二人はプリキュ……ではなく、仲良しなのです。
では、本編どぞー。
「ったく、なぁに、そのダサい下着は……。オンナノコなんだからもっと可愛いの穿きなさいよネ」
「っ、これは……その……ステテコパンツで……」
――私のぱんつは今、何故かアベルが持っててね……。
アリアが地面に落ちた際に【ステテコパンツ】が見えたらしく、キャシーが訝しい顔を見せる。
アリアはどう説明しようかと口篭もってしまった。
が。
「知ってるワヨ。アベルんが盗っちゃったんでショ? アベルんたらスケベなんダカラ……」
キャシーは知っていたらしく、頬を膨らませる。
「はは……それはその通りよね(知ってたのね……って、馬車から見えてたんだ……)」
アリアは苦笑いを浮かべた。
プックルとアベルとのやり取りの一部始終をキャシーはキャビンの中から見ていたらしい。
「アリア、下着の替えはないわケ?」
「それが……一応あるにはあったんだけど、実はまだ洗濯してなくて……。丁度もう一枚欲しいなって思ってたところだったの」
――カボチ村でアベル達が眠ってから洗おうと思ってたんだけどね……!
プックルに攫われてしまったために替えの下着を洗えていないアリアだった。
カボチ村に向かう途中、キャンプで何度かキャシーとキャビンで眠っていたアリアは彼女とすっかり仲良くなり、女同士ということもあってか気安い会話が出来るようになっている。
種族の差はあれど、仲の良い女友達という間柄だ。
「フーン、そうなんダ。今度大きな町に寄ったら、買い足せばいいんじゃナイ?」
「だね」
「その時はアタシがアベルん好みの下着選んでアゲルワ❤」
キャシーはピラッと、アリアのスカートを捲り【ステテコパンツ】を見て「可愛くないワネ……」としょっぱい顔をする。
と。
「えっ……? いや、意味わかんないんだけど……? 何でアベルの好み……?」
キャシーの言葉にアリアは目を瞬かせていた。
「あら、アベルんはいつもリーダーとして大変なんだかラ、サービスしてアゲないト」
「っ?? 何で私がサービスするの……?」
――アベルにサービス……? なんの……?
アリアは意味が解らずキャシーの言葉に耳を傾ける。
「バカねン。アベルんはアナタに夢中なのヨ? アタシじゃ不満みたいダシ、アナタが疲れたカレを癒してあげないでダレが癒してあげるノン?」
「っ、癒すって……ぱんつで? 私、アベルの恋人じゃないんだけど……?」
――それって……性的に……ってこと? アベルがそんなこと望むわけないでしょ、ちょっとえっちな所も確かにあるけど……主人公だよ!?
キャシーがニヤニヤと口を歪ませるので、アリアは眉を顰めた。
キャシーちゃん、女の子なのになんていやらしい顔をしているのよ……。と愉快そうに笑うキャシーを怪訝に見つめる。
「ンフフ~……。アリアはおバカさんネッ! アタシは何でもお見通しなのヨン!」
「っ!?」
ニヤニヤ。
キャシーは“トンッ!”と、アリアの心臓辺りを指差そうとしたが、誤って彼女の胸の谷間にズボッと指を差し込んでしまった。
アリアのシャツの胸元にキャシーの指がすっぽり埋まる。
突然のことにアリアは目を見開いていた。
(指が隠れちゃったワ……。アリアのオッパイって、アタシと違って大き過ぎるのよネン……柔らかいワネ……)
キャシーが自分の胸を見下ろしアリアの たわわと見比べる。
そして彼女の胸に埋まった指を戻し「ふぅ」と息を吐き出した。
「でもン……。アリアってバ、どうしてアベルんのこと受け入れてあげないノン……? アベルんあんなに一途にアナタを想ってるのにカワイソウ……」
「そ、それは……」
キャシーの言葉に、“別れが決まってるから……。”とはアリアは言えなかった。
「……アベルんを泣かしたらいくらアナタでも許さないからネッ!」
「アベルは私なんかのことで泣かないよ……。彼強いもの……」
“アタシはアベルんの味方なんだカラ!”
キャシーが腰に手を当てプリプリ頬を膨らませるのだが、アリアは目を伏せてはにかむ。
「ムムム……やダ。なんかアリア感じワル~イ! 記憶が戻る前までアベルんのこと熱い目で見てたくせニィ~! アタシ知ってるんだカラッ!」
「ちょっ……!? そんなことないよっ!?」
――キャシーちゃん魔物なのに鋭いぃっ~……!
アリアはキャシーの指摘に慌てて両手をふりふり否定したが、キャシーの顔は徐々に笑顔になっていった。
「オンナは愛嬌ヨ。アナタが可愛く笑ってたら、アベルんは癒されるノン。ちょっとセクシーな下着がチラ見えしたら喜ぶんだカラッ! 男っていうのワー、そういう生き物なのン」
ウフフ……。
――恋多きオンナのアタシには男のことがわかるのヨ!
キャシーが「だからこのダサい下着はやめなさい」とまたもアリアのスカートを無遠慮に捲る。
「っ、スカート捲らないでよぅ……。穿くものなかったんだからしょうがないでしょ……? ねえ、キャシーちゃん……、なんかわかった風なこと言ってるけど、あなた今まで何人の男性とお付き合いして来たの……?」
「えー? ウフフ……。それはヒ・ミ・ツ、よン! アリアには教えナイッ」
アリアがスカートを押さえて告げると、キャシーは満面の笑みを浮かべた。
“訊きたい? 訊きたいわよネ!?”
キャシーが訊いてくれとばかりにつぶらな瞳を輝かせる。
キャビンの中では他の仲魔達とは話が合わないのか、喋りたくて仕方ない様子だ。
アリアがキャビンに乗って来ると毎度嬉しそうに話をしだすのである。
「…………はぁ。もういいや、なんか疲れちゃった……寝よ寝よ……」
――キャシーちゃん話長いんだよね……。
アリアは「また今度聞くね」と【安眠枕】と毛布を手に横になる。
「あっ、ちょっとン! まだ話は終わってないわヨンっ!? アタシの話なんてアリアしか聞いてくれナイんだカラ聞いてよネ!」
「キャシーちゃんも寝よーよ。おいで?」
話し足りないキャシーがアリアを見下ろし告げるとアリアは【安眠枕】効果でうとうとしながら、毛布を広げて一緒に寝ようと手招きをした。
「もぉっ! しょうがないワネ!(アリア~❤)」
キャシーは嬉しそうに破顔して、アリアの隣に横になる。
二人はそのまま夢の世界へと旅立っていった。
ちなみに馬車組のスラりん、ドラきち、コドランは既にすやすや夢の中である。
◇
アリアとキャシーが寝静まって三十分経った頃。
アベルは焚火を眺めそわそわしていた。
「主殿……? どうかされましたか……?」
ピエールがアンドレを背に うとうとしていたが、アベルの様子に声を掛ける。
「あっ、いや……。ちょっと僕、さっき近くに小川を見かけたから……」
「……小川……ですか?」
アベルは立ち上がって頭の後ろを掻いていた。
「顔を洗って来ようかと……。ほらっ! 今日は火の番があるだろう? 交代まで眠らないようにしないとね! プックル、僕が戻って来るまで しばらく見張りをお願いね。ピエールは眠っていていいよ」
ピエールの隣で毛繕いをしているプックルに見張りを頼むと彼は「にゃ~う!」と元気に鳴き了承する。
プックルは夜行性なのだろう、毛繕いを終えて伸びをしたと思ったらごろんと地面に転がり傍に生えていた風に揺れる植物にじゃれ始めていた。
アベルはプックルの様子に目を細め「じゃあ、よろしくね」と焚火を後にする。
「プックル殿は元気ですなぁ! では、私は暫し休息を取らせて頂きます」
「がうがう!」
焚火の傍に残ったピエールはプックルに見張りを任せ、眠ることにしたのだった。
キャシーちゃん、ウザキャラからアリアの良き女友達にシフトチェンジです。
恋多きオンナ……。