アリアさんも占ってみましょう。
では、本編どぞ。
「あー……アンタかい……。しょうがないね……今日はわし好みの男前を連れて来たし、独りじゃないようだから見てやろうかね」
「わぁっ! ありがとうございますっ」
占いババは面倒臭そうに水晶玉に手を
ところが、アリアはアベルの後ろから顔を出すだけだったので、
「……そんな所に隠れてないでこっちに出ておいで。まったく、男の陰に隠れてるんじゃないよ……」
「あっ……私そんなつもりじゃ…………」
占いババに指摘されアリアがアベルを見上げると、ふと目が合って二人は頬を赤く染めたのだった。
「…………、……っ……(可愛い……)」
アベルの頬が熱くなる。
「…………ちぇっ」
ヘンリーのつまらなそうな舌打ちが聞こえた。
「早くおし」
「は、はいっ! アベルさん場所代わって下さいっ」
「ど、どうぞっ」
短気なのか占いババに促され、アリアはアベルに場所を譲ってもらった。
「まったく、若い
「わっ、わかるんですか!?」
お小言を云いつつも、占いババは水晶玉に手を翳し占う。
占いババのズバリな物言いに、アリアは目を丸くしたのだった。
「ふぁっふぁっふぁ。わかるとも。先ずは記憶を取り戻すがええ。全てはそこからじゃ」
「えと、どうやったら記憶が戻りますか……?」
どうせなら解決策も知りたいです、とアリアは訊ねた。
……のだが。
「知らん」
「え?」
即答した占いババの唇が弧を描く。
「知らんて……(見えてるんじゃないのかよ……これだから占いはキライなんだよ……)」
ヘンリーが後ろで呟いていた。
「知らんが……身近な者を頼るがええ。今のお前さんに出来るのはそんなところじゃろう」
「身近な人を頼る……。…………、……ありがとうございました」
占いババの言葉にアリアは瞳を伏せる。
そして会釈して立ち去ろうとすると、
「あぁ、そうじゃ。北東の城からの追っ手はしつこかろう?」
占いババがアリアの背中に問い掛ける。
「「北東の城?(もしかして……!?)」」
アベルとヘンリーは顔を見合わせた。
「っ! そ、そんなことまで見えるんですかっ!? っ、失礼します……っ!」
アリアはアベルとヘンリーを残し、隣の教会へと走って行ってしまう。
「あっ、アリアっ!?」
「オレが追うよ!」
アベルが呼び止めたが、アリアは振り返らなかった。
ヘンリーが追いかけて行く。
「ふぁっふぁっふぁ……。お前さん、あの娘が気になるのかい?」
「っ……」
不意に占いババがアベルに問い掛けてくる。
「……まあ、どちらでもよい。あの娘はやめておけ、闇を抱えておる。とても大きな闇をな……。それはそうと……、巨大な闇の手がこの世界をのみ込もうとしておる! 信じる信じないはおぬしの勝手じゃがな……。ふぁっふぁっふぁ」
「…………っ、……失礼しますっ!」
アリアが呪われてることくらい知ってるよ……!
それが何だっていうんだ。
僕の所為なんだからそんなのどうでもいいんだよ!
占いババの言葉にアベルは憤り教会へと走り出す。
「ふぁっふぁっふぁ」
占いババの笑い声が闇夜に響いた。
◇
アベルが教会にやって来ると、アリアは祈りを捧げていた。
「……ヘンリー」
アベルは、祭壇で祈りを捧げるアリアから距離を取って見守るヘンリーに声を掛ける。
二人は教会の壁に背を預けアリアの祈りが終わるまで話をすることにした。
「アリアなら大丈夫。お祈りしたらもう少し歩こうってさ」
「そっか……」
「さっきの北東の城だっけ? それを知られたくなかったんじゃないかな」
「うん……。北東の城からの追っ手って……やっぱり求婚者のことだよな……」
アベルはアリアの後ろ姿をじっと見つめる。
薄暗くても僅かな灯りの下、アリアの髪は輝いていた。
「だな」
「……占いで云われた通り、頼ってくれるといいんだけど……」
「だなー……。あの子、意外と頑固なとこあるよな。お前と似てない?」
「はっ? 僕と似てるわけないよ! アリアは素直でいい子じゃないか……」
「お前も素直でいい子だけど?(時々頑固だけど)」
「ちょ、な、なんだよ……褒めたって何も出ないけどっ?」
ヘンリーに何だかんだ冷やかされるも、アリアに似てると云われてちょっぴり嬉しくなったアベルであった。
そうこうしている内にアリアのお祈りが終わったらしく、二人の元へと彼女が戻って来る。
「……お待たせしました。もう少し歩いたら、宿に戻りませんか?」
「……うん、そうだね」
「オッケーオッケー! アリアさんの言う通りにしちゃうよ!」
三人は再び町を歩き始める。
占いババの前を通るのだが、占いババは他の客の占い中でアベル達には気付かなかった。
「あ」
町の東に向かい歩いていると、民家から丁度老人が出て来る。
知り合いなのか、アリアは老人に寄って行った。
「ん? ぉぉ……、アリアちゃん……!」
「こんばんは、おじいさん! お散歩ですか?」
「ああ、ちょっと外の空気を吸おうかと思うてな」
老人はアリアを見るなり嬉しそうに目を細める。
「アリアさん、この人は……?」
「あ、前にお散歩した時にお会いしたおじいさんで、たまにこうしてばったり」
アベルが訊ねるとアリアは素直に教えてくれた。
「今日の仕事はもう終ったのかい?」
「あ……私、今日でもう辞めたんです。だからここにも もうあまり来れなくなるかもしれません……」
老人の言葉にアリアが淋しそうに俯く。
「まったく月日の経つのは早いものじゃ。わしが若い頃この町はまだ小さな村じゃったが、北に橋ができてから人々が来はじめてのう……北に橋がかかってからもう十年になるかのう」
アリアの様子に老人が目を細めしみじみと語ってくれた。
オラクルベリーは町が大きくなるにつれ人の出入りが激しくなったようで、最近はカジノで一攫千金を夢見て町にやって来る者、破れ去って行く者など明暗に分かれていく様をよく見掛けているそうだ。
「月日がたつのは早い……か。ドレイをやってた頃は毎日が恐ろしく長く感じられたけどな。でもそれも過ぎてしまえば、ほんの短い間のことに思えるから不思議なもんだよな」
「うん……そうだね。……北の橋か……、そういえば町の外に出た時に見たっけ……」
「北……」
ヘンリー、アベル、アリアがそれぞれに呟く。
三人は老人と別れ、町の東壁沿いを歩いて宿へと戻ることにした。
「……北か……」
宿へと向かいながらアベルは顎に手を当て考えを巡らせる。
――占いババが云っていた北、そこに何が待っているんだ……?
「なあ、アベル」
「ん? なんだいヘンリー」
「明日から北へ向かうのか? それとさ、確かお前地図持ってたよな」
「あ」
アベルは顎に手を当てたままふと気付く。
――そういえば、地図をまだ見ていなかったっけ……。
「北へ行くっていうのはいいんだけどさ、宿に戻ったら先ずは地図を確認しようぜ。オレ達流れ着いてから地図見てないんだぜ? ここって、どの辺りなんだろうな」
「ははは……すっかり失念してたね。戻ったら見よう」
ヘンリーの最もな言い分にアベルは部屋に戻ったら早速確認しようと決めたのだった。
そんな時、アリアの唇がおずおずと開く。
「…………あの」
「あ、アリアさん、なん……」「ん? どうしたんだい?」
アベルが緊張しながら答えようとするが、ヘンリーが被せるようにサラッと返した。
「……私……。私も明日、途中までご一緒させていただいてもいいですか?」
「「えっ!!?」」
アリアの言葉にアベルとヘンリーは驚きの声を上げたのだった。
夜が明けたら旅に出れるかな。
長かったオラクルベリー。
広過ぎたわ、拾い過ぎたわ。
めっちゃ楽しかった~!!
ラブラブ出来た(?)し、満足満足。
毎度鈍足ではございますが、少しずつ進めていきます。
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読んでいただきありがとうございましたっ!