ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

農夫のおっさんは丈夫なヤツ。

では、本編どぞ。



第二百九十四話 農夫の依頼

 

「わぁっ!?(なになにっ!?)」

 

 

 アリアはハッと我に返ってアベルの服を掴む。

 

 

 ――なにっ!? 急にどうしたのっ!? っていうか前も思ったけど、アベル大きいっ……! 昔と全然違うっ!

 

 

 アベルの腕にすっぽり覆われてしまい、アリアは軽くパニックになってしまった。

 軽く抵抗したけれど、アベルはビクともしない。

 

 

「アベルっ」

 

「……………………っ?」

 

 

 アリアを自分の胸の内に閉じ込め、恐る恐るアベルは背後を窺う。

 【山賊ウルフ】がまた攻撃でもしてくるのかと思っていたが、そうではなかった。

 

 アベルに殴られ倒された【山賊ウルフ】は足元をフラフラさせると、ピエールに倒されたもう一匹を引き摺り、

 

 

「けっ! 覚えてやがれよ!」

 

 

 と、捨て台詞を吐いて酒場から出て行った。

 

 

「……はぁー……(攻撃されないで良かった……)」

 

 

 ――もうちょっと、こうしてたいな……。柔らかい……、好い匂い……。

 

 

 アベルはアリアの頭上で溜息を吐きつつ、名残惜しいが我慢する。

 ……アリアを手放したのだった。

 

 

「……アベル……、守ってくれてありがとう」

 

 

 ――攻撃されていたらどうするつもりだったの……!? 無鉄砲でしょ! 

 

 

 そう言おうかと思ったが、アリアは口にしなかった。

 

 アベルはもう子どもじゃない。

 自分の行動の責任くらいは自分で取れる。アベルの意思で護ってくれたのなら、それを否定してはいけない。

 

 そう思ったようだ。

 

 心配していないわけではないが、怪我をしたなら回復させればいいのだ。ここはそういう世界。

 その代わりにアリアはお礼を告げる。

 

 

「うん、何も無くてよかったね」

 

「ね~!」

 

 

 アベルが満足そうに微笑むので、アリアはそれでいい気がした。

 そんなアベル達の元にぼろぼろの農夫が近付いて来る。

 

 

「あぶねえところを、ありがとうごぜえました。んだ! あんたなら信用できるだ! おねげえだ。オラの頼みを聞いてけれ!」

 

 

 農夫はアベルに訴えかけた。

 

 

「た、頼み……?」

 

「これはあれかな? イベント……!?」

 

 

 アリアが大きな瞳をぱちぱち瞬かせながら呟く。

 

 

「イベント……」

 

 

 ――イベントって何ですか、アリアさん……。

 

 

 ゲームだから……? とアベルは何となく感じながら隣のアリアを見下ろした。

 そのアリアは瞳をキラキラと輝かせていたのだった。

 

 

「聞きましょう!」

 

「えぇっ!? い、いいのかい!?」

 

 

 アリアが勝手に答えてしまうので、アベルは面食らう。

 

 

「ん? 嫌だった?」

 

「いや、アリアがいいなら僕はいいけど……」

 

 

 ――伝説の勇者をさがさないといけないんだけど……?

 

 

 目の前の農夫からは伝説の勇者の話は聞けそうになさそうだったが、アリアが望むなら、ここは彼女に度量のある男だというところを見せつけるためにも引き受けようじゃないか。

 

 アベルは農夫の話を聞くことにし、顔を農夫に向ける。

 

 

「ふふっ、アベルのそういうところ、好きよ?」

 

「えっ!?」

 

 

 アリアがドキッとするようなことを云うので、アベルはアリアを二度見してしまった。

 

 

 ――アリア、僕のこと好きなの……!? 本当に!?

 

 

 そう思うと自然と口元が弛んでしまうのだが……。

 

 

「ん……? ほらほらアベル、おじさん待ってるよ? んっ、あっち!」

 

 

 むぎゅっと、アリアに頬を挟まれ顔を農夫の方へと向けさせられる。

 

 

「っ……あっ、はい。僕で良ければ……」

 

 

 アベルは了承したのだった。

 

 

「やれ、ありがたや! んじゃ、いっぺんしか言わんので よおく聞いてけろよ」

 

「はい」

 

 

 農夫が話を始めるというので、アベルが頷く。

 と、アリアは目を丸くしてからにっこりと口角を上げた。

 

 

「すんごい(なま)りだなや~!」

 

「……っ、アリア茶化さない」

 

「はぁい(怒られちゃった……!)」

 

 

 アリアは農夫の真似をし、ぼそっと呟いたらアベルに聞こえたのか怒られてしまった。

 額に軽く手刀を入れられ、怒られたアリアは何故か嬉しそうにしている。

 

 

(なんだか嬉しそう……? 可愛い……)

 

 

 アベルは柔和な顔で微笑むアリアを横目に、農夫の話の続きを聞くことにした。

 

 

「実はオラの村の傍に、すごい化け物が住み着いて畑を荒らすだよ! このままじゃオラ達は飢え死にするしかねえ……。だもんで村を代表してオラがこの町に強い戦士をさがしに来たっちゅうわけだ。あんたに頼めて良かっただよ。中々強ええみたいだしな」

 

「すごい化け物……」

 

「もちろん、ただとは言わねえぞ! お礼は3000ゴールド! 今半分渡すだよ」

 

 

 農夫が手にしていた布袋から1500ゴールド入った袋を差し出す。

 アベルは1500ゴールドを受け取った!

 

 

「あ、ありがとうございます……?」

 

 

 マリアの時にも思ったが、1000ゴールドを超えると ずっしり重い。

 【ふくろ】がないとお金を貯めるのも大変だなと、手元の1500ゴールドにアベルはそう思った。

 

 

「もう半分は化け物をやっつけてくれたあとでな。んじゃオラは先に村に帰ってるからきっと来てくんろよ! オラの村はここからずっと南に行ったカボチ村だかんな!」

 

 

 農夫は用件は伝えたぞ。と片手を掲げ、去って行く。

 

 

 ……が、彼はすぐに戻って来た。

 

 

「なんだったら、もういっぺん言おうか?」

 

「え? あ、はい?」

 

 

 農夫はちょっと早口だったかな……? と心配だったのか、もう一度話そうかと戻って来たようだ。

 

 

「あっ、アベルそれ言っちゃダメなやつ」

 

 

 アリアが止めに入る。

 

 

「え?」

 

「いや、もう遅いからいっか。ふふふっ」

 

 

 アベルは何だろうと瞳を瞬かせ、アリアを見ていた。

 農夫が目の前に居るというのに、アベルはアリアしか見ていない。

 

 

「ん?」

 

「んふふ~っ。いいからいいから!(こういうとこ、可愛いんだから……)」

 

 

 アリアは戻って来た農夫にアベルの頬を両手で包むと、再び顔を農夫に向けさせる。

 

 

「あんたにやって欲しいのは化け物退治っちゅうことだよ。見事退治してくれたら、もう1500ゴールド渡すだ。ウソじゃねえぞ。んじゃオラは先に村に帰ってるからきっと来てくんろよ! オラの村はここからずっと南に行ったカボチ村だかんな!」

 

 

 頼んだだよ! と農夫は今度こそ手を振り去って行った。

 




農夫のおっさん、ボコボコにされてるのにホイミも掛けずに帰っちゃった。
掛けてあげればよかっただなや。

でも、ポートセルミまで一人で来たくらいだから強い人なんでしょうね。
武器は鍬とうまのふん辺りで。
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