ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

キャンプに決定。

では、本編行ってみましょう。



第二百六十八話 キャンプ

 

「もうこんなに暗くなっていたのですね」

 

 

 マリアは焚き火の傍にやって来て、ヘンリーの隣に腰掛けると手を火に(かざ)す。

 

 

「うふふ、温かいですね」

 

「マリア、寒くなかったかい?」

 

「はい、毛布がありましたから」

 

「そっか、良かった。風邪引かないようにな」

 

「はい、ヘンリーさまも……」

 

 

 ヘンリーのマリアを労わる声と、マリアのヘンリーを労わる声。中々いい雰囲気だ。

 二人は順調に関係を築いていっているように見えた。

 

 アベルはそんな二人の良い雰囲気に当てられ俯いてしまう。

 

 

「…………僕だって……」

 

 

 ボソッと思わず零れてしまった。

 

 

「あ。アベルさん、アリアさん……、少し体調が悪いようでしたわ」

 

「え……?」

 

「……もしかしたら……、呪いの影響なのかも……と」

 

「っ!!(忘れてたっ!!)」

 

 

 マリアに教えられ、アベルは立ち上がる。

 アリアの記憶は戻ったが、呪いはまだ解けていないのだ。

 

 そのことをつい、失念していたアベルだった。

 アベルは慌てて馬車に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっと行ったな(やっとマリアと二人きり~!)」

 

「? どうかしたのですか?」

 

 

 ヘンリーの言葉にマリアが首を傾げた。

 

 

「ははっ……、アベルとアリア喧嘩したみたいでさ。今日は二人共途中から口を利かなくなってたろ?」

 

「まあ……そうだったのですね。魔物と遭遇することが多くて気付きませんでした」

 

「マリアが無事でよかったよ」

 

「あっ、ヘンリーさま、お食事の支度をしますね」

 

「えっ、あ、そ、そう? オレも手伝うよ」

 

 

 ヘンリーとマリアは食事の準備に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャビンに乗り込み、アベルは中で横になるアリアの様子を窺う。

 アリアはアルカパの宿屋で貰った【安眠枕】に頭を預けぐっすり眠っていた。

 他の仲魔達もぐっすりお眠中である。

 

 

「……リア、アリア!」

 

「ぅ……ん……? どうし……(あ、もう夜か……寝過ぎちゃった……)」

 

 

 アベルはアリアを揺り起こした。

 アリアは辺りが闇夜に包まれていることを把握すると、頭を抱える。少しだけ眠るつもりが、【安眠枕】で眠ったら気付けば夜である。

 

 

「アリアひょっとして、今日魔力低下を起こしてる……?」

 

 

 アベルは今日の戦闘を振り返り、アリアが今日は呪文が上手く使えていないことを思い出し、もしかしてと問い掛けた。

 

 

「え……、ぁ……、…………大丈夫だよ?」

 

 

 アリアは寝起きでぼーっとする頭で考えてから、はにかんだ。

 

 

「っ、嘘だっ!」

 

 

 アベルは大きな声を出す。

 

 

「……ウソって……。そんなこと……。明日になれば治ってるし別に……ぁ」

 

 

 アリアは上体を起こし手櫛で崩れた髪を撫でハッと口を噤んだ。

 

 

「ほらっ!! やっぱりそうだったんじゃないか! 何で言ってくれなかったんだ!?」

 

「っ、それは……ほら、迷惑掛けたら良くないなって思ったから……。私はほら、魔法がウリみたいなとこあるし……、今日は魔力低下してる~なんて言ったらがっかりさせちゃうでしょ?」

 

 

 アベルの追及にアリアは仕方なしに理由を話す。

 

 

「がっかりなんて……、迷惑だなんて思ってない! その呪いは元は僕の所為で……!」

 

 

 アベルが頭を左右に振ると、アリアは眉を寄せた。

 

 

「何で?」

 

「は? 何が?」

 

 

 不愉快そうに首を傾げるアリアに、アベルも同じように返す。

 

 

「……何でアベルの所為なの? 呪いって、魔族の所為だよね? 私の呪いとアベル、何も関係ないでしょ?」

 

「何でって……! 僕があの時、君をラインハットに連れて行かなければ、君は翼を奪われることも、記憶を失うことも無かったんだよ!?」

 

 

 アリアの言葉にアベルは思っていたことを告げた。

 

 

 ――あの時、サンタローズで妖精の世界に君を残してやっていれば、こんなことには ならなかった……!

 

 

 自分の未来を変える為の駒としてアリアを手元に置いてしまったのは自分。

 その結果が今なのだ。

 

 

「……そんなの結果論じゃない」

 

 

 アリアは冷たく言い放つ。

 

 

「っ……だから、僕は責任を取って 君の呪いを解くために……!」

 

 

 今のアリアは自分の言い分など聞き入れてはくれない。

 

 なぜ急に こうなったのかはわからないが、それでもアベルはアリアの呪いも解いてやりたいと思う。

 

 そんなアベルの気持ちなど、アリアにはわからないのか……

 

 

「……アベル」

 

「……何?」

 

「……アベル気負い過ぎ。アベルはお母さんを捜す旅をしているんでしょう?」

 

 

 彼女は改めてアベルの旅の目的を訊ねていた。

 

 

「……そうだけど?」

 

「……私の呪いまで あなたが背負うことはないのよ? 私は私でどうにかするから。アベルは自分のことだけを考えて?」

 

 

 自分を気遣っての言葉なのにも関わらずアベルは、アリアの声が普段よりも冷たく感じる。

 

 

「な……」

 

「……アベルについて行ったのは、私の意思。多分……、翼が無くなったのもそういう状況に自ら突っ込んだんでしょ? ……ふふっ」

 

「え……」

 

 

 ――あの状況は確かにその通りだけど、アリアは憶えていないはずなのに何でわかるんだろう……。

 

 

 アベルが目を瞬かせる中、アリアは自分の行動に後悔はない様子で最後には笑った。

 

 ……彼女の話は続く。

 

 

「十年前、私、前世の記憶があるって言ったこと、憶えてる?」

 

「…………うん。ドワーフの……洞窟で……」

 

「は~、記憶力いいね! さすが! でね……前は元々、翼なんてない普通の人間だったの。だから、翼なんてなくても平気。アベルが思う程、私は気にしてないよ? だからそんなに責任感じないで欲しいの」

 

 

 アベルの記憶力に脱帽し つい褒めてしまいつつ、アリアは翼のことを気に病むなとアベルに微笑み掛ける。

 

 

「……つまり、僕の手助けは要らない……ってこと……?」

 

「…………………………、…………ありがとう」

 

「っ? どっち……?」

 

 

 どっちとも取れるアリアの態度にアベルの眉がピクリと動く。

 アベルは訊ねるがアリアはそれ以上答えなかった。

 代わりに、

 

 

「…………あ~……、お腹空いたなぁ~……、このシイタケ食べ頃だから焼いて食べよっ」

 

 

 アリアは突然お腹を擦ったかと思うと、キノコの生える原木へと近付いていく。

 そして、大きくなった“シイタケ”を収穫していった。

 

 

「アリア!」

 

「これ、おいしいんだよ~! アベルいくつ食べる?」

 

「アリアっ! 僕はっ!!」

 

 

 急に話題を変えられアベルが必死にアリアを呼ぶが、彼女はカゴを取り出し、そこに収穫したシイタケを入れていく。

 これ以上詮索しても答えてくれそうになかった。

 

 

 

 

「……ね、アベル」

 

 

 シイタケでカゴをいっぱいにすると、アリアは立ち上がる。

 

 

「なにっ?」

 

「……ラインハットの件が片付いたら、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……、いいかな?」

 

「? ……あ、ああ……」

 

「ありがと、アベル」

 

 

 アリアは目を細め、穏やかに微笑む。

 何を考えているのかはアベルには さっぱりだが、アリアの笑顔だけは可愛かった。

 




ヘンリーとマリアがいい雰囲気ですねぇ。
アベルとアリアはリセット掛かっちゃった感じ?
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