ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ニセ太后の顔を拝みに来てみたものの……。

では、本編どぞ。



第二百三十一話 顔を拝みに

 

 

 

 

 

 デールと別れ、不思議な鏡を探す前にニセ者の太后を一目だけでも見てやろうと、アベル達は四階へとやって来た。

 

 

「……で、四階に来てみたわけだけど……、なんだよ……護衛がいるのかよ……」

 

 

 太后の部屋の前で【さまようよろい】らしき護衛が張り付いているのが見える。

 アベル達は階段の手摺りを目隠しにし、四階まで上り切らず階段途中でコソコソと相談していた。

 

 

「……はは、見たところ魔物みたいだね……、ニセの太后様に会わせてくれるかもしれないし、話を訊いてみようか」

 

「……アベルってさ、魔物だろうとなかろうと平気で話し掛けんのな……。尊敬しちゃうよ」

 

 

 ヘンリーが感心したように口角を上げる。

 

 

「あはは。魔物の中にもいい魔物だっているからね。ね、ピエール?」

 

「っ、ど、どうも……」

 

 

 アベルに見下ろされ、ピエールは恐縮するように会釈した。

 

 

「アリア」

 

「はい?」

 

「念のため……」

 

「はい……、アベルさん……」

 

 

 最後尾に居るアリアにアベルがフードを被るようジェスチャーで指示すると、彼女はアベルを見上げ頬を染め、はにかんでからフードを被った。

 

 

「……っ……(可愛いなぁ……)」

 

 

 アリアは直ぐに下を向いてしまったが、先程の笑顔が可愛くて、アベルの胸がきゅぅっと締め付けられる。

 

 

「じゃ、行ってみようか」

 

「おー!」

 

 

 階段を上がり切り、アベル達は太后の部屋の前で見張りをしている護衛に声を掛けた。

 

 

「すみません、ここにはどなたが……?」

 

「ここは太后様のお部屋だ。太后様に呼ばれたのか?」

 

 

 アベルが話し掛けると、話が通じるようで【さまようよろい】がアベルを威圧するように下から見上げて来る。

 

 

「はい」

 

「ウソを吐くな! お前のような者が来るとは聞かされておらぬぞ!」

 

 

 ――大体今“ここにはどなたが……?”と訊いただろうが!!

 

 

 【さまようよろい】は語気を荒げる。

 

 

「ははは……実は、呼ばれてはいないんですよ……。一目お会い出来たらと思いまして……」

 

「では下がれ! 太后様は必要のある者しかお会いにならぬのだ」

 

 

 アベルが言い直すと【さまようよろい】は首を横に振り振り、会えないの一点張りで扉の前から退いてはくれなかった。

 

 

「まったく、お前のような者が太后様に会えるとでも思っていたのか!? シッシッ!!」

 

 

 【さまようよろい】にあっちに行けと軽くあしらわれてしまう。

 アベル達を追い返した【さまようよろい】は、「昨日は寝るのが遅かったんだから昼寝の邪魔をするな!」と扉の前を陣取り居眠りを始めてしまった。

 

 すぐに“ぐぅぐぅ”と(いびき)が聞こえて来る。

 

 

「……会えないみたいだね」

 

「……だな」

 

 

 アベルとヘンリーは目配せして頷き合い、部屋から離れようとする。

 

 

 ――その時だった。

 

 

『……なんてこと! あれだけ多くの美女を送ったっていうのにまた違うだって!? 一体どんな美女を送れば気に入るというのだ! せっかくわらわが……――……――を……――と、思ったのに……――して』

 

 

 太后の部屋からヒステリックな怒鳴り声が漏れ聞こえた。

 が、最後の方は小さくてよく聞き取れない。

 

 

「! 今の聞いたか……!?」

 

「…………うん、女性達を攫い、石に変えたのはニセ者で間違いない」

 

 

 ヘンリーがアベルにアイコンタクトを送ると、アベルは太后の部屋の扉を睨み付ける。

 

 

「こいつ寝てるし、今乗り込むか!?」

 

「いや……、今はダメだ。助けを呼ばれたら兵士達がやって来て多勢に無勢になってしまう」

 

 

 部屋の扉前でどっしりと腰を下ろし眠る【さまようよろい】を見下ろしヘンリーが武器に手を伸ばすと、アベルは止めに入り首を左右に振った。

 

 

「……くっ……、…………扉一枚隔てた向こう側に標的がいるっていうのに手を出せないなんて…………、……むかつくぜ」

 

「……ヘンリー……」

 

 

 ヘンリーが唇を噛み苦々しい顔をすると、アベルは宥めるようにヘンリーの肩を軽く叩く。

 

 

「……あの……アベルさん、ヘンリーさん。地下牢の女性達も出して頂けるようですし……ここは、デールさまが仰っていた不思議な鏡について調べに行きませんか……?」

 

「……私も、それが良いと思います」

 

 

 アベルとヘンリーの後ろに居たアリアとピエールは下り階段を指差し、告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニセ太后には会えず、アベル達はデールの云っていた不思議な鏡について調べることにし、階段を下っていく。

 

 

「ちぇっ! ニセ太后に会って真実を明らかにしてやろうと思ったのに……。でも会えたところで、ニセモノって証明できなくちゃどうしようもねえか」

 

 

 ヘンリーが階段を下りながら忌々しそうに舌打ちをした。

 

 

「そうですね……(不思議な鏡とはどんな鏡なのでしょうか……)」

 

「城の倉庫だったっけ……(不思議な鏡か……。何か引っ掛かるなぁ……)」

 

 

 アリアとアベルが相槌を打ちながら不思議な鏡について考えを巡らす。

 

 王の間まで下りて来ると、デールがアリアに笑顔で手を振り声を掛けようとしたのだが……。

 

 

「…………、アリア、滑って転んだら大変だから足元に気を付けてね」

 

 

 アベルがデールとアリアの間に入り、そんなことを言う。

 

 

「ぁっ、はい……(別に滑りやすくはないと思いますが……)」

 

 

 アベルに視界を遮られ、アリアはデールから目線をアベルに移して頷いた。

 すると、アベルは彼女の手を引いて階下へと行ってしまう。

 アリアは階段を下りる前にデールに振り向き、会釈して去って行った。

 

 その後ろにピエールが続く。

 

 

「デール、じゃあ……(アベルの奴、あからさまだなー……)」

 

 

 最後尾のヘンリーが呆れた笑顔で軽く手を挙げ挨拶し、去ろうとするがデールに呼び止められる。

 

 

「あっ、兄さん。お妃候補のお触れは取り下げたからね! 地下牢の女性達も直に解放されると思うよ」

 

「おっ、仕事が早いな! アリアに言っとくよ! じゃあ、行って来んな!」

 

「うん、兄さん。頼んだよ」

 

 

 デールの言葉にヘンリーは笑顔を見せると、アベル達を追って行った。

 

 

「……アリアさん……、素敵な女性(ひと)だったな……。あんな人がボクのお嫁さんになってくれたらいいのに……」

 

 

 ――けど、ボクには無理かな……。

 

 

 アリアに求婚した時のアベルの様子を思い出し、デールはぶるっと身体を震わせる。

 

 

「……手を振るくらい許してくれてもいいのに……」

 

 

 ――アベルさんて心が狭い……!

 

 

 ムムッ、っと頬を膨らませたがすぐにハッとする。

 

 

「……なんて、こんなこと考えてる場合じゃなかった。ボクも何かしないと……!!」

 

 

 デールは玉座から立ち上がり、自分にも何か出来ることがあるはず……と、動き出したのだった。

 

 




アベル、デールにも容赦ない。
デール君、小さいのに……。

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読んでいただきありがとうございましたっ!

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