ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

朝からイチャついてみます。

では、本編どぞー。



第二百九話 朝イチャ

 

 

 

 

 

 次の日――……。

 チチチッ、チチッ……。まだ目を閉じたままの薄暗い闇の中で、小鳥達のさえずりが遠くに聞こえる。

 

 

「……さん、アベルさん」

 

「……ぅ……、…………え?」

 

 

 急にアリアの声が頭上に降って来ると、アベルは重い目蓋を開いた。

 

 

「おはようございます。昨日はありがとうございました。今日は呪いの症状は出ていないみたいです。今日も一日頑張りましょうねっ」

 

 

 にこにこと機嫌良さそうにアベルを覗き込み、微笑むアリアの髪が窓から入る朝陽に照らされ、きらきらと輝いている。

 服は昨日アベルに言われた通りにマントで身体全体を覆っている為、残念ながら胸元も太腿も見えなかった(ッチ)。

 フードはまだ被っておらず、艶めく髪の一房がアベルの顔に掛かって鼻を擽る。

 

 

 アリア、今日も綺麗だなぁ……。

 天使みたいだ……。(※元天使です)

 

 

「ぁ……おは……っ! ックションッ!!」

 

 

 ブシュッ!

 

 

 盛大なくしゃみと共に、アリアの顔にアベルの唾が勢いよく掛かってしまった。

 

 

「…………、あっ、ごめんなさい。髪が鼻に掛かっちゃった……(くすぐ)ったかったですね」

 

「いや……、こちらこそごめん……、顔洗って来て……」

 

 

 宝石(アメジスト)の瞳がぱちぱちと瞬いたかと思ったら、アリアはアベルから身体を離すとマントの中から手を出して、顔に付いたアベルの唾を拭う。

 

 

「……行って来ます(ベトベト……)」

 

 

 アリアは拭った手元を見て顔を洗いに部屋を出て行った。

 

 

「ははっ、朝っぱらから盛大にやらかしたな」

 

 

 アリアが姿を消すと、ヘンリーの声が聞こえる。

 ヘンリーは既に起きていたらしく、部屋の椅子に腰掛け本を読んでいたようで、本を閉じて棚に仕舞うとアベルを笑った。

 

 

「……はは……いや、避けようがなくない?(アリアには格好いい所だけ見せたいんだけどなぁ……)」

 

 

 指摘されたアベルは身体を起こして苦笑いを浮かべたのだった。

 

 

「さて、じゃあ……、今日は城……だな」

 

「ああ。ヘンリーの気の済むまで付き合うよ」

 

「悪いな」

 

 

 ピエールも起きており、三人は部屋を出る準備を整えアリアが戻るのを待った。

 

 

 

 

「お待たせしました。顔洗って来ました」

 

 

 数分後、アリアが部屋に戻って来るなり、

 

 

「あ……」

 

「お」

 

「おお……」

 

 

 アベル、ヘンリー、ピエールの三人はアリアの姿に見惚れる。

 アリアは髪を耳の下辺りで二つに結んで来ていた。

 

 

「あ、昨日髪を結ぶって言っていたの忘れてて、今結んできました。これでフードの中に髪を仕舞えば落ちて来ないと思います」

 

 

 アリアが自信満々に力強く頷き、口角を上げる。

 そんな彼女の姿に、

 

 

 (((カワイイ!!)))

 

 

 男三人の瞳孔が開き、アリアにサムズアップするのだった。

 

 

「っ? えと、ど、どうも……?」

 

 

 

 

 そうして一行は部屋を後にする。

 アベル達が部屋を出ると、隣の部屋に泊っていた旅の商人らしき風貌の男も丁度扉を開け出てきたところで目が合った。

 

 

「おはようございます。いいお天気ですなぁ」

 

「おはようございます、そうですね」

 

 

 男が頭に被った帽子を外して挨拶すると、朗らかな笑みを浮かべていた。

 アベル達が会釈すると、男は帽子を元に戻し喋り出す。

 

 

「私は珍しい物を求め旅をしている商人です。このお城にも不思議な物について書かれた書物があると聞いたのですが……」

 

 

 男に何か知りませんかね? と訊ねられるが、アベル達は知らないので首を横に振った。

 

 

「そうですか……。いやはや、足止めをして申し訳ありませんでしたね。では私はこれで」

 

 

 商人の男はまた帽子を外し、会釈して階段を下りて行った。

 

 

「確かに城には書物がたくさんあるから珍しいのもあるだろうけど……、どれが珍しいかなんてオレにはわかんねえな」

 

 

 ヘンリーが昔の記憶を頼りに城にあった書物を思い浮かべてみるが、幼い頃の記憶なのでどれがそうなのかはわからなかった。

 

 

「不思議な物って……どんなものなんでしょうね」

 

 

 アリアがぽつりと呟く。

 

 

「気になるかい……?」

 

「あ、えと、ふふっ。ちょっとワクワクしちゃいますね」

 

「っ、だよね! 本を探してみよう、見つけられたらいいね!」

 

「……はいっ」

 

 

 アベルが訊ねるとアリアは顔を上げて目を細めて楽しそうに笑顔を見せるので、アベルも彼女の笑顔に釣られて笑った。

 するとアリアは嬉しそうに返事をする。

 

 そんな二人の様子を見ていたヘンリーだったが、

 

 

「……あのさ、朝からイチャつかないでもらえる?(つれぇんだけど……)」

 

 

 微笑み合うアベルとアリアの様子に頬を膨らまし、ヘンリーはさっさと一階へと下りて行ってしまった。

 

 

「「イチャ!?」」

 

 

 ヘンリーの指摘にアベルとアリアは顔を見合わせ目を見開くと、互いに“ぽっ”と頬を赤く染め、僅かの間黙り込んでしまう。

 

 

((そんなつもりじゃ……))

 

 

 何となく気まずくなってしまい、アベルもアリアも二の句が継げなくなってしまった。

 と、そこへ。

 

 

「……参りましょうか」

 

 

 沈黙が流れる廊下に、ピエールが助け舟を出す様に二人の前を歩いて行く。

 

 

「っ、い、行こうか。アリア、フード被って、ね……」

 

「は、はい……」

 

 

 アベルとアリアはギクシャクしながらピエールの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベル達が一階へ下りると、ヘンリーが昨晩出会った戦士と話をしていた。

 

 

「この国が強い兵士達を高いお金で集めていると聞きやって来たのだが……。そのために国民は重い税金に生活も出来ぬほど苦しんでいるらしいぞ」

 

「……ヘンリー? 何の話だい?」

 

 

 戦士とヘンリーの話にアベルが割って入る。

 アリアもすぐ後ろでフードを被り俯いていた。

 

 

「あ、アベル。今、昨日会ったおっさんに聞いたんだが、国が強い兵士達を集めてるんだと」

 

「うん、聞こえたよ。税金の所為で生活がどうのって……」

 

「ああ……。一体どうなってんだろうな……。国民に重税課して、国を強くしてどうするつもりなんだか……」

 

 

 ヘンリーは腕組みして、眉根を寄せる。

 

 

「……さて、私はどうするかな……。お、後ろのは昨日のお嬢さんか? うんうん、それならバレないだろう。気を付けるんだぞ。それじゃ、私は失礼する」

 

 

 戦士は兵士に志願するかどうか決め兼ねているらしい。

 彼はアベルの後ろに居るアリアを見て、満足したように頷くと宿屋から出て行った。

 

 

「あの人、強そうな人だったな」

 

 

 アベルは昨晩は暗くてよくわからなかった戦士の筋骨隆々な体躯と無数の切り傷を見て、歴戦を潜り抜けた猛者なのだろうと推察したのだった。

 

 

「そうまでして強い兵士を集めるなんて、戦争でも始める気かよ!? ……いや、その通りなのか? だとしたら何としてでも止めなくちゃ……」

 

 

 ヘンリーは独り言を口にしたかと思うと、俯き加減に思い詰めたような顔をする。

 

 

「ヘンリー……」

 

「……ここでグチグチ言っててもしょうがない。行こうぜ!」

 

 

 アベルが慰めようとしたが、ヘンリーはすぐに顔を上げて宿屋を出て行ってしまった。

 




アベルとアリアは隙あらばイチャつかせたいと思います。
でもこの二人まだ恋人同士じゃないんだ……。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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