ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

通せんぼ。

では、本編どぞ~!



第二百二十八話 立ちはだかる大臣

 

「デール様に軽食をお持ちしました」

 

「そうか……」

 

 

 アベルの言葉に兵士は顔色が優れない様子で一言だけ返す。

 具合でも悪いのだろうかと、アベルは訊ねることにした。

 

 

「どうかしましたか?」

 

「今日もまた、税金を払えなかった者を一人処刑してしまった……。太后様の命令とはいえ、一体いつまでこんな事が続くのだろうか……」

 

 

 はぁ……、

 

 

 兵士は落胆した様子で憂鬱そうに溜息を吐く。

 

 

「……そう、ですか……。失礼します……」

 

 

 税金を払えなかった国民へのあまりの処遇にアベルは何とか応えるが、ヘンリーもアリアも絶句し黙り込んでしまった。

 

 

「アベル、オレはオレ自身の手でこの国を救ってみせるぜ!」

 

 

 ――太后のニセ者め! 今に正体を暴いてやるからな!

 

 

 兵士から離れ、三階への階段を上りながらヘンリーが闘志を燃やす。

 

 

「ヘンリー……。僕も協力するよ」

 

「私もです!」

 

「不肖ピエール、私もヘンリー殿に助太刀致します」

 

 

 アベル、アリア、ピエールがそれぞれヘンリーの肩や背中に触れ、彼を励ます。

 

 

「みんな……悪いなっ……っ」

 

 

 ヘンリーはアベル達の言葉が嬉しかったようで、俯き“うっ”と息を詰まらせ、腕で目を覆うと乱暴に擦った。

 そのすぐ後に上げた顔は凛々しく、気高い王子の顔に見えた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――三階、王の間。

 ラインハット城の王の間は三階にあるのだが、城の造りで三階は二層に別れていて、部屋中央の階段を上って行くと玉座がある。

 

 アベル達が階段を上って行くと、頭のてっぺんが淋しい見慣れない貴族らしき中年男性が、階段を上って来るアベル達を訝しい顔で見下ろしていた。

 

 

「我が国王に何か用か? しかしデール王は気分が優れぬとのこと。出直してまいれっ」

 

 

 まだあどけなさが残る少年(デール)王の居る玉座まであと僅かという所で、中年男性に通せんぼされ門前払いされる。

 “軽食を……”と言う間すら与えてもらえなかった。

 

 目と鼻の先にデールが居るというのに! とヘンリーの眉間に皺が寄る。

 

 中年男性が念の為玉座をチラ見しデールを窺うが、デールはアベル達など見向きもせずに、頬杖を突いてぼんやりしていた。

 

 

「……あんた誰よ?(っつーかデール、お前王なのに何でそんなぼんやりしてんだよ!!)」

 

 

 ――十年前にこんなおっさんは居なかったはずだ!

 

 

 ヘンリーは我慢ならず、つい訊ねてしまう。

 

 

「あ、あんただと……!? 何という口の利き方を……。私はこの国の大臣である! デール王に謁見したいのなら後日にするがよい」

 

 

 なんと、中年男性はこの国の大臣らしい。

 大臣はムッとした顔でアベル達を通さないよう仁王立ちしてしまった。デールに会わせる気はないようだ。

 

 

「……チッ」

 

「ヘンリー……一旦下がろうか」

 

「くそっ! ここまで来て……!!」

 

 

 アベルは一度階段を下りてから どうにかデールに会えないか考えることにした。

 

 

「今は大臣なんかいるんだな。まあいいや……、あんな知らないヤツのことはムシだムシ!」

 

 

 けど、どうする……?

 大臣が通せんぼしていてはデールと話が出来ないじゃないか……。

 

 

 ヘンリーは階段を見上げ、唇を噛み締める。

 

 

「……さてと……。どうしようか……。別の通路もないし……、ピエール、何かいい方法ないかな?」

 

「え……、あっ……、その……。やはり違うようで……。大臣が立ちはだかったことなど一度も無かったのですよ……」

 

「ん? そうなんだ……。困ったな……」

 

 

 アベルはピエールに訊ねてみたのだが、急に振られたピエールはアベルを見上げ首を横に振った。

 ピエールの記憶と今回は違っているらしい。

 

 

「ん? お前達何言ってんだ?」

 

 

 ヘンリーが眉を顰める。

 

 

 ――何だよ、アベルだけじゃなく、ピエールも変な事言い出したぞ……??

 

 

 まあ、今はそんなことどうでもいいか。

 アベル、ピエール、ヘンリーの三人は さてどうしようと腕組みを始めた。

 そんな中、

 

 

「…………これ……」

 

 

 アリアがおずおずと、ここまで持ってきた【モモガキ】を見下ろす。

 

 

「ん……? どしたのアリア?」

 

「私、これをお届けしてきます。フードを取って、マントも開いて。そうしたらもしかしたらお会いさせて下さるかも……」

 

「なっ!? だ、ダメだよ! そんなことしたら君、捕まるかもしれないんだよ!?」

 

 

 アリアが正体を晒し【モモガキ】をデールに届けると言うので、アベルは慌てて止めに入った。

 

 

「そうだぜ! ここまで来てキミを危険に晒すわけに行かないよ!」

 

 

 ヘンリーもアベルに同意する。

 けれどもアリアはフードを取り払って、マントの留め具も外すと凛とした笑顔で告げた。

 

 

「……ヘンリーさん、言ったじゃないですか。デール王はおかしくなんて なっていないって。だからきっと大丈夫です! 全員で行くと警戒されると思うので、私が先に一人でデール様にこちらをお持ちして、皆さんをお呼びします。きっと上手くいくと思いますよ!」

 

「けどっ……だな……」

 

 

 ――まだ、デールがおかしくなっていない とは確定してないんだぜ?

 

 

 アリアの申し出は有難かったが、下手をすれば捕まるかもしれない危険も孕んでいるため、ヘンリーはすぐ乗る気には なれなかった。

 

 

「っ、アリアそれは……っ!!」

 

 

 アベルも同様、アリアに危険なことはさせたくない様子で、彼女にフードを被せる。

 

 

「っ、アベルさんっ! 私を信じて下さい。何かあったらすぐお呼びします。そうしたらアベルさんは飛んで来て下さるでしょう?」

 

 

 アリアは被せられたフードを取り払い、アベルを見上げた。

 

 

「っ、行くよ! 行くに決まってる! けど!」

 

「……他にいい案がありますか……? 軽食を差し入れるだけですし、私、簡単に捕まったりしませんよ……? ウフフッ」

 

 

 不安そうなアベルの顔に、アリアはスゥッと瞳を伏せがちにし、不敵に笑う。

 急に婀娜(あだ)っぽくなった目線に、アベル達はごくりと唾を飲み込んだ。

 

 

「っ、お、お願いします……(この顔……ドラきちが仲間になった時の……!?)」

 

 

 ヘンリーの胸がドクドクドクと逸る。

 

 

「っ、お、お任せします……、けど、何かあったら……!」

 

 

 アリア……、君、その瞳すごく色っぽいんだけど……!?

 その顔……、すごく……イイ……!!

 

 

 アベルが鼓動を逸らせながらも食い下がろうとするのだが……。

 

 

「…………チュッ。ふふっ、見えない所で隠れていて下さいねっ」

 

 

 アリアは自分の人差し指の先に唇を当てると、その指先でアベルの唇に触れる。

 

 

 ふにっ。

 

 

 突然振れたアリアの指先にアベルは固まり黙り込んでしまった。アベルの顔がみるみる赤くなってゆく。

 そうしている間にアリアは二つに結った髪紐を解いて【モモガキ】片手に階段を上って行ってしまった。

 

 

「……っぁあァ……!!!???」

 

 

 漸く今何が起こったのかを把握したアベルが叫びそうになるのをヘンリーとピエールが押さえ付け、口を塞ぐ。

 

 

「っ、あの子、時々大胆だな!」

 

「そ、そうなのです。そこが魅力的で……」

 

 

 ヘンリーとピエールはアベルを拘束しながらアリアが階段を上がって行く様子を見守っていた。

 

 

「フガガッ、フガフガフガ!!(アリアッ! 一人で行くな! ……ていうか、今の間接キッ……)」

 

 

 ――スゥゥぅぅううううう!!!?

 

 

 アベルは恥ずかしくなってヘンリーとピエールの手や腕を振り解くと、顔を覆って俯いてしまう。頬は熱く赤く、耳も朱に染まっていた。

 

 




チュッとな。アリアさん時々大胆。

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読んでいただきありがとうございましたっ!

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