一仕事終えたあとのひとっぷろ。
さいこ~!
では、本編どぞ。
馬車を購入し、アベルはピエールと共に宿に戻ることにした。
「あ、おかえりなさい」
宿に戻るとアリアはまだ起きていたのか、ベッドに腰掛け壁に背を預け本を読んでいた(膝には布団を掛けているのでパンツは見えません悪しからず)。
部屋に戻って来たアベル達に優しく微笑み掛ける。
「あっ……たっ、ただいま……(何か照れるな……ていうか、いいな……)」
おかえりなさいなんて……、サンチョに云ってもらった以来じゃないかな……。
アリアの言葉にアベルの胸が温かくなる。
「只今戻りました。何も変わりはありませんでしたか?」
「はい、ヘンリーさんが眠ってしまった以外は特に何も」
ピエールがアリアに訊ねると、隣のベッドでヘンリーがイビキを掻きながらぐーすか眠っていた。
「……寝てる(よく眠れたな……)」
アベルは気持ち良さそうに眠るヘンリーに【ラリホー】(物理的)は要らなかったなと、胸を撫で下ろす。
致し方ないとはいえ、親友を殴り付けるのは心苦しいので助かった。
「アベルさん、丁度良かった。私今お風呂に入ったばっかりなんです。アベルさんも良かったら入って下さい。お湯を張り替えようかとも思ったんですけど、時間が掛かるので……まだ温かいと思いますよ」
アリアはこの部屋の向かいにお風呂がありますよ、と扉を指を差す。
アベルがアリアを見ると、マントを外している彼女の肩は色付いていて、ほんのりと湯気が立っているような気がした。
そんなつるんとした滑らかな肌にアベルはつい見入ってしまう。
「…………、……え、あ……じゃあ……」
アベルはぼーっと生返事する。
「私の後で嫌だったら、流しちゃっていいので」
「へ? あ、別に気にしな……」
アベルは荷物を下ろし、引き出しの上に置いた。
「……私、今日 汗いっぱい掻いちゃったから……汚れてるかも……」
アリアは“やっぱりお湯張り替えした方が良かったですよね……”と頬を赤く染め恥ずかしそうにアベルを見上げる。
「っっ!!? きっ、気にしないからっ!! すぐ入るっ!!」
アベルは踵を返し、部屋の扉を勢いよく開け放ってバスルームに行ってしまった。
「あっ! アベルさんっ!? タオルはその引き出し……行っちゃった……」
アリアはアベルを呼び止めたものの既に扉は閉じており、扉の先で僅かに湯の流れる音が聞こえた。
「私が渡しておきます。アリア嬢はごゆるりとお寛ぎを」
「ありがとうございます、ピエールさん」
ピエールは部屋の引き出しからタオルを取り出し、部屋を出て行く。
◇
――アベルはというと。
部屋を出てすぐにバスルームへと向かいながら靴を脱ぎ、裸足に。
バスルームに着くなり、ターバン、マント、服を取り去り、お湯を頭から先ずは一浴び。
そして、浴槽を見下ろす。
浴槽からはまだ温かな湯気がゆらゆらと
泡風呂にしたのか泡が弾けて随分と少なくなっていた。
アリアは汚れているかもと云っていたが、汚れている様子は見受けられない。
「……ア、アリアの……入ったお湯…………」
アリアの汗と汚れが染み込んだ……。
――ごくり。
唾が飲み込まれ、大きな音を立てる。
(な、何だろう、心なしか石鹸だけじゃない、いい香りがする気がする……)
アベルは恐る恐る湯船に浸かる。
温かい湯に身体が包まれると、
「ぁあ~~……、いい~~……」
変な声が出た。
もうこれだけで今日一日の疲れが吹っ飛びそうな気がした。
「アリアと一緒にお風呂とか……」
一緒に入っているわけではないのだが……。
アベルは天井を見上げ、よからぬ妄想が過って気付けば……、
「主殿!? ど、どうされたのです!?」
突如タオルを手にバスルームに入って来たピエールに驚かれる。
「えっ? あっ、ピエールっ!!? ど、どうしたんだい!?」
「わ、私は主殿にタオルをお持ちしたのですが……、その、鼻から血が……」
「へ? あっ! ……っ」
アベルが鼻元に手をやり放すと、手には真っ赤な血がべったり。
アベルは目を見開いた。
「これをお使い下さい。もう一枚持って参ります!」
「っ、悪いね……」
アベルはピエールからタオルを貰い、鼻元に当てた。
「……あまり長湯されませんように」
「う、うん……」
ピエールが一言残して去って行くと、アベルは鼻を押えながら天井を見上げる。
「……っ、参ったなぁ……(興奮し過ぎて……鼻血が出ちゃったよ……)」
バニー姿があれだけ綺麗だったんだ……、アリアの身体はさぞかし綺麗なんだろうな……。
チャプ。
――アリアの……大きなおっぱいと可愛いお尻……。
アベルはアリアの裸体を夢想し空いた手で浴槽の縁に肘を掛け、湯を掬う。
お湯は泡と共に腕を伝い流れていく。
それをアベルは天井から視線を移してただぼーっと眺めていた。
湯の温さが身体に映ったのか否か、顔が熱い気がする。
そんな時、
「主殿」
ピエールがタオルを持って戻って来たのだった。
「ひぃっ!?」
アベルは声を掛けられた拍子に驚き足を滑らせ、浴槽に身体が沈む。
「主殿っ!!?」
ゴポゴボゴボゴボ……。
バシャバシャ、バシャッ! と浴槽のお湯が跳ねる。
「がぼっ、ごぼっ! ……はぁっ、はぁっ、……あー驚いた」
泡風呂だからか滑りやすく、アベルはやっとのことで元の姿勢に戻ったのだった。
「だ、大丈夫ですか?」
「あぁ、ピエール……君か……」
アベルはぐっしょり濡れた頭を上げた。
浴槽に浸かっていると目線はピエールの方が高い。
「どうかされましたか? タオルはこちらに置いておきますね」
「あ、ああ……ありがとう……」
ピエールは驚いたアベルを訝しみつつ、タオルを置いて去って行った。
「……………………ふぅ……。ぁあ~~……、…………幸せってこういうことを言うんじゃないかなぁ……」
アベルは濡れた前髪を掻き上げ、つい顔を綻ばせてしまう。
その内アベルの鼻歌(何の歌かは不明)が聞こえ、彼は一人バスタイムを満喫したのだった。
……妄想が捗り、長風呂だったことは言うまでもない。
長風呂でナニしてたんですかねwww
ところで今更ですが、昼間ヘンリー君がオラクル屋で売ってるかもしれないと言っていた「ムフフなもの」って何なんでしょうか。
気になって夜しか眠れない……w
ヘンリー君、何を買おうとしてたんだろう……。
あっ、アレか!(何だ)
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