ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

今度は道具屋で買い物をしていきます。

では、本編どぞ。



第二百九十八話 道具屋でお買い物

 

「…………アベルごめんね……(無駄遣いさせちゃった……!)」

 

 

 アリアがアベルの後ろについて、トボトボと階段を上る。

 何だか元気がない。

 

 

「…………えと……、ごめんよりも……その……」

 

 

 アベルは【ふくろ】の中をちらりと見やった。そこには先ほど買った【モーニングスター】が入っている。

 

 

 ――結局【モーニングスター】を装備しないで僕が持ってるのは何故なのか……。

 

 

 3000ゴールドが惜しいわけではないが、なんだろう。

 何というか、目的だったアリアの笑顔が見られなかったことが悲しい……。

 

 自分が無理矢理 押し通して買ってしまったようなものだし、これもしょうがないのか……、いや、そもそもアリアってこういうの受け取ってくれない人だったっけ……?

 

 

 初めてあげた八重咲の花を思い出すと、アベルの胸が痛んだ。

 

 

「ん……?」

 

「……アリア迷惑だった……? 何なら、喜んでくれる……?」

 

 

 二階に上がると、そこは民家だった。

 小さな男の子が突然現れたアベルとアリアに驚いてバスルームへと逃げて行く。

 

 そんな中、アベルはアリアに訊いてみることにした。

 出来れば他にも色々買ってあげたいのだが、彼女は何なら受け取ってくれるのだろうか。

 

 と、思ったわけだが、アリアは違った。

 

 

「え……? あっ、ううん。ただ、ちょっとその……」

 

「ん?」

 

「……自分から買って欲しいなんて言っておいてなんだけど、高い買い物だったから申し訳なくなっちゃって」

 

 

 アリアは恐縮したように頭を下げる。

 

 

「何言ってるんだよ……。僕が買ってあげたいから買ったんだよ?」

 

「アベル……」

 

「僕は“ごめんね”よりも、もっと別の言葉が欲しいっていうか……。あっ、別に強要はしないよっ!? けど、そう言ってもらえたら嬉しいっていうか……」

 

 

 アベルはそんな話をしながら他人の家のタンスを調べる。

 中には【ステテコパンツ】が入っていた。

 

 流れるような手捌きでアベルは【ステテコパンツ】を【ふくろ】にしまった!

 

 

「あ……、私、お礼言ってなかったね。ありがとう、アベル。とっても嬉しかったよ」

 

 

 ――【ステテコパンツ】……誰が穿()くんだろう……。

 

 

 アリアはアベルの手元が気になったものの、それには触れずにアベルに笑みを向ける。

 

 

「………………うん、その笑顔が見たかったんだ。また色々買ってあげるね」

 

 

 ――そう、これ! この笑顔が欲しかったんだ……!

 

 

 アベルはアリアの美しい笑みに、買って良かったと胸が温かくなるのを感じたのだった。

 

 

「っ……、いいよ。自分で買うし……」

 

「色々買って、アリアを懐柔出来たらいいなあ~……」

 

「懐柔って……もぉ……。あ、こんにちは、坊や」

 

 

 照れたように頬を染めアリアが口を尖らせると、アベルはにこにことアリアに笑顔を見せる。

 アリアは眉をハの字にして口角を上げたが、部屋に戻って来た少年に気付いて声を掛けた。

 

 

「ボク大きくなったら船乗りになって世界中を旅するんだ! それで色んな宝物を集めるんだよ。すごいでしょ!」

 

 

 少年はしばらく逃げ込んだバスルームからアベルとアリアをじっと見ていたらしく、強盗ではないことがわかって戻って来たのだ。

 希望に満ちた瞳で将来の目標をアベルとアリアに教えてくれる。

 

 

「それは素敵だね。想い続けて努力すればきっと叶うよ。身体作りとかしておくといいかも」

 

「うんっ!」

 

 

 アリアが目を細めながら少年の頭を撫でると、彼は満面の笑みで「僕頑張る!」と深く頷いた。

 それからすぐに少年と別れ、アベル達は階段を下りる。

 

 

「可愛い男の子だったね。ふふっ、子どもは夢があっていいね。…………子どもかぁ……」

 

「……アリアって子ども好き?」

 

 

 ――いつか、僕の子どもを生んで…………っ……なんてね……。

 

 

 階段を下りながらアベルは何となく訊ねてみたのだった。

 

 

「え? あ、えっと、好きというか……、私は子どもの味方なの」

 

「ん……?」

 

「話したでしょ? 私、前世で虐待されてたって」

 

 

 二人は話をしながら店を出る。

 

 

「っ……あ、ああ……。…………辛かったね…………」

 

 

 ――虐待……、アリアもあの奴隷生活みたいな日々を過ごして来たのか……?

 

 

 前世の話とはいえ、アリアにそんな記憶が残っているのは可哀想に思えた。

 そしてそう思うとアベルは自分の事以上に胸が苦しくなってくる。

 過去は変えられないから尚の事。

 

 アベルの眉間に皺が寄った。

 

 

「あっ、そうじゃないの。……私、お兄ちゃんにいつも庇ってもらっててね。私もお兄ちゃんみたいに、誰かを守れる人になりたいってずっと思っていたの。子どもって、弱くてとても傷付きやすいから優しくしてあげたいの。昔の自分がして欲しかったことをしてあげたいって思ってるんだ」

 

「アリア……」

 

 

 アリアは共感して欲しかったわけではないようで、アベルに自分の想いを伝えたのだった。

 話をしている内に海沿いを歩き、アベルは何とも言えない顔で彼女を眺める。

 

 

「そうすることで、悲しくて辛かった頃の私が癒される気がして……。だから子どもが苦しんでいる姿を見ると、もう居ても立っても居られなくってね。つい突っ走っちゃったりしちゃうんだよね~……」

 

 

 ――大方それで翼を取られたりしたんだろうなぁ……。

 

 

 ははっ、とアリアは自嘲する。

 痛みを憶えていなくて本当によかったと思った。

 

 

「っ…………だから、僕と一緒に居てくれたの……?」

 

 

 ――十年前、僕の我儘にずっと付き合ってくれたのはそういうことだった……? ヘンリーに優しかったのもそういうこと……?

 

 

 アベルはアリアの話に彼女がどうしていつも自分に優しかったのか気付く。

 好かれているとばかり思っていたが、そうではなく、彼女の問題でただ優しかっただけなのだ。

 

 

「…………どうかな…………でも、そうかもしれないね。けど今は……アベル、大人でしょ?」

 

「うん……」

 

 

 今のアリアはわからないが、過去、自分に好意を持っていて優しくしてくれていたと思っていたアベルは、彼女の言葉に自信なさげに頷いた。

 

 

「……それでも私一緒に居るんだよ……?」

 

「え……?」

 

「ふふっ、どうしてだろうね?」

 

 

 アリアの言葉にアベルが瞳を瞬かせると、アリアはふっと笑って走り出してしまった。

 

 

「っ、ア、アリアッ!! それ、どういう意味っ!?」

 

 

 ――それって、期待してもいいってこと……!?

 

 

 アベルはすぐにアリアを追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベルの前から居なくなったアリアは道具屋の前で立ち止まっていた。

 

 

「はぁっ、はぁっ……はぁー……アリア、足が速いよ……!」

 

「ん……もうちょっと……っ……(ああ、もうちょっと背が高ければ……! ていうか翼があれば取れたか……)」

 

 

 アベルがやって来ると、アリアは道具屋カウンタ―に置かれた棚に手を伸ばして、何かを取ろうとしていた。

 どうやら棚の上の方にある小袋が欲しいようだが、届かないらしい。

 爪先立ちしながら手を伸ばすも小袋を指先が微かに掠るのみだった。

 

 店員に言えば取ってもらえるだろうが、店員は今別の客の接客中で手一杯である。

 

 

「……これ?」

 

 

 アベルは彼女の背後から、ひょいと小袋を取りアリアに渡してやった。

 

 

「ぁっ……ありがと……」

 

「どういたしまして」

 

 

 アリアがちょっぴり照れたようにアベルを見上げるので、アベルは可愛いなぁなんて思いながら口角を上げる。

 

 

「…………背が高いといいなあ、私いっつも棚の上の方、届かなくって」

 

「アリアは小さいからね」

 

 

 アリアが棚の上の方へと手を伸ばしてみると、一番上の棚板にぎりぎり触れるだけで棚上の品物には届かなかった。

 アベルは優しい瞳で彼女を見つめる。

 

 

「……アベルに言ったら取ってくれるの?」

 

「ん? うん。いつでも呼んで?」

 

「…………うん。ありがとう……」

 

 

 不意にアリアがアベルを窺うように上目で訊ねてみると、アベルが二つ返事でOKしてくれるので、アリアは嬉しそうにはにかんだ。

 




男女間の甘い話(?)をしつつ、余所様の家のタンスを開けるwww
アリアも特にツッコまず、すっかりこの世界に馴染んでるっていう。

道具屋では通常の旅のアイテムの他、日用品(食料品)なども売ってたりという設定です。
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