ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

じゅーにわ。

同衾翌日、どきどきの目覚めです!

では、本編どうぞ!



第十二話 アルカパへの誘い

 

◇

 

 

 

 

 ――朝。

 

 

 チチチ、ピチチ……。

 

 小鳥のさえずる声が窓の外から聞こえて来る。

 頬に温かな光が差して、アベルの肩に何かが触れた。

 

 

「……ベル、アベル。起きて。お父さんもう起きてるみたいだよ?」

 

「……んん……?(……もう朝かぁ……)」

 

 

 アベルが目を擦りながら身体を起こすと、アリアがベッドの縁に座って優し気な笑みで覗き込んでいた。

 

 

「おはよう、アベル。今日もいいお天気だよ」

 

 

 アリアはアベルに一声掛けて立ち上がり、窓へと近づいて外を見上げる。

 ……空は澄んだ青色で、雲一つない。窓から差し込む光がアリアの翼を照らした。

 

 

「……ぁ。アリア……」

 

 

 ――そうだ、昨日、彼女と出会って……、夢じゃなかった……。

 

 

 アベルは目を見開く。

 

 

「……ん? どうしたの?」

 

「……ううんっ、何でもない。おはよう、アリア!」

 

「うん、おはよう!」

 

 

 アベルは目の前にいる少女に最上の笑顔で挨拶をする。

 アリアもアベルの笑顔を見ると嬉しそうに破顔した。

 

 

「ふふっ、今日も元気そうで良かった! そういえば、さっき下にお客さんが来てたみたいだったよ?」

 

「そうなの?」

 

「うん、昨日アベルが言ってた、アベルのお父さんのお友達……なの、かな?」

 

 

 さっき、階段の下をチラッと覗いたら、中年女性と小さな可愛らしい女の子が見えた、とアリアは背中にある羽をパタパタと動かしたかと思うと、背伸びをする。

 

 

「……あっ、そうかも! ちょっと行って来る! アリアも行かない?」

 

「え? あ、うーん……、今はちょっと恥ずかしいかなぁ……」

 

 

 アベルに誘われたものの、アリアは気まずそうに胸の前で両手指を合せ、上目遣いにモジモジ。

 

 

「え? 何が……?」

 

「っ、いいからいいから。一人で行って来て?」

 

 

 要領を得ないアベルの背をアリアは押した。

 

 

「っ? あ、うん、わかった。また後で呼びに来るから、ここにいてね」

 

「うん、私ここにいるね」

 

 

 アリアはにこにこと微笑んで手を振り、階段を下りるアベルを見送る。

 

 

「……見えないとはいえ……、子ども同士とはいえ……、同衾は恥ずかしい……(アベルの寝顔めっちゃ可愛かったーー♡ あれこそ天使……♡♡)」

 

 

 アベルの姿が見えなくなると、アリアは熱い頬を両手で覆い、その場に座り込んで悶絶した。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

「……アリアの様子何か変だったな……(何か恥ずかしいことしたっけ……?)」

 

 

 アベルが何となく二階を見上げるが、アリアの姿は見えなかった。

 そうして、そのまま階段を下りる。

 

 

「起きてきたかアベル!」

 

「父さん、おはよう!」

 

 

 一階に下りるとパパスに声を掛けられ、アベルは元気に挨拶を返す。

 パパスはアベルの様子にうんうんと頷く。「今日も元気で何よりだ!」とでも思っているのだろう。

 

 

「ああ、おはよう。昨日はよく眠れたか?」

 

「ん?」

 

「独り言なのか、寝言なのか、ぶつぶつ言っていただろう?」

 

「ぁ……、あはは……。寝言言ってたのかなぁ……(父さん確かに寝てたのに……)」

 

 

 パパスの指摘にアベルはどきっとして、慌てて頭を掻いた。

 そして、その場に居たサンチョやビアンカのお母さんが「おはよう」と挨拶してくれる。

 

 

 ――あ、ビアンカ可愛いなぁ……。

 

 

 アリアも可愛いけど、ビアンカも可愛いよね。

 

 

 アベルがビアンカを見ると、お母さんの後ろでビアンカがにこにこ、「おはよう」と手を振ってくれていた。

 ……アベルも軽く手を振る。

 

 

「薬が手に入ったので、おかみさんとビアンカは今日帰ってしまうらしい。しかし女二人では何かと危ない。二人を送って行こうと思うのだが、お前もついて来るか?」

 

「え……、またそれ……?」

 

 

 ぽろっと、アベルの口から零れる。

 

 

「んん? またとは?」

 

「っ、あっ、うんっ! 行くっ!」

 

 

 ……何だ?

 何でまた(・・)?

 

 アルカパに行ったことなんてないはずなのに……。

 

 

 アベルはつい口を衝いて出てしまった自分の言葉にはっとして、慌ててパパスに返事をした。

 

 

「よし、そうと決まったらさっそく出かけることにしよう!」

 

「っ、ちょっと待ってっ!」

 

「んん?」

 

「すぐ準備してくるから!!」

 

 

 アベルは踵を返し、階段を駆け上がって行く。

 

 

「アベルっ? ど、どうしたのだ……!? 隣村に行くくらいなら何も必要は……」

 

 

 パパスはアベルの背を見つめ首を傾げ、「すまないな」と、ダンカンのおかみさんとビアンカに断りを入れる。

 

 

「いいよいいよ。今更多少時間が前後したところで、あの人がどうなるもんじゃないからさっ。持って行きたいものでもあるんじゃないのかい? ビアンカ、待てるかい?」

 

「へ? うん、大丈夫(でも……早く帰ってお父さんにお薬あげたいなぁ……)」

 

 

 おかみさんに云われてビアンカは深く頷いた。

 

 ……そうして三人はアベルを待つことにした。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 ダダダダダッ!

 

 

 階段から慌てたように、木の板を踏みしめ駆け上がって来る音が聞こえる。

 

 

「はぁっ、はぁっ、……っ、アリアっ!」

 

 

 アベルは階段を駆け上がると、部屋に入るなりアリアの名を呼んだ。

 

 アリアは部屋の扉に背を向け、開いた窓辺に頬杖をつきながら小鳥達と戯れていた。

 アリアの翼には数羽の小鳥が留まり、歌を歌っている。

 

 

「え……? あ……アベ……」

 

 

 後ろから声を掛けられたため、アリアはアベルの声に振り向く。

 すると、アベルが駆け込んで来るなり大きな声を出したからか、小鳥達が一斉に飛び去ってしまった。

 

 

「…………あっ(飛んでっちゃった……)」

 

「はぁ、はぁ……っ、あ。……ごめん」

 

 

 名残惜しそうに外を見てアリアが云うので、アベルは呼吸を整えながらも謝る。

 

 

「ううん、気にしないで。空気を入れ替えようかと思って開けただけだから。そしたら小鳥達が遊びに来てくれて。ふふっ、こんなの初めてで嬉しくてつい夢中で小鳥達の歌、聞いちゃってた」

 

 

 話しながらアリアは窓を閉めた。

 朝陽に当たるアリアの髪がきらきらと輝いている。

 

 

「……はぁ、はぁ……、あ、窓触れるんだね」

 

 

 アベルは額に薄っすら掻いた汗を拭う。

 

 

 髪、きれいだなぁ。

 柔らかくて、ふわふわしてるんだよね……。

 

 僕の髪とは違う。

 

 

 昨晩こっそり撫でた手触りを思い出して、また今度触らせてもらおうとアベルは思った。

 

 

「あ、本当。ふふっ、何の基準で触れないのかな? 色々試してみないとだね」

 

「はぁ、はぁ……、うんっ」

 

 

 アリアの笑顔にアベルは頷く。

 

 

「ところでアベル、慌ててどうしたの?」

 

「っ……はぁ、はぁ……、そうだったっ。アリアっ! 僕これからアルカパまで行くんだけどっ」

 

「アルカパ……?」

 

 

 アベルは肩で息をして、少しずつ整ってきた呼吸とともに告げる。

 

 

「っ、はぁー……、……一緒に行かないっ?」

 

「え、また、い、一緒に……?(アルカパって……何……)」

 

 

 アベルの誘いにアリアは目を丸くする。

 

 

「うんっ、隣村に父さんのお友達のおかみさんと女の子を送っていくんだ」

 

「あ、アルカパって隣町のことね。私はてっきりアルパカかと……」

 

「アルパカって何?」

 

 

 アリアがアルカパを理解したものの、今度はアベルが質問してくるものだから、アリアは顎に手を添え、答える。

 

 

「えーと……、羊……みたいな……? 何か似てるなーって……、アルカパ……、アルパカ……。ね? 間違えそうじゃない?」

 

「…………、プッ。あははっ! アルカパは町だよ? アルパカって何? アリアは面白いことを言うね。羊は羊でしょ?」

 

 

 アリアの説明にアベルは「あははっ!」と愉快そうに腹を抱えた。

 

 

「っ、そうなんだけども、違うんだよ~!」

 

「ふーん……? ま、いいや、行こうよ! 送って行くだけだからすぐ帰って来れるし!」

 

「っ、いいの? すぐ戻るならお留守番しててもいいんだけど……(モンスター怖いし……)」

 

「そうと決まったら、すぐ出発だよ! 下で父さん達が待ってるから!」

 

「あっ! ……おーい……、アベル~?(人の話聞いてないなぁ~……?)」

 

 

 アベルに手を取られ、アリアは階段に引っ張られていく。

 

 

 まぁ、いいか。

 ここに居ても何してたらいいかわからないもんね。

 

 アベル強いから護ってくれるし。

 アベルのお父さんも強いって言ってたもんね。

 

 

 と、アリアは小さい身体に強い力を持つ少年の背を見つめた。「急いで急いで!」とアベルに急かされアリアはついて行くことになったのだった。

 




アベルは力が強く、アリアはひ弱で、いつも強引に引っ張られていきます。

強引にマイウェイ。
六歳児ってこんな感じかなーって。

さて、次回はアルカパへと向かいます。
アルカパ編の始まり始まり。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!

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