ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ポートセルミからカボチ村まではどれくらいの距離があるのでしょうか。

では、本編どぞ。



第二百九十五話 カボチ村って遠いの?

 

「……アリア、すごい化け物だってさ」

 

「どんな化け物なんだろうね? って、カボチ村って遠いのかな……」

 

「さあ……。もうすぐ日が暮れて来るし……とりあえず今日は町から出るつもりはないよ? 行くなら明日からかな?」

 

「うん、わかった」

 

 

 アベル達がそんな話をしていると、先程まで遠巻きで見ていた酒場の客(船乗り)がテーブル席に戻って来て近くにいたアベル達に話し掛けて来た。

 

 

「いやあ、あんたは見掛けによらず、腕っぷしが強いですなあ」

 

「いや……それほどでも……」

 

「そうなんです、アベルはとっても強いんです……!」

 

 

 船乗りの言葉にアベルが照れて頭の後ろを掻くと、アリアがアベルの腕に抱きつき割り込む。

 

 

「っ!?(アリアっ!?)」

 

「へえ…………、お嬢さんはあれかい? 彼のコレ?」

 

 

 アリアの思わぬヨイショにアベルは目を剥いた。

 すると、船乗りが突然会話に入って来たアリアをさっと眺めてから小指を立てて訊ねる。

 

 

「えっ……コレって……?」

 

 

 アリアは首を傾げた。

 そして自分で小指を立てて「コレ……」と見下ろす。

 

 

「っ、そうで……」

 

 

 ――アリア、否定しないでくれっ!

 

 

 また姉弟なんて言われたら凹んでしまうじゃないか! とアベルはアリアに否定されるくらいなら先に肯定してやるとばかりに答えようした。

 

 

 小指を立てて“彼のコレ?”と聞かれたら“彼の恋人か?”という意味である。

 それくらいの意味は先生(・・)に教わっているのだ(先生は女にだらしなくはあったが、こと男女関係においては様々なことを教えてくれた素晴らしい先生であった・The 余談)。

 

 

 アベルの心配を余所にアリアが口を開く。

 

 

「……ふふっ、はいっ。自慢の彼氏ですっ」

 

「……えっ」

 

「やっぱりそうだったかあ。あれだけ強ければお嬢さんみたいな美人を連れ歩けるんだなぁ……。なんとも羨ましいですなあ!」

 

 

 アリアは照れ臭そうに、けれども嬉しそうに微笑んでアベルを見上げた。

 アベルはアリアの言葉に瞬時に思考停止。

 そんなアベルの背を船乗りがバンバンと叩いたのだった。

 

 

「……っ……!?」

 

 

 ――どういうことだ……!? まさか、またからかっているのか……!?

 

 

 アベルは自分を見上げて来る大好きな彼女を見下ろすが、本当か嘘なのか判断がつかずに黙り込んでしまう。

 ただ、腕に絡むアリアの柔らかな感触が心地好過ぎてドキドキした。

 

 

「アベル、向こうでカボチ村の事訊いてみない?」

 

「…………っ、ア、アリ」

 

「行こ?」

 

 

 黙り込んでしまったアベルだったが、アリアが上目遣いで酒場カウンタ―へと誘うので、

 

 

「……っ……あ、ああ……」

 

 

 アベルは素直に従うことにした。

 アリアは直ぐに腕から離れてしまったものの、今度は手を繋いでくる。

 

 

 ――あぁ、アリアの手が小さい、気持ちいい……。何、どうして……? アリア何があったの……?

 

 

 心境の変化?

 僕の恋人になってくれるっていうのかい……?

 

 

 アリアが何を考えているのかはやっぱり わからない。けれども今繋がれた手の温もりは本物である。

 アベルは後で「冗談よ」と云われるかもしれないと覚悟しつつ、繋がれたアリアの手に解けないよう力を込めた。

 

 

「あの、すみません。私達、明日からカボチ村に行こうと思っているんですが……」

 

 

 酒場カウンターに着くと、アリアは手を繋いだままバーテンダーに声を掛ける。

 

 

(…………あれ? 手、解かないの……?)

 

 

 アベルは不思議に思いつつ、バーテンダーがカウンター奥からやって来るのを待った。

 

 

「ああ、カボチ村のことなら そこの人が詳しいよ。なあ、あんたカボチ村に行ったことがあるって言ってたよな?」

 

 

 バーテンダーがカウンターに座る客の男に声を掛けると、その男は口を開く。

 

 

「南にあるカボチ村には私も行ったことがありますよ。しかし、あそこはとんでもない田舎ですね」

 

「とんでもない田舎……。ここからどれくらい掛かりますか?」

 

 

 アリアはどれくらいの距離があるのか知りたいらしい。

 

 

「うーん……そうだなあ……、魔物に襲われる頻度によるかな。特に最近は狂暴な魔物が増えたからね。しっかりキャンプの準備をしていった方がいいと思いますよ」

 

「……つまり、一日じゃ着かない……と?」

 

「一日…………? はっはっはっ! 無理無理。あそこは一日二日で行ける場所じゃないよ!」

 

 

 アリアは男に笑い飛ばされてしまった。

 カボチ村は相当遠い所にあるらしい……。

 

 

「ありがとうございました」

 

 

 ――鉄道があれば……って無理か、魔物に壊されちゃうよね。

 

 

 アリアは男に頭を下げる。

 

 

「いえいえ! お役に立てたなら良かったですよ。よかったら一杯どうです? ご馳走しますよ」

 

 

 アリアが頭を下げると男はアリアに(おご)ると言い出した。

 

 

「えっ」

 

「……っ! 僕の彼女を誘わないで下さい!」

 

 

 これまで黙って聞いていたアベルだったが、アリアの手を引いて自分の後ろに下がらせる。

 

 

「あ、ははは……。彼氏持ちだったかあ……、残念です」

 

 

 男は「ちえっ」とアベル達から顔を背け一人ちびちび飲み出した。

 

 

「……お客さん達、旅人だね? どこから来たんだい?」

 

「僕らは東の国から来ました。僕の母を助けるためには勇者をさがさないといけなくて……。何か知っていたら教えて欲しいのですが……」

 

 

 客の男との話を何となく聞いていたバーテンダーが話し掛けて来ると、酒場なら何か有益な情報が得られると踏んで、アベルは旅の目的を話す。

 

 

「へー、自分の母親を助けるため伝説の勇者を捜してる? なるほどねえ……」

 

 

 アベルの話にバーテンダーは腕組みをし、少し考え込むような仕草をした。

 

 

「何か……いい情報あります?」

 

「……うーん、残念だけど、今はそういった話は聞かないなあ……。すまないね」

 

「いえ……」

 

 

 そんなすぐに自分が求めた情報が得られるとは思っていないため、アベルは首を横にふりふり、軽く会釈してカウンタ―から離れることにする。

 

 

「……残念だったね」

 

 

 カウンタ―を後にし、いつの間にか手が離れていたアリアが残念そうにアベルを見上げた。

 

 

「うん? うーん、まあ、明日から行くカボチ村について聞けたからいいよ。それに、そんな簡単に伝説の勇者の情報なんて手に入らないさ」

 

 

 ――身長の所為なんだろうけど……上目遣いが可愛いんだよね……。

 

 

 アベルは自分を心配そうに見上げるアリアが可愛くて胸を締め付けられる。

 衝動的に抱きしめてしまいそうになるのをグッと堪えた。

 

 

「そっか、それもそうだね。……ふふっ、これからも一緒に頑張ろうねっ」

 

「アリア…………、ああっ!」

 

 

 アリアからの嬉しい一言にアベルは心からの笑顔で応えたのだった。

 




カボチ村まではそうだなぁ……四、五日かかる感じ?

サラボナまで一~二年かける予定なので、どうしたものか。
北東の大陸では割と移動が早かった(?)というのに……。

これはあれですかね。
不思議な地図はメルカトル図法で解決ですね!www
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