ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

呪いの症状は様々。

では、本編どぞ。



第二百七話 呪いの症状

 

 アベル達が道具屋に入ると店主が客用テーブルで帳簿を付けていた。

 奥にあるカウンターテーブルには誰もいない。

 

 

「いらっしゃいませ。……っと言っても、もう今日は終わりました。すみません、明日またお願いします」

 

 

 店主はアベル達に気付くと、羽根ペン片手に顔を上げ軽く会釈する。

 

 

「あ、すみません。やってるかわからなかったので入って来てしまいました」

 

「昔は姉が店をやってたんだけど、ここの売上げじゃとても税金が払いきれなくて……。オラクルベリーまで出稼ぎに行ってるんです。昔はこの城の方がずっと栄えていたんですけどねえ」

 

 

 店主が話しながら眉間に皺を寄せる。目線は手元の帳簿に注がれていた。

 税金の項目に頭を悩ませているようで、そこから計算が進んでいないらしい。

 

 

「そうなんですね……」

 

 

 “うーん”と帳簿と睨めっこし頭を悩ませている店主に、アベルは忙しそうだなとヘンリーとアリアに目配せをした。

 二人は小さく頷いている。

 

 

「ご用がありましたら、明日の昼間にまたお越しください」

 

「はい、わかりました……」

 

 

 アベル達は店主に頭を下げ、道具屋を後にした。

 道具屋を出ると、ヘンリーが口を開く。

 

 

「他にも出稼ぎに行ってる人がいるんだろうな。……城下町が淋しくなるワケだ」

 

 

 ここは城下町だ。

 夜間とはいえ、外を出歩く人が二人しかいないなんておかしいと思ったんだよ。

 そもそも人が国から出ていっていたとは……。

 

 

 ヘンリーはラインハットの現状を知る度、胸を痛めるのだった。

 

 

「……ヘンリー……」「ヘンリーさん……」

 

「……ん? あ、へへっ。……まあ、今更気にしてもしょうがないよなっ」

 

 

 アベルとアリアが憂いを帯びた顔のヘンリーを窺うと、彼は慌てて笑顔を取り繕う。

 

 

「……さぁ、じゃあそろそろ宿屋に行こうか。………………アリア?(何か様子がおかしい……?)」

 

 

 アベルが声を掛けると、アリアはぼーっとした様子で顔を上げる。

 

 

「…………、…………ぁ。はい?」

 

「もう眠い?」

 

 

 アリアが首を傾げると、アベルが窺う。

 

 

「…………ぁ、ごめんなさい……、少しだけ……。今日はちょっと体力が落ちていて……」

 

 

 ご迷惑をお掛けして……とアリアは頭を下げた。なんだかぐったりしている気がする。

 

 

「え?」

 

 

 ぱちぱちとアベルの瞳が瞬いた。

 

 

 あれ? 彼女、何だか具合が悪そうじゃないか……?

 顔色が悪いような……。

 

 

「……何か体調悪そうだけど……、大丈夫かい?」

 

 

 ヘンリーも気付いたのか「宿屋へ急ごう」と告げた。

 

 

「ぁ……、呪いの所為で……、その日その日で症状が変わるんです……。何もない日もあるんですけど……、今日は体力が落ちる日みたいで……」

 

 

 アリアは申し訳なさそうに“さっきまでは元気だったんですけど……”と後れ毛を耳に掛けた。

 

 

「っ、そういうことは早く言ってくれっ!」

 

「え? あっ! わっ!?(アベルさんっ!?)」

 

 

 アベルが慌ててアリアを横向きに、背と膝裏に腕を差し入れ抱き上げる。

 

 

「おいアベルっ!?」

 

 

 ヘンリーが驚きの声を上げた。

 

 

「あっ、アベルさんっ!!? だ、大丈夫! 私、歩くっ、歩けますっ!!」

 

 

 アリアは急に抱き上げられ驚いて手脚をばたつかせた。

 

 

「っ、いいからっ!!」

 

「で、でもっ!!」

 

「暴れないで、じっとしててくれ!」

 

 

 アベルは語気を強めアリアに言い聞かせ、宿屋へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラインハット城下町、宿屋――……。

 宿屋に着くなりアベルはアリアを抱えたまま、おかみに話し掛ける。

 

 

「ようこそ旅の宿に。夜道を歩かれて、さぞやお疲れでしょう。ひと晩64ゴールドになりますが、お泊まりになりますか?」

 

 

 宿屋のおかみが悠長に訊いて来るのだが。

 

 

「っ、彼女を早く休ませたいんです! 早く部屋へ案内してくださいっ! ヘンリー、ここからお金を出して払ってくれっ。早くっ(目の前の状況見えていないのか!? アリアの顔、真っ青じゃないか!!)」

 

 

 外では気が付かなかったが、宿内の灯りでアリアの顔色が真っ青なことに気が付くと、アベルはおかみに早く部屋に案内するよう告げたのだった。

 アリアは「だ、大丈夫ですってば……」と、恐縮している。

 

 

「えっ? お、おう、わかった!」

 

 

 アベルの奴、珍しく慌ててんな……。

 そういや、アベルってアリアの事となると冷静さに欠けるんだよな……。

 

 

 ヘンリーは「早く早く!」と急かしてくるアベルに言われた通り【ふくろ】からお金を取り出し、カウンターに64ゴールド置く。

 すると、

 

 

「はっ、はい、ただいまっ!!」

 

 

 おかみがこちらですと、急かされるように二階へと案内を始めた。

 その後ろにアベルはアリアを抱えたまま ついて行く。ヘンリーもすぐ後ろに続いた。

 

 

 ばたばたばた。と、

 

 

 部屋へと案内され、アベルは一番奥のベッドにアリアを寝かせる。

 掛布団を彼女にしっかりと掛けて、ポンポンポンと優しく布団越しに撫でてやった。

 

 

「そ、それではごゆっくり おやすみください」

 

 

 おかみが会釈して部屋から出ていくと、アベルはやっと一息吐く。

 

 

「……ふぅ。これで一安心……」

 

 

 額に掻いた汗をアベルは拭った。

 その様子をアリアがじーっと見上げ、汗を拭うアベルに声を掛ける。

 

 

「ぁ……あの……」

 

 

 すると、アベルは床に両膝をついてアリアと目線を合わせたのだった。

 

 

「……ごめん、気付いてあげられてなかったね……」

 

「ぁ、私の方こそ黙っていて……ごめんなさい……」

 

 

 アベルが真っ直ぐにアリアの瞳を見つめると、アリアは掛布団を鼻まで引っ張り上げ目だけ出して謝る。

 

 

「うん……。それは本当に、そうだと思う……。体調が悪い時はちゃんと言って欲しい」

 

 

 少しだけムッとしたような顔で、アベルはアリアのフードを捲った。

 

 

「…………ごめんなさい……。またご迷惑を掛けてしまいました……」

 

「あっ、や、ちがっ、そうじゃないよっ!?」

 

 

 しゅーん、とアリアが落ち込んだ途端、アベルは狼狽え両手の平と頭を左右に何度も振る。

 

 

「え……?」

 

「……迷惑だなんて思ってない。そうじゃなくて……、辛い時は教えて欲しいだけなんだ」

 

 

 ちょっと強く言い過ぎたかなと、アベルは彼女に誤解させないよう言い直した。

 

 

「アベルさん……」

 

「呪いの症状がどう出るのか訊いておけば良かったなって。そしたらほら、馬車で休むことも出来るだろう? ……だから症状がどんなものか教えてくれると嬉しいんだけど……」

 

 

 答えてくれるかはわからないが、アリアの身に起きていることを知りたい。

 アベルはその一心で彼女に訊ねていた。

 

 

「ぁ……、……主に体力の低下と、魔力の低下が起こるみたいです。ただ、毎日でもないですし、私自身あまり気にしてはいなくて……。今日はたまたま長距離を歩いたのと重なってしまって……ごめんなさい」

 

 

 アリアは上体を起こそうとするが、アベルはそれを止める。

 

 

「謝らなくていい。その呪いはアリアの所為じゃないんだから」

 

「アベルさん……?」

 

「注意深く見てたつもりだったけど……、もっと注意した方が良さそうだ。っ、もっと注意深く見ることにするけど……、いい?」

 

「え? 注意深く見る……? あ、はい……、よくわかりませんが……、よろしくお願いします……?」

 

 

 起き上がろうとしたアリアの身体を再び横たえ、アベルは ずれてしまった布団を直してやった。

 

 

「うん。……安心して。僕がきっと君の呪いを解いてみせるよ。記憶も取り戻させてあげる。だから今日はもうおやすみ」

 

「……ぁ、はい……。ありがとうございます。おやすみなさい……」

 

 

 アベルに頭を撫でられ、アリアは目を閉じる。

 体力が低下しきっていた所為か、彼女はすぐに睡魔に襲われ意識を手放したのだった。

 




お姫様抱っこ……v
アベルのアリアに対する愛情が日に日に増してる気がします。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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