ウザ絡みのキャシーちゃん。
では、本編いってみましょー。
「イヤン、無視しないでェ~ン。キャシー泣いちゃうぅぅ❤」
【エンプーサ】の【キャシー】は片手拳を作ってプルプルと震わせ、涙を溜める。
演技派のようだ。
ところが、もう片方の手はアベルをがっちり掴んだまま放さなかった。
アベルは、魔物とはいえキャシーは女の子……。無視し続けるのは忍びなく……、
「っ……っ、……ア、アベ……ル……」
僅かに葛藤したが、答えてやることにしたのだった。
「アベル……? マア! ナンテ素敵なお名前なのぉん!? アタシのコトわぁ、キャシぃって呼んでネン❤ あ、ネエネエ、耳を貸して下さるぅうン?」
アベルが名乗るなり、キャシーは破顔する。
そして、彼女はアベルに何か言いたいことがあるのか耳を貸すように手招きをした。
「……な、何かな……(……こ、この子、に、苦手だ……)」
多分断ったらしつこそうだなと、アベルはキャシーの身長に合わせ身を屈める。
と……、
「……アベルん♪ アタシは今日からアナタのオンナよぉおン! 片時も離れないわぁああン、……ブッチュんッ❤❤」
アベルの耳元でねっとり濁声が響いたと思ったら、次にはキャシーの唇がアベルの頬に吸い付いていた。
「え゛」
ぢゅぅぅぅう゛う゛う゛う゛…………、すっぽん!
頬の吸われる音と、離れた時の小気味いい音が聞こえる。
「……アベル、お前……頬が真っ赤だぜ……、口紅の跡が……べったり……」
「まあ……、熱烈ですのね……」
ヘンリーがマリアと共にやって来てアベルを見て告げた。
アベルは突然のことに放心状態で、固まっている。
「イヤン、アベルんたら、照れてルゥ?」
ツンツン。
キャシーはアベルの腹を指で突いて「キャッ! ステキな外腹斜筋!」とニヤつく。
「……っ!? 別に恥ずかしくないけど!! キャシーやめてくれる!?」
アベルはハッとして頬を拭い、キャシーから離れた。
ところがキャシーは追って来る。
「あらん、どぉしてぇン? アタシはアナタのカワイイ子猫ちゃんなのよぉぉん?」
「っ、僕の可愛い子猫なら、修道院に居るから!!」
キャシーはアベルの腕にしがみ付いて、腰をくねくねと くねらせ見上げるのだが、アベルはきっぱりと言い切ったのだった。
「子猫……? 修道院の猫は確か成猫だったはずでは……?」
「ん……子猫? …………お、おお!(あれか、アリアのことか!!)」
マリアが首を傾げる中、ヘンリーは思い当たり“ぽん”と手を打った。
――アベルも言うねえ……!
ヘンリーはついニヤけてしまう。
「他にオンナがいるなんて許さないワよ……、と言いたいトコロダケド、アタシ、心が広いの……うっふん。浮気しても許してア・ゲ・ル☆」
キャシーはアベルの腕にしがみつき、小さな胸でもって挟むと、アベルを見上げウインクする。
「っ、人の話聞いてた!?」
キャシーから色気は特に感じないが、アベルはたじたじだった。
「ははは……これまた、強烈なのと出会っちまったなあ~。わっはっはっ!」
「ヘンリー! 他人事だと思って!」
ヘンリーが笑い飛ばすと、アベルは腕に掴まるキャシーを引き気味に見下ろしながら声を荒げる。
そんな中、ヘンリーが冷静に訊ねた。
「……で、仲間にするのかい?」
「え? あ、そういえばまだ仲間にするって言ってなかったっけ」
ヘンリーに云われてアベルはハッとする。
――そういえば、まだ仲間にするとは言ってなかった。今なら間に合うじゃないか!
「あらん、アタシはもうナカーマよぉん☆ いえ、アベルんのコイビトねぇん!」
「っ、仲間にするって言ってないんだけど!? ていうか、今はガンドフを連れているし!」
「あぁ~……そこのビックアイちゃんネェン。ガンドフちゃんていうのねえ……」
アベルの腕に縋りついたままキャシーは「アベルん、ちょっと待っててン☆」と分厚い唇を窄め、ウインクをするとアベルから離れた。
そしてキャシーはガンドフの元へと行き、彼の両肩を掴んだかと思うと……、
『モぉンスターぉじいさぁああん! ガンドフちゃんを送るわぁぁああん!! よろしくねぇぇええん!』
先程までのねっとり甘ったるい声はどこへ消えたのか、野太い声で“ふんぬっ!!”と力を込め、ガンドフの身体を吹き抜けの上空へと放り投げたのだった。
「なっ!?(なんてことを……!!)」
アベルが驚き目を見開く。
「………………!!??」
ガンドフは咄嗟の出来事に大きな目玉をひん剥いていた。
自分は何も喋っていないし、何も悪いことをしていないのに何故放り投げられなければならないのか。
そしてモンスターじいさんは、アベルが送ったわけではない自分を迎えてくれるのだろうか。
というか、こんな送り方があっていいのか?
このまま上昇を続けると、いずれは止まり、地上まで落下し死んでしまい兼ねないのだが……。
「………………」
ガンドフの心配が的中し、身体が上昇を止め落下し始める。
彼は死を覚悟し涙を流した……。
「……っ! モンスターじいさんっ! ガンドフをお願いしますっ!!」
アベルは慌ててモンスターじいさんに願う。
するとガンドフの身体は再び上昇を始め、モンスターじいさんの元へと無事飛んで行ったのだった。
上昇して行く際に、ガンドフが涙を流しながら嬉しそうな笑みをアベルに残して行く。
――ごめんねガンドフ……! ……無事でよかった……!
アベルはガンドフが無事モンスターじいさんの元へと送られたことに安堵した。
「キャシー……君……、何てことを……!」
「さあ……アベルん、行きましょ❤ アタシをナカマにしないなんて、そんなヒドイこと言わないワヨネ?」
パチンっ❤
キャシーは“うっふん”と口を
アベルの言う事など聞いていなかった。
「ぅ……」
「ナカマにしてくんなきゃ、キャシー死んぢゃう゛~んんっ!!」
引き気味のアベルの腕をキャシーはグイグイと引っ張る。
彼女は俯いていてアベルからは頭頂部と尖った耳しか見えないが、金の髪が揺れる度に甘くキツイ鼻にツンと来る匂いが漂っていた。
「っ、キャシー……死ぬって何言って……! 僕は君を仲間にはしな」
「アベル」
「っ、ん? 何ヘンリー」
アベルはキャシーを剥がそうとするが、ヘンリーが眉根を寄せて腕組みをする。
「……仲間にしてやったら? その子泣いてるぜ?」
「え゛……マ?」
ヘンリーが困ったような顔で告げるので、アベルはそーっとキャシーを窺い見た。
「ぅぅぅ……アタシ、アベルんの役に立つ自信あるのにぃ~……しくしく……」
キャシーはヘンリーが云った通り、泣いていた。
涙を零しメイクが滲みに滲んで目の周りが真っ黒である。
「……っ……(酷い顔……)」
アベルは一瞬どうしようか悩んでしまうのだが、
「アベルさん。魔物とはいえ、女性を泣かせるのは……」
「そうだぜ、アベル。お前が女の子を泣かせたって聞いたらアリアもショックを受けるんじゃないか? そんな冷たい男だったのかーってさ!」
「ぅ……(ここでアリアを引き合いに出すのは卑怯じゃないか!?)」
「うるうる……(アベルん……!)」
マリアとヘンリーから責められている気がしてアベルがキャシーを見ると、キャシーはアベルを上目遣いで見上げて来る。
ところがメイクが崩れた顔のあざといポーズはアベルに効き目は無かった(メイクが完璧でも無いが)。
……だが。
「っ、わかった、わかったよキャシー! 君を仲間にするよ!(すればいいんでしょ!)」
アベルはアリアに嫌われたくない一心でキャシーの仲間入りを許可したのだった。
「アベルん……!! アタシ、きっと役に立つわ! そうダワ! この塔の最上階まで道案内してア・ゲ・ル❤」
仲間になることを許可された途端、キャシーの涙が引っ込み彼女は弾ける笑顔を見せる。
そうして、これから行く先の通路を指差し「キャシーにオ・マ・カ・セ❤」とアベルの腕に自らの腕を絡めて歩き出した。
――っ、腕組む必要ある……!?
アベルはそう思ったが、また泣かれたら面倒だとそのままにしたのだった。
女の子の涙に弱いアベル。
何だかんだと優しい男である。
キャシーは書いててウザいなーと思いながら書きました☆彡
どうでしたかね。ウザい感じ出てましたかね?w
超絶ポジティブマインド。
この子ウザいけど嫌いじゃないわwww
ちな、ガンドフ、地上に落ちても死なないはずなのだけど、常に三角座りだから真っ逆さまに落ちると頭打って死ぬかも知れませんね。
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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございましたっ!