えっ、もうにじゅーわ!?
レヌール城は?
……まだまだですっ!
では、本編どうぞ!
「はー……! 帰って来た~! さあ、今日はもう休みましょう! また明日ね。おやすみ、アベル」
町に戻り宿屋に到着するなりビアンカが「解散~」と手を振り家族の部屋へと入って行く。
「……ニオイ……?(……か……。そういやお風呂入ってないな私……)」
……アリアは自分の身体をくんくんと嗅いでみるが、特に臭いは感じられなかった。
この世界に風呂に入る習慣なんてあるのだろうかと謎ではあるが、ドラクエ世界に風呂が存在することは知っている。
アベルの家に風呂が無かったから入っても入らなくてもどっちでもいいのか……などと細かなことが気になってしょうがない。
「さてと、僕らも休もう? って、アリア、何してんの?」
「あ、臭いのかなって……」
「いい匂いだって言ってたでしょ?」
嗅いでたら落ち着くし、ほっとするんだよ――とアベルは思ったが何となく気恥ずかしくて、口には出さないでおく。
……そうして二人は部屋へと戻ろうと移動を始めた。
「っ、でも私、お風呂入ってないし……(前回いつ入ったのか不明っていう……)」
アベルが先導する形で階段に差し掛かると、アリアから小さな呟きが聞こえる。
「お風呂……。あ、確かここの二階にあったよ?」
ビアンカと共に散策した二階のバスルームを思い出し、アベルはアリアに教えてあげる。
やにわにアリアの瞳はキラキラと輝き出した。
「本当!? 入ってもいいかな?」
「……いいんじゃないかな?」
階段を上がりながら、アベルを見上げてにこにこと嬉しそうにするアリアにアベルも釣られて笑う。
――ビアンカも可愛かったけど、アリアって可愛く笑うなぁ……。
女の子って可愛いんだ……と、アリアの愛らしい笑顔にアベルの胸がきゅっと締め付けられた気がした。
「あ、でも、すり抜けて使えなかったりして」
「なら僕も一緒に入ろうか?」
「っ!? それはダメよっ」
アベルの提案にアリアが大きな声を上げて拒否をする。
「え……? 何で……? 僕も入ろうかなって思ってたから一緒に入ったらどうかなと思っただけ、なんだけど……」
アベルは突然大声で拒否され、目をぱちぱちと瞬かせた。
「っ……、あ、いや、その……。私女の子だし、あなた男の子でしょ……? それはちょっと…………」
――自分の子供ならいざ知らず……、子供なんて産んだことないもの。
まして甥っ子でもないわけだし。
さすがにそれは私でも恥ずかしいよ……。
……アリアはしどろもどろでごにょごにょ。
そうこうしているうちに、バスルームの手前まで来てしまった。
「……ん? 僕、父さんと一緒にお風呂に入るけど……? まぁ、旅してたから毎日入れるわけじゃなかったけど……」
「っ、あのね、アベル。男の子と女の子は一緒にお風呂には入らないのよ?」
不思議顔のアベルにアリアが諭すように告げる。
「そうなの?」
「そうなの。そういうのはもっと大きくなって好きな人と入るもので……」
「え? 好きな人となら入って良いの?」
アリアの言葉に瞳を煌めかせたアベルは彼女の手を取り、ぎゅっと握りしめた。
……純真無垢な愛らしい黒い瞳を目の当たりにしたアリアは息を呑み込んでから続ける。
「っ、ぅ。っ、えっと……。ほら、アベルはお父さんが好きでしょう?」
――その可愛い瞳は反則なんだからっ!
アベルの瞳を見ていると、ついなんでも教えたくなってしまう。
“恋人同士や夫婦なら入ってもいいんだよ”なんて教えてあげようと思ったが、六歳の子にはまだ早いかもしれない。
アベルにどう説明したら良いものか……。
「うん、大好き。でも父さんは男の人だよ?」
「…………そうだね。じゃ、じゃあ……おかあ……っ(アベルはお母さんがいないんだっけ……)」
……そこまで言って、アリアは黙り込む。
母親のいないアベルに母親の話題は出さない方がいいだろう。
ではどう言えば伝わるだろうか……。
「……ん? アリアどうしたの?」
「っ、何でもない。とにかく好きな人同士なら入ってもいいと思うよ?」
途中で言葉を飲み込んだアリアを不思議に思ったのか、アベルが柔和な顔で訊いてくる。
言い掛けた言葉は聞かれなかったようだ。
アリアはこの子を傷付けなくて良かったとほっと胸を撫で下ろした。
「アリアは僕のこと好き?」
「え?」
「嫌い?」
「え、いや……好きか嫌いか二択なら“好き”を選ぶけど……(こんな可愛い子、嫌いとかないわ……)」
急に笑顔のアベル(可愛い)から突然好きか嫌いか問われ、ドラクエの「はい」か「いいえ」を迫られたように聞こえたアリアは即答する。
……のも束の間、この後アベルが驚きの言葉を言い放った。
「本当!? じゃあ僕と一緒に入ろうよ!」
――本当にっ!? なんだろうすっごく嬉しい……!!
僕はアリアが好き。
アリアも僕が好き。
好き同士は一緒にお風呂に入っていい……!
……アベルは嬉しくなってアリアを風呂に誘う。
「……ん?」
「……ん?」
アベルのお誘いにアリアが首を傾げると、同じようにアベルも首を傾げてにっこりと微笑む。
「アベル何言ってるの? 今ダメだって言ったばっかで……」
「僕、アリアのこと好きだよ」
……アベルはアリアの手を引いてバスルームへと入っていく。
「んんッ!!?(何ですとっ!?)」
アリアは目を見開いて、アベルに引っ張られるまま連れて行かれようとしていた。
アベルの力は強く、アリアが手を振り払うことは不可能である。
「だって、アリア面白いもん!! アリア見てたら退屈しなくて楽しい!」
「っ、……ぁ、ぁあ……、そういう……」
アリアは面白いから好き――、そう告げるアベルの笑顔は晴れやかで夜だというのに眩いばかり。
ここでいう好きは好きというより“お気に入り”という意味なのだろう、子どもの頃はちょっとでも優しくしてくれる人に懐くものだ。
そう合点がいったアリアは苦笑した。
――びっくりした……この子、結構ぐいぐいくるよね……。
不覚にもついドキッとしてしまったアリアだったが、目の前でアベルが服を脱ぎ始めるので我に返る。
「っ、一緒はダメだってば!」
アベルが脱衣を始めたことにより、手が離れていることに気付いたアリアはバスルームから逃げ出した。
「えー……、残念だなぁ……」
アリアの逃げ足は速く、すでにパンツ一丁のアベルは仕方なく一人で行水することにしたのだった。
◇
「はー、さっぱりした~! アリア、次どうぞ? ……アリア?」
アベルがバスルームから出ると、バスルーム隣の休憩所のテーブルにアリアが突っ伏して眠っていた。
「……疲れちゃったのかな? ……うん、いい匂い……」
くんくん、と。
アリアの柔らかい髪と小さな翼から陽の香りがして、アベルは目を細める。
昼間沢山陽の光を浴びたから、こんな香りなのだろう。
ほんのりと甘い匂いもするような気がして――、
「っ……!?(甘い匂い……?)」
アベルはびっくりしてアリアのうなじから鼻を遠ざけた。
その後でアリアの肩を揺すってみるものの、起きる気配はない。
何度か繰り返したが疲れていたのだろう、彼女は時折小さく唸るだけで目を覚ますことは無かった。
「しょうがないなぁ……」
――可愛い寝顔だなぁ……頬っぺた柔らかそう……。
ふと悪戯心が湧いて、つんつん。
アリアの頬を突いてみても、彼女は目を覚まさない。
アベルは困ったように眉を寄せつつも口角を上げた。
そうしてどうにか彼女を背負い階段を上がっていく。
アリアを背負うのはこれで二度目だ。彼女は軽いから小さなアベルでも簡単に背負えてしまう。
サンタローズにいた時よりも力がついたようで、前回よりもアリアを軽く感じた。
背負った身体はひんやりとしていて、触れていると風呂上りの熱が冷やされ心地良い。
白金のふわふわの髪の毛が少しくすぐったいなと思いながら、アベルは一段一段落ちないように丁寧に踏みしめ、三階に着くと部屋に入りパパスの隣のベッドにアリアを寝かせた。
「おやすみアリア。また明日ね」
……アリアの隣にアベルも横になる。
眠るアリアに挨拶してアベルは目を閉じた。
ちょっとはいちゃいちゃ感出たかな。
少年期では恐らくそこまでラブラブ出来ない気がします。
青年期でラブラブ出来るとイイナァ……。
キモくてごめんなさいね、もうどうにも止まらないwww
苦手な人は今更ながら回れ右~!
※2022/02/22、22:22
今日のみせっかくなのでゾロ目投稿ってことで2並びで投稿しています。
私、毎日ゾロ目たくさん見るゾロ目ウオッチャーなので、ここでも見たろーと思って。
一日に何度もゾロ目見ると何か「おっ?」って思いません?
あ、思いませんか。
皆さんに良い事がありますように!
明日からはいつも通り20:00投稿にしまーす。
けど、たまに20:20にセットしちゃうんだよね、アホだから。
アハハ!
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!