ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

武器屋で装備を新調しましょう。お買い物回の始まりです。

では、本編。



第二百九十七話 武器屋でお買い物

 

 

 

 

 

「まだ外は明るいけど……今日はもう休むかい?」

 

 

 舞台を下りて来ると、右側に宿屋のカウンターがあるので、アベルはそちらを指差し告げる。

 

 

「う~ん、それなら明日の準備しましょ? 武器屋さんはもう寄ったの?」

 

「いや、まだ」

 

 

 舞台から下りると、アリアが訊ねて来るのでアベルは首を横に振った。

 

 

「じゃあ、武器を新調したいなっ。新しい大陸だし、魔物も強くなってると思うのよね。もう少し強い武器が欲しいかな~」

 

「確かに。じゃあ、明日からの旅に備えて色々揃えてからまた戻って来よう」

 

「うん」

 

 

 アベル達は一度外に出ることにして劇場を後にし、アベルとアリアは話をしながら歩いて行く。

 

 

「アリア離れている間に随分しっかりしたよね。小さいのは変わってないのに」

 

「もぉ~私を何だと思ってるのっ。目を覚ましてまだ二年だけど、それなりに場数を踏んだんだよ?」

 

「うん、知ってる。頼もしくなったよ。本当、再会した時は驚いたんだ」

 

 

 ――すっごく綺麗になってて……。

 

 

 ちらっと隣のアリアを窺うと、アリアは町の景色を眺めていた。

 

 細く長い輝くプラチナブロンド、透けるような白い肌に長い睫毛と紫のアメジスト、潤う薄桃色の唇。

 背は小さいけれど、身体つきは女性的で大きな胸に細く括れた腰、お尻はマントで隠れていて今は見えないがアベルは知っている。程良い大きさで、彼女のどこを触っても柔らかそうだ。

 

 そして、暗い闇の中に居た自分を包み込み癒してくれる春の陽光のような優しい微笑み……。

 

 アベルは一目で惹かれ、それが記憶喪失のアリアだと知り、益々惹かれた。

 

 記憶喪失中の彼女には遠慮もあって中々距離を縮めるのが難しかったが、戻った今となっては、昔のように気安く話が出来るのがとても楽しくて嬉しい。

 

 子供の頃、アベルは彼女と一緒に旅をするのが楽しくて仕方なかった。

 何百回、何千回、何万回それ以上。同じことが繰り返されていた同じ景色が違って見えたのは彼女のお陰だ。

 アリアの記憶があろうとなかろうと、彼女の存在があるだけで違う景色が見られたのだ。

 

 考え方を変えてみれば、変わらないと思っていた未来が変わっている気さえする。

 何度も同じような人生を繰り返し疲れた生活を送るアベルにとって、そんな“初めて”をくれる彼女に惹かれないわけがなかった。

 

 

 僕はアリアが好きだ。

 ずっと一緒に居たい。

 

 

 ――言わせてもらえないけど……。

 

 

「……ん? アベルどうしたの? 何か元気ないね?」

 

「……別に……? ね、アリア、さっき酒場で言ってたことは本当なの……?」

 

 

 浮かない顔をしていたのだろうか、アリアが町の景色からアベルに目線を移すとじっと見上げてくる。

 

 

「ん……?」

 

「……また、からかってるだけ……? 僕、そういうのはちょっと……」

 

 

 ――辛いから、やめて欲しいんだけど……。

 

 

 アベルは言葉に出せずに黙り込んだ。

 

 

「…………からかってないよ。でも、ごめん。今日は答えられない」

 

 

 アリアはアベルの切なそうな表情に眉根を下げ、弱り顔で口角だけ上げる。

 

 

「え……?」

 

 

 彼女の反応が自分が思っていた反応と違うので、アベルは目を丸くした。

 

 

「答えは近日中に出すから、今日はこれで我慢してくれない?」

 

 

 アリアはアベルの手を取ると、腕に抱きつく。

 

 

「えっ、あっ……(柔らかいっ!!)」

 

「…………アベル、私、新しい武器欲しいなっ。買ってくれる?」

 

 

 瞬時にアベルの頬が真っ赤に染まってしまった。アリアは抱き着いた腕にすりすりと頬を寄せてからアベルを見上げる。

 

 

「っっ……、アリアっておねだりが上手だね……。それ、他の人にもしてないよね……!?」

 

「ふふっ、してないよ? 私、こんな風に歩くのアベルが初めてだもの」

 

「っ……ふ、ふーん……? な、ならいいけどっ。しょうがないから買ってあげるよ!」

 

 

 ――アリアが僕に密着して……!?

 

 

 アベルはアリアに抱きつかれている片腕に神経を集中させる。

 柔らかくて温かくて、そして、甘い いい匂い。

 

 

 ……駄目だ駄目だ!!

 

 

 ハッとして頭を横に振り、アベルは神経を集中させるのをやめる。

 アリアに触れられると嬉しいが反応してはいけない部分が反応してしまうのだ。

 

 

「ふふっ、うれしいっ! ……あっ、武器屋さん みっけ! 防具屋さんも併設されてるみたい!」

 

 

 ふと、アリアが目線を前方に向けると、その先に武器屋と防具屋の看板が見え、彼女はアベルの腕を放し走って行った。

 

 

「ぁ……(もっとくっついてていいのに……)」

 

 

 アベルはアリアはやっぱりすぐに離れてしまうんだなぁと残念に思いつつ、彼女の後を追う。

 

 

「アリア嬢……」

 

 

 ピエールが後ろでアベルとアリアの様子を静かに見守っていた。

 

 

 

 

 ついでに、馬車の中ではキャシーが「アリアってばアタシのダーリンにィィ!」と嫉妬の炎をメラメラと燃やしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ピエールに馬車を任せ、アベルとアリアは武器屋にやって来ていた。

 

 

「これがモーニングスター……!(痛そう!)」

 

「どう? これなら使えそう?」

 

 

 武器屋の店主に勧められ、アベルもこれならとアリアに手渡す。

 

 

「ん……、使えるかちょっと試してみるね」

 

「ああ」

 

 

 アリアはアベルから、トゲつきの鉄球を鎖に付けたものを杖に取り付けた【モーニングスター】を受け取ると、アベルから少し距離を取り振り回してみた。

 使えそうではあるが足元がフラついてしまっている。

 

 

「……っと……。ふぅ、何とか使えそう(でもコントロールが難しそうね……)」

 

「ははっ、足元フラついてたよ」

 

「鉄球が重くって。これ小さくすることって出来ますか?」

 

「ハッハッハッハッ! お客さん、面白いこと言うな! うちのはみんなそのサイズだぜ」

 

 

 アリアがトゲ付きの鉄球を指差し、店主に訊ねると笑われてしまった。

 もう少し軽めの鉄球なら扱いやすいと思っただけなのだが。

 

 

「プッ。そんなこと言う人初めて見たよ。やっぱりアリアは面白いね」

 

 

 アベルは目を細め、お金を取り出し始める。

 買う気らしい。

 

 

「え~、カスタマイズできないのかぁ~。じゃあやめとこうかな……」

 

「なんで? 使えるなら買えばいいよ」

 

 

 ――っと、これで1500だから……。あと1500か。

 

 

 アベルはお金を数えながら武器屋のカウンターに並べていく。

 

 

「これ、いく…………ぁ」

 

 

 アベルがお金を数える横でアリアは壁に貼られた【モーニングスター】の価格を見て目を剥いた。

 

 

 ――たっか……!! アベル3000ゴールドも持ってたかな!?

 

 

 チラッとアベルの手元を見ると、アベルの財布が明らかに(しぼ)んでいる。

 

 

「……と、これで2800……(……残り500弱ってとこか……ちょっと心許ないけど……)」

 

 

 ――魔物を倒せばお金は手に入るし、アリアが喜んでくれたら それでいいや。

 

 

 アベルはアリアの笑顔が見たくて快くお金を並べたのだった。

 ところが【モーニングスター】の価格を知ったアリアは意気消沈。

 【モーニングスター】をカウンタ―に戻す。

 

 

「アリア……? 買うから持ってていいよ?」

 

「っ、でも、3000ゴールドもするよ……? 私なら手に馴染んでるこのチェーンクロスでもいいし……」

 

 

 アリアは遠慮なのか、腰に装備している【チェーンクロス】を握ってアベルに微笑む。

 

 

「あれ? さっき新しい武器が欲しいって言ってたよね……?」

 

 

 アベルは急にどうしたんだろうと、首を傾げていた。

 

 

「そうなんだけどっ……、何か……悪い気がしちゃって……。上手く扱えないのに……」

 

「慣れだよ慣れ。はい、これで3000!」

 

「毎度あり!」

 

 

 アベルがカウンタ―に3000ゴールド置くと、店主は目にも止まらぬ速さでそれを回収した。

 この店で一番高額な商品の為、返品させたくないのだろう。

 金を受け取ってしまえば こっちのものってなものである。

 

 

「じゃあ、また来てくれよな!」

 

 

 武器屋の店主が明るい声で手を振る。

 

 と、

 

 アベル達は店内にあった上り階段を上ることにした。

 




モーニングスター……明けの明星が由来だそうです。
めっちゃ鈍器ですよね。当たったら痛そう。そして重そう。

男の子とピピンが装備出来るのはわかる。
だがなぜ、ビアンカ・フローラ・女の子までが装備出来るのか。
鞭繋がりなんだと思うが、絶対重いよね……。

アリアは装備出来るがミス連発しそう。いや、運の良さが高いという設定なので むしろ会心出そうw

むかーし、武器を描くのに嵌っていたことがあり、その中でも描いていて楽しかった武器の一つです。
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