ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

パパスのパパス(意味深)の回です。

では、本編どうぞっ。



第三十一話 風邪薬

 

 ――アリアは思い出していた。

 

 

 前の自分が死ぬ間際、鞄に入っていた風邪薬一式。

 

 

 ……あの時、私は風邪を引いていたのよね。

 午前中に病院に寄って、会社から呼び出され、その足であのマンションの屋上へ。

 

 

 そして、誰かに突き落とされた……。

 

 

 いや、意識が朦朧として、そこははっきりしてないから幻影かもしれないけど……。

 

 

 それが、今の自分の服にぶら下がっている袋に入っていたのだった。

 パパスがあまりに苦しそうだったので、隙を見て飲ませていたということだった。

 

 

「……そ、それで、父さんの呼吸がこんなに良くなったの……?」

 

「……そんな直ぐに効くものでもないと思うのだけど、この世界の人はこういう薬初めてでしょ? だからよく効いたのかもね。それに、アベルのお父さん元々基礎体力が高いみたいだから余計かも」

 

「この世界って…………?」

 

 

 アベルが訊ねようとすると、

 

 

「ぅ、ん……? …………アベル……? ……まだ起きているのか……?」

 

 

 パパスが部屋の中に立っているアベルを見つけ笑い掛ける。

 

 

「……あ、父さん。……気分はどう……?」

 

「あぁ……、そうだな……大分楽になったな……。鼻詰まりも取れたし……寒気もない。頭の痛みもないし……、ダンカンに分けてもらった薬が効いたようだな……」

 

「いや、おじさんはまだ寝込んでたみたいだけど……?」

 

 

 アベルはこの宿に戻って来た時、ダンカンの咳き込む音を聞いていたのだった。

 明日の朝には快復しそうではあるが、全快まではあと一息。

 そう思うと、パパスの方が治りが早い。

 

 

「そうなのか? 父さんは明日には動けそうだ……。症状が軽かったみたいだな……」

 

「良かったね」

 

 

 パパスが半身を起こしてベッドから出ると、アベルを抱き上げる。

 そして、

 

 

「ここ二日間、一人で放っておいてすまなかったな……」

 

「ううん、僕は大丈夫だったよ?」

 

 

 パパスはアベルを隣のベッドに寝かせたのだった。

 

 

「お前も早く休みなさい。風邪を引いたらどうする」

 

「……はぁい」

 

 

 パパスが布団を掛けてやり、頭を撫でてやると、アベルは布団から目だけ出して笑った。

 

 

「……お前の目は母さんにそっくりだ」

 

 

 アベルの瞳にパパスは妻マーサを思い浮かべたのか、優しく穏やかな顔で目を細める。

 

 

「……おやすみなさい」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

 アベルを寝かせて、パパスは自分のベッドに戻るのかと思いきや部屋から出て行く。

 

 パタンと、扉の閉まった音がした。

 

 

「……父さん行っちゃった……。ついて行ったら怒られるかなぁ……」

 

 

 アベルは目だけでパパスの背中を追っていたが、扉が閉まってしまったのでそれ以上は追えなかった。

 

 

「……私が様子見てこようか?」

 

「頼んでもいい……?」

 

「うん、任せて」

 

 

 アリアはパパスの様子を見に部屋を出て行く。

 

 

 パタン、と再び扉の閉まる音が聞こえた。

 

 

「……アリア色々触れるようになって来てるんだなぁ……(ひのきのぼうも今なら触れたりするんだろうか……)」

 

 

 アベルはそんなことを考えながら、次第に微睡(まどろ)んでいった。

 

 

 

 

 

 

 一方で、アリアはというと……――。

 

 

『……あ、パパスさん、居た……』

 

 

 部屋を出てすぐにバルコニーへと行くのが見えたため、パパスを追い掛けていた。

 パパスはバルコニーで月を見上げ佇んでいる。

 

 アリアはそれを開いたままの扉のすぐ隣で静かに見守った。

 

 

「……マーサ。……私達の息子はもう六歳になった。お前は今一体どこに……」

 

『……マーサ……? アベルのお母さんはマーサっていうの……?』

 

 

 どこかで聞いたことのある名前ね……。

 元カレがゲームしてた時に出ていて、聞いたのかな……?

 

 

 アリアはパパスの呟きに腕を組み、記憶を探る。

 

 

『……いや、わかんないわ……(どこで聞いたんだろ……?)』

 

 

「……私が寝込んで意識のない時、お前の存在を近くに感じた……。……気の所為かもしれないが……。いや……離れていても、心は同じだな……。マーサ、月が綺麗だ……」

 

 

 アリアが考え込む中、パパスは月を見上げながら一人で語る。

 月にマーサを想っているのか、月を望むパパスの瞳は優し気だった。

 

 

『……パパスさんて、ロマンチックね~! ……っと』

 

 

 聞こえないだろうとはわかっているものの、少し大きな声が出たのでアリアは慌てて両手で口元を覆う。

 その拍子に肘が扉にぶつかり、扉が閉まった。

 

 

『あっ、やばっ!』

 

「……ん……? 扉が勝手に閉まった……?」

 

 

 パパスは振り返り、首を傾げる。

 

 

 扉は全開にしておいたのに、何故?

 

 

「……マーサ……?」

 

『アリアでっす!』

 

 

 パパスが扉の傍にやって来て、声を掛けると、アリアは大きな声で挙手した。

 

 

「……はは。……そんなわけないか……」

 

『……目の前に居ますよ~!』

 

 

 パパスからは見えないが、アリアはパパスの目の前におり、彼を見上げて手を振っていた。

 

 

「…………何だ? 温かい……? 壁……?」

 

『っ!? ちょ、ちょっとパパスさんっ! 股間が当たってるんですけどっ!?』

 

 

 いやぁああんっ!

 

 

 高さが丁度良かったのか、アリアの顔面にパパスのパパスが当たってしまう。

 パパスは見えない壁を突っ切ろうと身を乗り出した。

 

 アリアは逃げようとするも、パパスがぐいぐいと押し付けて来るので頬を真っ赤にして、心を無にする。

 

 するとアリアの身体はすり抜け、解放された。

 

 

「……何だ今の感触は……? 見えない壁みたいなのがあったな……、それも柔らかい……」

 

『……パパスさん……あのね……』

 

 

 アリアはそれ以上何も言わずに部屋へと戻ったのだった。

 




以上、パパスのパパスの回でした。

こ、これくらいなら許されますよね……?

元々R18ばかり(?)書いているためつい、そっちへと向かいそうになってしまいます(とはいえそんなエロエロを書いているわけでもないのですが)。

すみません、反省はしていませんw
ちょっとウフンな感じが本当、大好きなんです。

ぱふぱふとか最高ですよね!
つまりドラクエ最高。

戦闘中パンチラとかあったら萌えます。
ぽろりも萌えます。

そう、男女問わず!

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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