ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

女は女優。その顔、本当に心から笑ってる?

では、本編どうぞ!



第百八十六話 女は女優

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

 

 男の姿が見えなくなると、アリアは一息吐く。

 無理をしたのだろうか、ふっと笑顔が消えて顔に疲れが見えた。

 

 

「……アリアさん、お疲れ。悪い悪い」

 

「…………ごめん、上手く(かわ)せなくて」

 

「あ、いえ……」

 

 

 ヘンリーとアベルが詫びると、アリアは微笑する。

 

 

「アベル、ちゃんと天空の剣は隠しておけよ。一応伝説の武器なんだからな」

 

「……わかってるよ」

 

 

 ちゃんと【ふくろ】の中に仕舞ってあるから大丈夫だよ、とアベルはヘンリーに告げた。

 

 

「……アベルさんもヘンリーさんも、嘘が吐けない方なのですね」

 

「「え……?」」

 

「ふふっ、困ったら私がお助けしますよ! 嘘吐くの得意ですから!」

 

 

 アリアがアベルとヘンリーに満面の笑みを向ける。

 

 

「「…………」」

 

 

 二人は何とも言えない顔でアリアを見ていた。

 

 

「あっ、嘘って言っても、誰かが傷付くようなことは言いませんよ? 心苦しいですし。ただ、仕事中お誘いを断ることが多くて……、嘘も方便よと教えられたんです」

 

「ああ……なるほど……」

 

「まあ……確かに……」

 

 

((女の人って、演技が上手いんだなぁ……、女優みたいだ……。))

 

 

 にこにこと微笑むアリアに、アベルとヘンリーは自分達には嘘を吐かないで欲しいなと思うのだった。

 

 そうして教会の前に差し掛かると、アベルが口を開く。

 

 

「教会か……、アリアの呪いの件もあるし……寄ってもいいかい?」

 

「ぁっ、はい! ありがとうございます」

 

 

 アベルの言葉にアリアが頭を下げるとヘンリーとピエールも頷いた。

 一同は教会へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 教会に入ると吟遊詩人の男が席に着き讃美歌を歌っていた。

 中々の美声にアベル達は耳を傾けつつ、神父にアリアの呪いについて事情を話し、払えないかと訊ねる。

 

 

「……私で解けるとは思いませんが、出来る限りやってみましょう」

 

 

 アリアは祭壇を挟み神父に背を向け、祈るように手指を絡め目を閉じる。

 神父がアリアに掛けられた呪いを解こうと祈りを捧げた。

 淡く白い光がアリアを包みこんだかと思うと、その光はアリアの中へと吸い込まれていく。

 

 

「…………っ(どうだ!?)」

 

 

 アベルはその様子を傍で見守る。

 ヘンリーも同じように心配そうに見ていた。

 

 

「…………ふぅ。どうでしょうか……、僅かばかりですが呪いが薄まったように思うのですが……」

 

 

 神父が“これ以上は私には無理です、申し訳ありません”と頭を下げる。

 

 

「いえっ、少しでも薄まったのなら嬉しいです! ありがとうございます、神父さま」

 

 

 アリアは神父に振り返り、柔らかい笑みを浮かべた。

 

 

「…………わ、私がもっと修行していれば……あなた様をお救い出来たでしょうに!!」

 

 

 神父はぽーっとアリアを眺めるのだった。

 

 

「っ……! 次、お祈りをお願いします!」

 

 

 すかさずアベルはアリアと神父の間に割って入り、お祈りをお願いする。

 

 

「あっ! は、はい、ただいま!」

 

 

 神父は慌てたようにお祈りの準備を始めた。

 

 

 

 

 神父は目をカッ!! と大きく見開く。

 ここの神父も目力は強かった(但し、糸目ではない)。

 

 

 

 

 ――そうしてお祈りを済ませると、アベルは先程出会った甲冑の男が云っていた“伝説に詳しい男”について神父に訊ねていた。

 

 

「伝説ですか……。私にはわかり兼ねますね……。そういうことなら酒場に行けば誰かが知っておられるのでは?」

 

「そうですか……。僕の母を見つけるにはどうやら“伝説”を知る必要があるみたいで……」

 

 

 神父は“伝説に詳しい男”について知らないようなので、アベルは掻い摘んで事情を話す。

 父パパスのことと、【天空のつるぎ】のことは伏せておいた。

 

 

「ご母堂様……ですか……」

 

「はい……。小さい頃に生き別れたままで……」

 

「では、お小さい頃に生き別れたご母堂様をお捜しに……? 何と途方もない旅でしょうか。あなた方に神のご加護があらんことを……」

 

 

 吟遊詩人の音色が終わりを告げる頃、アベルは神父との話を終え、思ったような情報は得られなかったなと皆で頷き合う。

 アリアの呪いだけでも軽減出来て良かったよと、外に出ようと出入口へと向かった。

 

 

 ……不意に、

 

 

「……失礼、旅のお方」

 

 

 先程まで歌っていた吟遊詩人がアベルに声を掛けてくる。

 

 

「はい?」

 

「誰かをおさがしの旅ですか?」

 

 

 アベルが吟遊詩人に耳を傾け立ち止まると「すみません、聞こえてしまって」と吟遊詩人は軽く会釈した。

 

 

「あ、はい……」

 

「そういえば昔、攫われた王妃をさがして旅に出た王様がいたとか。その後見つけたとは聞きませんから今もさがしているのでしょう。ロマンティックな話ですね」

 

「……あ、はあ……」

 

 

 ――さがし続けることがロマンティック?? ……そうかな……??

 

 

 アベルは首を傾げるが、吟遊詩人の男は“ラララ~”と今度は愛の歌を歌い始めてしまう。

 

 

 “愛~、愛~♪ それはあ~~い~~、ラララ~♪”

 

 

(あ、これを聴かせたかっただけかな?)

 

 

 アベルは悦に入り歌う吟遊詩人を前に「はは……」と、乾いた笑いしか出なかった。

 後ろでアリアがぽけーっと立ち止まってアベルが動き出すのを待っている(突然歌い出した吟遊詩人に目を丸くしていた)。

 

 そんなアベルとアリアに待ちぼうけのヘンリーが声を掛けた。

 

 

「アベル、行こうぜ。アリアさんもぼーっとしてないでさ」

 

「ああ」「え、あっ、はい!」

 

 

 ヘンリーに促され、二人は歩き出す。

 

 

「ロマンティックねえ。実際人さがしをしてる身からすりゃ、ロマンもクソもないと思うけどな」

 

「だよね」

 

「ですよね……」

 

 

 ヘンリーの言葉にアベルとアリアは頷いた。

 

 

「……王妃様、見つかるといいですね」

 

「…………うん、そうだね」

 

「アベルさんのお母様も……」

 

「う、うん……」

 

「頑張りましょうねっ」

 

 

 協力は惜しみませんっ! とアリアが優しい笑顔をアベルに向けるので、アベルはその笑顔に癒されたのだった。

 




アリアさん、嘘吐きだったんですね~。
逆上されても怖いから、身を護る術ってやつですね。

吟遊詩人よ、あんたその話何処から聞いたのよってね……。

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読んでいただきありがとうございましたっ!
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