ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

女は女優。その顔、本当に心から笑ってる?

では、本編どうぞ!



第百八十六話 女は女優

 

◇

 

 

 

 

「ふぅ」

 

 

 男の姿が見えなくなると、アリアは一息吐く。

 無理をしたのだろうか、ふっと笑顔が消えて顔に疲れが見えた。

 

 

「……アリアさん、お疲れ。悪い悪い」

 

「…………ごめん、上手く躱(かわ)せなくて」

 

「あ、いえ……」

 

 

 ヘンリーとアベルが詫びると、アリアは微笑する。

 

 

「アベル、ちゃんと天空の剣は隠しておけよ。一応伝説の武器なんだからな」

 

「……わかってるよ」

 

 

 ちゃんと【ふくろ】の中に仕舞ってあるから大丈夫だよ、とアベルはヘンリーに告げた。

 

 

「……アベルさんもヘンリーさんも、嘘が吐けない方なのですね」

 

「「え……?」」

 

「ふふっ、困ったら私がお助けしますよ! 嘘吐くの得意ですから!」

 

 

 アリアがアベルとヘンリーに満面の笑みを向ける。

 

 

「「…………」」

 

 

 二人は何とも言えない顔でアリアを見ていた。

 

 

「あっ、嘘って言っても、誰かが傷付くようなことは言いませんよ? 心苦しいですし。ただ、仕事中お誘いを断ることが多くて……、嘘も方便よと教えられたんです」

 

「ああ……なるほど……」

 

「まあ……確かに……」

 

 

((女の人って、演技が上手いんだなぁ……、女優みたいだ……。))

 

 

 にこにこと微笑むアリアに、アベルとヘンリーは自分達には嘘を吐かないで欲しいなと思うのだった。

 

 そうして教会の前に差し掛かると、アベルが口を開く。

 

 

「教会か……、アリアの呪いの件もあるし……寄ってもいいかい?」

 

「ぁっ、はい! ありがとうございます」

 

 

 アベルの言葉にアリアが頭を下げるとヘンリーとピエールも頷いた。

 一同は教会へと向かう。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 教会に入ると吟遊詩人の男が席に着き讃美歌を歌っていた。

 中々の美声にアベル達は耳を傾けつつ、神父にアリアの呪いについて事情を話し、払えないかと訊ねる。

 

 

「……私で解けるとは思いませんが、出来る限りやってみましょう」

 

 

 アリアは祭壇を挟み神父に背を向け、祈るように手指を絡め目を閉じる。

 神父がアリアに掛けられた呪いを解こうと祈りを捧げた。

 淡く白い光がアリアを包みこんだかと思うと、その光はアリアの中へと吸い込まれていく。

 

 

「…………っ(どうだ!?)」

 

 

 アベルはその様子を傍で見守る。

 ヘンリーも同じように心配そうに見ていた。

 

 

「…………ふぅ。どうでしょうか……、僅かばかりですが呪いが薄まったように思うのですが……」

 

 

 神父が“これ以上は私には無理です、申し訳ありません”と頭を下げる。

 

 

「いえっ、少しでも薄まったのなら嬉しいです! ありがとうございます、神父さま」

 

 

 アリアは神父に振り返り、柔らかい笑みを浮かべた。

 

 

「…………わ、私がもっと修行していれば……あなた様をお救い出来たでしょうに!!」

 

 

 神父はぽーっとアリアを眺めるのだった。

 

 

「っ……! 次、お祈りをお願いします!」

 

 

 すかさずアベルはアリアと神父の間に割って入り、お祈りをお願いする。

 

 

「あっ! は、はい、ただいま!」

 

 

 神父は慌てたようにお祈りの準備を始めた。

 

 

 

 

 神父は目をカッ!! と大きく見開く。

 ここの神父も目力は強かった(但し、糸目ではない)。

 

 

 

 

 ――そうしてお祈りを済ませると、アベルは先程出会った甲冑の男が云っていた“伝説に詳しい男”について神父に訊ねていた。

 

 

「伝説ですか……。私にはわかり兼ねますね……。そういうことなら酒場に行けば誰かが知っておられるのでは?」

 

「そうですか……。僕の母を見つけるにはどうやら“伝説”を知る必要があるみたいで……」

 

 

 神父は“伝説に詳しい男”について知らないようなので、アベルは掻い摘んで事情を話す。

 父パパスのことと、【天空のつるぎ】のことは伏せておいた。

 

 

「ご母堂様……ですか……」

 

「はい……。小さい頃に生き別れたままで……」

 

「では、お小さい頃に生き別れたご母堂様をお捜しに……? 何と途方もない旅でしょうか。あなた方に神のご加護があらんことを……」

 

 

 吟遊詩人の音色が終わりを告げる頃、アベルは神父との話を終え、思ったような情報は得られなかったなと皆で頷き合う。

 アリアの呪いだけでも軽減出来て良かったよと、外に出ようと出入口へと向かった。

 

 

 ……不意に、

 

 

「……失礼、旅のお方」

 

 

 先程まで歌っていた吟遊詩人がアベルに声を掛けてくる。

 

 

「はい?」

 

「誰かをおさがしの旅ですか?」

 

 

 アベルが吟遊詩人に耳を傾け立ち止まると「すみません、聞こえてしまって」と吟遊詩人は軽く会釈した。

 

 

「あ、はい……」

 

「そういえば昔、攫われた王妃をさがして旅に出た王様がいたとか。その後見つけたとは聞きませんから今もさがしているのでしょう。ロマンティックな話ですね」

 

「……あ、はあ……」

 

 

 ――さがし続けることがロマンティック?? ……そうかな……??

 

 

 アベルは首を傾げるが、吟遊詩人の男は“ラララ~”と今度は愛の歌を歌い始めてしまう。

 

 

 “愛~、愛~♪ それはあ~~い~~、ラララ~♪”

 

 

(あ、これを聴かせたかっただけかな?)

 

 

 アベルは悦に入り歌う吟遊詩人を前に「はは……」と、乾いた笑いしか出なかった。

 後ろでアリアがぽけーっと立ち止まってアベルが動き出すのを待っている(突然歌い出した吟遊詩人に目を丸くしていた)。

 

 そんなアベルとアリアに待ちぼうけのヘンリーが声を掛けた。

 

 

「アベル、行こうぜ。アリアさんもぼーっとしてないでさ」

 

「ああ」「え、あっ、はい!」

 

 

 ヘンリーに促され、二人は歩き出す。

 

 

「ロマンティックねえ。実際人さがしをしてる身からすりゃ、ロマンもクソもないと思うけどな」

 

「だよね」

 

「ですよね……」

 

 

 ヘンリーの言葉にアベルとアリアは頷いた。

 

 

「……王妃様、見つかるといいですね」

 

「…………うん、そうだね」

 

「アベルさんのお母様も……」

 

「う、うん……」

 

「頑張りましょうねっ」

 

 

 協力は惜しみませんっ! とアリアが優しい笑顔をアベルに向けるので、アベルはその笑顔に癒されたのだった。

 




アリアさん、嘘吐きだったんですね~。
逆上されても怖いから、身を護る術ってやつですね。

吟遊詩人よ、あんたその話何処から聞いたのよってね……。

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感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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