ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

アベル告白する気満々マン。

では本編どぞ。



第二百五十七話 告白!?

 

「……これでよし……と」

 

 

 にゃぁああん……。

 

 

 カゴの中にアベルのマントとハンカチを入れ置いたアリアの足元に猫がやって来て身体を擦り付ける。

 

 

「あ、猫ちゃん……。しぃ、まだ静かにしててね。こっちよ」

 

 

 にゃぁぁ……。

 

 

 猫はアリアの言っている事が解るのか、声を僅かに小さくし、階段を下りて行くアリアの後ろについて行く。

 

 

「ふふっ、いい子ね、おはよう。お腹空いたの?」

 

 

 にゃあっ!

 

 

 アリアの言葉に猫が元気に鳴いて教えてくれた。

 

 

「ご飯の時間はまだ先だけど……。何かあると思うからちょっと待っててね」

 

 

 そう言ってアリアは炊事場に入って行くと、昨晩出汁を取りすっかり乾涸(ひから)びた小魚を、ついて来た猫に与える。

 

 

 にゃぁん!

 

 

 猫は喜び大きな泣き声を上げると、嬉しそうに小魚を咥えて去って行った。

 

 

「ふふっ、小腹が空いてたのね」

 

 

 アリアは炊事場に来たついでに水を飲んでから草むしりをするため、外へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリアが猫に小魚を与えた頃……。

 

 

「ぅ、ん……?(猫の鳴き声……?)」

 

 

 二階の客室でアベルは目を覚ます。

 昨夜遅くまでアリアのことを考えていて いつの間にか眠っていたわけだが、深い眠りにはつけず、浅い眠りだったせいか一階で大きく鳴いた猫の一声で目が覚めてしまった。

 

 

「……静かだな……」

 

 

 猫の声は先程聞いた一度だけで、もう何も聞こえなかった。アベルが隣のベッドを見ると、ヘンリーが「ぐごーぐごー」と(いびき)を掻いて眠っている(ヘンリーの鼾で目を覚まさないのは長年の付き合いからである)。

 

 今度は、窓の方へと視線を移す。

 外は白んでいるものの、ヘンリーの鼾以外に物音は聞こえない。まだ起きる時間ではなさそうだ。

 

 

「……さすがに二度寝したら起きれないな……」

 

 

 アベルは変な時間に目が覚めてしまったなと、散歩することにした。

 眠るヘンリーを置いて客室を出る。

 

 

「あ」

 

 

 客室の扉の横にカゴが置かれていて、中にはアベルのマントとハンカチが入っていた。

 アベルはそれを手に取る。

 

 

「……いい匂い……。アリア、ありがとう……」

 

 

 ――もう起きているのかな……?

 

 

 洗濯されたマントとハンカチは石鹸とほんのり甘い匂いがした。

 アベルはマントを身に着けハンカチを【ふくろ】に仕舞うと、アリアがどこに居るのかはわからないが、朝会えたらいいなと思う。

 

 とりあえず外の空気でも吸いに行こうかと修道院の外扉を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん~! ……はぁ」

 

 

 修道院の敷地に出ると、アベルは背伸びをする。

 外の空気は朝早いこともあってか澄んでいる気がした。朝陽も先程よりも随分昇って、明るくなっている。

 

 

 ――今日からアリアとまた旅が出来るのか……想いも通じ合ったりなんかしちゃったりして……!?

 

 

「あぁ~! いい朝だなぁ~っと……!」

 

 

 アベルは腰に手を当て仁王立ちすると、昇る朝陽を爽やかな笑顔で眺めた。

 それからアベルは修道院の脇へと歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あ」」

 

 

 二人は同時に声を上げる。

 アベルが修道院脇にやって来ると、アリアが草むしりをしていた。

 

 

「っ、アリア……!」

 

「おはようございます、アベルさん」

 

 

 アリアは立ち上がってスカートの裾を持ち上げお辞儀する。

 

 

「お、おはよう。昨日は眠れたかい……? 僕は眠れなくて……」

 

 

 アベルは照れ臭そうに頭の後ろを掻いたのだが。

 

 

「あっ、はい。ぐっすり」

 

「あっ、そ、そうなんだ……。なら、よかった!(あ、あれ……?)」

 

 

 アリアに笑顔で即答され、アベルは目を瞬かせる。

 

 

 ――昨日、あんなに僕に縋りついて来たのに……すごく元気そう……。

 

 

 いや、元気が一番なんだけども……と、アベルはアリアの態度に違和感を覚えた。

 

 

「あっ、マント。受け取って下さったんですね」

 

「あ、洗濯ありがとう……。いい匂いがして……、何か変な感じだよ」

 

 

 アベルはマントを掴んで嗅いでみる。

 こんな風に嗅いだことは無いが、多分、こんないい匂いをさせたことは今まで無かった気がした。

 

 

「変な感じ……ですか?」

 

「ははっ……、うん。アリアの匂いを分けてもらったみたいで、ちょっと擽ったいよ。でも嬉しいな」

 

「ぁっ……! そ、そうですか……」

 

 

 アベルの言葉にアリアの頬が真っ赤に染まっていく。

 

 

「あっ! えとっ、この匂い好きだなーってね……!!」

 

 

 ――やっぱりアリアは僕のこと……!?

 

 

 アリアの恥ずかしそうな態度にアベルの頬も釣られて熱くなってしまった。

 

 

「……ぁ……えと……香油を使ってるんです…………――」

 

 

 もじもじと、アリアは恥ずかしそうに俯いて教えてくれる。

 昨晩は部屋干しで、生乾きの臭いを防ぐために香油を洗濯する時に少しだけ垂らしたらしい。

 

 

「へ、へえ~……、香油かぁ……。僕には縁遠い物だなぁ……。アリアって色んなこと知ってるんだね、すごいなぁ……」

 

「ふふっ、気に入って下さったのなら、よかったです」

 

 

 アベルの褒め言葉にアリアは顔を上げて、嬉しそうな笑顔を見せる。

 

 

「うん、気に入った。すっごく……!(可愛い……!)」

 

「っ、そ、そうですか……(何だか恥ずかしい……)」

 

 

 アベルが優しく目元を緩め口角を上げると、アリアは上目遣いをしながら照れていた。

 

 

「……っ……ア、アリアっ……!」

 

 

 ――いい雰囲気じゃないか? 想いを伝えるなら今か……!?

 

 

 草むしり中だったアリアの手には軍手が嵌められており、アベルは前のめりにアリアの手を掴んだ。

 

 

「は、はいっ……!?(アベルさんの手汚れちゃいます……!)」

 

「ぼ、僕はねっ……き……、き……(君のことを……!)」

 

「き……??」

 

 

 アベルの言わんとすることを知るわけもない、アリアは首を傾げる。

 

 

 

 

「き……、きっ、今日はどんな夢を見た……?」

 

 

 

 

 ――わぁあああああっ!! 僕のバカぁあああああっっ!!

 

 

 

 

 土壇場で勇気が出ず言えなくなってしまい、アベルは話題を変えてしまった。

 言おうと思っていても、直前で言い出せないこともある。

 

 アベルは身を以て知ったのだった。

 

 

「ゆ、夢ですか……? えと……」

 

「う、うん……」

 

 

 アベルは気まずさに話題を変えただけなんだけど……と思ったが、振ってしまった手前、“今のは無し”とは言えなかった。

 

 ところがこの話題が思いがけない展開を呼び寄せることになろうとは。

 アベルはこの時、自分の気恥ずかしさに気を取られ気付きもしなかった……。

 




太陽を直に見てはいけません……。

そして、アベル君……。言えませんでしたー!www
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