ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ラインハットの洞窟は暗いんですよね……。

では、本編どぞ。



第二百二十四話 奥から聞こえる声

 

 右隣の牢の扉のすぐ傍には白髪の老人が居るのだが、その目は白く濁っていた。

 

 

「ご老人……少しお話をお訊きしたいのですが……」

 

「ん? 誰か来たのか……。何年もここに居て目も耳もすっかり悪くなったわい」

 

 

 アベルの声掛けに、老人は何となく気配がわかるのか反応を見せたが、目が見えない様子で目線が合うことは無かった。

 

 

「……お爺さん目が……」

 

 

 アリアが悲しそうに眉尻を下げる。

 

 

「しかし、これだけは言うとくぞっ! ヘンリー王子を亡きものにしたのは元王妃、今の太后さまじゃ!」

 

 

 目線の合わない老人は鉄格子を掴み、語気を荒げた。

 

 

「っ!!」

 

 

 ヘンリーが顔を顰める。

 老人は唾を飛ばしながら話を続けた。

 

 

「なのに自分もヘンリー王子の行方知れずを悲しむふりをし、すべてパパス殿の責任に! パパス殿が住んでいたサンタローズの村にまで攻め込んだんじゃ。あんな性悪な女は見た事がない。今に天罰をくらうぞ!」

 

 

 云い終えた老人は“はぁはぁ”と興奮していたのか呼吸を整えている。

 

 

「やっぱり、全てはあの女が? デールの母だし信じたくはなかったが……。もう許せねえ! オレが自ら天罰をくらわせてやるぜっ!」

 

 

 ヘンリーも鼻息荒く息巻いていた。

 

 

「……お爺さん、あまり興奮するとお身体に障ります。どうか落ち着かれてください……」

 

「ん……? おぉ……この手は何とスベスベな……。若い娘さんかな……?」

 

 

 アリアが老人の手に触れ語り掛けると、老人は彼女の手の甲をさわさわと撫でる。

 アリアは瞬時に固まってしまった。

 

 

「……っ、えっ、と……(ど、どうしましょう……)」

 

「っ、アリア、この人元気そうだから大丈夫だ! 行こう!」

 

 

 戸惑うアリアの手をアベルが掴んで老人から取り上げる。

 

 

「……娘さん?」

 

「ぁ……、えっと……(お爺さん、目も見えていないし、声も聞こえていないみたい……)」

 

 

 老人の手が彷徨いアリアの手を探すが……、

 

 

「お爺さん! すぐ出してあげるから待っててねっ!!」

 

 

 アベルは宙を泳ぐ老人の手を掴み、大きな声で言ってやった。

 

 

「よし! 行こう!」

 

「ぁっ、アベルさんっ!?」

 

 

 老人が納得した様子はなかったが、アベルはアリアの手首を引っ張って歩いて行く。

 隣の女性達にも「もう少しだけ待っていて下さい」と告げてアベル達は牢を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 牢屋を離れアベルを先頭にし、城内を目指し通路を進んで行くと、ヘンリーが隣を歩くアリアを見て口を開く。

 

 

「アリアさんてさー……、自らトラブルを引き寄せる人なんだな」

 

「え……? そ、そうですか?(トラブルって何だろう……???)」

 

 

 隣を歩くアリアは何のことなのかわからず首を傾げる。

 

 

「……自覚ないみたいだな。……アベル、頑張れよ」

 

「えっ!? あ、うん?」

 

 

 ヘンリーは前を歩くアベルの肩を叩いたのだった。

 

 

「……えと……?(何でアベルさんが頑張るの……?)」

 

 

 アリアが首を傾げアベルを見ると、アベルは「ははは」と乾いた笑いを浮かべ、頭の後ろを掻いていた。

 そんな話をしていると、通路の奥から「其処(そこ)な者、ここから出してたもれ!」と甲高い女性の声が聞こえて来る。

 

 

「……何だ?」

 

「奥から声が……」

 

 

 ヘンリーが声のする方へと顔を向けると、アリアも同じ方を見つめた。

 ヘンリーは奥へと歩いて行ってしまうが、奥の通路は灯りも少なく暗いため、アリアは二の足を踏んでいる。

 

 

「地下牢に出るお化けだったりして……(なーんてね)」

 

「ひゃっ!?(お化けっ!?)」

 

 

 アベルはその場に留まり、悪乗りしてアリアの背後から耳元にそっと囁くと、彼女はビクッと肩を震わせ怯えた。

 

 

「あ、ごめん……、冗談だよ(そんなに怖かった!?)。さっきの人達みたいに誰か囚われてるみたいだね。行ってみようか」

 

「っ……アベルさぁん……、っ、いじわるです……」

 

 

 アリアの反応に不味いと思ったアベルはすぐさま謝って、奥へと歩いて行こうとするが、彼女は涙目でアベルのマントを掴んだのだった。

 掴んだその手が僅かに震えている。

 

 

「アベルさん先に行って下さい……。う、後ろについて行きます……」

 

「…………っ、そんなに怖いなら……、て……手をっ! ……手を繋ごうか……?(なーんて……繋ぐわけ……)」

 

 

 アベルが手を差し出すと、アリアはその手を見下ろした。

 そして、

 

 

「…………、…………、……ぎゅってしてて下さいね。放しちゃイヤです……」

 

 

 アリアはアベルの手を取ると、きゅっとその手を掴んだ。

 

 

「っ、放さないから大丈夫だよ」

 

 

 アベルはヘンリーやピエールの手前、少々恥ずかしかったが、アリアが望むならと指を絡め合わせ、簡単に外れないよう繋ぎ直した(所謂恋人繋ぎというやつである)。

 

 

 アリアの手柔らかい……。

 小さくて、滑らかでもちもちしてて……なんて触り心地がいいんだ……!!

 

 

 アリアを怖がらせて申し訳ない気持ち半分、言って良かったという気持ち半分のない交ぜになった気持ちで、手から伝わる温もりにアベルの胸が満ち足りていく。

 

 

「……コホンッ……。さ、先に行かせて頂きますよ……」

 

 

 アベルとアリアの後ろに居たピエールが気まずそうにヘンリーを追った。

 

 

「…………行こうか」

 

「……はい」

 

 

 残された二人も奥へと向かった。

 

 

「アベルっ! ちょっと来てくれ! そこの牢に入ってる人のことなんだけど……!」

 

 

 奥の通路に進んで行くと、ヘンリーの声が聞こえて来る。

 

 

「……何かあったんでしょうか……?」

 

「……行こう」

 

 

 アベルはアリアの手を引き、駆け出そうとするのだが。

 

 

「あっ、アベルさん、手、もう大丈夫ですよ」

 

「え?」

 

「ヘンリーさんの口振り……、お化けではなさそうなので。それに、ヘンリーさん達の前じゃ恥ずかしいでしょう?(ピエールさんに見られてしまいましたし……)」

 

 

 アリアは繋いだ手をあっさり解いてしまった。

 

 

「あ……、…………、……うん。じゃ、じゃあ、行こう」

 

 

 アベルは離れてしまった手を見下ろす。

 

 

 そりゃ恥ずかしいけどさ!

 さっき“放しちゃイヤ”なんて言ったのはアリアなのにそんなにあっさり外さなくても……!

 

 

 そうは思ったが、アリアの言い分も最もだと思ったアベルは名残惜しいが そのままヘンリーとピエールの元へと向かった。

 

 




何だかいい感じにいちゃついてるな~っとv

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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