ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

すんなりと目的地に着けると思ったら大間違い。

では、本編どうぞ。



青年期・前半【ビスタの港~サンタローズ】
第百五十七話 サンタローズ周辺を行く


 

「……あの、ヘンリーさんて……、ラインハットと何かご関係があるのですか? ラインハットの名前が出てから何だか様子がおかしい気がして……」

 

「あ……、うん。ヘンリーはあの国の第一王子でね」

 

「えっ!? 王子様だったんですか!? あわわ……」

 

 

 アリアがヘンリーの正体に驚き、口元に手を当てハッとすると渋い顔をする。

 

 

「……アリアさん?」

 

「わ、私一国の王子様になんて失礼な態度を……。気安く“さん”付けで呼ぶなんて……」

 

 

 アベルがちらっとアリアを見ると、彼女は両頬を覆い落ち込んだ様子で“どうしよう……”と呟いていた。

 不敬を働いてしまったと思っているようだ。

 そんなアリアにアベルはフォローを入れることにする。

 

 

「ははは。大丈夫だよ、ヘンリーはそんなこと気にしないさ。むしろヘンリーの方が失礼じゃない?」

 

「へ?」

 

「だって君をオカ…………あ、いや。何でもない」

 

 

 オカズにしたのは僕もだった……!

 

 

 アベルははっと息を呑み、口を手で覆い隠す。

 恥ずかしさに頬が熱くなってしまった。

 

 

「おか……???」

 

「っ、コホンッ! と、とにかく大丈夫。そもそも君だってヘンリーと友達だったんだから、もっと馴れ馴れしく呼んでたんだよ?」

 

 

 アリアがぽかんと首を傾げると、アベルは咳払いをして誤魔化すように微笑んでおく。

 

 

 ――アリアごめん、生理的なものだからしょうがないんだ。許して欲しい……。

 

 

 ちゃんと笑えたかはわからないが、アリアが何のことか気付くことは無かった。

 

 

「ぁ……。……っ、そう、なんですね……。昔の私、そんなに馴れ馴れしい無礼者だったなんて……。どうしよう……。罪になってしまいませんかね……?」

 

「大丈夫だよ。むしろヘンリーは昔のように君に……(笑い掛けて欲しいんじゃないかなぁ……)」

 

 

 不安気な顔で訊ねるアリアにアベルは思う。

 

 

 ――……やっぱり、何も憶えていないんだ、アリア……。

 

 ビアンカと一緒にレヌール城に行ったことも、二人で妖精の国へ行ったことも……。

 父さんとサンチョのことも。

 

 ヘンリーと僕とアリアの三人で遊んだことも……。

 ヘンリーはアリアのこと、多分すごく好きだったと思う。

 

 

 今の君じゃなく過去の君のことが……。とアベルはアリアを珍しくじっと見つめていた。

 

 

「……私に……、なんですか?」

 

「…………ううん、君の記憶が戻ればいいなって思っただけ」

 

「あ……、はい。私も……、取り戻せたらいいなって……」

 

 

 アベルに見つめられ、アリアはほんのりを頬を赤く染めると躊躇いがちにぼそぼそっと零す。

 そんなアリアにアベルは、

 

 

「……記憶を取り戻したらびっくりするかもね」

 

「えっ?」

 

「…………ははっ、君ってすっごく面白い子だから」

 

 

 昔の彼女を思い出し、いつも不思議なこと言ってたなぁと笑う。

 

 

「お、面白い……。お、面白いですか…………、…………ぅーん……面白い……」

 

 

 アベルの言葉にアリアは考え込むように顎に手を当て唸ると、急に立ち止まってしまった。

 その横を馬車は通り過ぎて行く。

 

 

「アリアさん?」

 

「あっ、私後ろに戻ります!」

 

「ぁ……うん、わかった」

 

 

 アベルが振り返るとアリアが馬車の後列を指差し手を振っていたので、アベルも振り返しておいた。

 

 

 ――何だろう? 僕変なこと言ったかな?

 

 

 急なアリアの態度の変化にアベルは失言していないか気になってしまうが、そんな時、アベルとアリアの様子を黙って見ていたピエールが口を開く。

 

 

「……主殿とアリア嬢は絆がお強いのですね……」

 

「えっ? そ、そうかな……? ははっ……、絆か……」

 

 

 ピエールが俯いてそんなことを呟くので、アベルは照れて後ろ頭を掻いたのだった。

 

 すると、後ろの方でヘンリーの声が聞こえる。

 ヘンリーの元へと戻ったアリアはというと……、

 

 

 

 

 

 

「ヘンリー王子様、私、数々のご無礼を……」

 

「いいんだって! オレの事“王子様”とか付けなくていい!(出来れば昔みたいに呼び捨てして欲しいんだ!)」

 

 

 アリアが立ち止まって頭を下げるので、ヘンリーもその場に止まって気遣いは必要ないよと辞していた。

 

 

「でも……」

 

「……もう城に戻る気はないしさ」

 

 

 橋は疾うに渡り終え一行は北上していた。

 北東の方へと目をやると、関所が遠くに見える。

 

 

「……ヘンリーさん……」

 

「君を無理やり攫おうとした国だし、オレが戻ってもまた襲われるかもしれないだろ? せっかく生き残ったんだしさ。とにかく普通に接してくれていいから。ほら、置いて行かれる前に行こうぜ」

 

「……はい……」

 

 

 ヘンリーの言葉にアリアが静かに頷くと、二人は再び歩き出した。

 そして、歩き出したアリアにぽそっと呟く。

 

 

「……あの日、オレが…………――…………――」

 

 

 その声は小さく、アリアには聞き取れなかった。

 

 

「……え? 今、何か言いましたか?」

 

「……いんや、なんも?」

 

 

 へへっ、とヘンリーは首を横に振る。

 

 

 ――オレが攫われなかったら今頃、君はオレの隣に居たのかな……?

 

 

 ……なんてな。

 

 

 アリアのことを実は諦めきれていないヘンリーは、早く新しい恋でもしたいなと、前を歩くアリアの背を見てそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 北上していた一行はアベルが地図を確認し、今度は西へと向かう。

 そして、南へ。

 

 目的地は【ビスタの港】。

 道中、一行は魔物の群れに襲われ……、

 

 

「ふぅ……、これで終わりか……。あっという間に終わっちゃったな」

 

 

 戦いに勝利するとアベルは風を切って戻って来た【やいばのブーメラン】をキャッチし、腰に引っ掛ける。

 オラクルベリーの武器屋で新調したものだ。

 

 倒した魔物の群れが昇華していく中、ピエールは【はがねの剣】を鞘に戻し、アリアも【チェーンクロス】を腰に。ヘンリーは先程戦闘中にもらったアベルのお古、【チェーンクロス】をにぎにぎと感触を確かめ、

 

 ピシッ!

 

 と地面を叩くと草や小石が跳ねた。

 

 

「おっ! いい音! アベル、お前これが好きなんだっけ? 打ってやろーか?」

 

「へ?」

 

 

 ニカッと、白い歯を見せ悪戯に笑うヘンリーにアリアは目を瞬かせる。

 

 

「なっ!? 何言ってるんだよ!? そんなわけないだろっ!!」

 

 

 ――っていうか、打って欲しいのは君じゃなくて……!!

 

 

 アベルはちらっとアリアを見る。

 

 

「ん……? あっ! アベルさん、後ろっ!」

 

 

 アリアはアベルの視線に首を傾げるが、何かに気付き背後を指差した。

 




楽しそうなパーティですね。
オカズのアリアさん、知ったら卒倒しそう。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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