ドジっ娘なアリアさんはそろそろ見納めかもしれません。
では、本編どぞ。
「うぅ……。抜け出せません……(抜けそうで抜けない……)」
「……はははっ。今出してあげるよ」
「うぅ……すみません……」
アベルがアリアの手を引っ張る。
ところが、
「いたっ」
お尻はすっぽり嵌っているらしく簡単には引っ張り出せず、腕が痛かったのか、アリアは顔を顰めた。
アベルは不味いと思い手を放す。
「あっ、痛かった? ごめん。じゃ、じゃあ……、どうしよう……」
――っ、抱き上げるしかないけど……?
こうなったらアリアに自分の首にしがみ付いてもらう他ないなと、アベルは思ったのだが、「僕にしがみ付いて」なんてこと恥ずかしくて口に出来なかった。
「見事に嵌っちまってるな……。ツボを割っちまうかい?」
「ダメだ。破片で怪我したら困る」
ツボに嵌るアリアを見下ろし、ヘンリーとアベルがどうやって助けるか腕組みして相談する。
「んなこと言っても、こんなことに時間を掛けてる場合じゃ……」
「アリアを助けてやりたい」
アベルは真っ直ぐにヘンリーを見据えて告げた。
「……はぁ、まあいいや、オレは本棚に戻るよ。アベル何段目まで見たんだ?」
「あ、二段目までは終わった」
「じゃあ、オレが左の本棚の続き見るから、アリアを助けたら右を見てくれ。オレも二段目までは終わってる」
「わかった」
ヘンリーが匙を投げ出し、頭の後ろで手を組みながら本棚へと戻ってしまう。
アベルはヘンリーに返事をした後でどうやって助けようかと考え込んでいた。
「アリアさん、ごめんな。アベルに助けてもらってくれ」
不意にヘンリーが顔だけアリアに向け言い放つ。
「……いえ、私の方こそ邪魔をしてしまってすみません……」
「いいっていいって。キミを助ける王子様は一人でいいでしょ?」
ヘンリーは片目をパチッと瞬かせ、ウインクした。
「えっ……、ぁっ……」
アリアの頬が“ぽっ”と色付く。
アベルはどうやったらアリアに傷が付かないよう助け出せるか、ツボの周りを見ていてヘンリーの話など聞いていない。
(……アリアはアベルのこと、満更でもないと思うんだよなぁ……。)
ヘンリーはアベルとアリアを見ながら、“お似合いだよ”と漸くアリアに対する想いに諦めを付けたのだった。
――もう二人の邪魔はすまい……ああ、早く新しい恋がしたいもんだな……マリアさん……。
「……植物大全……、農業のすすめ……、ハハッ、なんだよこの辺りはこんなのばっかだな」
ヘンリーは一冊ずつチェックしていく。
そのすぐ傍で、
「……うーん……、手を引っ張ると痛い……よね?」
色々考えてみたが やはり手を引っ張る他なさそうで、アベルはしゃがんでアリアに訊ねた。
そんなアベルにアリアは……。
「…………、…………アベルさん」
「え……」
アリアはアベルに向け、両手を広げ真っ直ぐに彼を見つめた。
“抱き上げてください”
はっきり言ったわけではないが、ハグを求められているのはわかる。
「っ、……う、うん……。ちゃ、ちゃんと掴まって……ね……?」
「……っ……、…………はい……っ」
アベルは誘われるままにアリアの傍に寄って彼女の腋に自らの腕を差し入れた。
すると、アリアがアベルの首に腕を回してくる。
――あ……柔らかい……、それにすごく好い匂いがするぅぅぅぅ……!!
アリアに抱き締められ、アベルの鼓動が跳ね上がる。
華奢なのに確かな弾力、けれども少しでも力を入れたら壊れてしまいそうだ……。
あぁ……。
このままずっと抱きしめていたい……。
「っ……、アベルさん……、苦しい……っ」
「あっ、ごめっ……。じゃあ抱き上げるね」
アベルはそのままアリアを抱き上げた。
ピエールがツボを押えてくれたので、すぽっと抜ける。
「わっ、ぁっ……!」
「あっ!」
直ぐに抜けた までは良かったのだが、あまりに勢いが良過ぎてしまい、今度はアベルの方へと倒れてしまう。
「っ、っと……、…………いっ!?」
「……ぃっ!?」
ガチッ!!
小さな音が弾ける。
アベルが受け身を取り床に転がったものの、アリアはアベルの腹の上に乗っかり、あろうことか歯がかち合ってしまった。
「「……っ!?(今のっ!?)」」
アリアが慌てて身体を起こす。
アベルの上に座ったまま口元に両手を当て顔を真っ赤にし、アベルを見下ろしていた。
「っ……(アリアっ……!)」
アベルの唇から血が滲む。
アベルは自分の上に乗っかるアリアを見上げて、彼女と同じく顔を真っ赤に染めている。
彼女の唇からも僅かに血が滲んでいた。
――ああ、アリアが僕の上に乗ってるぅぅううううっっ!!??
ツー……と、アベルの鼻から血が零れ出す。
「ぁっ、アベルさんっ……! た、大変、鼻血が……!」
鼻血に驚いたアリアはアベルから退けばいいのに、そこまで頭が回らずアベルの上でハンカチを探した。
中々見つからないのか、鞄を漁りってゆっさゆっさとアリアの豊満な果実が揺れる。
アベルは“あぁ、絶景かな絶景かな……”と意識が飛びそうになりつつ、アリアが下半身に座らないで良かった、そして速やかに退いてくれることを願った。
「…………、…………アリアさん、立ち上がった方が……(アベル昇天しかかってるな……)」
「え……、あっ……! す、すみません……!」
さすがに黙っていられず、ヘンリーが助け舟を出す。
ヘンリーが手を差し出すとアリアはその手を取り、立ち上がった。
その際アベルの頭上を霞めたため、意識をなんとか保っていたアベルはそれを見てしまい……。
――ぁぁああああっっ、アリアのパンツぅうぅうぅうう!!!!
も、ムリ……。
いい人生だった……。
パタリ。
と、鼻血を流しながら意識を手放してしまった……。
「アベルさんっ!!??」
アリアの声が遠くに聞こえたが、アベルの最期は安らかだった。
―― ドラゴンクエストV -転生の花嫁- 完 ――
悪ノリしました……w
まだまだ続きまっすw
花嫁になってませんもんね!
次回は神の塔へと向かいます!
歯がかち合っちゃっただけ……。
----------------------------------------------------------------------
評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございましたっ!