女は女優。その顔、本当に心から笑ってる?
では、本編どうぞ!
◇
「ふぅ」
男の姿が見えなくなると、アリアは一息吐く。
無理をしたのだろうか、ふっと笑顔が消えて顔に疲れが見えた。
「……アリアさん、お疲れ。悪い悪い」
「…………ごめん、上手く
「あ、いえ……」
ヘンリーとアベルが詫びると、アリアは微笑する。
「アベル、ちゃんと天空の剣は隠しておけよ。一応伝説の武器なんだからな」
「……わかってるよ」
ちゃんと【ふくろ】の中に仕舞ってあるから大丈夫だよ、とアベルはヘンリーに告げた。
「……アベルさんもヘンリーさんも、嘘が吐けない方なのですね」
「「え……?」」
「ふふっ、困ったら私がお助けしますよ! 嘘吐くの得意ですから!」
アリアがアベルとヘンリーに満面の笑みを向ける。
「「…………」」
二人は何とも言えない顔でアリアを見ていた。
「あっ、嘘って言っても、誰かが傷付くようなことは言いませんよ? 心苦しいですし。ただ、仕事中お誘いを断ることが多くて……、嘘も方便よと教えられたんです」
「ああ……なるほど……」
「まあ……確かに……」
((女の人って、演技が上手いんだなぁ……、女優みたいだ……。))
にこにこと微笑むアリアに、アベルとヘンリーは自分達には嘘を吐かないで欲しいなと思うのだった。
そうして教会の前に差し掛かると、アベルが口を開く。
「教会か……、アリアの呪いの件もあるし……寄ってもいいかい?」
「ぁっ、はい! ありがとうございます」
アベルの言葉にアリアが頭を下げるとヘンリーとピエールも頷いた。
一同は教会へと向かう。
◇
教会に入ると吟遊詩人の男が席に着き讃美歌を歌っていた。
中々の美声にアベル達は耳を傾けつつ、神父にアリアの呪いについて事情を話し、払えないかと訊ねる。
「……私で解けるとは思いませんが、出来る限りやってみましょう」
アリアは祭壇を挟み神父に背を向け、祈るように手指を絡め目を閉じる。
神父がアリアに掛けられた呪いを解こうと祈りを捧げた。
淡く白い光がアリアを包みこんだかと思うと、その光はアリアの中へと吸い込まれていく。
「…………っ(どうだ!?)」
アベルはその様子を傍で見守る。
ヘンリーも同じように心配そうに見ていた。
「…………ふぅ。どうでしょうか……、僅かばかりですが呪いが薄まったように思うのですが……」
神父が“これ以上は私には無理です、申し訳ありません”と頭を下げる。
「いえっ、少しでも薄まったのなら嬉しいです! ありがとうございます、神父さま」
アリアは神父に振り返り、柔らかい笑みを浮かべた。
「…………わ、私がもっと修行していれば……あなた様をお救い出来たでしょうに!!」
神父はぽーっとアリアを眺めるのだった。
「っ……! 次、お祈りをお願いします!」
すかさずアベルはアリアと神父の間に割って入り、お祈りをお願いする。
「あっ! は、はい、ただいま!」
神父は慌てたようにお祈りの準備を始めた。
神父は目をカッ!! と大きく見開く。
ここの神父も目力は強かった(但し、糸目ではない)。
――そうしてお祈りを済ませると、アベルは先程出会った甲冑の男が云っていた“伝説に詳しい男”について神父に訊ねていた。
「伝説ですか……。私にはわかり兼ねますね……。そういうことなら酒場に行けば誰かが知っておられるのでは?」
「そうですか……。僕の母を見つけるにはどうやら“伝説”を知る必要があるみたいで……」
神父は“伝説に詳しい男”について知らないようなので、アベルは掻い摘んで事情を話す。
父パパスのことと、【天空のつるぎ】のことは伏せておいた。
「ご母堂様……ですか……」
「はい……。小さい頃に生き別れたままで……」
「では、お小さい頃に生き別れたご母堂様をお捜しに……? 何と途方もない旅でしょうか。あなた方に神のご加護があらんことを……」
吟遊詩人の音色が終わりを告げる頃、アベルは神父との話を終え、思ったような情報は得られなかったなと皆で頷き合う。
アリアの呪いだけでも軽減出来て良かったよと、外に出ようと出入口へと向かった。
……不意に、
「……失礼、旅のお方」
先程まで歌っていた吟遊詩人がアベルに声を掛けてくる。
「はい?」
「誰かをおさがしの旅ですか?」
アベルが吟遊詩人に耳を傾け立ち止まると「すみません、聞こえてしまって」と吟遊詩人は軽く会釈した。
「あ、はい……」
「そういえば昔、攫われた王妃をさがして旅に出た王様がいたとか。その後見つけたとは聞きませんから今もさがしているのでしょう。ロマンティックな話ですね」
「……あ、はあ……」
――さがし続けることがロマンティック?? ……そうかな……??
アベルは首を傾げるが、吟遊詩人の男は“ラララ~”と今度は愛の歌を歌い始めてしまう。
“愛~、愛~♪ それはあ~~い~~、ラララ~♪”
(あ、これを聴かせたかっただけかな?)
アベルは悦に入り歌う吟遊詩人を前に「はは……」と、乾いた笑いしか出なかった。
後ろでアリアがぽけーっと立ち止まってアベルが動き出すのを待っている(突然歌い出した吟遊詩人に目を丸くしていた)。
そんなアベルとアリアに待ちぼうけのヘンリーが声を掛けた。
「アベル、行こうぜ。アリアさんもぼーっとしてないでさ」
「ああ」「え、あっ、はい!」
ヘンリーに促され、二人は歩き出す。
「ロマンティックねえ。実際人さがしをしてる身からすりゃ、ロマンもクソもないと思うけどな」
「だよね」
「ですよね……」
ヘンリーの言葉にアベルとアリアは頷いた。
「……王妃様、見つかるといいですね」
「…………うん、そうだね」
「アベルさんのお母様も……」
「う、うん……」
「頑張りましょうねっ」
協力は惜しみませんっ! とアリアが優しい笑顔をアベルに向けるので、アベルはその笑顔に癒されたのだった。
アリアさん、嘘吐きだったんですね~。
逆上されても怖いから、身を護る術ってやつですね。
吟遊詩人よ、あんたその話何処から聞いたのよってね……。
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