ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

カボチ村に到着です。

では、本編。



青年期・前半【カボチ村~魔物の住処】
第三百十一話 カボチ村


 

 

 

 

 

 パチパチパチ。

 焚火が爆ぜる音が聞こえ、アベル達は森の中で今夜はキャンプをしていた。

 仲魔達と共に寛ぎの時間の中、アベルが地図を広げ難しい顔をしている。

 

 

「……うーん……、今日はあんまり進めなかったね」

 

「どれどれ……? ここがポートセルミで……、現在地は……ホントだ~! 魔物が多かったものね……!」

 

 

 アリアが地図の現在地を確認すると“はぁ”とため息を吐いた。

 昼間南下したが、あまりの魔物の多さにカボチ村まではまだ数日掛かりそうだ。

 とんだド田舎に行こうとしているのである。

 

 

「……アリア、そろそろ寝たら……? 交代で眠ろうよ。後で起こすから」

 

「ん……? ぁ、眠そうに見える……?」

 

 

 アベルが焚火に薪を()べながら告げると、アリアは笑顔で返すのだが、アリアの顔色は悪かった。

 

 

「うん……、呪い……今日発動してるよね……?(辛いくせに、何で笑うんだろう……)」

 

 

 アベルは青い顔で平気なふりをするアリアが心配で眉尻を下げる。

 

 

「……すごい……何でわかったの……!?」

 

 

 アリアの瞳が僅かに輝いた。

 

 

「そりゃわかるよ……。注意深く見てるし……」

 

「そっか……、アベルってすごいね……! …………ふふっ、今日は体力低下日だったみたいよ? でも、迷惑掛けなくて良かったぁ!」

 

「……そういうことじゃないって言ってるよね!?」

 

 

 アリアの態度にアベルは語気を強くする。

 

 

「怒らないでよ……。私、足手纏いにならないように頑張ってたでしょ?」

 

「そういうことじゃないんだって……。はぁ……、何で伝わらないのかな……」

 

 

 ――足手纏いだなんて思ったことない。僕はただ、君が心配なだけなんだよ……。僕の気持ち知ってるくせに、何でわからないわけ……?

 

 

 アリアが頑張り屋なのは知っているが、自分の想いをいまいち理解していない彼女にアベルは やきもきしてしまった。

 アベルはただ、アリアに無理をして欲しくないだけなのだ。

 

 

「……アベル、心配してくれてありがとね。でも、大丈夫だよ。私は大丈夫」

 

 

 アリアは白い歯を見せ、ダブルでブイサインを見せる。

 

 

「アリア……、大丈夫って……何の根拠もないんだけど……?(青い顔して……何言ってるんだか……)」

 

 

 アリアの笑顔は可愛いが青い顔でやられているので、アベルは信用出来なかった。

 

 

「…………ははっ、手厳しいね」

 

「…………ほら、安眠枕。ぐっすり休んで、早く元気になってよ」

 

 

 アベルは【ふくろ】から【安眠枕】を取り出し、アリアに渡す。

 

 

「……うん、わかった。じゃあ先に休ませてもらうね」

 

 

 アリアは【安眠枕】を受け取ると、アベルの隣で横になった。

 

 

「…………おやすみ、アリア(そうそう、早く目を閉じて眠ってくれ)」

 

「おやすみ、アベル。………………………………あ」

 

 

 アリアが目を閉じたかと思うと、パッと目蓋を開く。

 

 

「ん?」

 

「ちゃんと起こしてね。見張り交代するからね」

 

「…………………………うん、わかった」

 

 

 アリアに起こすよう云われたアベルだったが、その日の晩はピエールと交代しただけで、アリアを起こすことはなかった。

 

 そうして、数日間掛けてアベル達はカボチ村へと歩みを進める。

 

 キャンプにも慣れ、アリアの呪いの発動がない日はアベルもアリアと交代で身体を休めつつ、着実にカボチ村へと近づいていた。

 

 

 

 

 ……“怪物に注意! ここより南カボチ村”

 

 

 

 

 カボチ村に近付いた所で、立て看板を見つける。

 

 

「怪物に注意、か……、もうちょっとだね」

 

 

 アリアが立て看板を見ながら東の方角を見ていた。

 

 

「アハハ……、アリアそっちは東だよ?」

 

「あっ、やだっ、私ってば……方向音痴なんだから……も~……」

 

 

 アベルがツッコむと、アリアは頬に両手を当てながら恥ずかしそうに東から南へと方向を変える。

 アベルは“アリアってこういう所、抜けてるよね……”とくすっと笑った。

 

 

「……アリア、もうちょっとでカボチ村だけど……、体調は大丈夫かい?」

 

「うん、平気!」

 

「……うん、大丈夫そうだね。良かった……」

 

 

 アベルの質問にアリアは元気に返事する。

 今日は呪いが発動していない様子で、彼女も無理して笑っているわけではなさそうで安心した。

 アベルはアリアの様子を注視しながら歩みを進めていたわけだが、今日は気にしなくても良さそうだ。

 

 看板を越え南下を続けると、目と鼻の先にカボチ村らしき集落が見えて来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遂にカボチ村に到着だね……! ……いやぁ~……、ずいぶんと田舎……だね」

 

「だね……」

 

 

 夕暮れ近くになり、アベル達の目の前に長閑な農村が広がる。

 アリアが農村を見渡し“はぁ~”とため息を吐いていた。

 ポートセルミを発ち五日目、アベル一行は漸くカボチ村に到着したのだった。

 

 サンタローズもそこそこ田舎ではあったが、ここは なんだろうか“Theド田舎”……そういう言葉がしっくりくる。

 

 村を見渡しても、藁葺(わらぶ)き屋根の民家がいくつかあるだけで、これといってランドマークらしき物は見えない。

 

 

「畑ばっかり……家も何か……質素っていうか……。悪くは無いけど……何にも無い……ね。まぁ……のんびりするには いいところなのかな……? あえていいところを挙げるとすれば空気が美味しい……?(いや……でも、この世界そもそも空気はめちゃウマなんだよね……)」

 

「……さて、と……。明るい内に依頼人に会いに行こっか」

 

「うん」

 

 

 アリアが村の印象を口にしていると、アベルはポートセルミで会った農夫を捜しに歩き出した。

 アリアも頷き後ろについて行く。

 

 

「あいやー、また畑が荒らされとるだ! こんなことが続けばオラ達は飢え死にだよ」

 

 

 アベルと共に村入口近くの畑の横を通り過ぎようとすると、畑の手入れをしていた農夫が頭を抱えて困り果てていた。

 

 

「……アベル……」

 

「うん……。化け物が畑を荒らすって言ってたね。早く解決してあげないとね」

 

「うん……」

 

 

 アベル達は農夫に憐憫の瞳を向けて、村の奥へと進む。

 村を歩きながら ふと、老婆が切り株に腰掛け空をぼーっと眺めているのを見つけ、アリアは何か聞けないかと声を掛けた。

 

 

「お婆さん、こんにちは!」

 

「ここはカボチ村じゃぞ。けんど化けオオカミの所為で近頃作物が取れんでのう。わしもそろそろお山に行こうかと思うとるよ」

 

「お山って……?」

 

「ふぁっふぁっふぁっ。こういうのは何も出来ない老婆から先に身を引くものじゃて……」

 

 

 アリアが首を傾げると老婆は笑うが、その声には覇気が無かった。

 

 

「……アリア、行こう」

 

「え? あっ、うん。お婆さん、失礼しますっ」

 

 

 アベルはアリアの手を引き、先へ行こうと誘う。

 

 

「……アベル、さっきのお婆さん、元気が無かったよ……?」

 

「…………うん」

 

 

 ――お婆さん、何かぼーっとしてたものな……。

 

 

 アベルはどうしたのだろうと思ったが、あまり首を突っ込むのもどうかと思いその場を後にしたのだった。

 

 老婆の様子がおかしい理由がわかるのはそのすぐ(あと)である。

 




アベルはアリアの状態を逐一チェックしているようです。
たまにステータスウィンドウも見てるんだろうな……。
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