アベルとヘンリーが仲直りして良かった~。
では本編どぞ。
青い扉の前ではアリアとピエールが待ちぼうけとばかりに座って待っており、アベルとヘンリーが笑顔で歩いて来る様子に気付くと、アリアは嬉しそうに破顔した。
「アベルさん、ヘンリーさん! 仲直り出来たんですね。よかった……!」
二人が扉前までやって来ると、アリアは立ち上がって合わせた手を唇に触れさせ目を細くした。
アベルとヘンリーの仲直りが余程嬉しかったのか、機嫌が良さそうである。
「……うん、お待たせ」
「へへ、アリアさん、心配掛けたね」
「いえ! お二人は親友同士ですもの。すぐに元に戻るって信じていました(ヘンリーさんはアベルさんが大好きなんですもの!)」
アリアは首を横に振ってにこっとはにかんだ。
「……笑顔がまた可愛いんだよなぁ……、あ、これは友人としてもそう思うから怒るなよ」
「うん……、そうなんだよ……可愛いよね……」
ヘンリーとアベルは互いに目配せしてうんうんと頷く。
「へ……? なっ、何がですか……!?(か、可愛いってひょっとして私のことですか……!?)」
アリアは頬が熱くなった気がして両手を頬に当て照れてしまった。
――か、可愛いって……、な、何だろう……!?
面と向かって言われるのは慣れていないのか、アリアは脳内パニックに陥ってしまう。
瞳を何度も瞬かせていた。
「これが、あの日記に書かれていた塔だな。ここに鏡があるはずなんだけど……」
照れてしまったアリアはそっとしておいて、ヘンリーは塔を見上げた。
間近で見ると、随分と高い。
「……真実を映し出す鏡か……」
ぼそっと、ヘンリーの隣でアベルも塔を見上げ呟いた。
「ん……? 真実を映し出す鏡……? っ、あっ! もしかして……アレか!? アベルが言ってた!?」
「ああ……。アリアの記憶を戻せるかもしれない鏡がある場所だよ」
「やっぱり! 何か聞いたことがあるなーって思ってたんだよ!! アリアさん!」
気付くのが遅くなったがヘンリーも漸く気付いた様子で、アリアに教えてやろうと声を掛ける。
「カワイイって……ナニ……? っ? は、はいっ!?」
アリアは二人の会話を聞いていなかったのか、ハッとして慌てて返事をした。
「この塔の中に、キミの記憶を戻せる魔法の鏡があるみたいだぜ!」
「えっ、本当ですか……!?」
ヘンリーの言葉にアリアは目を見開く。
そんな便利なものがあるなんて……! というような顔である。
「ああ! 予知能力のあるアベルが言うんだから間違いないさ! なっ、アベル!」
「…………っ(ま、まだ可能性があるだけなんだけど……)」
ヘンリーはアベルの肩を組んだが、アベルは「ハハ……」と自信なさげに乾いた笑いを浮かべていた。
「アベル、ラインハットの鍵を貸してくれ」
「え? あ、うん。けどこれじゃ……」
――この鍵じゃ開かないけど……?
アベルはわかっていつつも、ヘンリーに云われるままに【ラインハットの鍵】を渡した。
すると、ヘンリーが扉にその鍵を差し込んでみるのだが、鍵は回らない。
「う~ん。やっぱりウチの城のカギじゃ開かないな……。そういえば日記には修道僧がカギを持ってるって書いてあったけど、どこにいるんだろ?」
ほら、返すよ。とヘンリーはアベルに【ラインハットの鍵】を戻した。
「……もしかしたらアリアが開けられたりして」
「え……? どういうことですか?」
アベルがチラッとアリアに目を向けると、彼女はぽかんと目を瞬かせる。
「……アリア、扉が開くように祈ってみてくれないかな? 祈りが届けば扉が開くはずなんだ」
「へ……? わ、私が……ですか……?」
急なアベルの提案にアリアは自分を指差し首を傾げた。
「うん、君は修道院に住んでいたし……」
――確か……神に仕える乙女にしか扉は開けなかったんだよね……。
マリアに来てもらう方が確実だが、もしかしたら元天使のアリアでも開くかもしれないとアベルは試してみることにしたのだった。
「……どういうことですか?」
「祈るって……どういうことだ?」
アリアとヘンリーが不思議顔で訊ねて来る。
「……とにかくやってみてくれないかな?」
「お、おいアベル……? あ、そうか……!(アレか。予知能力ってヤツか……!)」
アベルがアリアに再度お願いすると、ヘンリーはアベルの予知能力だと感じてアリアの方を見て首を縦に下ろした。
「……えと……? はい……、で、ではやってみますね……(よく、わかりませんが……祈ればいいのでしょうか……)」
アベルとヘンリーに押し切られ、アリアは扉の前で手を組むと、目を閉じ祈る。
(……神様、どうか扉を開けて下さい……。私の祈り……届きますか……?)
………………。
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しばらく待ってみたが、扉が開く様子はなかった。
「……反応がありませんね……」
「……みたいだね。ありがとうアリア(元天使の祈りは届かないのか……)」
アリアが目蓋を開いて塔を見上げると、アベルは彼女の肩にそっと触れる。
「お役に立てず、すみません……」
「ううん、いいんだ。ひょっとしたらって思っただけだから。じゃあ行こうか」
「……なんだったんだ? ってどこへ……!?」
落ち込むアリアにアベルは優しく微笑み掛け、塔に背を向け来た道を戻っていく。
ヘンリー達も後を追った。
「おい、アベル! どこに行くんだよ!? 塔に入らないのか!?」
「……一度、修道院に戻ろう」
「修道院……って……、あのっ!?」
「ああ、ここから近いんだ」
アベルの提案にヘンリーが修道院といえば……と目を輝かせると、アベルは首を縦に下ろす。
「ってことは……マリアさんに会える!?」
「……だね。良かったね、ヘンリー?」
「よっしゃぁぁああああ!!」
アベルがにっこりと頷くと、ヘンリーは拳を高らかに掲げたのだった。
「修道院…………に、戻る……のですか……?」
「え? あ、うん……。アリア……?」
ヘンリーの態度とは対照的にアリアの瞳が動揺するように揺れている。
アベルは彼女の様子がおかしい気がして訊ねていた。
「ぁっ……、えと……、私ご迷惑にならないでしょうか……」
アリアは眉をハの字にしてアベルとヘンリーの二人を交互に窺う。
「そうだアリアさん! デールが妃候補のお触れは取り下げたって言ってたぜ! だから修道院に戻っても問題ないはずさ!」
「うん、君が戻っても迷惑は掛からないよ。それに……君は修道院にずっと居るつもりはないんだろう?」
「あ……はい。それはそうなんですが……、…………大丈夫かな……」
アリアは何かを気にしている様子で瞳を伏せる。
「ん……?」
「っ、私、神の塔にご一緒出来ないかもしれません……」
――えっ?
アリアの祈りは届かず。
なんせ洗礼受けられなかった人ですからね! 当然ですね!
マリアを連れに戻るべし!
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