ご、ごめんっ!!」
アベルが顔を上げたと同時アリアが身体を強張らせ、か細い声を上げるのでアベルは慌てて離れる。
アベルが離れると、アリアは顔を真っ赤にして……、
「わ、私、お仕事が残っていますので、これで……っ!」
アリアは逃げるように走って行ってしまった。
「え……、あ、アリア……?」
あ、……あれ?
何か……、反応が……。
思っていた反応と違う…………?
彼女はいつも、笑って……僕の名前を呼んでくれて……。
アベルはアリアの様子がおかしいことに気付き、目の前に居るヘンリーを見つめる。
すると、ヘンリーは深刻そうな顔で黙って頷いたかと思うと、気を取り直して鼻から息をフーッと吹き出した。
「やあアベル! やっと気がついたなっ。へえ、ちゃんと着替えたのか? そういやお前は荷物を持っていたもんな。オレなんか、まだドレイの格好のままだぜ。まっ、いいけどね。それはそうと、マリアさんがこの修道院の洗礼式を受けるらしいぞ。お前は目が覚めたばかりで、いまいちピンとこないだろうけど、まあとにかく出席しようぜ」
「っ、ヘンリー……!」
「……アリアのことは後で話してやるから、とりあえず行こうぜ」
アベルは目で訴えるが、ヘンリーは「まあまあ」とアベルの肩を叩いたのだった。
アリアさん、盛に盛ってしまいました。
美少女から美女へと成長。
これは、お母さんが美人だったのでしょうがないのです……。
おっぱい描写あんま書かなかったけど、かなり大きいヨ!(ここで補足してどうすんのってねw)
大きなお胸が大好きなのです……。
外伝でこの辺多分書くと思う……。
リンゴーン、リンゴーン。何www
外伝書くとしたら本編終わってからなので、一年後くらいかと(汗)
そこまで頑張れるかな……? 頑張るよ……、イケルイケル。
何たってアベルとアリアで別世界に行く話まで妄想してるもの。
とりあえず最後まで突っ走ります!
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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございましたっ!