ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

古代の遺跡に来てしまいました。

では、本編どぞ。



第二百十五話 古代の遺跡に来ちゃったよ

 

 アベル達一行はイカダを手に入れる為、古代の遺跡へとやって来ていた。

 古代の遺跡の出入口フロアは、パパスが消された場所である。

 

 

「…………っ」

 

 

 床は一部が黒く焼け焦げていた。

 人の形といえばそうなのかもしれないが、黒く変色した床は風化しており、原形を留めてはいない。

 

 

 ――やっぱり、父さんはゲマに……。

 

 

 アベルは未だに微かに残るパパスが焼かれた痕跡を前に顔を背けた。

 

 

「ここでお前の親父さんは、あのゲマとかいうヤツらになぶり殺しにされたんだったな……。オレ、アベルを庇って最期まで抵抗しなかった親父さんの姿一生忘れないよ」

 

「……ここでそんなことが……? …………っ……。何故そんな酷いことを……!」

 

 

 ヘンリーが焼かれた痕跡に手を組み祈ると、アリアも隣で祈った。

 瞳からポロポロと涙が零れ落ちていく。

 

 

「……アリア……」

 

 

 君も、ここに居たんだよ……。

 でも君は今、ここに生きている……。

 父さんは助からなかったけど……。

 

 

 ――教えてあげた方がいいんだろうか……。

 

 

 あの時、ここで何があったんだ?

 君の記憶が戻ったなら、いの一番に訊きたい。

 

 

 アベルは何とも言えない悲哀を纏った表情で何も知らずに涙するアリアを眺めていた。

 ヘンリーも、涙を零しながら祈るアリアを横目で一瞥する。

 

 

 ――いつかは、教えてやらないといけないよな……。

 

 

 アリアを見た後でヘンリーはアベルに視線を送った。

 するとアベルは静かに頷く。

 

 

 アベルのタイミングに合わせるか……と、ヘンリーはアベルの肩を叩く。

 

 

「……お前の判断に任せるよ」

 

「ああ……」

 

 

 アベルとヘンリーはアリアの祈りが終わるまで、その場に立ち尽くしていた。

 ところが、

 

 

「……アリア、そろそろ行こう? ここは魔物がよく出る場所だから長居しない方がいい」

 

 

 アリアの祈りが長いのでアベルは声を掛ける。

 

 

「……あ、はい……。アベルさんは大丈夫ですか?」

 

「ん? うん……」

 

 

 アベルの声にアリアは顔を上げて、訊ねた。

 ラインハットの国を離れているので、フードは取っ払っている。

 

 

「…………元気、出してくださいね?」

 

「……大丈夫、僕は元気だよ……。もう、麻痺してるくらいだ」

 

 

 ――それでも、少し辛いけどね……。

 

 

 アベルはアリアに薄っすらと笑みを見せた。

 

 

「……麻痺……? どういうことですか?」

 

「あ、いや……何でもないよ」

 

 

 首を左右に振り振り、アベルは奥へと歩き出す。

 アベルの笑顔はアリアの瞳からは淋しそうに映ったのだった。

 

 アベルを追って後ろにヘンリーが続くと、ぽつり。

 

 

「……アベルの奴……、時々わけのわかんないこと言うんだよなぁ」

 

「え……?」

 

 

 アリアもヘンリーと一緒に歩き出す。

 

 

「……なんか、達観したような顔してさ。変に物分かりがいいっつーか……冷めてるっていうか、諦めてるというか……」

 

「……諦め……?」

 

「……あれは多分……、アリアさんと別れた時からだったかな……」

 

 

 ヘンリーは奴隷時代を思い出しながら、ぽつりぽつりと語り出した。

 

 

「私と……」

 

 

 ――どういうこと……? 私、途中でお二人とお別れしたって……。

 

 

 アリアはアベル達とは途中で別れ、両親と家に帰る途中で魔物に襲われたと聞いている為、首を傾げる。

 

 

「……奴隷になりたての頃、“どうせ何も変わらない”って、よく嘆いてた。死んだ目をしてさ」

 

「っ、死んだ目って……どうして……」

 

 

 ヘンリーとアリアの前で少し先を歩くアベルが、二階の通路から階下の古代の遺跡を見下ろし「確かあっちだ」と行く方向を指差している。

 そして振り返るとヘンリーとアリアが話をしているのを見つけ、ムッとした顔をしていた。

 

 

「大人になってもそういう所は残ってて、大神殿(あそこ)から脱出するまでもちょくちょくあったんだ。……けど、アリアさんと再会してからも時々そういう顔をするけど、なーんか幸せそうなんだよなぁ……」

 

「へ……?」

 

 

 チラッと、ヘンリーがアリアを見てニヤリと笑う。

 すると、アベルが戻って来ていた。

 

 

「アリアっ、向こうに山賊のアジトがあるんだよ! 行ってみよう!」

 

「えっ? あっ、はいっ」

 

 

 アベルがアリアの手を引き連れて行こうとすると、ヘンリーが“くくくっ”と笑う。

 

 

「あの日、お前に手を引かれてこの洞窟を脱出しようとしたのが昨日のことのように思えるよ。あの時はまさか、こんな長い付き合いになるとは思いもしなかったけどな」

 

 

 アリアのお陰でアベルが幸せそうで、親分としては嬉しいことこの上ないんだぜ?

 ……まぁ、アリアがどう思ってるかはわかんないけどさ。

 

 

 ヘンリーはアベルを優しい目で見つめた後で、アリアを窺った。

 アリアは恥ずかしいのかほんのりと頬を赤く染めている。

 

 

「ヘンリー…………、僕もだよ。今更だけど、君にはいつも(・・・)感謝してるんだ。……けど……」

 

「けど……?」

 

 

 アベルはアリアの手を放し、ヘンリーに近付くと小声で耳打ちをする。

 

 

「……アリアには近付かないで欲しい」

 

「っ……別に近付いてないっつーの! 一般的な範囲だろっ。やきもち妬き過ぎだっての!」

 

 

 こそこそと二人は言い合う。

 そんなアベルとヘンリーの後ろでアリアは辺りを見渡していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここ、魔物の気配がしませんね……」

 

「そうですね……。昔は魔物も多く出たのですが、今はいないようです」

 

 

 アリアがピエールに告げると、彼は知っていた様子で頷く。

 

 

「アベルさん、ここに魔物は出ないみたいです」

 

「……え? そう? なら良かった。じゃあ、ゆっくり歩こうか」

 

 

 何か思い出せるかもしれないし……と、望み薄ではあるが、アベルはアリアと歩くのが嬉しいのか、アリアの目の前にやって来て手を差し出す。

 

 

「あっ……えと……手は繋がなくても……」

 

 

 アリアは戸惑い手を取れないでいた。

 

 

「ゆっくり!? いや、それは困る! 早く城に戻って抜け道を探さないと!」

 

 

 アベルの言葉にヘンリーがさっさと行くぞ! と歩いて行ってしまう。

 

 

「わ、私も急いだ方がいいかと……」

 

「…………、……それもそうか……」

 

 

 アリアがヘンリーの後ろを追い掛けて行ってしまう。

 と、アベルは差し出した手を虚しく見下ろした。

 

 

 ――何故か上手くいかないな……。こんなこと初めてだから困ったな……。

 

 

 アベルは拳を握り締め、ふっと笑って二人を追ったのだった。

 

 




イカダを探しに来てみましたが……。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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