ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

パン……。

では、本編どぞ。



第百二十三話 パンの味

 

 このパンと似た味を、僕は知っている……。

 

 サンチョが作ってくれた、パン……。

 

 サンチョの作ったものよりちょっとパサついてるけど……、でも似てる。

 アリア、再現しようとした……のかな……。

 

 

 そういえば、さっき“何かが違う”とか何とか云ってたなと、アベルは思い出す。

 

 

「……違う、とは……?」

 

「おいしいよ、とても。これに似たパンを昔、食べたことがあるんだ」

 

 

 首を傾げるアリアにアベルは顔を綻ばせた。

 

 

「まあ! そうなのですか!?」

 

「あれはもっと、ふっくらしっとりしてて、こんなにパサついてはいなかったかなぁ……(こっちの方が僕は好きだな……ソースに合わせやすいし)」

 

 

 何気なく、アベルは云うのだが。

 

 

「あっ…………、………………………………っ、ごめんなさい」

 

 

 アリアは瞳を揺らし、俯いてしまう。

 

 

「え…………?」

 

「っ、そのっ……、ふっくらしっとりって難しくって…………」

 

 

 ごめんなさい……。とアリアは黙り込んでしまった。

 

 

「え、僕今何か……」

 

 

 急に落ち込んだアリアにアベルは何か言ったっけ? と俯いた彼女に手を伸ばした。

 すると、アリアがスッと、身を避けるように身体を引く。

 

 

「っ……!? あ、アリア、……さん?」

 

 

 アベルの手が空を切り拒絶されたとチクリ……。胸が痛んだ。

 そうしてアリアは立ち上がって、アベルから距離を取る。

 

 

「っ、ご、ごめんなさい……、修業が足りなかったみたいで……」

 

「修行って何の……?」

 

 

 何で急に避けられたんだ……!?

 僕、何か余計なことを……!!??

 

 

 アベルの頬に冷や汗が零れ落ちる。

 すると、カチャリと扉が開いて……、

 

 

「何のって……お前なぁ……、アリアのパンにケチ付けといて何言ってんだよ……」

 

 

 ヘンリーが部屋に入って来たのだった。

 

 

 いい雰囲気になるかと思って待っててやったのに、アベルの奴何言ってんだよ……。

 

 

「えっ、ケチ!? 僕、何か言ったっけ!?」

 

 

 ヘンリーの言葉にアベルは目を見開く。

 

 

「“こんなにパサついてはいなかった”だっけ? 明らかにケチ付けてると思われるが? オレは聞いていたぞ!」

 

「ぇ…………っっ!? ち、違うんだっ、僕はそんなつもりで言ったわけじゃ!!」

 

 

 アベルは誤解だとアリアを見上げるのだが、アリアはというと、

 

 

「いえ、いいんですいいんです。私の修業が足らないだけなので……っ!」

 

 

 両手をフリフリ振りながら、若干涙目で笑っていた。

 

 

「ぅっ、ご、誤解だって! ……アリアっ!!」

 

「っ……だ、大丈夫ですっ! 私も何か違うな~って思ってましたからっ!!」

 

 

 あはっ……アベルさんて鋭いですね! と、アリアは部屋を出て行こうとする。

 ヘンリーは黙ったまま二人のやり取りを見ていた。

 

 

「だから違うんだって!! 僕はこっちのパンの方が好きで……!!」

 

 

 “精進しますねっ!”

 

 

 アベルの言い訳など聞かずに、一言残してアリアは部屋を出て行ってしまった。

 

 

「……ああ……!(アリアぁあああ!!)」

 

「………………………………プッ」

 

 

 扉に腕を伸ばすアベルに、ヘンリーは吹き出す。

 

 

「ヘンリー! 笑い事じゃないだろっ!! 彼女が行っちゃったじゃないか!」

 

「はっはっはっ! ……いや、だっておまっ、くくくっ、あれじゃアリアのことディスってるだけじゃん。もっと言い方考えろよ……! あははははっ!!」

 

 

 涙目のアベルにヘンリーは堪えきれずに腹を抱えて笑い出してしまった。

 

 

「ぅ……、しょうがないだろ……、つい口から出ちゃったんだから……。というか僕はこっちのパンの方が好きだ! ……なのに…………」

 

 

 アベルはガツガツと丸パンをあっという間に平らげる。

 おかわりしたいくらいだ! と口内の水分が奪われ黙り込んだ。

 

 

「ならそう言ってやれば良かったのに。さっきの言い方じゃ、アリアのパンは美味しくないって言ってるようなもんだろ。くくくっ……!! 」

 

「ヘンリー……!」

 

「アリアはパン作りが好きみたいだぞ? 好きなもの否定されたみたいなもんだ。そりゃ逃げ出したくもなるさ」

 

「っ……」

 

「謝るなら、今夜だな?」

 

 

 お前って、結構不器用だよな……。とヘンリーは生暖かい目でアベルを見下ろしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事を終えて皆が就寝した頃、ポッシスがアベルとヘンリーの部屋を訪れ、【特別室】へどうぞと言付を伝えてくれるので、二人は【特別室】へと向かう。

 ポッシスは言付を伝えた後、他の皆が眠る部屋へと下がって行った。

 

 

「はぁ……」

 

 

 アベルは肩を落とし、溜息を吐いている。

 

 

「そんなに落ち込むなって! アリアなら笑って許してくれるって!」

 

「許すとかそういうことじゃないと思う……、気付かなかったとはいえ、僕が傷付けてしまったんだし……」

 

 

 どう切り出せば……と、アベルは考え眉間に皺を寄せた。

 

 

「いやあの子……、あんまり気にしてないと思うけどな」

 

「え……?」

 

「何か、あの子さ……、昔から切り替えが早いっていうかさ……前向きじゃん? 記憶はないけど、そういう気質は変わってない気がすんだよな」

 

「あ……ぁあ……、そう……なのかな……」

 

 

 ヘンリーの言葉に、そういえば彼女に花を贈ったことも、彼女に触れたことも、その後で会った時あまり引き摺ってる感じはしなかったなと、思い起こす。

 

 

 ……意識されてないんだろうか……。……って、意識ってなんだ!?

 

 

 アベルは頭を左右に振って瞳を瞬かせた。

 

 

「ま、ともかくマザーに話を訊こうか。アリアのこと、気になってるんだろ? せっかくだからこの際、疑問に思ってること全部訊いておこうぜ」

 

「……ああ」

 

 

 二人の目の前に【特別室】の扉が現れる。

 二人は扉をノックしてから中へと入るのだった。

 




修道院から中々進みませんねぇ。
そろそろ動き出したいかな。

スミマセン、もうちょっと掛かります。

サンチョ~~!!
サンチョに会いたい……。グランバニアは遠いなぁ……。

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