ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

町の散策開始です。

では本編どぞ~。



第二百八十八話 教会の花畑を調べてみなっ

 

◇

 

 

 

 

 階段を下りると、丁度髭オヤジが本棚に何やら仕舞っていた。

 髭オヤジは最上階から下りて来たアベル達に気付くと、声を掛けて来る。

 

 

「望遠鏡を覗いたのか? だったら南東の方向に高い山が見えただろ。あれがセントベレス山だ。あの山にはとても人の足じゃ登れねえ。けど選ばれた者なら簡単にあの上まで行けるそうだぜ」

 

「セントベレス山というんですね。選ばれた者……? 誰に?」

 

「誰に選ばれるかって? そりゃおめえ、神さまとかエライ人に決まってるだろ!」

 

 

 アベルが訊ねると髭オヤジはぶっきら棒に答えて、自分の席へと腰掛けた。

 

 

「神さま……?(神さまって……竜の……?)」

 

「あそこに神は居なかったけどなあ……」

 

 

 アリアが首を傾げる横でアベルはそう云いつつ、何となく本棚を調べることにして、一冊の本を手に取る。

 それはこの灯台の管理日誌のようだった。

 

 

”○月×日。晴天、波高し。

 今日もオレを魔物とカン違いした旅人がいた。

 いったい何故だろうか? オレの顔が怖いのか?

 鏡を眺めてみるが今日も答えは見つからない……。”

 

 

「……アベル、勝手に読んじゃ悪いよ(気持ちはわからなくもないけども)」

 

「あ、うん」

 

 

 アリアがアベルの開いた日誌を覗き込むと一応(・・)諫める。

 自身も記憶喪失中、違和感なく調べていた手前“ゲーム上調べるのは当たり前の行動よね!”と理解はしているようだ。

 

 日誌から察するに、髭オヤジはどうやら自分が魔物と勘違いされる原因が強面の顔にあるのでは……、と気にしているようだが、まだはっきりそうとは言い切れず悩んでいるらしかった。

 

 

「確かに怖い顔をしてはいるけど、魔物は酷いよね。ここに来る途中に居た人が原因なんじゃないかなぁ……」

 

「…………確かに。一理あるね」

 

「怪物が居るって言ってたものね」

 

「何ィ!?」

 

 

 アベルとアリアが話をしていると、髭オヤジが聞こえたのか大きな声を上げる。

 

 

「っ、びっくりした!」

 

「嬢ちゃん、それは本当か!?」

 

「あ、はい。埠頭にテーブルを置いて座っている黄色いマスクの男性がそう言っていたから……」

 

「マスクの男か! あいつ~……!」

 

 

 髭オヤジはアリアの話を聞き、眉間に皺を寄せると突然螺旋階段を下りて行った。

 

 

「おじさん行っちゃった……、……って、アベル何して……」

 

「え? あ、小さなメダルがあったよ」

 

 

 髭オヤジが居なくなるとアベルはフロアに置かれた引き出しを調べ、【小さなメダル】を手にしていた。

 

 

「……ぁ、うん……。…………ふふっ。ゲット出来て良かったね」

 

 

 ――主人公は引き出しを調べてなんぼか……、これ、職業病みたいね!

 

 

 タンスや引き出し、本棚にツボ。気になったら調べなきゃ気が済まないんだから……。

 

 

 アベルは誰かに操作された人(キャラ)なのだろうか……?

 いや、しかしそれにしては自分の意見をよく聞いてくれるし、意思があるように思える。

 

 

 そんな人が誰かに操作されているとはアリアには思えなかった。

 

 アベルの行動にアリアは、これは多分アベルに身についている習慣で、彼の意思とは別。

 ただ どこまでもゲームの世界なんだと不思議に思ったが、現実世界の常識とは異なるアベルの行動自体は受け入れることにした。

 

 

「にゃ~ん」

 

「あっ、猫ちゃん。……カワイイね……」

 

 

 アリアは足元に擦り寄って来る猫をしゃがんで撫でる。

 猫は気持ち良さそうに目を細めていた。

 

 

「…………っ…………(ぱんつ……!)」

 

 

 アベルは引き出しの傍から 少し離れた場所でしゃがんで猫を愛でるアリアの絶対領域と、ちらっと見えるパンチラをニヤけそうになる口元を引き結び素知らぬ顔で観賞出来るだけしておく。

 

 

 ――靴下穿いたけど、僅かに見える太ももがまた……。

 

 

 ごくり。と喉が鳴ってしまうが、離れているため アリアに悟られることはなかった。

 

 

「……っ、そろそろ行こうか」

 

「あっ、うん。……じゃあ猫ちゃん元気でね」

 

「にゃぁん」

 

 

 アベルが声を掛けると、アリアは立ち上がり猫に別れを告げる。

 アベル達は灯台を後にした。

 

 馬車を引き来た道を戻っていると、髭オヤジとマスク男が口論している。

 その横をアベル達は軽く会釈して通り過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、じゃあ次はどこに行こうかな? どうするアベル?」

 

 

 アベル達は灯台を後にし船のドッグ前に戻って来ていた。

 アリアは町や埠頭を眺め、どっちに行こうか腰に手を当て左右を見回し考えている。

 

 

「どこって教会に決まってる」

 

「え?」

 

「君の呪いを解くのが先。散策はその後ね」

 

「あ、ありがと……」

 

 

 アベルが教会に行こうと歩き出すので、アリアはついて行った。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

「ここかな……?」

 

「あっ、アベルここ民家じゃ……(奥に教会見えてるのに!)」

 

 

 アベルはすぐ近くにある建物へと入って行く。

 アリアも教会ではないと知りつつも後ろに続いた。

 

 

「あ、教会じゃなかった」

 

「……う、ん? よお、あんた等旅人かい?」

 

 

 屋内に入ると民家だったらしく、海の男という感じの 日に焼けたガタイの良い男が船道具の手入れをしている。

 アベル達が部屋に入ると気付いて気さくに話し掛けてくれた。

 

 

「あっ、はい。東の国から来ました」

 

「へー、東の国から来たのかい? オレも東の国の出身よ! よし! いいことを教えてやろう。教会の花畑を調べてみなっ。ちょっとした物が見つかるぜっ」

 

 

 アベルが東の国から来たとわかると、船乗りが耳寄りな情報を教えてくれる。

 

 

(……この人、どこかで……??)

 

 

 アベルは男に見覚えがあるような気がしたが、すぐには思い出せず民家を後にしたのだった。

 

 

 

 

 民家を出ると……、

 

 

「はは……、民家だったね」

 

 

 アベルは頭の後ろを掻いて、気まずそうに笑う。

 

 

「私言ったよ~? 教会ここから見えてるのに(調べないと気が済まないってやつねっ!)」

 

 

 アリアはしょうがないかと、柔和な顔でアベルを見上げていた。

 

 

「ごめんごめん」

 

「でも、いいこと聞いちゃったね。教会の花畑か……探してみよっか!」

 

 

 頭を掻き掻き謝るアベルに、アリアは民家で聞いた“ちょっとした物”を探そうと明るく笑う。

 

 

「ああ!」

 

 

 アベルは嬉しそうに頷いて教会へと向かった。

 

 

 

 

◇

 

 

◇

 

 

◇

 

 

 

 

「お花を潰さないように……」

 

「……ああ、わかってるよ。…………あ、小さなメダル!」

 

 

 教会脇の花畑の中をアベル達は調べる。

 教会の右側をアベルとアリア、左側をピエールとスラりんで手分けして探した。

 

 すると、アベルは花畑の中に【小さなメダル】を見つけたのだった。

 

 

「ぉお~! 小さなメダルってアレよね! レアなものがもらえるっていうアレ!」

 

「っ、アリア知ってるの!?」

 

 

 アリアの話にアベルは目を丸くする。

 

 

「うん、知ってるよ~。アリアハンにメダルおじさんっていう人が居てね~。私いっぱい集めたもの」

 

「アリアハン……? どこだろう……」

 

 

 ――【アリアハン】……聞いたことが無いな……。アリアの口振りだと、地名……だよね……?

 

 

 アベルは首を傾げる。

 

 

「ふふふっ、別世界ね!」

 

「っ、別世界っ!? ……ひょっとしてアリアも別世界を渡り歩いていたのかい……?」

 

 

 アリアが笑顔で云うのでアベルは驚いてしまうが、

 

 

「違う違う。私は遊んだだけだよっ」

 

「遊んだ……。あっ、そっか。違うタイトルの……?」

 

 

 首を横にふりふり、アリアが教えてくれるのでアベルは船での話を思い出し口にしてみた。

 

 

「そうそう。うん、アベルすごい。ちょっと解って来た感じ?」

 

「……う、うん……、多分……?」

 

 

 ――わからないことの方が多いけど……アリアの笑顔が見れるならいいや……。

 

 

 アベルは嬉しそうなアリアの顔に癒され釣られて口角を上げたのだった。

 その後、ピエール達がやって来て100ゴールド見つけたとアベルに手渡してくれる。

 

 

「ラッキーだったね」

 

「ああ、じゃあ、教会に入ろうか」

 

 

 そうしてアベル達は漸く教会へと入って行った。

 




町へ来たら片っ端から調べないと気が済まないっていう。
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