ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ドラキーを仲間に加えるには……。

では、本編どうぞ。



第百八十一話 ドラキーが仲間になりたそうにこちらを見ている

 

 サンタローズを出た一行はというと。

 

 【アルカパ】に向かいながらアベルはアリアに【サンタローズの洞窟】の奥、パパスの部屋で見つけた【天空のつるぎ】について話をしていた。

 父であるパパスの置手紙についても、掻い摘んで説明をする(ハートマークについてはナイショ)。

 

 

「……アベルさんのお母様、マーサ様が不思議な力をお持ちに……。その力は魔界に通じると……」

 

「うん……」

 

 

 ガラガラガラガラ……。

 

 

 馬車の車輪が地面を転がり、アルカパに向かって進んでいく。

 アベルとアリアは前を、ヘンリーと、ブラウンと入れ替わったピエールが馬車の後ろを歩いていた(ブラウンはモンスターじいさん送りの次候補である)。

 

 

「……魔界……。そこにアベルさんのお母さまが……。天空の武器と防具を身に付けた勇者だけが取り戻せる……?」

 

「……らしい。……途方もない話だよね……」

 

 

 はは、とアベルは弱り目で乾いた笑いを浮かべる。

 

 

 ――それでも僕はさがすんだ。父さんの為に……。

 

 

 また(・・)だけど、それが僕の運命な気がする……と、アベルは隣を歩くアリアに視線を移した。

 

 

「…………、…………私、出来る限り協力しますよ」

 

「え……、けど、危ないよ……? 君は記憶を取り戻したら修道院に帰ってもいいんだよ……?(たまに会いに行くし……)」

 

 

 本当は一緒にいたいけど、どう考えてもこの先辛い旅になるのはわかっているから、そういうわけにもいかない。

 アリアの申し出に、アベルは危険だからとやんわり断るのだが。

 

 

「……ふふ、私の旅も似たようなものではありませんか? 記憶を取り戻しても呪われていますし、どの道世界中の教会を回らなくてはなりません。アベルさんさえご迷惑でなければ、しばらくご一緒させて下さい。力はあまり強くありませんが、呪文でしたらサポート出来ることもあると思います」

 

 

 フィーロ神父の見立てにより世界中の教会を回ることにしたらしく、アリアはアベルにお願いをするのだった。

 

 

「アリア……さん……」

 

 

 そんなの願ってもないことないことだよ……!

 記憶が戻っても、しばらく一緒に旅が出来るだって!?

 

 

 アベルはアリアの言い分に胸を疼かせ、表情を緩める。

 対照的に、アリアは瞳を伏せがちにぼそっと呟いた。

 

 

「…………アリアさん(・・)、て付けなくても……、いいんですけど……」

 

「えっ!? そ、そうかい!? …………っ、じゃ、じゃあアリア!」

 

 

 不満気なアリアの物言いに、アベルは目を丸くする。

 

 

 ――やっぱり、呼び捨てして良かったんじゃん!! ヘンリーが余計なこと云うから!!

 

 

 アベルは隣を歩くアリアに顔を向け、名を呼んだ。

 

 

「…………、……はい、アベルさん」

 

 

 アリアは優し気に瞳を細める。心なしか嬉しそうに見えた。

 

 

「……僕の旅に……付き合ってもらってもいい……ですか?」

 

「…………はいっ! もちろんです! ピエールさんもいらっしゃるし、アベルさんと一緒なら私も危険が少ないと思います!」

 

 

 アベルがおずおずと告げると“アベルさん強いから安心です!”とアリアは満面の笑みを浮かべる。

 

 

「それ、逆だと思うけど!? 僕の行く先は危険ばかりなんだけど!?」

 

「え? そうですか? ふふっ、アベルさんが護って下さるから、私は安全ですよね?」

 

 

 アリアがアベルを窺う様にじぃっと見つめて来る。

 神秘的な紫水晶の愛らしい瞳に射抜かれたのか、アベルの頬が赤く染まった。

 

 

「っっ! ……もちろんっ! 僕は絶対君を護るよ」

 

 

 アベルは照れながらも彼女から目を逸らさずに告げるのだが、

 

 

「……っ……、っ、あ、ありがとうございます……。私もアベルさんをお護りしますね……」

 

 

 アリアはふぃっと視線を逸らし、遠くを見るのだった。

 彼女の頬も耳も赤く色付いている。

 

 

「えっ、あっ、ああ。ありがとう……」

 

 

 アリア、照れてる……?

 というか、アリアもしかして僕のことを?

 自惚れかな……?

 

 

 アベルはアリアの横顔に、ひょっとして彼女は自分のことを少なからず想ってくれているのではと淡い期待を抱いた。

 

 

「こ、こちらこそ…………。っ!? アベルさんっ! 前方から魔物ですっ!!」

 

「ちっ、いいとこだったのに!!」

 

 

 アリアが前方から向かってくる魔物の群れに気付いて指を差す。

 すると、アベルは魔物に向かって走り出した。

 

 

「っ、いいとこって……、…………も、もぅ……(恥ずかしい……!)」

 

 

 アリアもアベルを追い掛けながら武器を手にする。

 二人が走り出したのが見えると、後列にいたヘンリーとピエールも走り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔物の群れは【ドラキー】四体に、長い首を持つイタチの魔物【ガスミンク】が二体、真ん丸い体型をした、頭部は緑にピンク色のたてがみを持つ派手な黄色いオウムのような魔物【ピッキー】が二体。

 何度か遭遇した面々である。

 

 アベル達はあっという間に魔物の群れを一掃したのだった。

 そして戦闘を終えると、消えゆく魔物達の中、一体の【ドラキー】が起き上がる。

 

 

「っ!? ひょっとして!?」

 

 

 アベルは起き上がって来た【ドラキー】の様子をアリアを自分の背に隠し、見ていた。

 

 

「……うう、痛たた……愛のムチ効いたぁ! キュー。ボクを仲間にして欲しいよぉ……」

 

 

 起き上がった【ドラキー】が仲間にして欲しそうにアベルを見ている。

 

 

「……ドラキーか……」

 

 

 ――確か、アリアは【ドラキー】が苦手だったような気がする……。

 

 

 アベルはチラッと、背後にいるアリアの様子を窺う。

 

 

「? どうかしましたか?」

 

「…………アリアはドラキー平気かい?」

 

「え……? ……あ、はい……。ドラキーさんを見ると…………ゾクゾクしますね……ウフフ」

 

 

 訊ねられ、アリアはアベルの背から顔を出し【ドラキー】を見て、瞳を伏せがちに下唇に人差し指を這わせ、不敵に微笑んだ。

 恍惚としたようなその顔が妖しく見える。

 

 

「え? あ、アリア……?(……ゴクリ)」

 

 

 思わぬアリアの表情にアベルはドキッとして唾を呑み込んだ。

 そして、固まってしまう。

 アリアはドラキーを物欲しそうな瞳で見ていたのだった。

 

 

 ――何、その顔……? 何でそんな……えっち……いや、うっとりした顔を……?

 

 

「……ほーんと……、カワイイんだぁ……、……………………、…………、……はっ!? わ、私!!?」

 

 

 僅かの間【ドラキー】を眺めてからアリアはハッとして、口元に両手を当て目を瞬かせる。

 

 

「あ、アリア……??(戻った……?)」

 

「っ、アベルさんっ……あのっ、私今っ……!??」

 

 

 すみません、どうかしてました! とアリアは頭を下げた。

 表情もすっかりいつもの柔和な顔に戻っていたが、自分の行動に戸惑っているようだった。

 

 ヘンリーとピエールもアリアの表情に驚いて顔を赤くし固まっていたが、アリアから顔を逸らしてゴールドを拾い出す。

 アベルは戸惑っているアリアに声を掛けた。

 

 

「……っ、いや、別にいいよ。ちょっとびっくりしただけ……。……あ、アリアがそんなに気に入ったなら、仲間にするよ……。けど、もう馬車がいっぱいだから……誰かをモンスターじいさんに送らないとな……」

 

 

 さっきの顔……ヤバい……。

 アリアあんな顔もするのか……!

 

 ああ、あの表情がもっと見たい!!

 ドラキーがいたら見れるかな!?

 

 

 アベルはよからぬ考えの下、そして、制御が利きにくいブラウンをモンスターじいさん送りにしようと馬車の後ろに回り、ブラウンに声を掛ける。

 

 

「ブラウン、君、モンスターじいさんの所に……」

 

「やーだよ。ぼくはいかないよ! こいつがいけばいいんだよ。このおばけきのこ! ばしゃのなかきのこはやすんだから」

 

 

 キャビン(馬車の中)からぴょこっと顔を出すとブラウンは断固拒否し、馬車からマッシュを蹴り落としたのだった。

 




ブラウンが癖強過ぎる。
いや、マッシュも中々……は次回!

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