ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

絹のエプロン……。

では本編。



第三百三話 絹のエプロン

 

 

 

 

 

「……残念だったなぁ」

 

 

 ピエール達を起こし(スラりんは早々に熟睡してしまい起きず)、アベルは階段を上りながら手元に残り続けた【ふくびき券】を眺め“ふぅ”と溜息を吐いた。

 

 

「ふふふっ、でもアベルすごいね、ずっと当たり続けるって中々ないと思うよ?」

 

「そうかなぁ……。どうせなら別の物を当てたかったなぁ」

 

 

 アリアが起こしても起きなかったスラりんを抱えながら階段を上り微笑むと、アベルは残念そうに嘆く。

 

 

「福引券以外は何が当たるんだろうね?」

 

「ね。当たってみないとわからないもんなぁ。明日の朝、もう一回やろうと思ってるけど、はずれが出たらごめんね」

 

「ん? ふふっ、どうして謝るの?」

 

「ん~、何となく? 当たったらアリアにプレゼントしたいと思って」

 

 

 お喋りしながら階段を上がり終え二階に辿り着くと、アベルは一番左の部屋の扉を開けた。

 

 

「アベル……。……私にそんな気を遣わなくていいのに……」

 

「僕がそうしたいだけ、……どうぞ」

 

 

 アリアが恐縮する中アベルは扉を開いて彼女に先を譲る。

 

 

「っ……………………そういうのは当たってから言わないとねっ」

 

 

 アリアはペコッと軽く会釈して笑みを浮かべると、部屋へと入った。

 

 

「ごもっとも!」

 

 

 アリアが入室し、ピエールも通した後でアベルも続く。

 

 

「わぁ! 炊事場付き! 長期滞在も出来るんだね」

 

 

 部屋の中にある調理台と水を張った貯槽を目にしてアリアは瞳を輝かせる。

 

 

「そうだね。お風呂付きの部屋は埋まってて取れなかったんだ、ごめんね」

 

 

 アベルは受付で一応聞いてみたのだが、風呂付きの部屋は長期滞在中の夫婦が泊っているため取れなかったのだ。

 

 

「ううん、身体が拭ければそれだけでも嬉しい。臭いままいたくないし。あ、でもさっき行った楽屋にお風呂があったから借りれたりするかな? 後で訊いてみるよ」

 

「うん、借りられたら入って来るといいよ(アリア臭くないけど……? むしろ好い匂いなのに)」

 

 

 ――アリアって綺麗好きだなぁ……。

 

 

 この世界では地域によるが、風呂に入れずとも汗を大量に掻くことは少ないため、軽く拭くだけでも充分なのだが、アリアは風呂が好きなのだろうか?

 

 ちょくちょくニオイを気にする発言をするので、アベルはなるべく風呂に入れてやりたいなと思う。

 アベル的には、アリアが臭くても一向に構わないのだが。

 

 

 ――むしろ臭い方が……。

 

 

 匂い立つアリアを妄想するとムラッと来てしまう気がしてアベルは頭を左右に振った。

 

 そんなアベルの前でアリアは二台あるベッドの内、すぐ手前のベッドにスラりんを下ろすと自分も腰掛け、靴を脱いだ。

 そして「足蒸れちゃった……」と足に汗を掻いたのかニーソックスを脱ぎ始める。

 

 

「っ!?(アリアッ!? 一体何をっ!?)」

 

 

 アベルは目の前で靴下を下ろすアリアに どきりとしてしまった。

 靴下を下ろす際に前屈みになる為、自然と胸元が見えてしまう。

 

 

 ――っ、何でこの子、こんなに無防備なんだ……!?

 

 

 アリアは靴下を脱ぎ去ると白い足を片方ずつ上げて伸ばし「すっきりした~!」と呑気に足首を捻っていた。

 小さな愛らしい足の先がくるくると円を描く。

 

 彼女の足先が“アベル、こっちにおいで”と呼んでいる気がして、初めて見るアリアの足の指先に不覚にも興奮を覚えてしまうアベルだった。

 

 

 ――アリアっ……その指先を舐めてみたい……って、僕は変態か……。

 

 

 でも、いつか想いが通じ合ったなら……是非。

 アベルはアリアの様子を部屋の入口に突っ立ったまま ぼーっと見ていた。

 

 

「……うっ、ん……? アベルそんな所に突っ立ってどうしたの? 荷物下ろしたら?(靴下臭い……後で洗っとこ)」

 

 

 アリアは脱いだ靴下を手にして眺め、顔を顰めてからアベルがぼーっとしているのを発見すると声を掛ける。

 

 

「えっ、あっ……、っ、はいっ!」

 

 

 アベルは急に声を掛けられ我に返った。

 

 

「ふふっ、“はい”だなんて(かしこ)まっちゃって……急にどうしちゃったの? 変なアベルね(でもなんか可愛い……)」

 

「…………っ……」

 

 

 アリアがアベルに微笑み掛けると、アベルは頬を染め瞳を逸らす。

 そして気まずそうに奥のベッドへと歩いて行った。

 するとアリアはベッド脇に置かれていたスリッパを履いて立ち上がる。

 

 

「この調理台があればお湯が沸かせるね。私お茶を淹れるわ。アベル、荷物を下ろしたら座ってて。おやつにしましょう?」

 

「あっ、アリア僕も手伝うよ?」

 

「ううん、いいの私がやる。これでも修道院で奉公してたから火起こしでも、何でも出来るのよ、任せて。アベルはベッドで横になってていいよ」

 

「そう……? じゃあお任せするよ」

 

「うんっ!」

 

 

 アリアは調理場で火起こしをするとポットに水を入れ湯を沸かし始める。

 アベルは彼女に言われた通り奥のベッドに荷物を下ろし、調理台に近いベッドに横になると目の前のアリアを眺めていた(スラりんは退かせた)。

 

 

「……ぁ…………(なんかいいな……)」

 

 

 アリアがポットの様子を見ている背を眺めていると、アベルは何とも言えない穏やかな気持ちになる。

 旅の途中ではあるが、一緒に暮らしているような気分になった。

 

 

 ――こんな気分、味わったことないな……。

 

 

 アリアが奥さんになってくれたら、ずっとこんな風に穏やかな気持ちで彼女の背を眺めていられるのに……なんてアベルは考えて ふと気付く。

 

 

「あ、そういえば」

 

「……ん? どうしたの?」

 

「絹のエプロンがあるよ。アリア、お湯が跳ねると危ないから付けたらどうかな? はいこれ」

 

 

 アベルは横たえていた身体を起こし【ふくろ】から【絹のエプロン】を取り出して、アリアに差し出した。

 

 

「あ、うん。そうだね、ありがと」

 

 

 アリアはアベルから【絹のエプロン】を受け取る。

 マントの上からは着辛いのでマントを外し、ベッドの足元側にある化粧台の前に立って身に着けると、着た感じを確かめた。

 

 

「結構丈が長めだね。これならお湯が跳ねても大丈夫そう!(フリフリで可愛い!)」

 

 

 ――でも、元々着てた服が隠れちゃうから……裸にエプロンみたいね。アベル……大丈夫かな?

 

 

 ま、いっか! とアリアは真っ白なフリルの可愛らしい【絹のエプロン】が気に入ったのか鏡の前でゆらゆらと身体を揺らすと、アベルの方へと振り向く。

 

 

「どう? 似合う?」

 

「っっ!!??」

 

 

 振り返ったアリアにアベルは目を剥いた。

 そして、その頬が赤く染まっていく。

 

 

「っ……っ……ぅ……そ、その……」

 

 

 ――素肌に直接エプロンをしているみたいじゃないか……!!

 

 

 けしからん、けしからんぞっ!!

 

 

 アベルは込み上げるツンとした鼻奥の感じに鼻を抓んだ。

 “奥さんてこんな感じ?”と思って勧めてみただけなのに、とんだ副産物が得られ、アベルは慌てて胡坐(あぐら)を掻いて片手を股に挟んだ。

 

 

 ――僕の親愛なる相棒よ、今は立ち上がる時ではない!

 

 

 十六年慣れ親しんだ相棒だが、アリアに再会してからというもの自分の意思に反して勝手にムクムクと起き上がる。

 彼女に気取られるわけに行かない。

 

 のだが……。

 

 

「裸にエプロンみたいでしょ?」

 

「はっ、はだかっ!!??」

 

 

 アリアがはっきり言ってしまうものだから、アベルは服を着ているのが解っているのに想像してしまった。

 

 

 ――アリア、煽らないでくれっ!!

 

 

「下、服着てるよ? ほら」

 

 

 ピラッとアリアは【絹のエプロン】を捲ったのだが、あろうことかスカートまで捲ってしまう。

 

 

「アリアッ! やめてくれっ!」

 

 

 アリアのいつものアレ(・・)が見え、アベルは顔を片手で覆ってしまった。

 だが、指の間はしっかり開いている。

 やめてと言いつつ、しっかり見てしまうのは男の(SAGA)である。

 

 

 ――あぁ……今夜も捗っちゃうぅ……。

 




アベル君……いつか裸にエプロンしてもらえるといいね。
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