パパスのパパス(意味深)の回です。
では、本編どうぞっ。
――アリアは思い出していた。
前の自分が死ぬ間際、鞄に入っていた風邪薬一式。
……あの時、私は風邪を引いていたのよね。
午前中に病院に寄って、会社から呼び出され、その足であのマンションの屋上へ。
そして、誰かに突き落とされた……。
いや、意識が朦朧として、そこははっきりしてないから幻影かもしれないけど……。
それが、今の自分の服にぶら下がっている袋に入っていたのだった。
パパスがあまりに苦しそうだったので、隙を見て飲ませていたということだった。
「……そ、それで、父さんの呼吸がこんなに良くなったの……?」
「……そんな直ぐに効くものでもないと思うのだけど、この世界の人はこういう薬初めてでしょ? だからよく効いたのかもね。それに、アベルのお父さん元々基礎体力が高いみたいだから余計かも」
「この世界って…………?」
アベルが訊ねようとすると、
「ぅ、ん……? …………アベル……? ……まだ起きているのか……?」
パパスが部屋の中に立っているアベルを見つけ笑い掛ける。
「……あ、父さん。……気分はどう……?」
「あぁ……、そうだな……大分楽になったな……。鼻詰まりも取れたし……寒気もない。頭の痛みもないし……、ダンカンに分けてもらった薬が効いたようだな……」
「いや、おじさんはまだ寝込んでたみたいだけど……?」
アベルはこの宿に戻って来た時、ダンカンの咳き込む音を聞いていたのだった。
明日の朝には快復しそうではあるが、全快まではあと一息。
そう思うと、パパスの方が治りが早い。
「そうなのか? 父さんは明日には動けそうだ……。症状が軽かったみたいだな……」
「良かったね」
パパスが半身を起こしてベッドから出ると、アベルを抱き上げる。
そして、
「ここ二日間、一人で放っておいてすまなかったな……」
「ううん、僕は大丈夫だったよ?」
パパスはアベルを隣のベッドに寝かせたのだった。
「お前も早く休みなさい。風邪を引いたらどうする」
「……はぁい」
パパスが布団を掛けてやり、頭を撫でてやると、アベルは布団から目だけ出して笑った。
「……お前の目は母さんにそっくりだ」
アベルの瞳にパパスは妻マーサを思い浮かべたのか、優しく穏やかな顔で目を細める。
「……おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
アベルを寝かせて、パパスは自分のベッドに戻るのかと思いきや部屋から出て行く。
パタンと、扉の閉まった音がした。
「……父さん行っちゃった……。ついて行ったら怒られるかなぁ……」
アベルは目だけでパパスの背中を追っていたが、扉が閉まってしまったのでそれ以上は追えなかった。
「……私が様子見てこようか?」
「頼んでもいい……?」
「うん、任せて」
アリアはパパスの様子を見に部屋を出て行く。
パタン、と再び扉の閉まる音が聞こえた。
「……アリア色々触れるようになって来てるんだなぁ……(ひのきのぼうも今なら触れたりするんだろうか……)」
アベルはそんなことを考えながら、次第に
◇
一方で、アリアはというと……――。
『……あ、パパスさん、居た……』
部屋を出てすぐにバルコニーへと行くのが見えたため、パパスを追い掛けていた。
パパスはバルコニーで月を見上げ佇んでいる。
アリアはそれを開いたままの扉のすぐ隣で静かに見守った。
「……マーサ。……私達の息子はもう六歳になった。お前は今一体どこに……」
『……マーサ……? アベルのお母さんはマーサっていうの……?』
どこかで聞いたことのある名前ね……。
元カレがゲームしてた時に出ていて、聞いたのかな……?
アリアはパパスの呟きに腕を組み、記憶を探る。
『……いや、わかんないわ……(どこで聞いたんだろ……?)』
「……私が寝込んで意識のない時、お前の存在を近くに感じた……。……気の所為かもしれないが……。いや……離れていても、心は同じだな……。マーサ、月が綺麗だ……」
アリアが考え込む中、パパスは月を見上げながら一人で語る。
月にマーサを想っているのか、月を望むパパスの瞳は優し気だった。
『……パパスさんて、ロマンチックね~! ……っと』
聞こえないだろうとはわかっているものの、少し大きな声が出たのでアリアは慌てて両手で口元を覆う。
その拍子に肘が扉にぶつかり、扉が閉まった。
『あっ、やばっ!』
「……ん……? 扉が勝手に閉まった……?」
パパスは振り返り、首を傾げる。
扉は全開にしておいたのに、何故?
「……マーサ……?」
『アリアでっす!』
パパスが扉の傍にやって来て、声を掛けると、アリアは大きな声で挙手した。
「……はは。……そんなわけないか……」
『……目の前に居ますよ~!』
パパスからは見えないが、アリアはパパスの目の前におり、彼を見上げて手を振っていた。
「…………何だ? 温かい……? 壁……?」
『っ!? ちょ、ちょっとパパスさんっ! 股間が当たってるんですけどっ!?』
いやぁああんっ!
高さが丁度良かったのか、アリアの顔面にパパスのパパスが当たってしまう。
パパスは見えない壁を突っ切ろうと身を乗り出した。
アリアは逃げようとするも、パパスがぐいぐいと押し付けて来るので頬を真っ赤にして、心を無にする。
するとアリアの身体はすり抜け、解放された。
「……何だ今の感触は……? 見えない壁みたいなのがあったな……、それも柔らかい……」
『……パパスさん……あのね……』
アリアはそれ以上何も言わずに部屋へと戻ったのだった。
以上、パパスのパパスの回でした。
こ、これくらいなら許されますよね……?
元々R18ばかり(?)書いているためつい、そっちへと向かいそうになってしまいます(とはいえそんなエロエロを書いているわけでもないのですが)。
すみません、反省はしていませんw
ちょっとウフンな感じが本当、大好きなんです。
ぱふぱふとか最高ですよね!
つまりドラクエ最高。
戦闘中パンチラとかあったら萌えます。
ぽろりも萌えます。
そう、男女問わず!
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読んでいただきありがとうございましたっ!