仲魔が増えます。どんどん増えます。
では、本編どぞー。
「ちぇっ」
アベルが戻ると、ヘンリーの残念そうな声が聞こえ“オレだって回復呪文が使えたらすぐ回復してやれたのに……”とか何とか云っている。
「アベルさんっ、今薬草を使おうかと……」
「他は怪我してない? …………、……うん、もう大丈夫みたいだね。ごめん、すぐ回復してあげれば良かったね」
アベルはアリアの様子を頭のてっぺんから爪先までじっと観察してから頷いて、ジロッと鋭い目付きでヘンリーに視線を投げた。
「な、何だよ……?」
「別に……」
不機嫌そうなアベルの視線にヘンリーは少しだけ怯むが、アベルはすぐにアリアに視線を戻す。
「アベルさん、ありがとうございます……(何だか、機嫌が悪そう……?)」
――どうしたんだろう……、何かあったのかな……。
アリアは何となく不機嫌そうに見えるアベルに頭を下げた。
アリアが顔を上げるとアベルは薄っすらと口角を上げ、優しい目付きに戻っている。
「ゴールドを拾い終わったから そろそろ行こう。……あと、コドランが仲間になったんだけど……」
「え……?」
アベルがくるりと背を向けると、先程戦った【ドラゴンキッズ】がアベルの肩に負ぶさっていた。
大きさは普通の【ドラゴンキッズ】より身体が若干小さめの個体である。
「グルルル!」
【ドラゴンキッズ】はアリアを見て目を細めると挨拶をした。
「わぁ……かわいい!(ドラゴンまで仲間に……!)」
「コドランっていうんだ。ちょっと甘えん坊みたいだ。負んぶしろってきかなくて……」
「ふふっ、そうなんですね。初めまして、私はアリアといいます。よろしくお願いしますね」
「グルルル!」
アリアが嬉しそうに手を合わせ挨拶をすると【コドラン】はアベルの肩越しに前のめりでアリアに手を伸ばした。
パタパタと腕をばたつかせている。
「……ん? どうしたの……?」
「あ、撫でて欲しいみたいだよ」
急に手を伸ばされアリアが首を傾げると、アベルはコドランの云っていることがわかるのか、膝を落とし中腰になった。
そうしてアリアはコドランの頭に触れ、撫でてやる。
「あっ、そうなんですね! ふふっ、いいこいいこ……。……ドラゴンに触ったのは初めてです」
小さいしまだ赤ちゃんなのかな……、カワイイ……!
表面は硬くてひんやりしてるのね……。
ほっぺはどうなのかしら。
今度は頬に触れてみる。
頭は硬かったが頬は気持ち柔らかく、そしてほんのり温かい気がした。
アリアが頬を撫でるとコドランは「グルルル!」と嬉しそうに鳴いて、彼女の手に顔を摺り寄せ、目を細める。
その様子を間近で見ていたアベルは……。
「……ぁ……(いいな……僕も撫でてもらいたい……)」
って、アリアのおっぱいが……っ!!
興奮しちゃダメだ……!
自分もアリアに頭を撫でてもらいたいと思ったのも束の間、目の前に迫ったアリアの豊満な果実を目の当たりにし、頬を赤く染め視線を逸らした。
アリアからは、心なしか甘酸っぱい好い香りがしてくる。
「……アベルさん? どうかしましたか?」
「っ! あっ、いや!? そうだ、アリアに相談があったんだよ」
アリアがコドランを撫でるのを止めアベルに問い掛けると、指摘されたアベルは慌てて中腰から身体を戻し、話題を変えた。
「え、相談ですか?」
「うん。馬車がいっぱいでね。コドランが仲間になったから、スラりんとドラきち、マッシュとイエッタの誰かをモンスターじいさんに送ろうと思って」
アベルは肩に乗るコドランを撫でながら、告げる。
「え……、それはアベルさんお好きでいいのでは……? アベルさんの馬車ですし……」
「いや……アリアが残したい子もいるかと思って。スラりんは残すでしょ?」
「っ、いいんですか?」
不思議そうに首を傾げていたアリアだったが、アベルが訊ねると彼女の瞳が輝き出した。
彼女はふわりと笑みを浮かべ、見るからに嬉しそうである。
「もちろん! 僕は四人の内ならイエッタかなと思ってるんだけどね」
――良かった……アリア嬉しそうだ……!
アリアの様子を見て、アベルは正解だったなと話を続けた。
「あ、私も……。スラりんさんはスライムだし、ドラきちさんは強くなりたいって仰ってたし、マッシュさんにはキノコ栽培がありますし……」
よくわからない理由を並べ立てるアリアではあるが、アベルはそんなことはどうでもいいのか、
「意見が一致して良かった! じゃあ、そうするね!」
彼女に優しく微笑み、コドランを馬車まで連れて行ったのだった。
アリアもアベルの後ろに付いて様子を見る。
キャビンに向かってアベルがイエッタに語り掛けると、イエッタはのそのそと奥から出て来て二度三度頷き馬車から下りる。
そうしてアベルが「モンスターじいさん、イエッタを送ります。宜しくお願いします」と宙に呟くとイエッタが彼方へと飛んで行った。
「じゃあ、コドランは馬車で待機だ」
「グルルル!」
アベルが肩からコドランを下ろそうとすると、コドランはイヤイヤと首を横に振る。
「ふふっ、アベルさんの傍を離れたくないんですね(やっぱり赤ちゃんなのかしら……)」
「んー……、困ったなぁ……。これじゃ魔物が出たら戦えないよ……、わぁっ! コドランっ!?」
アリアがコドランを見上げながら微笑むと、アベルは苦笑いを浮かべた。
何とか馬車に乗って欲しいアベルはコドランを掴もうと触れるのだが、コドランは嫌だったのか位置を変え、今度は頭によじ登って乗っかる。
「……重い……」
「あっ……、……ふふっ、でも、可愛い……」
アリアはアベルを見上げ、笑みを崩さなかった。
「え?(……アリアの笑顔が……可愛い……)」
「ふふっ、アベルさんをお父さんだと思っているのかもしれませんね。とっても嬉しそう」
アベルがアリアの笑顔に見惚れている間に彼女がそう云うと、コドランは破顔して「グルルル!」と鳴く。
「えぇ……コドラン、慕ってくれるのは嬉しいけど、これじゃ戦えないよ……」
参ったなぁ……。
……普通のドラゴンキッズより小さいとはいえ、重い……。
アベルは弱り目で頭の上に乗っかるコドランを見上げた。
そんなアベルの様子にアリアが救いの手を差し伸べる。
「お父さんと一緒がいいのでしょうか? ふふっ、……おいで?」
アリアは両手を伸ばしてコドランを呼んでみた。
すると、コドランは……
「……グルルン♪」
パタパタパタパタ。
呼ばれて直ぐに迷うことなく翼を羽ばたかせ、アベルの頭から飛び立つと、アリアの胸に飛び込んだのだった。
「あっ!(ずるい!)」
コドランの重みから解放されたアベルはアリアの胸に抱かれるコドランにちょっと嫉妬してしまう。
「……ふふっ、小さくても結構ずっしりしてますね。……コドランさん、お父さんと一緒がいいですか? それとも私……えと、お母さんと一緒がいいですか?」
――コドランさんはまだ赤ちゃんみたいだから……、私がお母さんということで良かったかしら……。
アリアはコドランを抱き抱えながら訊ねていた。
「えっ……(お母さんて……、もしかしてアリアのこと!?)」
僕がお父さんで……、アリアがお母さん……!?
っ! ナニソレェ……何ていい響きなんだ……!
アリアの言葉にアベルは目を閉じ、夢見心地のような顔を浮かべる。
「グルルン♪」
うっとりした様子のアベルの前で、コドランはアリアにピタッとくっ付いたのだった。
イエッタはエピソードが無いまま馬車送りに……(涙)
本編で触れられない時は外伝で触れていこうと思いますv
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