黒髪バニーって何なんw
では、本編どぞっ。
ガッシャーーーーン!!!!
スロットマシンの方から昼間聞いたコインの箱がぶちまけられる音が聞こえてくる。
ところがその音は昼間のそれよりも大きく感じられ、コインの一部がバーの方まで転がって来ていた。
周りの客達も驚いてスロットマシンの方へと振り向いている。
「っ!!??」
アベルも音に驚きそちらへ向くのと同時、ヘンリーは足元に転がって来たコインを拾って走り出す。
「っ、ヘンリー!?」
「アベルも来いっ! あの女性マズイぞ!」
視線の先には1コインスロットマシンの向こうで、一見気の弱そうな(垂れ目)身なりのいい細身の男性客に手首を取られ、イヤイヤと抵抗する黒髪バニーの姿があった。
男性客の傍には仲間なのか、二人の筋骨隆々な上半身裸の体毛が異常に濃い大男二人が、女性が逃げられないように囲んでいる。
『今日こそ来てもらうぞ!』
男性客が黒髪バニーの手首を強く引っ張ると彼女の顔が苦痛に歪んだ。
そうして引き摺られるように黒髪バニーのヒールが脱げてしまう。
男達は彼女を無理やり何処かに連れ去ろうとしているようだ。
『やめてくださいっ! 仕事中ですっ!』
女性は抵抗するが、非力なのかヒールが脱げたまま少しずつ引き摺られ、終には屈強な男に担がれてしまった。
「っ、何で誰も助けないんだ!? 警備兵は!?」
ヘンリーが彼女の元に向かいながら怒鳴ってバーカウンターを見るが、バーにいた町の警備兵は二の足を踏んでいる。
マスターも気まずそうにヘンリーに睨まれると目を逸らした。
「ヘンリー! 君はあの細い男を頼むっ、僕は彼女を助ける!」
「わかった!」
アベルは10コインスロット、1コインスロットの合間を急いで抜けて、屈強な男達に向かって行った。
ヘンリーは細身の男へダッシュして飛び掛かる。
「彼女を放せっ!」
険しい顔をしたアベルがコイン交換所の傍で、今にもカジノから立ち去ろうと黒髪バニーを担ぐ男の前に立ちはだかる。
大男はアベルよりも頭一つ、いや、二つ分は高く、ガタイもよかった。
無精ひげをわっさわっさと生やし肌の色は浅黒く、体毛もかなり濃い。瞳の色は薄い青。
その瞳は常に見開き、ギョロギョロと突如目の前に現れたアベルを見下ろす。
鼻と口部分には
もう一人の大男も同じ様相だ。
二人とも首を傾げたり戻したりしながらじっとアベルを見下ろしている。
その動きは人間のものというよりは、動物のような動きに近い気がした。
男の肩に担がれた黒髪バニーが、男の背を何度も叩いて足をばたつかせている。
バニーの形の良いお尻が尻尾と共にふりふり揺れてはいるが、今はそんなこと気にしている場合じゃない。
「聞こえなかったのかっ! 彼女を放せ!」
アベルは大男達に臆することなく再び告げる。
すると、
「……っ、放してやれっ」
後ろから細身男の声が聞こえた。
男の声に振り返ると、ヘンリーが細身男の腕を背に捻り上げている。
「アベルっ、こっちは制圧完了だっ!」
「ヘンリー!」
ナイスッ! とアベルの表情が僅かに和らぐ。
「…………ワカッタ」
「えっ……!? わっ!!?」
大男は首を縦に下ろすと、突然目の前のアベルに女性をぶん投げた。
「きゃあっ!!」
女性の叫び声に聞いたことがある声だと気付いた時には、アベルの身体は咄嗟に黒髪バニーを抱き止め、一緒に仰向けで床に倒れていた。
「ぅっ……! ……っ、君はっ……!!」
――っ、この感触知ってるっ!? ……っ、香りも……!
アベルの上に乗っかる黒髪バニーから甘い爽やかな香りがして、アベルは彼女が誰なのか確信し、女性のお腹辺りを包んで共に上体を起こす。
「っ、ご、ごめんなさい、痛かったでしょう?」
黒髪バニーは恥ずかしいのか耳を真っ赤にしながら、振り返ることなくアベルの腕を解いて立ち上がった。
「…………っ、アリアっ!?」
「…………、あはっ、バレちゃいました?」
聞き覚えのある声にアベルが名を呼ぶと、彼女は顔だけ向けて苦笑する。
その頬は真っ赤に染まっていた。
髪の長さ、色は違えど瞳の色はアメジストのそれで、アベルと目が合うと気まずそうに顔の位置を元に戻す。
……黒髪バニーはアリアだったのだ。
床に座るアベルの目の前に、ウサギちゃんの可愛いプリっとしたお尻が揺れている……。
「って、……っぅ……」
“ギュンッ!!”
……不覚にも瞬時にナニかが起き上がってしまった。
アベルの頬が瞬時に真っ赤に燃え、顔を両手で覆う。
――アリア、破廉恥過ぎるよ……!
露出度高めの白いバニースーツ姿は一目見ただけで目に焼き付いた。
あまりに刺激的なバニー姿を直視できず立ち上がれないアベルに、アリアはハッと気が付いて身体を反転させ「立てますかアベルさん!?」そう告げて手を伸ばす。
……身体は問題なかったが、胸がいっぱいで今すぐ立ち上がることはできなさそうだ。
別のナニかが立ってしまったことは服装ゆえにバレにくい。バレずに済んでほっとした。
「アリアっ!? マジかっ!? なんっちゅー格好して……っ!!(うっ、鼻血が出そうだ……!)」
ヘンリーもアリアだと気付いて鼻を摘まむ。
摘まんだ拍子に細身男の拘束が外れ、男が走り出した。
「あっ! チッ、アベルすまんっ!」
ヘンリーがアリアを見ないようにアベルに伝える。
バニー姿の彼女を直視できないらしい。
「お前等っ、変身を解けっ!! 今日こそ彼女を持ち帰るぞ!」
細身男が大男二人の傍にやって来ると、命令をする。
その命令を聞くや否や。
「「っ、魔物っ!!?」」
アベルとヘンリーは目を見開く。
細身男に命令され、大男二人は魔物に姿を変えたのだ。
その姿は、顔はフクロウ、身体は熊のような手足に鋭い爪を持つ魔物【アウルベアー】。
「っ、どうりで……。おかしな人間だと思ってたんだ!(体毛が異常に濃かったし!)」
「あっ!」
アベルは立ち上がり、アリアの手首を掴むと引き寄せ自分の後ろへと匿う。
「……アベルさん……」
「……アリア、ピエールはどこに?」
アベルもヘンリーと同じくアリアを直視できず、チラッとだけ背後を気にするに留めながら訊ねていた。
「もうそろそろ来ると思うんですけど……」
アリアはアベルのマントを掴みながら答える。
「……こいつらは一体……」
「っ、ある方の使者なのです。お断わりしたのですが納得して下さらなかったみたい」
「……ある方って……魔物じゃないか!」
アベルとアリアが話しをする間に【アウルベア―】からの攻撃が繰り出され、鋭い爪がアベルに振り下ろされる。
アベルは直ぐ様【チェーンクロス】でその攻撃を受け止めた。
キィィィイイイン!!
爪と【チェーンクロス】の柄が擦れ火花を散らしたかと思うと、【アウルベアー】は一旦攻撃していた片腕を引っ込め、今度は反対の腕を振り下ろし、再びアベル目掛けて爪を立てる。
アベルはそれも動きを読んだかのように【チェーンクロス】で受け止めたのだった。
戦闘の途中ではありますが、文字数の都合上ぶった切ります。
何か番組の途中ですが……みたいな感じになっちゃったw
気付いた方は昼間にカジノに来た際に気付いていたと思いますが、黒髪バニーはアリアでしたとさ(ウィッグ付けてます)。
てか、バレバレでしたねw
※2024/07/14 挿絵追加しました♪
黒髪バニーアリア。
色々描いて貰ったが中々気に入るのがなくて、本文修正しますたw
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!