ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

レヌール城攻略編です。

では、本編どうぞっ。



第二十六話 みーっけ

 

(……えっと……、アベルの墓……? 隣はビアンカの墓……)

 

 

 アベルは墓に刻まれた文字を読み取る。

 

 

 あ。

 これ、わかるかも!!

 

 

 アベルのまた(・・)が突如繋がった気がして、墓石に手を掛ける。

 

 

 ズッズッズッズーッ……

 

 

 石同士が擦れ合う音が静かな闇夜に響いた。

 

 ビアンカの墓と書かれた墓石をアベルは力いっぱい押す。

 すると、墓の中からビアンカが現れたのだった。

 

 

「ああ、苦しかった! アベルったら今まで何してたのよ!? でも助けてくれたからまあいいわ。行きましょう!」

 

 

 アベルはビアンカの手を引いて、墓から出してやる。

 

 

「良かった……無事みたいだね」

 

「当たり前じゃない。お化けに急に捕まって、気が付いたらここに押し込められてたのよ。蓋がちっとも動かないからどうしようと思ってたの」

 

 

 ビアンカは墓の中で付いた砂埃を払った。

 

 

「……っ、アリアは……?」

 

「え? アリア? アリアって……、…………、本当に居る……のね?」

 

 

 アベルが憂惧し訊いて来る様子に、ビアンカは漸くアリアの存在を認めることにしたのだった。

 

 

「…………うん」

 

「その子が今居ないのね?」

 

「うん。さっきまで一緒に居たけど、ビアンカと一緒に消えちゃったんだ」

 

「そう……なら、捜しに行きましょう」

 

 

 二人はアリアを捜しに歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 ――ビアンカと共に城内を歩くうち、レヌール城の王妃と王からゴーストのボス退治を依頼され、二人は快諾する。

 アリアは見つからないまま、青白く光るたいまつを頼りに暗闇の玉座の間へと足を踏み入れるのだった。

 

 

「……あいつ……、こっちに気付いてないみたいよ?」

 

 

 ビアンカが玉座に座る、おやぶんゴーストを見つけてアベルに耳打ちする。

 おやぶんゴーストは居眠りをしているのか、目を閉じていてアベル達には気付いていないようだった。

 

 

「うん……、アリア……」

 

 

 アベルはどこか心あらずで、辺りを見渡していた。

 たいまつの明かりは部屋の奥までは照らせず、よく見えない。

 

 

「見つからなかったの?」

 

「うん……」

 

「きっとすぐ見つかるわよ。……裏から、回って驚かせましょ」

 

 

 部屋の端を通り玉座の裏側へと回って、おやぶんゴーストに奇襲を掛けようというのだろう。

 ビアンカとアベルは足音を立てないようにそちらへと向かった。

 

 玉座の後ろには大きな飾り壁があり、表、玉座側には王と王妃の絵画が飾られ、裏側は通路になっていた。

 その裏へ回ると……。

 

 

『……ヒッ! 今度は誰っ? ……あっ、アベル! ビアンカちゃん! うわぁ……』

 

 

 アリアが三角座りをして俯いていた顔を上げ、涙を滲ませる。

 

 

「あっ! アリ……んむっ!?」

 

「っ、しーっ! アベルしーっ!」

 

 

 ビアンカは慌ててアベルの口を手で押える。

 おやぶんゴーストはこの壁を隔てた表側の玉座に座っているのだ、バレてはまずい。

 

 しかし、おやぶんゴーストの方からは特に何の物音も聞こえず、気付かれていないようだった。

 小声ならば聞こえないのかもしれない。

 

 

「っ、わ、わかったよ……。っ……アリア……、良かった……」

 

 

 アベルはやんわりとビアンカの手を除ける。

 

 

「アリア? アリアが居るの……?」

 

『アベル……! アベルぅ~!!』

 

 

 アリアはアベルに会えた嬉しさからか、涙を零しながら立ち上がるとアベルに抱きついたのだった。

 

 

「っ……えっと……、その……。…………、……もう、大丈夫だよ……?」

 

 

 ぎゅっと抱きつかれてアベルは少し気恥しさを感じながらも、アリアの背中、翼をぽんぽんと叩く。

 

 

『うぇぇえ~……! ……ぅぅ……ひっく……。いっぱいお化けみたいな人達が襲ってきて、私夢中で逃げて、逃げて……』

 

 

 気が付いたらこの部屋に迷い込んでいた。

 しかも何か怖い顔をしたおっさんが裏に座ってるし!

 

 と、アリアは泣きじゃくりながらアベルに伝える。

 鼻水が垂れてぶちゃいくな顔を晒していた。

 

 

「……っ、一人でここまで来たの? すごいなぁ……」

 

 

 アベルは悠長に告げる。

 

 

『だって、方向感覚ないんだもぉぉおんんっ!! ふえぇぇ……!(お城広すぎ、幽霊多過ぎ、怖すぎ!!)』

 

 

 アリアは取り乱し、アベルに抱きつく腕に力を込めた。

 

 

「…………っ、よしよし……(アリアって、小さな子供みたいだなぁ……、けど、僕も子供なんだけどな……)」

 

 

 アリアの態度にアベルはしょうがないなぁと頭を撫でて慰める。

 

 

「……アリアって、今どこに居るの?」

 

「え? ここに居るよ?」

 

 

 ビアンカが首を傾げて小声でアベルに問と、アリアに抱きつかれたまま自分の腕の中に居ると指差した。

 

 

「えっ、そこ?」

 

 

 ビアンカが目を丸くする。

 

 

『うぇ……? ぁっ、ビアンカちゃんっ!? ……ビアンカちゃんに教えたの?』

 

「ぁ、うん……、ごめん、アリアを捜すために教えたの……ダメだった?」

 

 

 アリアは泣き止み慌ててアベルから離れると、アベルは“まずかったかなぁ”と後ろ頭をぽりぽりと掻いた。

 

 

『…………ううん、捜しに来てくれてありがとう……』

 

「アリア……、ちゃん……それとも、さん……?」

 

 

 ビアンカはアリアに声を掛けてみる。

 アベルが「アリアは七歳だからビアンカの一つ下だよ」と教えてくれる。

 

 

「そうなんだ。じゃあ、アリアちゃん」

 

『えと……』

 

「私、ビアンカっていうの、よろしくね」

 

『よ、よろしく……って、私そっちに居ないけどね……』

 

 

 アリアは気まずそうに笑う。

 ビアンカの向いている方向にアベルが居るが、アリアは既にアベルの隣に場所を移しているため目線が合わない。

 

 

「ププッ!」

 

「っ、な、何?」

 

 

 くくくっ! とアベルが笑い出す。

 ビアンカはアベルが突然笑い出すから目をぱちくりさせたのだった。

 

 

「アリアなら、ここに居るよ?」

 

『わっ、ちょっ!』

 

 

 アベルはアリアの肩に両手を置いて引っ張り、ビアンカの前に押し出す。

 

 

「え、何?」

 

 

 ビアンカの目には、自分の肩の高さに近い位置で両手をぶら下げ、まるでお化けの真似をしているような手付きのアベルしか見えなかったのだが。

 

 

「ほら、二人とも握手して?」

 

『えっ』

 

「えっ」

 

 

 アベルはアリアを支えたまま、二人にに手を出すように告げたのだった。

 

 

「……ぁ、じゃあ……」

 

 

 ビアンカはおずおずと、片手手の平を差し出す。

 

 

『……触れられないと思うけど……』

 

「それでもいいんだよ。せっかくの機会だよ?」

 

『…………わかった』

 

 

 アベルの優しく力強い言葉に、アリアはビアンカの手に触れてみた。

 

 

「っ!!? アリアっ!?(温かい感触がするわっ)」

 

『っ!! 触れたっ!!』

 

 

 二人は同時に目を見開く。

 アリアの姿は相変わらず見えないが、ビアンカとアリアは確かに握手をしていたのだった。

 

 

「ぁっ! 本当だ、すごい!」

 

 

 アベルも驚いて目をぱちぱちと瞬かせる。

 

 

「っ、これがアリアちゃんなのねっ!」

 

『っ、ビアンカちゃん……』

 

「よろしくね!」

 

『…………うわぁ……、可愛い……。よろしくねぇっ!』

 

 

 ビアンカが元気いっぱいの笑顔をくれるので、アリアは見惚れてうっとりと微笑んだ。

 

 

「アリア、色々触れるようになって来てない?」

 

『うん、うん……』

 

「強くなるうちに触れるものが増えているのかもね?」

 

 

 アベルはそう言うと、アリアの肩から手を放した。

 すると、急にビアンカの手がすり抜けてしまう。

 

 

『うん、うん……、…………って、あれ……(手がすり抜け……)』

 

 

 アリアの手がビアンカの手に重なる。

 アリアは目の前で起きた事象に無言になってしまうのだった。

 

 

「あっ、……アリアっ? ……消えちゃったの……?」

 

「え……、…………と……。アリアはここに居るよ? 二人共手の位置は同じ場所にあるけど、何で急に……?」

 

 

 アベルは顎に手を当てて考え込む。

 

 

 ……さっき確かに二人は握手していたのに、何故?

 

 

『…………っ、まぐれかなぁ……』

 

 

 アリアはしょんぼりと俯いてしまう。

 

 

「……アリア……」

 

「……ね、アベル。アリア何か言ってるの?」

 

「んと……、まぐれかなって……」

 

 

 ビアンカが眉根を下げて訊いてくるので、そんなことはないと思うんだけど、とアベルはアリアの云った言葉を反復した。

 

 

『……ふふっ、でも、一瞬だけでもビアンカちゃんと握手出来て嬉しかったよ』

 

 

 アリアがビアンカを見つめながら告げる。

 

 

「……そっか」

 

「……何て言ってるの?」

 

「ビアンカと握手出来て嬉しかったって」

 

「そっか……。うん、私も嬉しいわっ。アリアってお化けみたいよねっ」

 

 

 ビアンカは悪気無く、口にしただけなのだが……。

 

 

『ぅっ! ……た、確かに……。私もそう思ってたんだよ……』

 

 

 グサリ。

 

 アリアは胸元に手を当て、俯いてしまうのだった。

 

 

「ちょ、ビアンカっ! アリアはお化けじゃないって!」

 

「ぁっ、ごめんっ。そうよね、さっき触れたものね。……あ、お化けで思い出したけど……」

 

「ん……?」

 

「……そこに座ってる奴、さっさと倒しちゃわないとねっ!」

 

「え……、あ……そうだねっ!」

 

 

 ビアンカが玉座側の壁に向けて親指で指を差すと、アベルはすっかり忘れてたとばかりに頷いた。

 




ビアンカ、アリアちゃんって言ってたくせにいつの間にか呼び捨て……。
お姉さんだからいいか。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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