ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ててんてーん天使の羽っ根♪

では本編どぞ~。



第二百五十八話 天使の羽根

 

 アベルに何の夢を見たのかと訊かれたアリアは、今朝見た夢を少しずつ話し始める。

 

 

「あの……実は、初めて天使の……あ、私と同じ色の、長い髪の女性が夢に出てきました……。小さい頃の私も居たので、多分、母なのでは……と思うのですが……」

 

「え……、あっ、その天使って……、こう、顔はアリアにそっくりだけど髪は緩く波打ってて、瞳は青い……?」

 

 

 天使の夢を見たとアリアが話すと、アベルはピンと来て、神の塔で逢った天使の特徴を告げていた。

 

 

「え……? あ、そうですそうです。その女性が小さい私を抱いていて……あ、私にも翼が生えていたんですが……。……なぜ おわかりに……?」

 

 

 アベルの言葉にアリアは頷き、首を傾げる。

 

 

「……昨日話すのを忘れていたんだけど……、神の塔で その天使を見たんだ。幻影だったんだけど、神の塔は魂の記憶が宿る場所といわれているんだって。あれはやっぱりアリアのお母さんだったんだね……」

 

「そうだったんですね……お母さん……。……母は身体が弱い人だったみたいで……随分顔色が悪くて……、私の面倒を別に看て下さっている方が居ました。私が一つか二つの頃だったようなので、もしかしたら母はもう……」

 

 

 神の塔の天使の話にアリアは瞳を伏せる。

 

 

「……まだわからないよ? 旅をしていたらどこかで会えるかもしれない」

 

「アベルさん……」

 

「ね?」

 

「はい……」

 

 

 アベルの頼もしく優しい眼差しに、アリアは ほっとしたような笑みを浮かべた。

 

 

「……元気出して、アリア。記憶は戻らなかったけど、君の小さい頃の話を聞くのは初めてだよ。話してくれてありがとう」

 

「いえ……、夢の中の話なので どこまで本当なのかはわかりませんけど……」

 

 

 アリアは首を左右に振る。

 

 

「多分、本当だと思うけどね……。……あ、そうだ。そういえば昔……」

 

「アベルさん……?」

 

 

 ふとアベルは【ふくろ】を漁り出す。

 

 

「……んー……、と……、…………あ、これこれ……」

 

 

 【ふくろ】から手を出すと、アベルの手には真っ白な鳥の羽根が握られていた。

 

 

「はい、これ」

 

 

 アベルは真っ白な羽根をアリアの手にのせてやる。

 土汚れがついてしまいそうなので、アリアは受け取る前に軍手を外してから受け取っていた。

 

 

「鳥の羽根……?? なんですか……? 羽根ペンにしても良さそうですね(光沢があって……綺麗……)」

 

「あははは……。しっかりした羽根だもんね。けど、これは鳥の羽根じゃないよ」

 

 

 手元の軽い羽根を見下ろしアリアが訊ねると、アベルは羽根ペンにも良さそうだねと同意しつつ、首を左右に振る。

 

 

「え……?」

 

「……それは、君の羽根」

 

「わ……たしの、羽根……?」

 

「昔……、君の背に翼があった時、抜け落ちたものを僕が貰ったんだよ」

 

 

 ――あれは、確か……妖精の世界に居た時だったっけ……。

 

 

 妖精の世界に行く前、サンタローズでアリアが見知らぬ男に羽根を引っこ抜かれ、それを男にあげているのを見て、自分も欲しくて堪らなかった。

 その後直ぐに追いかけっこをして勝ったら貰おうと思っていたが、アベルは負けてしまったのだ。

 

 そして妖精の世界で偶然抜け落ちた羽根を貰ったのだった(※六十話参照)。

 

 

「そうなんですか……(綺麗だけど……、普通の羽根に見える……)」

 

「それ見て何か思い出さないかなと思って」

 

「え、あ……」

 

 

 アリアは自分の手にのる白い羽根をじっと見つめるものの、何も思い出せなかった。

 

 

「天使の羽根だから何か効果があるかなって思って、インパスを掛けたことがあったんだけど……、何にも反応がなくてね」

 

 

 ――たまにその羽根を眺めているのは言わないでおこう……。

 

 

 アベルの頬がほんのり色付く。

 

 

「え……? 何も……? インパスを掛ければ何かしらの反応が返って来るはずでは……?」

 

「うん、通常はね。でも、無反応なんだ。だから逆に気になってしまってね。道具だと思うんだけど……」

 

 

 ――僕にとっては貴重品だから、まあ、別に効果が無くても構わないんだけどね……。

 

 

 アベルはアリアの手の上で僅かに風に揺れる羽根を見下ろしていた。

 

 

「そうなんですね……。この羽根よく見ると、キラキラして綺麗ですね」

 

 

 アリアは羽根の光沢が七色に見えた気がして呟く。

 

 

「うん……。すごく綺麗だ(光の加減で輝くんだよなぁ……)」

 

「っ! はい……」

 

 

 アベルの言葉が真上から降り注ぎ、アリアは息を呑んだ。

 ドクドクドクと鼓動が早くなってしまう。

 

 

 ――びっくりした……。私に言われたのかと思ってしまったわ……。

 

 

 綺麗っていうのは羽根のこと、羽根のことなんだから! とアリアは心を落ち着けるように努めた。

 

 

「……君の翼は本当に綺麗だった。僕の所為で翼を失う羽目になってしまって……、本当に申し訳ないと思っているよ……」

 

「そんなっ、アベルさんの所為では……」

 

 

 アベルの言葉にアリアは顔を上げた。

 

 

 ぱちっ。

 

 

「「っ!」」

 

 

 二人の目が合う。

 思いの外距離が近く、二人は昨日の出来事を思い出してしまった。

 

 

「っ……ぁ、えとっ……! 今日はいい天気だなぁ……!(昨日のアリア、可愛かった……! 今日も可愛い……!)」

 

「っ……は、はい……。最近はいつも晴れていて……(昨日のアベルさん……優しかった……! 今日も優しい……!)」

 

 

 アベルとアリアは互いにそっぽを向いて、空を見上げる。

 その時風が吹きアリアの手から羽根が舞い上がった。

 

 

「……あっ! 羽根が……!」

 

「あ」

 

 

 アリアの声にアベルが反応して、舞い上がった羽根を目で追う。

 

 

 ――アリア……。君が空を飛ぶことはもうないんだね……。

 

 

 羽根はゆらゆらと舞いながら地面に落ち、アリアはそれを拾いに走って行った。

 

 

 

 

 カーン、カーン、カーン…………。

 

 

 修道院から朝の鐘の音が聞こえて来る。

 

 

 

 

「……はぁ……、遠くまで飛ばされなくてよかった……。アベルさん、これお返しします。やっぱり……記憶、戻らないみたいです。そろそろ皆さん起きる時間ですから、戻りましょうか」

 

 

 アリアが拾った【天使の羽根】をアベルに渡そうとすると、アベルが羽根に触れ目蓋を閉じ願うように呟く。

 

 

 

 

 

 

「……アリアの記憶が戻りますように……」

 

 

 

 

 

 

 と……。

 

 

 

 

 二人が触れた【天使の羽根】が突然白く眩く輝き出した。

 【天使の羽根】は白く発光し、その光は爆発的に広がり周りの景色を消し去って行く。

 

 

「「っ……!?」」

 

 

 あまりの眩しさに二人は目を開けていられなくなり目蓋を閉じた。

 

 

「っ、アリア……!?」

 

「っ、アベルさんっ……!」

 

 

 光は辺りの緑も色取り取りの花々も、修道院の青い屋根も、すべて真っ白に染めていく。

 波の音も、風の音も、鳥の声も、鐘の音も消し去っていた。

 

 全てを真っ白に包んだ(あと)、やがて光が収縮していくと、二人の手元には何も残っていなかった。

 

 

「っ……い、今のは……いったい……(羽根が……消えてしまった……!?)」

 

 

 アベルは目の前で起きたことに何度も目を瞬かせる。

 アリアも放心状態で、アベルと同じように瞳を瞬かせていた。

 




天使の羽根がインパスをスルーするのは、ドラクエ内のアイテムではないから。一度使用すれば反応が返って来るかもね~(ハナホジ~)

アベルが「アリアが飛ぶことがない~」とか言ってるけど、いうてアリアそんなに飛んでなかった気がする……。
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