ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

キスは想いが通じ合ってから。

では、本編どぞ。



第百九十八話 キスは恋人同士で

 

 ……三階の部屋にヘンリーは戻り、扉を開いた。

 

 

「ここのバルコニーって眺めめっちゃいぃ………………っっ!!??」

 

 

 ヘンリーは部屋に一歩入った途端、固まってしまう。

 彼の目の前で、アベルとアリアが口付けを交わしているではないか……!?

 

 

「ぁ…………っ、邪魔したなっ!」

 

 

 アリアが扉側に背を向けアベルを見上げる恰好で、二人はキスをしている……。

 

 見てはいけないものを見たような気がして、ヘンリーは慌てて踵を返し、部屋を出ようとしたのだが。

 

 

「ん……? あっ、ヘンリーさん! おかえりなさい!」

 

 

 ヘンリーの声に気付いたアリアがくるりと身体を反転する。

 

 

「っっ……!(気まずいんだけど……!?)」

 

 

 呼び止められて、ヘンリーは立ち止まってしまった。

 

 

「アリア、まだ取れてないよ。もう一回見せて」

 

「っ、はい……」

 

 

 アベルの声にアリアが再びヘンリーに背を向ける。

 また二人は口付けを始めてしまった。

 

 

 ――いや、これ口付けか?

 

 

「え……?」

 

 

 ヘンリーは何かおかしいなと思い、様子を見ることにした。

 

 

「…………うーん……、あ、コレかな……」

 

 

 アベルはアリアの瞳を覗き込んで目の下辺りに触れている。

 

 

「……どうしたんだ?」

 

「さっき強い風が吹いた時に、アリアの目にゴミが入っちゃったみたいなんだ」

 

「擦って取ろうと思ったんですけど、取れなくって。アベルさんが取って下さるというので見てもらっていたんです」

 

 

 ヘンリーが二人に近づいていくと、アリアの片目が赤く充血していたのだった。

 

 

「あ、何だ……キスしてたんじゃなかったんか……。オレはてっきり……」

 

「「キスっっ!!??」」

 

 

 ヘンリーの一言に二人は驚き、ビクッと肩を揺らす。

 酒場の地下を思い出したのか、顔が瞬時に茹で上がってしまった。

 

 

「っ、…………き、キスだなんて……そ、そんなこと……するわけないじゃないか……」

 

「っ、そ、そうですよ……。そういうのは恋人同士でするものでしょう……???」

 

 

 真っ赤な顔のまま見つめ合いながら、アリアは目に入ったゴミが取り除かれるのを待つ。

 

 

「……恋人同士…………、ぁ、取れた……(もうちょっとアリアを間近で見ていたかったなぁ……)」

 

 

 アベルはアリアの目の中に入っていた砂粒を取り去ると、名残惜しそうに彼女から離れた。

 

 

 恋人同士なら口付けしてもいいんだ……?

 恋人……。恋人か……。

 

 

 恋人っていい響きだな……と、アベルはさっきまで間近で見つめたアリアの唇をチラ見してしまう。

 アリアの唇はふっくらとして艶があり、酒の抜けた今は桃色の健康的な色をしていた。

 

 

 あの柔らかそうな唇にいつか触れられたらいいのに。

 重ねて、噛みついて、引っ張って、中の赤い舌も貪れたなら……。

 

 

 イケナイ妄想がつい捗ってしまう。

 

 

「ありがとうございました。……うん、お陰様でもうゴロゴロしなくなりました」

 

 

 アベルが自分の唇に注視してるなど夢にも思わないアリアは、瞳を擦ってから明るく微笑む。

 まだ顔は赤かったが、ヘンリーが居る手前、気取られないように努めたのだった。

 

 

「…………、…………アリア。この部屋で何か思い出せた?」

 

 

 アベルも察して、アリアに何か思い出したか訊ねる。

 

 

「……いえ……、何も…………」

 

 

 アリアは頭を左右に振る。何も思い出せないようだった。

 

 

「そうか……。……まぁ、しょうがないね。多分そうだろうなって思ってた」

 

「すみません……」

 

「いいんだ、ゆっくりで。大丈夫。いつかきっと思い出せるよ」

 

 

 申し訳なさそうにアリアが俯くと、アベルは彼女の頭を優しく撫でる。

 

 

「はい……」

 

 

 アリアはちらっとアベルを見上げてから頷いた。

 彼女の頬は赤らんでいて、少し恥ずかしそうだ。

 

 アベルはそれに気付くと、(なら)うように頬を染めて口角を上げる。

 そこはまるで二人の世界であるかのような甘い空気が漂っていた。

 

 

(…………ったく、こっちは悩み満載だっていうのにやってられんなっ!!)

 

 

 アベルとアリア、二人の世界にヘンリーはやっぱり居心地の悪さを感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の晩――。

 アベルはふと目が覚めて、隣を何となく見てみる。

 するとヘンリーが半身を起こし、何か考えごとをしている様子で腕組みをしていた。

 

 

「起きたのか? アベル」

 

「ん……まぁ。……眠れないのかい?」

 

 

 アベルも身体を起こして、ヘンリーに訊ねる。

 

 

「いや、ちょっとお城のことを思い出していてね……。町の人に聞いたけど親父が死んでいたなんてちょっとショックだったな……。弟のデールが王になったらしいけど、あんまり評判もよくないみたいだし」

 

「……ヘンリーの所為じゃないよ……」

 

 

 部屋が暗くてよく見えないが、ヘンリーの声に元気がなかったのでアベルはフォローを入れた。

 

 

「ちょっとだけ帰ってみるかなあ……、ラインハットはここから東の方だったよなあ……」

 

「……ラインハット……」

 

「まあいいや。今夜はもう寝よう、寝よう!」

 

 

 ヘンリーはベッドに潜り込んでアベルに背を向ける。

 

 

「……ヘンリー……」

 

 

 アベルはヘンリーの気持ちを察し、彼の背を眺める。

 

 

 ごめん、ヘンリー……。

 アリアの事ばっかり気になっていて、ヘンリーのことを気にしてあげられてなかった……。

 

 

 明日はレヌール城に行くとして、明後日辺りラインハットに行ってみようかと思ったが、アリアの事が引っ掛かる。

 彼女を連れて行っても大丈夫なのだろうか……と。

 

 親友の様子が気にはなったが、

 

 

「……アリアゆっくり休めてるかな……?」

 

 

 やっぱりアリアのことが気になってしまうアベルだった。

 

 

 

 その頃のアリアはというと……。

 ピエールに見守られ、すやすやと健やかな寝息を立て眠っていたのだった。

 




アベルさん、しあわせな旅継続中……。
ヘンリー君、ちょっと可哀想w

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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