ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さて、サンタローズをそろそろ出ましょうかね。

では、本編どぞー。



第百八十話 幼なじみ

 

 

 

 

 

「……アベル、元気でね」

 

 

 アベルが教会を出ると、シスターリリィが外まで見送りに出てくれる。

 

 

「はい……、シスターリリィも……、あと、フィーロ神父にも宜しくお伝え下さい……(恨んでるってことも……)」

 

 

 開いたままの扉の奥、祭壇傍のフィーロ神父をアベルはジト目で睨み付けていた。

 

 

「ん? ……どうして凄んでいるの?(この子、こんな目をする子だったかしら……?)」

 

「いいんですいいんです」

 

 

 シスターリリィが不思議そうに眉を顰め祭壇の方を眺めるアベルを見ていると、アリアの声が聞こえて来る。

 

 

「アベルさん!」

 

「あっ、アリア……さん……」

 

 

 アリアが手を振りながら教会前まで走って来ると、ふっとアベルの顰めっ面が解けて、表情が柔らかくなった。

 

 “あら……うふふ。本当、わかりやすいわね……。”と、シスターリリィはアベルを見ると微笑する。

 

 

「アベル、アルカパには行かないの?」

 

 

 ふとシスターリリィがアベルに訊ねる。

 

 

「アルカパ?」

 

 

 近くを通ったからサンタローズに寄っただけで、早くアリアの記憶を取り戻すために【ラーの鏡】を探しに行きたいんだけど、と……アベルは首を傾げた。

 

 

 ――【ラーの鏡】……確かあれは……どこにあるんだったっけ……??

 

 

 ……………………………………ぅん??

 …………あ、忘れた。

 

 ごめん、アリア……。

 修道院で【ラーの鏡】を知った気がするんだけど、場所まで覚えていなかったよ……。

 

 

 アベルは傍にやって来たアリアを見下ろし、心の中で謝罪する。

 修道院を出てから色々なことがあり過ぎて、修道院で読んだ本の事などド忘れしてしまっていたアベルだった。

 

 アリアはアベルにじっと見下ろされ、ほんのりと頬を桃色に染めながらシスターリリィとの会話が終わるのを待っていた。

 少し離れた場所ではヘンリーが俯き加減で話が終わるのを待ち、黙ったまま突っ立っている。

 

 ブラウンは壊れたアベルの自宅前で破壊衝動と闘っているのか、木槌を振り上げたまま固まっていた。

 

 

「せっかくだもの、サンタローズに来たんだからアルカパにも行ってみたら? もう随分前だけど、ビアンカちゃん、アベルの事心配していたわよ?」

 

「ビアンカ……? っ、ああ……!! 行ってみようかな……!」

 

 

 シスターリリィの提案にアベルは目を見開いて満面の笑みを浮かべる。

 

 ここから修道院に戻って調べ直すという手もあるが、【ラーの鏡】はあくまで一つの可能性に過ぎないため、今は記憶の眠る場所に案内することの方が重要かもしれない。

 ここから修道院に戻ってまた来るのも時間が掛かるだろうし……。

 ビアンカにも会えたら、もしかしたらアリアの記憶も……と、アベルは淡い期待を抱いた。

 そして、純粋にビアンカに逢いたい気持ちもある。

 

 

 元気にしてるかな……?

 綺麗になってるんだろうな……。

 

 

 アリアを見れば容易に想像できる。ビアンカは小さい頃あんなに愛らしかったのだ。ビアンカもきっと美しく成長していることだろう……と。

 アベルはアルカパに行くことに決めたのだった。

 

 

「……ビアンカさん……?」

 

 

 アベルとシスターリリィの傍でアリアは小声でぽつりと呟いて、黙り込んでいた。

 

 

「じゃあ、僕達はこれで……、旅が終わったらきっと帰ります。どうかお元気で……」

 

「ええ……、アベルも気を付けてね。お母様にきっと会えると祈っていますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベル達はシスターリリィと別れ、サンタローズの村を見納めと荒れた道を歩いて行く。

 アリアは先程から黙り込み、ヘンリーも何か考えているようで流れていく村の景色を悲痛な面持ちで眺めていた。

 

 そうして歩いているとアリアが口を開く。

 

 

「……あの、ビアンカさんて……?」

 

「…………ん? あ、ビアンカ? ビアンカは」

 

 

 アリアの質問にアベルがビアンカは幼馴染だよ、と答えようとするが、

 

 

「ビアンカってアベルが前に言ってた幼馴染のことか。元気でいるといいな」

 

 

 サンタローズの村をもうすぐ出ようという所で、漸くヘンリーがはにかんだ。

 

 

「幼馴染……」

 

 

 アリアは自信なさげに零す。

 

 

「君もだよ?」

 

「ぁ……、……はい……、そうなんですね……」

 

 

 アベルに言われてもピンと来ない様子で、アリアは申し訳なさそうに眉根を下げて微笑んでいた。

 

 

「アルカパは隣町なんだ。昔、僕とビアンカと君の三人でお化け退治をしたんだよ」

 

「お化け退治を……?」

 

「うん。当時、君は今みたいに武器での攻撃も、呪文での攻撃も回復も何も出来なかったんだけどね」

 

「っ……す、すみません……。ご迷惑をお掛けして……(私って役立たずだったのね……)」

 

 

 アリアは頭を深々と下げる。

 

 

「あっ、いや迷惑とかそうじゃなくて! 君と居てすっごく楽しかったんだよ。ビアンカも楽しそうだったし!」

 

 

 何度も繰り返されたお化け退治。

 いつもならビアンカと二人きりで解決した出来事だったけど、今回はアリアがいた。

 

 

 ――あんなこと初めてだったから、本当に楽しかったな……!

 

 

 レヌール城に連れて行ってあげるのもいいかもしれないな、とアベルはアルカパの後に寄ろうかと思うのだった。

 

 

「そ、そうなんですか……。ご迷惑を掛けていなければ良かったです……」

 

「ビアンカはアルカパに住んでるから、彼女に会ったら記憶が戻るかもしれないね」

 

 

 アリアが恐縮したように上目遣いで窺って来るので、アベルは“可愛いな”と癒され、目を細める。

 ところが、アリアは……、

 

 

「ビアンカさんにお会いしたら……、……っ、その方は……、お綺麗な方なのですか?」

 

 

 申し訳なさそうにアベルに訊ねたのだった。

 

 

「ん?」

 

「あっ、えと……、ビアンカさんは可愛い子でしたか?」

 

「え? うん、可愛い子だったよ。僕より二つ上だから……、相当綺麗になってるんじゃないかなぁ……」

 

 

 アベルはアリアが何故そんな質問をしたのか意味がわからなかったが、訊かれるままに答える。

 

 

 女の子ってみんな可愛いよね……。

 ビアンカも可愛かったし、船で会った青い髪の子も可愛かったなぁ……。

 水汲みの子も可愛かったし、マリアさんも可愛かった。

 

 

 ……僕には、アリアが一番だけど……。とは口に出さないでおいた。

 

 

「そ、そうですか……。…………、…………ふふっ、楽しみですねっ」

 

「うん。そうだね!」

 

 

 アベルの返答に、アリアは少しだけ間を置いてからにっこりと目を細める。

 

 

「…………はぁ」

 

 

 ――好きな女の子の前で他の女の子を褒めるなんて、アベルはわかってねーなぁ……。

 

 

 ヘンリーがアベルとアリアの二人を見ながら溜息を吐いた。

 その間にサンタローズの村を出て、アベル達は一路アルカパを目指すのだった。

 




アリアさんはアベルさんのことどう思っているんでしょうかね。
そしてアベルさん、女の子は皆可愛いと思っている……。

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