ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

地下牢にやって来ましたよっと。

では、本編どぞ!




第二百二十三話 地下牢の美女達

 

 仕掛け扉を潜り抜け、四人は入り組んだ通路を行く。

 

 

「この抜け道は元々、何かあったときの脱出用に作られたものなんだが……。まさかオレがここから侵入することになるとはね。皮肉なもんだよ」

 

 

 ヘンリーが歩きながら自嘲する。

 

 

「ヘンリーさん……」

 

「あ、へへっ、悪い悪い、ただでさえ通路が暗いのに気分まで暗くなっちまうとこだった。アリアさん、足元に気を付けてくれよな」

 

「はい、……ありがとうございます」

 

 

 アリアが心配そうな顔でヘンリーを見ると、ヘンリーは優しく目を細めるので、彼女はお礼を言っただけでそれ以上何も言わなかった。

 二人の前を歩くアベルは二人の会話を背後に聞きつつも、先程から魔物と何度も遭遇している為、辺りを警戒しながら進んでいる。

 

 

「……二人とも、しっ。魔物だ……。ここで待ってやり過ごそう」

 

 

 アベルが前方に魔物の群れを見つけると振り返り、壁際に背を預けるようにとみんなに指示を出す。

 ヘンリーとピエールは壁側を歩いていたのでサッと壁に背を預け身を隠すが、アリアは通路の真ん中に居たため出遅れた。

 

 

「えっ、ぁっ」

 

「アリアっ! こっち!」

 

 

 アベルは咄嗟にアリアの手首を引いて、壁際に背を付けさせる。

 そして、アベルはアリアを覆い隠すように壁に前腕を付いた。

 

 

「……ぁっ……、アベルさん……っ!」

 

「し……。ごめん、魔物の群れが居なくなるまでこのままで」

 

「っ……はい……」

 

 

 壁とアベルの身体に挟まれ、覆い隠されたアリアは俯いてしまう。

 頬が熱くなっていくのを感じた。

 

 

 これっ、アベルさんに抱きしめられているみたいじゃない……!?

 アベルさんの胸がこんなに近くに……アベルさんの香りが……!

 

 ど、ど、ど、どうしましょう……!!??

 

 

 突然近くなったアベルとの距離に、アリアは顔を上げられなくなってしまった。

 

 

「……もう居なくなったようですね」

 

 

 ピエールがそっと通路の先を覗くと、魔物の群れは消えていた。

 

 

「ふぅ……、ヤレヤレ……。…………で、お二人さんは いつまでそれやってんの?」

 

 

 ――アベルのやつ! わざと壁ドンしやがって!

 

 

 わかってんだぞ、とヘンリーがアリアを覆い隠して壁に前腕を当てているアベルの背に声を掛ける。

 

 

「……えっ!? あっ、もう いなくなった? ……良かった!(もう少しうろついてても良かったのに!)」

 

 

 アベルはわざとらしく大きな声で告げ、壁から腕を放した。

 

 

「アリア、魔物の群れはどっかに行ったみたいだよ」

 

「………………ぁ……」

 

 

 アリアの手を引き壁から離してやると、彼女は俯いたままで固まっていた。

 頭上からアベルの優しい声が降って来る。

 

 

「…………アリア? もしかしてさっきどこか打ったのかい? 回復呪文を……」

 

「……ぃ、ぃぇ……。大丈夫です……」

 

 

 アベルの問い掛けにアリアは俯いたまま首を左右に振った。

 

 

「アリア……?(僕、また何かやらかした……!? 咄嗟に壁に追い詰めちゃったのは不味かったか……)」

 

 

 アベルは反省するが、アリアは顔を上げようとはしなかった。

 

 

「おい、アベル。あの魔物の群れが戻って来ても困る。さっさと行こうぜ」

 

「あ、ああ……。アリアもちゃんとついて来てね……?」

 

「………………はぃ……」

 

 

 ヘンリーに促され、アベルはアリアの様子が気にはなったが、彼女が小さく頷いたので先に進むことにする。

 

 そうして通路を進んで行くと、行く先に鉄格子が見えて来た。

 

 

「奥に鉄格子が見えるね……、牢屋……? ヘンリー何か思い出せる?」

 

「そういえば、ここは地下牢も兼ねてるんだっけ……。段々思い出してきたぞ」

 

 

 アベル達は牢へと近づいて行く。

 

 

 すると、

 

 

『っ、そこに誰か居るの!? 助けて……! このままじゃ私達、石にされちゃう……!』

 

『ここから出してぇっ!』

 

 

 女性の鉄格子を掴み鳴らす音と、助けを呼ぶ声が聞こえてきた。

 

 

「っ、ヘンリー! 今の声!」

 

「ああっ! 例の攫われた女性達か!!」

 

「っ、今行きますね!」

 

 

 アベル、ヘンリー、アリアは走り出し、牢へと急ぐ。その後ろをピエールが追ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベル達が地下牢へとやって来る。

 牢は三つに分かれており、真ん中の牢に見目麗しい女性が二人囚われていた。

 

 

「っ、開かないっ!!」

 

 

 ガチャガチャガチャ!

 

 

 アベルが力いっぱい牢の扉を揺すってみるが、扉はビクともしない。

 ヘンリーも加わって揺らしてみるが、やはり開く気配がなかった。

 

 

「っ…………(こんな時、どんな扉も開けることができる呪文を思い出せていれば……!)」

 

 

 アベルはちらっとアリアを窺う。

 アリアはアベルとヘンリーの後ろでハラハラしながら手を組み開くようにと祈っていた。

 

 

「あぁ、助けて! 昨日も一人、石に変えられてしまったの……!」

 

「太后様は私達を石像にして何処かに売り払うつもりなんだわ……!」

 

 

 牢の中に居る女性二人が涙ながらに鉄格子を掴み、床にへたり込んでしまう。

 

 

「人を……石に……!? 売り払うって一体……」

 

「どういうことだ……? 一体なんだってそんなことを……!?」

 

 

 アベルとヘンリーが疑問を抱きつつも、女性二人に「必ず助けるから」と声を掛けた。

 すると女性達は震えながら、アベル達に訴える。

 

 

「ここには私達の他にも何人か女の子達が入れられていたの! でも週に一度、太后様が一人ずつ石像にして、何処かに連れて行ってしまうのよ!」

 

「私達、王様と結婚出来るって聞いて来たのに……。目の前で女の子が石像にされたのを見たのよ! 不敬かもしれないけど……、あれは人間の出来る業じゃないと思うわ……」

 

 

 ぶるぶるぶると、女性二人は互いに抱きしめ合い「次は私達のどちらか……」と、さめざめ泣き出してしまうので、アベルとヘンリーは黙り込んでしまう。

 

 その後ろで、ピエールはワナワナと震えていた。

 

 

「……い、石に……!? そんな、まさか……!」

 

「……ピエールさん……? どうかしましたか……? 何か……?」

 

 

 肩を震わせるピエールにアリアは声を掛ける。

 

 

「っ、あっ、いえ……。な、何でもないのです……。き、気の所為でした……」

 

「そうですか……?」

 

 

 フィッと、珍しくアリアから視線を逸らすピエールに、彼女は“どうしたのだろう?”と首を傾げていた。

 

 

「……人を石像にするなんて人間のすることじゃない……。あの女がそんなことするなんて……」

 

 

 ヘンリーはギリッと歯軋りをする。

 

 

「……人を……石像に……」

 

 

 アベルも眉間に皺を寄せ憤っていた。

 

 

「……あの、アベルさん……」

 

「……ん? あ、うん! アリア、どうしたの?」

 

 

 おずおずとアリアが声を掛けてくると、アベルは彼女に振り向いて傍に寄り訊ねる。

 

 

「お、お隣りにも、お爺さんが入れられているみたいです……。お声掛けした方が……」

 

 

 アリアは俯き加減で右隣の牢を指差した。

 隣の牢にはアリアの云った通り、白髪の老人が囚われている。

 

 

「あ、本当だ。話を訊いてみようか……。ヘンリー、隣りにも人が居るみたいだ。話を訊いてみないかい?」

 

「ん? おう! お姉さん達、ちょっとごめんな」

 

 

 アベル達は女性達に断りを入れ、隣の牢へと向かった。

 

 




美女達を石像にしてどうするんですかね~。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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