ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さあ、長い長いお話回の始まりです。

では、本編どぞー。



第二百八十一話 船出と共に

 

 桟橋に着くと、

 

 

「さあ、乗った乗った! この船の行き先は西の国だ!」

 

 

 前にも会った港のマスク男が、さっさと乗り込めと言わんばかりにアベル達を急かす。

 

 

「アリア、足元少し高いから気を付けて」

 

「ん? あっ、大丈……、ありがとっ」

 

 

 船の乗降口に差し掛かるとアベルはアリアの手を取り支える。

 アリアは笑顔でお礼を告げたのだった。

 パトリシアに、ピエールやダニーは難なく船に乗り込む。

 

 

「おっと! まだ客がいたか。しかしお前さんで、どうやら最後の客みたいだな」

 

 

 アベル達が乗り込むと この船の船長なのだろう、一人だけ立派な制服、制帽といった服装の男が声を掛けて来た。

 船長はそのまま舵を握る船員の方へと歩いて行く。

 

 

「よーし出航だあー! イカリを上げろ、帆を下ろせー!」

 

 

 船長の大きな掛け声と共に、(いかり)を巻き上げる音が聞こえ、巻かれていた帆が下りる。

 海風を受けて、帆がたわんだ。

 

 そうして ゆっくりと船は港から離れていく。

 

 

「……いよいよね」

 

「……うん」

 

 

 アベルとアリアは船の端に身を寄せ海を眺める。

 海風がアリアの髪を揺らしていた。

 

 

「……何だかドキドキしちゃうな……」

 

「ん……?」

 

「船、初めてなんだ。あっ、こんなに旅してるのも初めて! アベルと出会ってから初めて尽くしねっ、ありがとう、アベルっ!」

 

「ぁ…………、っ、べ、別に僕は何も……」

 

 

 嬉しそうにサイドの髪を耳に掛け微笑むアリアに、アベルは頭の後ろを掻く。

 

 

 ――そっか、アリア初めて……なんだ……。

 

 

 何となく心がこそばゆい。

 隣に立つ女性はどうしてこうも、嬉しくなることを言ってくれるのだろうか。

 アベルは海を眺めるアリアの横顔をじっと見つめていた。

 

 

 出港してしばらくは大海原を眺めていたが、船に乗っている時間がそこそこありそうなので、アベル達は船の中で休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 船室――。

 アベルはピエールに馬車を任せ、アリアと共に船室で寛いでいた。

 

 

「西の国って言ってたけど……どれくらいで着くのかな……?」

 

 

 小さなテーブルに頬杖をついてアベルと向かい合うアリアが呟く。

 

 

「んー……半日も掛からないって言ってたよ?」

 

 

 アベルもテーブルに前腕をつけ少々前のめりでアリアに答えたのだった。

 

 

 ――二人きり……!

 

 

 手を伸ばせばアリアに触れられる距離でアベルは胸を高鳴らせるが、アリアに口止めされているのでこれ以上は踏み込まない。

 けれども もう気持ちはバレているのだ。見つめるくらいはいいだろうと、アベルはここぞとばかりにアリアを見つめる。

 

 

 ――恥ずかしがったりしてくれるかな……?

 

 

 アベルは淡い期待をしつつ、アリアを見つめていたのだが……。

 

 

「そっか。じゃあ ちょっとのんびり出来るね」

 

「あ、ああ……、そうだね」

 

 

 アリアは相変わらず愛らしい笑顔を崩さないままだったので、アベルは面白くなかった。

 

 

「アベル休む?」

 

「え?」

 

「……到着するまで眠るのもありだけど……」

 

「ん……?」

 

 

 アリアが背後に視線を移すと指を差す。

 そこにはベッドが一台置かれていた。

 

 

「……ベッド……、あるし……?」

 

「ベッド…………あるけど…………?(何だ?)」

 

 

 アリアの言葉がたどたどしい……と思ったら、

 

 

「……昔みたいに添寝……、する?」

 

 

 彼女は首を傾げて口角を上げた。

 

 

「っっ!? 添寝っ!?」

 

 

 ガタッと座っていた椅子が鳴り、アベルは動揺して立ち上がる。

 

 

「ふふっ! 冗談よ。添寝なんかしたら私アベルに襲われちゃう」

 

「おそっ!? おっ、おっ、おっ……襲ったりなんかしないよっ!?」

 

 

 アリアは立ち上がったアベルの手を引いて座らせた。

 

 

「そ? じゃあ、寝る?」

 

「っ……っ、くっ、…………寝ませんっ!!」

 

 

 ――寝たい!

 

 

 からかっているのが解ったアベルは首を横にブンブンッと振って拒否したのだった。

 

 

「うふふっ。そっかぁ、残念」

 

「アリアッ! 何でそんな煽るんだっ!?」

 

「煽る? ……私、煽ってる?」

 

「煽ってるっ!!」

 

 

 楽しそうに微笑むアリアにアベルは食って掛かる。

 

 

「……ふふっ、ごめんね。アベル可愛いからつい からかいたくなっちゃって。ダメだね~、こんなんじゃ嫌われちゃうね?」

 

「っ……べ、別に……嫌いになんか……」

 

 

 ――嫌うどころか、心臓がもたないだけで……!

 

 

 これで想いが通じ合えているのなら、喜んでその誘いに乗るのに。

 

 

 アベルは頬を赤く染めていた。

 

 

「ふふっ……(本当、アベルって可愛い……)。あ、そうだ。丁度時間も出来たし、例の話、しよっか?」

 

 

 アリアは思い出したかのように例の話の提案をする。

 

 

「え……あ、天界の……?」

 

「ええ、天界……、いや……、うーん。先ずはアベルの話を聞いてからの方がいいのかも……」

 

「ん? 僕の……?」

 

「うん、私、思い出したんだけど……」

 

 

 アリアは先ず自分の話よりもアベルの話を聞きたいと訊ねる。

 

 

「何を……?」

 

「一緒に旅をしていて、違和感があってね。十年前にもあったなぁって思って……」

 

「……それって……、もしかして……」

 

「色々考えていたんだけどね。でも、どう考えても そうとしか思えなくて。……アベル、あなた、人生を繰り返してるの……?」

 

 

 

 

 “人生を繰り返してるの……?”

 

 

 

 

「ぁ……」

 

 

 アリアのズバリな指摘にアベルは絶句する。

 

 

「……そんなこと、有り得るの……? でも、十年前アベルよく“また”って言ってたでしょう? まるで経験して来たみたいな言い方……」

 

 

 ――ゲームの主人公が攻略本を持っているわけがないし……。

 

 

 昔、アベルは未来のことがわかると云っていた。

 この間も未来が見えると云っていた。

 いつもではないけれど、わかる時があると。

 

 

 アリアはこれまでのアベルの言動を思い出し、一つの答えを導き出したのだった。

 

 

「アリア、気が付いていたのかい……? どうして……そんなこと、到底理解 出来るわけがないのに……。君は初めてなのになんで……」

 

 

 アベルは瞳を何度も瞬かせ、驚きに満ちた目でアリアを見つめる。

 

 

「……うん、そうだよね。私もそう思うよ。でも、私は外から来たから」

 

「外って……?」

 

「アベル、驚かないで聞いてくれるかな……?」

 

「っ……いや、今既に驚いてて……心の準備が……」

 

 

 ――ちょっと待って……。

 

 

 アベルは頭を抱え、空いた片手を前に突き出し止めるのだが、アリアは待ってくれなかった。

 

 

 

 

「……アベル、この世界はゲームの中の世界なの」

 

 




アリアさん、ぶっちゃけ過ぎ!www
暴露系ヒロインw
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