シド―君とクリエちゃんに会いました。
では本編どぞ~。
「破壊神……? それって……(この子態度がデカイなあ……)」
「……はっはっはっはっ! 冗談だよ! 本気にすんなよ! ちょっとからかっただけだって!」
眉根を寄せたアベルの背を少年が叩く、と。
「っ、い、痛っ!! 痛いっ!!(本当に痛い! やっぱりバカヂカラだ!)」
アベルの背中に激痛が走ったのだった。
懐かしの【ムチおとこ】の攻撃なんて比じゃないくらいの痛みである。
ただただ痛い。
「あ、ワリィ……。……と、これ食え」
「ンむッ!?」
少年は申し訳ないと思ったのか【やくそう】を痛がるアベルの口に突っ込んだ。
ムシャムシャ……アベルは咀嚼する。
身体の痛みが一気に消えた。
「…………っ、こ、これ薬草かい……!?(薬草にしては効き目が良過ぎる気が……)」
「んあ? あー、上薬草だな。あいつが作ったやつは効き目抜群なんだ。どうだ? 痛み引いたか?」
「あ、ああ……(上薬草……?)」
――この子……いったい何者なんだ……!?
少年はアベルの質問に答えるも、目線は既にマルシェワゴンの方を向いていて、人が減るのを待っている様子。
売り子の女の子が見えるとまた優し気な瞳で口角を上げ、見つめていた。
アベルは目の前の少年に“今までこんな子と出会ったことは無い……!”と軽く混乱してしまうのだった。
そうして しばらく待っていると徐々に人が減って来た。
「お、最後の客か」
マルシェワゴンに最後の一人を確認すると、少年は下ろしていた荷物を再び抱えようとする。
「あ、アリア!」
アベルは最後の客がアリアだと気付き、マルシェワゴンに向かった。
「ん? オマエの知り合いか?」
少年も荷物を抱え終え、アベルの隣りを歩く。
「僕の彼女だよ(……って言ってもいいよね?)」
「ふーん(彼女ってなんだ?)」
旅先だし一期一会の相手にアリアを自分の彼女だと言っても特に問題はないはず……とアベルは言ってやった。
少年は興味が無さそうにサラッと流す。
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「アリア、僕が払うよ」
「あっ、アベル。どれもおいしそうで いっぱい買っちゃったの。
アリアの前には山盛りの菓子と【しゃけおにぎり】という三角形の塊が八つ植物の葉で包まれていた。
「うん、いいよ。全部買ってあげる(どれでも一つ5ゴールド、安いっ!)」
「ありがとっ。きっとおいしいと思うから、あとでみんなで食べようね」
アベルが快諾すると、アリアは嬉しそうに目を細める。
「うん……(カワイイ……)」
アリアの笑顔にアベルは心が満たされ、スッと財布を取り出した。
「全部で100ゴールドですっ。あとこれ、おまけ! お姉さんどうぞ」
ツインテールの女の子がアリアの手に小さな包みをのせる。
「わっ、あ、ありがとう……? これは……?(ココアクッキー……? あ。コーヒーの香りがする!)」
「これは、目覚ましクッキーっていってね。眠りを防ぐ効果があるんだよ。今日はまだ仕事があるから眠るわけにはいかない! って時に食べてね! いっぱいあるからお兄さんにもどうぞ!」
アリアが包みを覗くと、そこにはスライムの形をした焦げ茶色のクッキーが入っていた。クッキーからはコーヒーの香りがしている。
女の子が説明をしてくれて、アベルにも【目覚ましクッキー】を渡してくれた。
女の子を近距離で見ると、目の下に隈が出来ている。
口の端には【目覚ましクッキー】を食べたのか食べかすが付着していた。
お気に入りの焼き菓子なのだろうか……。
「あ、ありがとう……」
――見た事のない食べ物が色々あるな……。
アベルは手渡されたクッキーの包みをまじまじと見下ろした。
――どれもおいしそうだし、まあ、いいか。
【目覚ましクッキー】を【ふくろ】に仕舞い、アベルは100ゴールドを女の子に渡す。
「えへへっ、どうもありがとう! 明日もここに居るから、気に入ったらまた買ってね~!」
女の子はお金を受け取ると、愛らしい笑顔でアベルとアリアに手を振った。
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「アベル、ありがとう。うれしいっ!」
「どういたしまして! じゃあ、宿屋に行こうか!」
「うん」
買い物を終えアベルが買った品物を抱えると、アベルとアリアの二人は宿屋に行くことにした。
二人が立ち去るその後ろで、先程の少年の声が聞こえてくる。
『おい、クリエ! オマエまたそれ作ったのか!? それ食うとオマエ全然眠らねえじゃねーか! 作るなって言ったのに!』
あまりに大きな怒鳴り声だったので、アベルとアリアは心配になって振り返った。
「……大丈夫かな……?」
「多分……あの少年、口は乱暴だけど優しい子だよ。だから大丈夫」
アリアは少年の怒鳴り声に女の子が心配になったのか眉をハの字にして様子を窺うのだが、アベルは優し気にふっと笑みを浮かべてアリアに伝える。
「そうなんだ? じゃあ、少しだけ様子を見て行こうか。喧嘩になったら止めに入ろう?」
「うん、わかった(必要ないと思うけどね)」
少年の女の子を見る目が優しかったことに気付いていたアベルは、自分もアリアにあんな目をしているのかもしれないなと思うのだった。
アベルとアリアは少し離れた場所で、少年と女の子の様子を見守ることにした。
すると。
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「だって、ワゴンに置く商品を作るには時間が足らないんだよぉ」
「だったら単価を上げればいいだろっ。
女の子が嘆きながらマルシェワゴンを片付け始めると、少年もその手伝いを始めた。
「たまには寝てるよ?」
「毎日寝ろよ! オマエは人間だろっ!」
「じゃあ、シドー君も素材集め毎日無理して行かなくていいよー。
「オレはいーんだよ。オマエと違ってオレさまは強いんだからな!」
「あー、また そんなこと言ってぇ~。早くカケラ集めて帰らなきゃルル達が心配するよ? そのためにはお金が必要でしょー」
少年の物言いは荒々しいが、女の子を心配しているように聞こえる。
対して女の子は手慣れた手付きでマルシェワゴンの屋根を畳み、悠然と笑っていた。
「わかってるよ! けど、オマエが倒れちまったら それだって不可能なんだぜ? 旅は続くんだ。夜はしっかり休めよな!」
「別に無理してないんだけどなぁ~」
女の子が【目覚ましクッキー】を口にしようとする。
と、少年はその包みを女の子から奪い取った。
「バカヤロウ! 食うなって言ってんだろ! オマエ、三日も寝てねえだろうが!」
少年は自分の持って来た荷物を器用にマルシェワゴンに積んで、そこに女の子から奪った【目覚ましクッキー】も突っ込む。
「えぇ~、何でわかったの~。シドー君、すごーい。監視してたの~? えっち~!」
「えっち……って何だ? オマエは健康管理がなってない! ほら、行くぞ! 今日はもう休むんだ!」
女の子がにこにこと少年に微笑み掛けると、少年は首を傾げて女の子を抱え上げ、マルシェワゴンの端に座らせるとワゴンを引っ張り始める。
「えぇ~~。これからが本職なのに~~!」
「今日はヤメだヤメ」
マルシェワゴンは町の外れへと消えていく。
それから女の子の楽しそうな声と、少年の彼女を心配する声が徐々に小さくなっていった。
様子を見守っていたアベルとアリアは互いに顔を見合わせる。
「……心配なかったみたい。あの男の子……、彼女のことが大切なのね」
「だね」
――もうすぐ夕暮れなのに、町の外に出て大丈夫なんだろうか……。
少年と女の子が町から出て行ったのが見えアベルは少し心配になったが、自分達の意思で出て行ったのだし、少年の力が強いことも身を以て知ったからか問題ない気がした。
「……不思議な子達だったね」
「うん……。本当にね……」
アリアの声にアベルは頷く。
「初めて……だったの?」
「ああ……」
アベルは少年達が消えた方へと視線を移す。
――アリアと居ると、こんなこともあるんだな……。
アリアが何かしたわけではないのだが、何となく彼女の影響なのかなと思ってしまうアベルだった。
ちょっと長めでしたが、クロスオーバーってことで。
シド―君とクリエちゃんはDQB2世界からやって来ますた。
この二人のCPが好きです。
クリエちゃんは働き者なので、シド―君はいつ倒れるかハラハラしているのですよ(実際ゲームプレイ時、ほぼほぼ不眠不休ですわ…。自分の家もなく、ひたすら高級パン食べて働いてるw)。
クリエちゃんの一人称を【私】にするか、【ボク】にするか迷うところですが、
とりあえず今回は無しにしました。いっそ【ウチ】もありか。いや、やっぱり【わたし】がいいかなぁ。
二人は【カケラ】なるものを探しているようですが、それはまた別のお話…(多分書かないけど)。
もう一回くらい会えるといいね。
祝!三百話!!☆彡☆彡☆彡
ひゃ~! マヂですか。
気が付けば300話。よう書いたわぁ。
ちなみに投稿するのはちょっと先という(本日は2022/08/04です)。
書いてから大体二~三か月後に投稿となるわけですね。
前にも書いたかもですが、推敲……という名の誤字・脱字チェックを割と直前にしておりまして推敲しても漏れがあるため、UP出来る量が限られているという…。
妄想して(書いて)いる間は楽しくていいのですが、推敲は面倒ですね。
でも誤字脱字はやっぱり最小限に抑えたいもの。ちくちくやって参ります。
この調子だと多分500話とか軽く超えると思うので、飽きちゃったらスミマセン。
アベルが愛おしいし、アリアも愛おしいし、仲間モンスター達も大好きだし、町のモブキャラも、景観も、アイテムも何もかもが愛おしい。ついでに顎ッちゲマさんも愛おしいんやで…w
そして、妄想が楽し過ぎて止まりません…。
これからもお付き合いいただければ幸甚に存じます。
※2022.10.28追記
最近ドラクエⅩ オフラインを始めました!