じゅーろくわ。
アルカパを抜け出したアベルとビアンカは……?
では、本編どうぞっ。
「アベルー! ビアンカちゃーん!!(えっと、町を出て……どっちに行ったの……?)」
――町の入口の見張りの人、あんなところで寝てたら、見張りの意味がないじゃない……。
『おのれ、怪物め! 町には入れさせないぞっ! ムニャムニャ……』
「とか何とかいってたけど……。爆睡してたよね……」
アルカパを出ようとしたところで昼間は何を言っても通してくれなかった見張りのおじさんは、夜になると道を譲るように端に寄り眠ってしまっていた。
おじさんに声を掛けてみるが、反応がないので仕方なくアリアは町の外へと出る。
「……っ、こんな暗い夜に子ども二人だけを危険な目に遭わせるわけにはいかないわっ!」
――でも、どっちに行ったのかな……。
右?
それとも左?
確か、あっちがサンタローズだから……。
目の前は森だし……、街の後ろも森ね……。
じゃあ……、あっち……かな?
え、でもレヌール城ってどこにあるの……?
……アリアはキョロキョロと辺りを見回して自問自答を繰り返すが、始めの一歩に躊躇してしまう。
「っ、魔物が出たらどうしよう……丸腰なのに……。っ、いやいやっ! 私があの二人を見守ってやらないとっ!!」
それでも何とか勇気を振り絞って町を背に左の草原を選んで歩き出した。
「……っ、暗い~! で、でも……っ!! ほ、星は綺麗だしっ!!」
なぜかアリアの足はサンタローズ方面へと向いて進んでいる。
……ふと見上げた空は澄んで、数多の星々が美しく光り輝いていた。
「はぁ……、本当、綺麗な空ー……。空気も美味しいし……、魔物がうじゃうじゃいるのさえなければ、いいとこよね……。はぁ~……」
アベルやパパスがいなければ自分は既に死んでいるのだろう……、アリアは深くため息を吐く。
「……幸いなことに、一部の魔物からは私が見えていないみたいだし……、何とかなるよね……。一応、薬草持ってるし……」
アリアは腰にぶら下げた小さな鞄をぽんぽんと叩いた。
鞄の中には【やくそう】がいくつか入っている。サンタローズの村を出る際にアベルがくれたものだ。
その【やくそう】だが、なんとアリアが身に着けているものは見えなくなるらしく、人目に触れることは無かった。
「早いとこ、アベル達を見つけなきゃね」
辺りを見渡しながら、アベルとビアンカが近くにいないか捜していく。
……ところが数分もしない内に――。
「っ……!? あれは……っ!!」
アリアの目の前にふよふよと、藍なのか、黒なのか蝙蝠のようなフォルム、けれどもずんぐりむっくり、丸みを帯びた身体にファニーフェイスの魔物の群れが現れる。
「っ、ドラキー……っ!?」
サンタローズの村からアルカパまで到着するまで、幸いなことに自分の姿が見える魔物と遭遇することがなかったからか、アリアは油断していた。
パタパタ……――!
パタパタッ!!
【ドラキー】の羽音が静かな草原の上を漂っていたかと思うと、それは突然慌ただしい羽音に変わる。
アリアの前を通り過ぎようとしていた【ドラキー】の群れが、不意に零れた小さな声に気が付き、ぎょろりと一斉にその顔を彼女に向けた。
「いやっ! ドラキーは嫌ぁっ!!(なんでなんでなんでーー!?)」
……ドラキーの群れが一斉にアリアに襲い掛かって来る。
アリアはなぜかパニックに陥って逃げることも忘れ顔を覆ってその場に
複数の【ドラキー】の風を掴む音が、蹲るアリアに近づく。
「っ、いやっ! ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……っ……なさい……――さい……」
アリアの身体は震え、許しを請うように何度も謝罪の言葉を繰り返していた。
瞳からは魔物に囲まれた絶望からなのか、ぽろぽろと涙が止めどなく流れ落ちる。
……そんな時。
ヒュンッ……。
風を切る音が聞こえたかと思うと、次には「「「ギャーーー!」」」というドラキー達の断末魔の叫びがアリアの耳に入ってきた。
さらには。
「メラッ!!」
ビアンカの呪文を唱える声が聞こえて、【メラ】がドラキーにぶつかったのか“ボォォッ”と燃える音も聞こえた。
「よしっ、これで全部倒したぁ~!」
ビアンカが明るい声でキャッキャッとはしゃぐ。
そんな中、アベルは戻って来たブーメランを背中に収めて、蹲るアリアに駆け寄った。
「っ、アリアっ! 大丈夫っ!?」
『ぅぅっ……、ごめんなさいごめんなさい……』
「アリア……?」
アベルがアリアの肩に手を置いて様子を窺うが、彼女は身体を震わせたまま泣いている。
『……もう、しないから……、許し……』
「っ……」
アリアの滂沱たる涙にアベルは息を呑む。
――何で、こんなに泣いているの?
そんなに、ドラキーが怖かったの……?
ドラキーなんてそんなに強い魔物でもないのに……。
けど、昨日洞窟でもドラキーと遭遇したけど、そんなことなかったよね……?
何なの……、この反応……。
アベルは泣き止まない少女を前に、どうしていいかわからなかった。
だがアリアが泣くのを見ているのは気持ちのいいものではなかったのか、彼女の肩を撫でて慰める。
「アベルー。何してるの? 次行こっ(ありあ、ありあって、やっぱり誰かいるの……!?)」
アリアの様子などさっぱりわからないビアンカは、アベルに次の魔物を探しに行こうよと誘う。
どうやら二人は町の近くで魔物をある程度狩って、身体を鍛えてからレヌール城を目指すことにしていたらしい。
「こんな所で休憩するのはおすすめしないわ。魔物に不意打ちでも掛けられたら危険よ」
ビアンカは「休むならあっちの木の陰にしたら?」と、近くの森を指差した。
「……っ、アリアっ!」
『っ!? …………へ? ぁ、あ、アベル……?』
アベルが大きな声で名を呼ぶと、アリアは はっとして顔を上げる。
「…………、ごめん、すぐそこまでついて来て。ここじゃ、魔物に見つかりやすいから……」
『っく……、ん、ぅん……、ぐすっ……』
アベルに手を引かれアリアは立ち上がると、ずずずっと泣いて緩くなった鼻を啜って森の樹の陰について行った。
「……ビアンカ、ちょっとごめん、少しだけ休憩させて」
「しょうがないなぁ。いいよ、私もちょっと……、だし……」
もじもじと、ビアンカは脚を摺り合わせると森の奥へと入っていく。
「ちょっ!? どこ行くのっ!? 遠くに行ったら危ないよ!?」
「っ、お花摘みっ! すぐ戻るから心配しないでっ!」
アベルの言い分にビアンカはそう告げると姿を消した。
「お花摘み……?」
『……あ、えと、トイレ……、かなぁ……』
アリアは樹の根本に腰を下ろし、「はぁー……」と深いため息を吐く。
とりあえず涙は止まったようだ。
「……ふーん……(お花摘みのことをトイレって言うんだね、知らなかったな……)」
首を傾げるアベルにアリアがフォローを入れると、アベルは納得したように頷いた。
即レヌール城に向かわず、アベル達はアルカパ周辺でレベルを上げをしてましたとさ。
アリアのドラキー嫌いは後々判明する予定です。忘れてなければ(オイ)
今更ながら【モンスター】は【魔物】で統一しようかなーと思います。
忘れなければ(忘れそうw)。
十六話以前のものは気が向いたら修正掛けますね。
笑って許してくださいっ。
この適当な感じ……www 申し訳ありませんっ。
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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!