やって来ましたアルカパの町。
ビアンカさんは居るのかなーっと。
では、本編!
第百八十三話 アルカパ来訪
ドラきちを仲間に加えアベル一行は、アリアご所望の原木を森で手に入れた後、アルカパへとやって来る(余談であるが、マッシュは原木を手に入れるなりキャビンにてキノコ栽培を始めました!)。
「ようこそ、アルカパの町に」
森林に囲まれたアルカパの町に入ると、町の女性が笑顔で迎えてくれた。
この町はオラクルベリーとは違い自然豊かな美しい町である。
馬車に仲間モンスター達を残し、アベル・アリア・ヘンリー・ピエールの四人は町を歩いて行く。
「ここが幼なじみの町か。ここは焼き払われてなくて良かったよ」
キョロキョロと当たりを見渡しヘンリーはほっと胸を撫で下ろしていた。
アリアとピエールも黙って町の様子を眺めている。
「ああ、そうだね……」
「お前の幼馴染みのビアンカちゃんって娘は元気かな? アベル、行ってみようぜ」
そうして、アベル達は先ずはビアンカの家を目指すことにした。
◇
アルカパ、宿屋――。
十年前、父パパスとアベルが泊まった宿屋である(当時姿は見えなかったが、アリアも一緒に泊っている)。
「ここが、ビアンカの家」
「へえ、ここがビアンカちゃんの家か。結構いい宿屋じゃないか。さて、ビアンカちゃんはどこにいるのかな?」
アベルが宿の扉を開くなり、ヘンリーが前に出て宿を見回した。
立派な宿にヘンリーは「今日の泊まりはここか!」とテンションアゲアゲである。
「ビアンカさん……」
「うん、僕達の幼馴染だよ。実は君のリボンをくれたのは彼女なんだ」
「えっ、そうだったんですか!? ぁっ……お礼言わなきゃ……」
「それで、僕の父さんが風邪を引いて…………――…………――」
「まあ……そうだったんですか??」
玄関を通りカウンタ―の前でアベルが説明すると、アリアは瞳をぱちぱちと瞬かせ驚いていた。
ここで君と一緒のベッドで寝ていたんだ……とは、恥ずかしくて口に出来ず、“一緒に泊ったんだ”くらいに留めておく。
「…………で、どう、かな?」
アベルがアリアを窺うが、彼女は首を左右に振った。
「…………そっか。うん、まあ、だと思った」
「ごめんなさ……」
ここでも思い出せないか……とアベルは腕組みをするも、次にはアリアの手を取り、
「ビアンカに会いに行こうよ!」
「あっ、アベルさんっ!(っ、強引……!)」
ビアンカの居るであろう部屋へとアリアを引っ張って行ったのだった。
“昔のように彼女の手を引いたら思い出すかな?”とアベルは意識的に彼女の手を取ってみたのだが、やはり昔と違って……、
「……っ……(照れる……)」
アベルの顔は熱く茹り、耳は赤かった。
「…………アベルさん? っ、あっ、お邪魔しますっ!」
アベルに連れられるまま宿のバックヤード的部屋に入るなり、アリアは頭を下げる。
「……あの、ビアンカは……?(というか、誰だこの人……ビアンカのお母さんじゃない、な……)」
アベルは部屋のテーブルで事務作業をしている婦人に声を掛けた。
うろ覚えながら、この婦人がビアンカの母ではない気がして、従業員なのかなとアベルは訊ねることにしたのだった。
ところが、
「え? ビアンカ? 知らないねそんな子は」
婦人は頭を左右に振る。
「……ではここに住んでいたご夫婦は……?」
「あたしら夫婦は七年程前、ダンカンっていう人からここを買い取って宿を始めたのさ」
「……そう、ですか……」
婦人の答えにアベルは肩を落とす。
アリアも後ろで落胆の色を見せていた。
ヘンリーも「え? じゃあビアンカちゃんは……」と首を傾げている。
「それより泊まっておゆきよ。今なら二泊以上ご利用のお客様に記念品をプレゼント! 是非二回以上お泊まりになって、あたしに声をかけてちょうだいね」
そして、婦人に営業されてしまった。
アベル達は一旦部屋から出て
「…………アベルさん」
ロビーに着くと、アリアはアベルの手をそっと放した。
「あ、ああ……。もう十年経っているし、引っ越してても不思議じゃないよね」
アベルは額を抱え、“はぁ”と残念そうに息を漏らした。
「……アベルさん……」
アリアは眉尻を下げ、アベルの様子を見守っている。
「ごめんね、アリア。ビアンカと会ったら何か思い出せると思ったんだけど……」
「いいえ。私のことならお気になさらず……。残念でしたね……。お会いしたかったでしょうに……」
顔を上げられないままアベルが告げると、アリアはアベルのマントを少し引いた。
その行動にアベルは顔を上げて、彼女を見下ろす。
「アリア……、僕のことを気にしてくれるのかい?」
「え? はい、もちろんです」
「っ……、そ、そうなんだ……」
本当に!?
アリア、僕のこと気にしてくれてるんだ!?
そうなんだ…………。
アリアが優し気にアベルを見上げているので、アベルは心が温かくなるのを感じたのだった。
「…………あんま、残念そうでもないのな……、な、ピエール?」
「……ははは……。そうみたいですね……(主殿はやはりアリア嬢を……)」
アベルとアリアを見ながらヘンリーとピエールはこそこそと話をする。
アベルとアリアの二人は和やかな雰囲気で微笑み合っていた。
しばらくして、アベルが口を開く。
「……今日はここに泊まることにして、明日レヌール城に行ってみようと思うんだけど、みんなはいいかな?」
「レヌール城??」
ヘンリーが訊ねる。
「思い出の場所なんだ。嫌ならここに残っててもらってもいいよ。一日で行って戻って来れるから、またここで泊まることになるだろうし」
「ふーん。思い出の場所ねぇ……(羨ましいこった)」
アベルの提案にヘンリーはつまらなそうに口を尖らせた。
「……アリアは行く……、よね?」
肝心のアリアが居なくては話にならない為、アベルは彼女に問う。
「あ、はい! 記憶が戻せるかもしれませんし、是非お願いします! 私、道中頑張ります!」
「…………うん、僕に任せてくれればいいから……。アリアは馬車の中でゆっくりしてていいんだよ……(そんなに頑張らなくて居るだけでいい……)」
胸の前でグッと両手拳を握りしめアリアが力強く頷くと、アベルは一生懸命なその姿に“可愛いなぁ”なんて見惚れつつ、うんうんと頷き返したのだった。
「そんなわけにはっ! 私呪文なら色々使えますよっ!」
アリアが腰に手を当て、顎を突き出しドヤ顔をするのだが。
「ぁ……うん……。可愛いね……」
――君はどんな表情も可愛いんだなぁ……。
つい、ぽろっとアベルの口から零れてしまった。
「へっ!? な、何がですか……?(可愛い? 今、可愛いって言ったの……?)」
「……っ、あっ、何でもない……(しまった。口に出てた!?)」
アリアが目をぱちくりさせてほんのりと頬を染めると、アベルは慌てて口を押える。
そんな中、
「……てぇええええいっ!!」
シュッと、アベルとアリアの間に風を切る音が聞こえた。
「……オレも行くに決まってるだろっ。……とはいえ、今日はまだ寝るには早いぜ?」
オレ達も居るってのに、この二人わぁあああっっ!!
見てられん!!
ヘンリーは居た堪れなくなり、二人の間に手刀を切り込み発言したのだった。
すると、
「あ、町でも歩くかい?」
アベルは町の散策を提案する。
「だな!」
「あっ、それ楽しそうですね!」
「お供します」
満場一致で、アルカパの町を散策することにした。
やっぱビアンカさん居なかったー!
と、原作沿いなため致し方ありません。
あ、マッシュのキノコはマッシュルーム……。じゃないやいっ!
アリアの記憶が戻ったら判明予定(その頃収穫します)。
だが、山奥の村では……!? っと、次回はアルカパの町を散策します。
----------------------------------------------------------------------
評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございましたっ!