ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

港町ポートセルミ編開始ですね~。

では、本編どぞ~。



第二百八十四話 港町ポートセルミ

 

「「……着いたね」」

 

 

 二人は同時に呟いた。

 

 

「ぁ……ふふっ」

 

「ぁ、うん……」

 

 

 アベルとアリアはポートセルミの地に足を着けると、互いに見合ってから笑う。

 船の中でお互いの事情を話し合ったからか、アベルは随分とアリアとの距離が縮まった気がしていた。

 

 

「町に着いたし……じゃあ先ずは情報収集かな?」

 

「ああ。……あっ、とすみません」

 

 

 アリアに返事をしていると、後ろからやって来た船乗りにぶつかった。

 

 

「っと、悪い悪い」

 

 

 船乗りの手には掃除道具が複数抱えられており、前が見えにくいのか、前方不注意でアベルとぶつかってしまったらしい。

 

 

「いつになったら安心して船が出せる世の中になるんだろうな。船が出せなきゃオレ達、仕事もありゃしないよ」

 

「……そうですよね」

 

 

 船乗りの話に早く世の中が平和になればいいのに、とアベルも同意する。

 

 

「へへっ、愚痴を聞かせちまって悪かったな。お客さん、ポートセルミにようこそ。新婚旅行なら灯台と、店屋回り、夜は宿屋併設の劇場の踊りを見て行くといいぞ」

 

 

 船乗りはアベルとアリアを交互に見て告げた。

 

 

「っ……、し、新婚っ!?」

 

「あ、私達姉と弟なんです」

 

 

 アベルが動揺し目を見開くが、アリアは姉弟だと嘘を吐く。

 

 

「う、ん? 姉と弟……? …………ふーん? はっはっはっ、訳ありかあ!」

 

 

 船乗りは謎の言葉を残して去って行ってしまった。

 

 

「……行っちゃった……訳ありって……」

 

 

 ――どんな仲に見えたわけ……? 私達まだ十代なのに……あ。この世界の人達って確か結婚が早いのよね……。

 

 

 アリアは船乗りからどう見られたのか気になる。

 そう考え船乗りの背を見送っているとアベルが話し掛けて来た。

 

 

「僕とアリアは姉弟じゃないよ?」

 

「わかってるよ? 私が頼りないから、アベルがお兄さんだもんね?」

 

「違うっ! 僕は君のお兄さんじゃなくて 恋……」

 

 

 アベルが言い掛ける。

 

 

 すると、

 

 

「…………しぃ。めっ!」

 

 

 アリアは人差し指をアベルの口元に当てて、上目遣いで見つめた。

 

 

「ぅっ……(な、なん……)」

 

 

 ――可愛過ぎるんじゃぁあああっっ!!

 

 

 ふにっと、自分の唇にアリアの細い指が触れ、大人しく従ってしまうアベルだった。

 

 

「うん、アベルいい子いい子! よく出来たね! あっ、待合所に誰か座ってるよ?」

 

 

 アリアは破顔してアベルの頭を撫でると、待合所に旅の商人らしき男性を見つける。

 男性は肩を落とし溜息を吐いていた。

 

 

「っ……子ども扱い……(でも、おっぱいが近いから悪くない……)。ぁ、……話を訊いてみるよ」

 

 

 アリアに子ども扱いされるのは嫌なアベルだったが、近付いたアリアの胸元が間近に見えたのでこれはこれで有りと甘んじて受け入れることにした。

 

 

 ――もっと触ってくれ……!

 

 

 自分から彼女に触って嫌われたくないから自然な流れでしか触れないが、向こうが触ってくれるならいつでも大歓迎。

 異性として意識してもらえているかは さておき、今のアリアは記憶喪失中よりも距離感が近いのが嬉しいところである。

 

 ただ凝視するわけにはいかないので、少しだけ鑑賞させてもらってアリアの云った男性に声を掛けた。

 

 

「……旅の商人の方ですよね? どうかされたんですか?」

 

「つい先日ビスタへの連絡船が出たっていうんで、また出るだろうと来てみたんですが……。もう最後だったようですね」

 

 

 ふぅ、と男性は腕を組んでまた溜息を吐く。

 

 

「まあ……、そうだったんですか。アベル、乗り遅れなくて良かったね」

 

「そうだね」

 

 

 男性の話にアリアがアベルの服を引っ張って笑顔を見せるので、アベルも頷いた。

 

 

「やれやれ、こうなったらウワサの光の国にでも行ってみるかな」

 

「っ……それはやめた方がいいかと……」

 

「そうかい?」

 

 

 光の国……という言葉にアベルは息を詰まらせ、彼を止める。

 男性からは「やめておくよ」という言葉は得られないまま、アベル達はドックを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 港のドックから出ると、アリアが両腕を高く挙げ思い切り背伸びをする。

 

 

「ん~! 港町だぁ~! 潮の香り~!」

 

「…………そうだね(可愛いなぁ……)」

 

 

 ――……おっぱいが……強調されて……………………。

 

 

 アベルは無邪気に背伸びするアリアが可愛いと思いつつ、強調されて揺れる果実に気付くと目を細めた。

 

 

 ――これからずっと、この誘惑に耐えて行かなければならないのか……。

 

 

 ……そう思うと悟りが必要な気がする。

 この世界は別の意味で辛い試練の連続のような気がしたアベルだった。

 

 

「……ふぅ。あ、ねえアベル、あそこに灯台があるよ!」

 

 

 ふとアリアが埠頭の先に見える大きな灯台を指差す。

 

 

「ん? あ、ああ。行ってみたい?」

 

「うん!」

 

 

 アベルが訊ねるとアリアが嬉しそうに返事するのでアベル達は灯台へと向かった。

 灯台へ行く途中にテーブルに着き、海を眺め寛ぐマスク男がいる。

 

 

「あの人、受付の人かな?」

 

「受付? 何の?」

 

「灯台の……」

 

「あぁ……訊いてみようか。……すみません、僕達この先の灯台に行こうと思っているんですけど……」

 

 

 アリアがアベルの後ろに回ると、アベルはマスク男に話し掛けた。

 すると男はアベルとアリアを見てから口を開く。

 

 

「この先に灯台があるが、すごい怪物が住んでるぞ! 命が惜しかったら灯台には近づくなよ!」

 

 

 凄んだ声で脅すように云った後で、マスク男はチラッとアリアを見て小さく「くくっ」と笑いを堪えるような仕草をした。

 

 

「えぇ……、怪物だって……。どうしよう?」

 

「……アリア怖いの?」

 

 

 マスク男の迫真の演技にアベルの背中に隠れるアリアの顔が強張る。

 アリアはマスク男の最後の含み笑みには気付いていないようだ。

 

 

「べ、別にぃ?(中ボス出ちゃう感じっ!?)」

 

 

 アリアはアベルのマントを ぎゅっと掴んで首を横に振っていた。

 

 

「…………ふーん?(僕のマントをそんなに掴んで……カワイイなあ……)」

 

「っ、べ、別に怖くないんだからねっ!」

 

 

 アベルがフッと口角を上げながらアリアを窺うが、彼女はアベルのマントを引いて「灯台はいいからあっちに行こっ!」とその場を去ろうとしていた。

 

 なので。

 

 

「……ふーん、そっかあ……」

 

 

 アベルはアリアをその場に残し、灯台の方へと歩いて行ってしまう。

 アベルのマントからアリアの手が離れた。

 

 

「あっ、ちょっ、ちょっとアベル、行くのっ!? 私別に灯台に行かなくても……っ!」

 

 

 アリアが驚き躊躇するが、アベル一人だけ行かせるわけには いかないと後ろについて行く。

 そして、彼女は再びアベルのマントをそっと掴んだ。

 

 

「はははっ、こんな町のすぐ傍で怪物なんて出ないよ。さっきの人、アリアの方を見て笑ってたよ」

 

 

 ――アリアやっぱり怖いんだな……こういうところ、変わってない。手、繋ぎたいな……。

 

 

 歩きながら自分のマントを掴む手をチラッと見ると、アベルはアリアに触れたくなってしまう。

 

 

「えっ! そうなのっ!? やだっ、騙されたっ。いじわるな人が居るのねっ!」

 

「ははっ! ……もし怪物が居たって僕が守ってあげるから大丈夫だよ」

 

 

 アリアがハッとして悔しそうに頬を膨らますと、アベルは優しい瞳で破顔した。

 

 

「アベル……」

 

 

 ――アベルは優しいね……。嬉しいな…………でもね……。

 

 

 アリアはアベルから向けられた好意に、目を伏せる。

 そんなアリアの様子に気付かないまま、アベル達はそのまま灯台へと向かった。

 




ポートセルミも長くなりそうな予感……!
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